昨日の話の続きである.
列車前面展望ビデオがあるようなので,よく見てみよう.
脱線現場よりも台北寄りにある半径800mとおぼしきカーブは,どうやら120km/h制限のようだ(1h 22m 43s).このカーブに入った後に,ATSの地上子(2個1組)のようなものが見える(1h 22m 54s)が,これが速度照査用のものかな? 正確にはわからないが,このカーブを出終わる少し前( 1h 23m 22s)にも同様のものがあり,反対向き線路にもあるので,その可能性は高い.(台湾は双単線)
しばらく進んで,脱線現場駅の手前には制限標識があり,「65」と「85」の文字が見える(1h 23m 35s).車体傾斜装置のついていない列車が65km/h制限,ついている列車が85km/h制限ということかな.
ということで,昨日の制限速度に関する考察は概ね当たり.
駅の構内にさしかかり,信号機の横に再びATSの地上子(2個1組)のようなものが見える(1h 23m 45s).
駅を通り過ぎた後の曲線の手前には「75」「100」の文字があり(1h 24m 10s),先ほどと同様に制限がそれぞれ75km/h,100km/h.
さらに進んで次の駅の手前には「95」「120」がある(1h 24m 26s).
台湾のATS等の保安装置についてはあまり詳しくないが,ATS地上子のようなものを2個1組で設置している地点が速度照査ポイントだとすると,曲線に入ってから120km/h制限や85km/h制限が守られているかどうかをチェックしていては,いざという時ブレーキが間に合わないのでは無いかと思った.
(あくまでATS地上子のようなものが速度照査ポイントなら…台湾のTVニュースのネット同時配信を見ていると,やはりこの地上子は速度照査用のもののようだ.)
↓ ”Live”なので,後日見ても意味不明かも.
R800カーブの120km/h制限はクリアしてそうなので,そのまま突っ走ってR300カーブに120km/hのまま突入し,速度照査で引っかかって非常ブレーキが作動したけど間に合わず,といったところか? (ならば,地上設備の設計ミスかも)
事故の前に車両故障で一時動けなくなったという情報もあるみたいだが,まさかとは思うが,故障の原因が保安装置で,保安装置の電源を切ったまま運転していたとか.あるいは,ブレーキがかかったまま緩解しないので,ブレーキのエアを強制的に抜いたまま出発した(関東鉄道取手駅事故がそんな感じだったかな)とか(まぁ,今時空気だけでブレーキかけてるわけ無いか……).そんなんじゃ無いよね.
(台湾のTVニュースのネット同時配信でも,保安装置のスイッチが入っていたかどうかという点が論点になっている模様)
勝手に加速したという話もあるみたいだが,定速運転装置(クルマでいうところのオートクルーズ)が稼働していたとか…
#なお,車体傾斜装置は「安全に曲線を高速で走れる装置」と勘違いしている人が多いが,車体傾斜装置は曲線通過時の車内の遠心力を軽減する装置であって,安全性を大幅に向上させる装置では無い.車両の重心が下がった場合にのみ安全性が向上する.ということで,転ぶときには転ぶ.客に気づかれないようにマージンを削っているようなもの.
#最初のビデオは逆光でわかりにくい.反対側の線路を北上する列車の前面展望ビデオも発見(0h 42m 04s 〜 0h 43m 41s).こっちは太魯閣自強号とあるので,TEMU1000型か?