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真っ直ぐなローカル線

高規格ローカル線というと,北越急行とか智頭急行とかを思い出すが,特急の走らなくなった奥羽本線の大曲−新庄間もなかなかの高規格線であった.

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大曲から南下すると,秋田新幹線の線路は併走しなくなり,狭軌単線になる.駅には交換設備のあるような状態だが,駅間はというと,時折曲線はあるものの,ほとんど真っ直ぐである.

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将来の複線化を見越してか,跨線橋はほぼ全て複線化対応で建設されており,道路側の手直しがほとんど無いような配慮がされている.

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もちろん,たまには曲線はある.

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秋田-山形県境部分は山地を通過するために曲線が多いが,複線化されている.

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そして県境を越えると再び単線になり,曲線+勾配といった線形が続く.

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くねくね.

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西側から陸羽西線が寄り添って…

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終点,新庄駅.

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山岳部分の県境越え部分は新線にした方がいいが,それ以外は直線が多く,高速化しやすそう.「准新幹線」化できないかな?

終着駅

どんなところだろうと,単純な好奇心から終着駅まで行ってみた.

ほとんど何もなかった.床屋が一軒営業中.

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観光地はここからバスに乗り換えてゆく模様.沿線は海が見えるかと思いきや,ほとんど海は見えず.意外と住宅地が続いていた.なるほど,ローカル線ではあるがワンマン運転列車ではないのは沿線人口がそれなりにあるからか.

律儀に引き上げる近鉄

近鉄こと近畿日本鉄道は,その成立過程も関係し,支線が多い.多くの乗換駅では支線用のホームまで客の方が移動しなければならないのだが,中には小駅であっても支線の電車が到着ホームから律儀に引き上げ線まで移動し,その後,出発ホームまで移動してから出発することもある.本線の列車との乗換えの便を図っているのである.

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なるべく客に歩かせない,という基本的なポリシーなんだろうと思う.一方,最大手の…やめとこ.

小浜線経営分離か未定

その後,こういう記事があった.

JR西日本の野中雅志金沢支社長は27日の記者会見で、北陸新幹線が敦賀以西ルートで福井県小浜市を通る場合、JR小浜線がJRから経営分離される並行在来線に当たるかに…

情報源: 小浜線、経営分離か未定 北陸新幹線延伸でJR西支社長

あのーーーーーーーぉ,特急が走っているかどうかじゃなくて,新幹線の開業によって当該在来線から新幹線に客が移ってしまい,経営状態が悪くなる路線のことを並行在来線とするのが適当なんですけど.長距離客が小浜線にそんなにたくさんいらっしゃるんでしょうか? いらっしゃるのなら並行在来線問題として取り上げるべきだし,そうでないならローカル線問題.

野中支社長は会見で「並行在来線の定義は、知る限りでは特急の有無に言及していない」と述べた。

国土交通省の説明には「整備新幹線に加えて並行在来線を経営することは営業主体であるJRにとって過重な負担となる場合があるため…」とあり,新幹線の開業にともなって,当該在来線の経営がお荷物になるような路線であることを並行在来線の定義として採用している.

つまり,繰り返しになるが,新幹線に移転するような客がない路線は,そもそも新幹線が有ろうが無かろうが,営業状態に与える影響は新幹線の開業前後で変わらないので,国交省の想定する並行在来線の説明にあてはまらない.

…ちゅうか,並行在来線の定義は旧運輸省の頃から示されていたはずだけど.

もう言葉遊びは止めようよ.新幹線が有ろうが無かろうがお荷物だと思っているような路線の存廃問題は,並行在来線問題じゃ無くて単なるローカル線の存廃問題ですよ.新幹線に便乗せずに正面から向き合いましょう.

 

若狭ルートなら小浜線が並行在来線?

北陸新幹線が東側から延びてきて,富山や石川あたりを着工しようかというときにも,同じような話があった.

若狭ルートなら小浜線が並行在来線 北陸新幹線敦賀以西でJR西真鍋社長

新幹線建設にともなう並行在来線というのは,以前にも指摘したように,特急列車が走らなくなる路線を指すのが適当である.

元々特急列車が走っていない路線は,そもそも長距離客が乗っていないので,新幹線が走ろうがそうでなかろうが,旅客動向に大きな変化はないはずなである.新幹線の有無と経営状態とは関係がない.小浜線に長距離旅客はそんなにたくさん乗っているんだろうか? 経営分離したいのなら,小浜線の長距離客の動向くらいは示した方がいいだろう.

かつても同様の議論があり,「枝線分離問題」と言われた.だが,枝線分離を並行在来線分離とこっそり言い換えて論じるべきではない.「便乗廃止」だ.はっきりと「ローカル線の経営なんか,めんどくさくて儲からないからやりたくない.新幹線以外は全部廃止したい.」と言えばいいではないか.経営姿勢がはっきりするではないか(もちろん,非難を受けるだろう).

ローカル線の経営をしないということは,地域独占を自ら放棄するということなので,幹線鉄道経営の参入自由の原則が日本でも議論されても文句言えないよね.

株式会社化されて,そして株主が国ではなくなった.確かに自由だ.だが,会社成立の経緯は消すことが出来ない.ローカル線の経営も含めて日本国の主要な鉄道の営業に責任を持つというのが,国鉄が解体されて民営化された際の原点ではなかったのだろうか.

#やる気の無いJRにローカル線を任せるよりは,いっそ経営分離された方が沿線は幸せではないか,と言う人もいる.

機廻し線

構内配線シリーズである.KTR豊岡駅.ホームが1面しか無いが,線路は2線ある.ホームへの進入時に見ると,こんな感じ.

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2線ある線路は,ドン突きで再び合流している.ご存じ,機廻し線である.最近はなかなかこんなにきれいな形で残っていることも少ない.

その昔,機関車が引っ張ってきた列車はこの駅で終点.機関車だけ切り離してドン突きまで機関車が進み,ホームの無い線路を使って引っ張ってきた客車の反対側へ.

そして反対側に機関車を付け直して反対方向に出発.

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無粋な話をすると,どうせ機関車列車なんてもう走らせないんだから,このドン突きの合流部分の線路を引っぱがしてホームの無い側にもホームを作れば,頭端式のターミナル駅になり,やはりダイヤの作成が格段に楽になる.

機廻し線,無くなっちゃうけど.

ちょっと悔やまれる構内配線

KTR宮津駅の構内配線のお話.下の写真は宮津駅の西側を写したものである.

奥へと線路が2本延びているが,右は宮津線天橋立方面,左は宮福線福知山方面である.ホームは3面4線になっており,写真左側(奧)から右(手前)へと順に,[4番線]福知山方面からの折り返し用,[3番線]福知山方面←→天橋立方面直通用,[2番線]宮豊線天橋立方面,[1番線]宮舞線西舞鶴方面というのが標準的な使い方である.

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さて,何がちょっと悔やまれるかというと,2番線の天橋立方面の線路をそそのまま西に進むと,3番線からの合流,安全側線,1番線と合流し,天橋立方面に進む.この安全側線であるが,そのまま宮福線福知山方面への渡り線になっていれば2番線と3番線の両方を福知山方面←→天橋立方面直通用に使えて,ダイヤの組み方が断然楽になる.

元々,宮福線を電化して高速化する際には2番線と3番線の間の片渡り部分は両渡りで計画されていた.片渡りに比べると両渡り(シーサスクロッシング)は非常に高価なので,工費の節約のために片渡りに変更されてしまった.原案どおりなら,やはり2番線と3番線の両方を福知山方面←→天橋立方面直通用に使えた.

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今さらながら,ちょっと悔やまれる構内配線である.

(…という,ちょいと細かすぎるネタ)

バスツアーに組み込まれた路線

沿線に風光明媚な区間があり,しかも鉄道でないとそれが見えない,という区間ではバスツアーの一部に鉄道乗車が組み込まれていることがある.

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そういうところでは,マイナーな駅からマイナーな駅まで団体客が乗ってくることがある.

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なぜ,そんなマイナーな駅から乗ってくるかというと,単に駅前までバスが入ってこられるからだったりする.

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新幹線の場合も,バスツアーの拠点駅は必ずしも大きな駅とは限らない.九州観光の場合は博多じゃなくて小倉だったり,北陸新幹線の場合は新高岡だったり,ちっと一般の客とは行動パターンが違ったりする.

 

熊出没注意!

「熊出没注意!」というお土産が北海道にあったが,とある近畿地方の駅の構内にはこういう注意書きがあった.

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えっ!?

そして,あるぅ日,森の中,熊さんを轢いちゃった…

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あちゃー.

同じ路線の同じ日の出来事であった.

列車版LCC

欧州では,線路とその上の鉄道運行が基本的に上下分離されている.旅行者としてはICEやTGVをよく使うのでほとんどそのことを意識することはないのだが,最近,特にドイツなどでは比較的近距離の都市間連絡列車で,見かけない会社の列車を見かけることが多くなってきている.

例えば,この列車.

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機関車は比較的最近の機関車で,確か発車時には「ドレミファソラシド…」という音を発したはず.けど,よく見るとかつては書かれていた「DB」の赤い文字が無い.

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ハンブルグとケルンを結ぶ列車のようである.

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車両は結構年季の入ったもので,元オーストリア国鉄? 土手っ腹には大きく「HKX」と書かれている.

ハンブルグとケルン間ならICE等を使って移動するのが通常の方法だが,同じ線路上を別のHKXという会社(私鉄)が列車を運行しており,ドイツ鉄道の列車に乗るよりも安価に移動できるようになっているようだ.

ただし,車両はお古の使い回しであり,とにかく安く,しかも早く移動したいというニーズを満たしているようである.

ユーレイルパスでも乗れるようだが,良い時間帯の発着時間は確保できていないようで,あまり便利では無い.しかもICEにも乗れるチケットでわざわざ選択するような列車では無い.

だが,地元の人にとってはこういった別の選択肢も準備されているのである.

日本では,都市内交通が自由化されている一方,新幹線を含む幹線鉄道および同じ線路上を走るローカル列車の運営は国鉄時代からの地域独占が継続しており,ユーザーの選択肢は限定的である.