地震動予測地図とリニアの首都圏サブターミナル

全国地震動予測地図2014年版の観察を継続中.このファイルのp.72やp.108を引き続き見ている.
リニアは首都圏,中京圏,近畿圏を結ぶことが大きな目的であるが,同時に東海道新幹線の代役でもあるので東海道新幹線途絶時においても三大都市圏を何とか結ぶとともに広域鉄道網の要の役割を継続しなくてはならない.これが三大都市圏結節鉄道のBCPの要求水準である.
さて,首都圏のターミナルはご存じ品川駅であるが,(地下なので地震に対しては大丈夫ということになっているが)海岸に近くて浸水の心配がされる地区でもある.一応,高潮津波は多少防潮堤を整備すれば大丈夫ということにはなっている.リニア品川駅が無事でも,そこへのアクセスはインフラが古いJR在来線が主体であり,リニア品川駅が無事でも地上の品川駅付近の線路が地震動で使えないということが起こりうる.

 ということは,実はリニアのバイパス機能を有効に働かせるためには,各都市圏においてサブターミナルが重要ということになる.サブターミナルは各都市圏に対してのアクセスが十分に可能であるとともに,広域アクセスの要になっている東海道新幹線の代役という点では,一時的にであっても広域アクセスが可能であることが求められるということになろう.

さて,首都圏ではリニア品川駅の西隣はリニア神奈川県駅で,相模原市の橋本駅付近ということになっている.地震リスクは品川より幾分マシ.

 JR横浜線と相模線で南北方向に,京王線で東方向に移動できるので,品川付近だけが使えない場合は首都圏の代理窓口として機能しうる.広域アクセスについては,新幹線を含むJRの幹線が遠く,難ありである.八王子まで出れば中央線があるが,リニアできた人がここから中央線で甲府方面に行くことは考えにくいので,あまり意味はない.

ということで,広域アクセスに難アリなので,全国的鉄道網としては首都圏そのものを迂回するルートを確保した方が良さそう,という結論になる.

新幹線公園

大阪モノレール南摂津駅からモノレールに沿って北上すると,例の車両基地の横を通る.おっと,今日も何かいた.山下達郎のクリスマスイブが聞こえてきそうだ.(写真が古いってか?)
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さらに北側には大阪貨物ターミナルがあるが,幹線道路に接するとともに新幹線にも接しているという「新幹線貨物輸送」構想の名残でもある.
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その隣に「新幹線公園」がある.
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新幹線以外にもこういうのが展示されており・・・これは阪和線や紀勢線で走っていた貨物用機関車だな.ガキの頃によく見た記憶がある.
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そして,初代新幹線お出まし.
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場所はここですね.

地震動予測地図と首都機能バックアップ

全国地震動予測地図2014年版が公開されたので,観察を継続.引き続き,このファイルを見ながらのお話し.
まず現状において政府は首都機能の代替地を「立川」としているらしいが,霞ヶ関よりは地震のリスクは幾分マシなものの,近すぎだよね.いざとなったら自衛隊駐屯地や横田基地からさっさと逃げられはするのだが,近すぎるとまずい理由はいくつかあるが・・・

  1. 地震動そのものの被害を都心と同時に受ける可能性がある
  2. 電源や通信,交通などのインフラは立川からコントロールされているわけではないので,都心と同時に機能停止に陥る可能性がある
  3. 航空(軍用)以外の広域アクセスに劣る
  4. 政府中枢以外のバックアップができない(民間との連携がしにくいのでは?)

などなど.
以前に勝手にリストアップした各地については,伊丹空港,万博公園,祝園演習場,長池演習場のいずれも地震のリスクについては立川と同程度のように見える.
ところで「立川」って首都圏の地震の原因の一つの「立川断層帯」の立川だよねぇ.都心と同時被災しないからOKなのか?

  1. そもそも,都心の大地震と立川付近の大地震は「独立事象」か?
    1. 内陸の断層が次々と連動したような例はいくつかある(慶長地震とか天正地震とか)
  2. 都心が被災して,立ち直らないうちに疎開した立川が被災することもあり得る

東日本大震災では構造物の被害そのものはさほど大きくはなかったものの,大騒ぎ状態になって首都圏が社会的に機能不全に陥ったんだが,それは考慮してないのね.「立川」って救援救助の前線基地なら分かるが,日本国を一時的にコントロールするという点では厳しそう.

地震動予測地図とリニア名古屋以西

全国地震動予測地図2014年版が公開されたので,観察してみる.以下,このファイルのp.72やp.108を見ながらのお話し.
まず東京-名古屋間のリニアのルートについて見ると,起点の東京が真っ赤(紫)で,途中経路以前にターミナル自体が比較的地震のリスクが高いことが確認できる.一応地下駅なので影響は小さいということになっているとは思うが,ディーゼルカーが走るわけではないので,電力供給や信号システム等を含めて全て完動して初めて運転できるはずなので,大丈夫かなぁ,である.
品川を出ると内陸方向ほぼ真西に進路を取るが,甲府盆地では富士川〜笛吹川付近がリスク高めであり,そこに山梨県駅が地上駅としてできる.2027年に暫定ターミナルになる名古屋駅は濃尾平野にあるが,ここも比較的リスクが高めになっている.
まぁ,それでも沿線ほとんど真っ赤っかの東海道新幹線よりははるかにマシなので,改善ではある.なお,日本海側はもっとリスクは小さい模様なので,東西間交通の途絶を完全回避したいなら,北陸新幹線は真剣に検討したいところ.
さて,奈良と京都でもめている名古屋以西については,予定どおりに三重県下を南西に進むとリスク高めの地域をかなり長距離進むことになる.その後進路を西にとって奈良を通過するが,奈良盆地がややリスク高めで南に振れれば振れるほどリスクが高くなる.さらに南南東側から新大阪に達すると思われるが,大阪平野でもリスク高めの地区を突っ切って行くことになる.ちなみに,この「大阪平野でリスク高めの地区」はレンコンの産地ではないかと思われる.
(そもそも濃尾平野を突っ切っている時点で心配事は多いのだがそれはさておき,)名古屋以西のルートについてなるべく地震のリスクが低そうなところを縫って行くとこうではないだろうか.
名古屋駅を南西側に出たら,そのまま南西に進むのではなく西に進路を変え,伊勢湾から速やかに遠ざかるとリスクは下がる.三重県駅は員弁あたりか?
(いろいろ緊張関係はあるが,それはさておき)進路を西に取ると滋賀県を通過するが,びわこに近づくと再度リスクが高くなるので,甲賀か信楽付近を通過するのがリスクが低そう.この辺からやや南に向きを変えて京都府下に入り,京田辺から木津川,京都奈良府県境にかけてのあたりを経て再び進路を西に変え,交野,寝屋川から新大阪に達するというのが比較的リスクが小さそう.(あぁ,つまり名古屋駅と新大阪駅をほぼ真っ直ぐに結ぶ,ということか.)
ちなみに,大阪産業大学のキャンパスのロケーションは・・・
リスク高そう・・・il||li _| ̄|〇 il||li

軌道敷内乗り入れ可

路面電車の軌道は,原則「軌道敷内乗り入れ不可」である.しかし,一部区間には乗り入れが許可されているところがある.DSCN6397幅員の関係等で致し方ないといえば,そうなのだが・・・

  • 軌道が傷む
    電車の走行の邪魔になる
    接触事故の危険がある

などなど,あまりいいことはない.モータリゼーションの進行たけなわの時期には,たまにしか来ない電車のために1車線温存しておくのはもったいないので,と言うことで,軌道敷内乗り入れを許可した道路が多く,それが原因で路面電車の定時性が損なわれ,廃止の引き金になったことは有名である.
で,乗り入れを許したら渋滞が解消したかというと,そんな話はあんまり聞いたことが無い.
こういうのが理想やね.
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シンカンセン22-141

英国ヨーク駅の近くにあるヨーク鉄道博物館.日本からはるか遠くのこの地に0系のパンタグラフつき先頭車22-141が展示されている.
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内部にも入ることができ,座席に腰を下ろすこともできる.
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よく,「初代新幹線は英国に渡って,マラード号とともに展示されている」と言われるが,マラード号(200km/hの速度記録を持つ蒸気機関車)の扱いはこんな感じ(いろいろある中の一つ).
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シンカンセンはこんな感じ.22-141の手前の柵とパネルは新幹線の説明コーナーである.かなり破格の扱い.
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そのシンカンセンの目前に展示されているのは,ユーロトンネルとユーロスター.ただし,どちらもモックアップ実物大模型.
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こんなところで,ご対面.
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続・リニア採算「新幹線より700円高ければ十分」らしい

この話の続き.
リニア採算「新幹線より700円高ければ十分」読売新聞 – goo ニュース.
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20141212-OYT1T50128.html?from=ytop_ylist

最後の方に…”ただ、国が国費を投入して前倒しを求めた場合は、「国が考えることを押しとどめることはできない」と述べた。”…とあり,以前に比べてずいぶん態度が軟化したようである.
軟化したけれども…”「借金を減らしてから(名古屋以西の)次の工事に入ることが健全経営の維持に必要だ」と、消極的な考えを示した。”…ということなので,国の示した案ではまだまだなので,もう一息,と言う意味だろうな.
#なお,全幹法に則って整備しようとしている時点で,国策から逃れることは法的に不可能である.

リニア採算「新幹線より700円高ければ十分」らしい

あちこちに記事が出ているこの話.
リニア採算「新幹線より700円高ければ十分」読売新聞 – goo ニュース.
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20141212-OYT1T50128.html?from=ytop_ylist
東海道新幹線にのぞみ号が登場した際,ひかり号とのぞみ号の所要時間差は概ね30分,料金差は950円だった.「時給」1900円なり.その後,310円差に引き下げられている.「時給」は620円なり.
リニア新幹線ができると,リニア号と新幹線のぞみ号の所要時間差は概ね90分.料金差が700円とすると,「時給」は470円.かなり割安である.
のぞみ号が登場した際,毎時2本運転になった段階で必ずのぞみ号の方がひかり号よりも早く着くようになって,ひかり号にはあまり客が乗らなくなり,のぞみ号全盛となった.
リニア号は登場すると同時に毎時4-5本運転,全線開業時は8-9本,最大12-13本になるので,必ずリニア号がのぞみ号よりも早く着くようになる.つまり,最初からのぞみ号には誰も乗らなくなり,リニア号全盛になるだろう.東海道新幹線沿線のはずの京都や横浜の人ですらのぞみ号には乗らないだろうし,大阪-名古屋間の人ですら乗らないだろう
700円差という価格設定はかなり衝撃的であり,同時にのぞみ号サービス終焉を決定づけるだろう.利用者には朗報だが,最初からそんな大安売りを約束して大丈夫かしら?(リニアの採算はとれると思うが,東海道新幹線が・・・
#ちなみに,「時給」1900円だと2850円高,「時給」620円だと930円高という計算になる.
#よく考えたら,名古屋暫定開業の話か.なら,「時給」620円×短縮1時間=620円とあんまり変わらないから,そんなもんか.でも,「時給620円」はひかり号とのぞみ号のサービスレベルの差が縮まったから値下げした結果じゃ無かったっけ? 当面は2000円差くらいで開始して,様子見て下げた方がいいんじゃぁ無いかと・・・