計画・構想」タグアーカイブ

“雑魚な客数のために面倒なことできるかよ!” と返答してJR東海が失ったかもしれないこと(その3)

JR東海がやっちまったかもしれないお話の(その3)である.これは既にJR自身が気付いている点,新大阪駅(と,その近辺)の件である.

新大阪駅に北陸新幹線を乗り入れる場合,可能なら地下よりも地上駅にして東海道山陽新幹線と同じレベルのホームにしたいところである.そうすれば北陸新幹線の線路と山陽新幹線の線路を繋ぎたくなった場合,数キロにもわたるであろう連絡線を建設しなくても現状の西方から20番線(あるいは27番線)への出入りを拡張すればいいだけである.

ところが新大阪駅周辺での地上での線路工事は少々厄介だ.事実上頓挫している路線がある.

新大阪の少し南側に阪急電鉄の京都線が走っている.阪急としては「南方」という駅が新大阪最寄りになるが,いかんせん地下鉄で1駅離れており,とうてい乗換駅にはなり得ない.そこで,梅田の北方にある十三駅から京都線よりも少し北側を通って新大阪に達し,そのまま東進して淡路駅で京都線に戻るという新線の建設を東海道新幹線開業の頃から計画していた.

ところが,地上を走る新線はまかり成らんと住民の反対があったため,計画頓挫.十三から新大阪駅までについてはまだ計画は放棄していないようだが,その先の淡路までについては計画が頓挫してしまった.

…という話はほぼ新幹線建設にもあてはまるであろう話であり,鉄輪新幹線だろうがリニア新幹線だろうが,新大阪に乗り入れる新線建設は地上ではなくて地下線を考えざるを得なくなった.

さて,リニア新幹線はまだ名古屋以西がどこを通るのか公表されていないが,新大阪駅終点だけははっきりしている.誰が見てもほぼ2択で,27番線北隣の阪急保有の土地の地下になるか,20番線南隣の駅前広場地下になるかであろう.現状の新幹線駅ホームの真下という選択肢も無きにしも非ずだが,高架の脚がたくさんあるので,それを受け換えさせながら工事をするのはかなり難工事だ.失敗すると新幹線が止まるというかなりチャレンジャーな工事計画になる.

一方,北陸新幹線についても京都-大阪間が「南ルート」になった場合は新大阪駅付近はリニアとほぼ同じライン取りになりそうであるので,駅そのものの他,路線を地下の浅い部分で通すことになるであろう新大阪駅付近の道路についても地下空間の取り合いになる.新大阪駅ではどちらも山陽新幹線への乗り継ぎ,JR近郊線への乗り継ぎ,地下鉄への乗り継ぎを便利にしたいという点でも目的は同じだ.

目的が同じなら地下空間内でリニアと北陸新幹線の上下2層にすればいいじゃないかと思うが,両者経営が異なるので,おそらく新大阪駅では客用コンコースは別に設けたい,という話になるだろう.かといって,平面上で並べると,近い方はともかく,遠くなる方は移動距離が長くなる.

じゃぁ,「北ルート」なら問題がないかというとそうでもない.線路を地下で平面交差させるわけにはいかないので,やはりどちらかが地下の浅い方,もう一方が地下の深い方になる.当然,深い方が移動には不利.

ということで,地下空間の取り合いだ.

JR東海にとって厄介なのは,おそらくそれだけではない.一般人から見れば単なるJR会社間の調整事項だが,事業としてみると北陸新幹線は(営業予定はJR西日本だが)建設は国の実施する公共事業,もう一方のリニア新幹線はがっつり国策(JR東海はなぜかこの表現を嫌う雰囲気がある)に載っかった全幹法に基づく整備計画路線とはいえ,民間の事業(JR東海はこっちを強調したがる)だ.

公共事業 vs 民間事業.新大阪平成の陣

地下空間の調整の必要性はJR東海は認識しているようであり,最近は地下空間の調整について発言するようになってきた.「コンペティター」に勝つには圧倒的優位に立つのが理想的だろうが,そうでない場合には最初からうまいこと抱き込んでおくという方法もあった.ちょっと前まで,まさかそんな雑魚な話が天下のリニア事業に影響するとは思ってなかったよね.

 

 

“雑魚な客数のために面倒なことできるかよ!” と返答してJR東海が失ったかもしれないこと(その2)

奈良がやっちまったかもしれない話に続いて,JR東海がやっちまったかもしれないお話の(その2)である.今回は山陽直通客について考えてみよう.

リニア開業後の山陽新幹線からの東海道新幹線への直通客の見通しについては詳細は公表されていないが,基本想定としては概ねこんな感じか?

【山陽→京都】短距離なので基本想定としては,そのまま新大阪から東海道新幹線に直通.

【山陽→米原】この区間もそのまま新大阪から東海道新幹線に直通.ただし,従来なら「しらさぎ」に乗り継ぐ客が多少いたが,そういう客は北陸新幹線に移行するので米原駅近辺の客だけに減少

【山陽→岐阜羽島】そのまま新大阪から東海道新幹線に直通.そもそも,少ない客.

【山陽→名古屋】新大阪-名古屋間は東海道新幹線で約50分,リニアだと約25分.ただし,山陽新幹線からリニアへは乗換が必要で,乗り換え1回30分弱相当の心理的抵抗という調査結果もあるので,急がない客はそのまま東海道新幹線,急ぐ客はリニア乗換ということか.
だが,北陸方面から米原駅経由で名古屋駅まで行く場合,直通のしらさぎだと95〜100分,新幹線との乗り継ぎだと約75分であるが,実際に乗ってみると名古屋まで直通で乗り通す客は少ない.東海道山陽新幹線のようにビジネス客の多い路線だと,急ぐ客の方が多いかも.つまり,思ったよりも直通客が少ないかも,ということ.まぁ,自社路線間の移行なので,営業的にはあまり大きな問題ではないだろう.

【山陽→愛知・静岡県下】新大阪-名古屋間だけリニアをはさむこともできるが,乗換が2回になってしまうので,これは山陽新幹線からの乗り通しが標準になるだろう.

【山陽→新横浜】新横浜駅に用事のある人は少ないので,横浜駅で考えてみる.新大阪-横浜間が新横浜乗換で計150分くらい,リニアを使うと新大阪-品川間が67分,10分乗換で18分程度乗車で横浜駅まで計105分.山陽新幹線からだと片道4時間を越えてくることも多いので,ここも思ったよりも乗り通しの直通客は少ないかも,リニア優勢.


さて,山陽新幹線はJR西なので,北陸新幹線が新大阪まで到達するのなら山陽新幹線との直通運転を考える可能性は高い(実際,既にそれっぽい発言はある).現在の新幹線新大阪駅がJR東海の駅であり,山陽新幹線が自由に使えるのは南端の20番線程度で,かなり窮屈であることを考えても自社の新大阪駅を何とか持ちたいと考えるのは自然なことだろう.京都が観光の拠点であることや山陽客が北陸本線特急へ乗り継ぐ場合は京都駅が便利なことを考えると,現時点でも山陽新幹線の電車は京都発着にできないか考えているだろう(「レールスター」の時代からそうしたいらしい,という話は聞いたことあり).

北陸新幹線のルートが新大阪駅の北方から直角に進入してきた場合は山陽新幹線方面に直通させるのはかなり難しそうだが,東側から入ってきた場合には,「JR西日本の新大阪駅」がたとえ地下にあっても山陽新幹線と直通させることは不可能というわけではない.

仮に地下の「JR西日本の新大阪駅」が-40mの位置にあり,ここから西に向かって地下線で進んで徐々に登り,阪神高速11号池田線のあたりまで達するには約4kmある.九州新幹線ではない東海道山陽新幹線だけの電車でも走れるような1.5%勾配だとすると,この間に60m登ることができるので,-40+60=20mの高さまで登れる.ということで,何とか山陽新幹線の高架橋までたどり着けそう.

【山陽→京都】毎時何本か運転しなければならない山陽新幹線の「東京行き」は新大阪駅でそのまま地上駅を通って東海道新幹線に進み,京都駅に達するので乗り通し.九州方面からの山陽新幹線列車は新大阪地下駅を通って北陸新幹線経由で京都駅まで達するようになるかもしれないので,この区間の山陽新幹線から東海道新幹線への乗り通し客は大幅減になるかも.現在においては山陽→北陸線特急の乗り継ぎは新大阪駅よりも京都駅の方が便利なので,この区間の利用客である.だが,北陸新幹線が新大阪まで開通すると,この客は新大阪から北陸新幹線に移行してしまうので,その分の山陽→京都の客も減.

結局のところ,リニアと北陸新幹線開業後の東海道新幹線の名古屋以西の客層としては…

山陽→京都(大幅減),山陽→米原(大幅減),京都→名古屋(リニア乗継ぎ含む),山陽→愛知・静岡県,京都→愛知・静岡県,北陸方面→名古屋以東

つまり,東海道新幹線新大阪-名古屋間はマイナーOD客と京都-名古屋間客用支線状態ということだね.あとはリニアのチケットが満席で買えなかった消極的利用者かな.

JR東海はリニア開業後の東海道新幹線のために沿線に京都を残したのかもしれないが,その京都関係の客についても北陸新幹線の京都-新大阪間が建設されると客を持って行かれてしまう可能性が出てきた.京都は政令指定都市であるとともに,観光地なので,山陽→京都の旅客の量は,雑魚ではない結構な量になるかも.

米原からの乗入れを認めておけば,これは防げたかもしれないが,覆水盆に返らず状態. …さらに,つづく

 

 

麻生財務相北陸新幹線改善に「新宿から引くとか」

麻生太郎財務相は13日の閣議後会見で、北陸新幹線の延伸ルートの方針が固まったことについて「良い話だと思う」と評価する一方、「あまり詳しくない人がやっているのかと…

情報源: 麻生太郎財務相、北陸新幹線のダイヤ改善に「新宿から引くとか」

いやぁ,よく観察してらっしゃる.そこ,線路用地はあるんですよねぇ,既に.

わざわざ「鉄道用地」って書いてありますし.

“雑魚な客数のために面倒なことできるかよ!” と返答してJR東海が失ったかもしれないこと(その1)

先日は奈良がやっちまったかもしれない話を書いたが,今回はJR東海がやっちまったかもしれないお話.話が長くなりそうなので,今回は(その1)である.

JR東海については,自治体からは”こっちからだと話を聞いてすらもらえないくせに用のあるときには向こうから接触してくる”とか,広告出稿停止をおそれたマスコミについては,持ち上げこそすれども課題指摘してくれない状態なので,存外裸の王様状態なのかな,と思う今日この頃.実は大きな工事をしたことがないので,根回しが下手で,話が表沙汰になってから”聞いてねぇよ”状態だという話も.

さて既に誰もが知るように,北陸新幹線の米原ルート,すなわち敦賀から米原まで短区間の線路を建設し,米原駅で東海道新幹線に北陸新幹線電車を乗り入れ,新大阪まで到達するという案については,JR東海が色よい返事をしないので事実上リジェクト状態にある.今年行われた与党PTから国交省に対して行われた調査依頼についても,よく見ると米原ルートは直通運転ではなく米原駅で乗換という条件だ.

この「事実上リジェクト」の理由については,東海道新幹線の運行本数が多いので線路容量が足りないだとか,北陸新幹線の電車は遅いから邪魔だとか,保安装置が違うとか,電気系統が違うとか,運行管理システムが違うだとか,脱線防止のシステムが違うだとか,様々な「やりたくない理由(≠やれない理由)」である「方便」を持ち出して説明していたかと思う.リニア開業後については乗り入れを否定こそしていないものの,世間的には「リジェクト」と同等と見なされる口ぶりであり,極めて冷淡な状態だ.

その結果,ついに敦賀-大阪間は完全に別線で建設されそうな気配が濃厚になりつつある.ということで,JR東海は面倒なことはしなくても良くなりましたとさ,目出度し.メデタシ.お・わ・り……でもなさそう.米原からの乗入れを受け入れていれば回避できたいくつかの問題を新たに抱えることになったかも.

まずは,客の確保の問題.現時点ではJR東海の判断どおり,東海道新幹線の客数に比べれば北陸新幹線からの客数など取るに足らない数である.毎時片道15本の東海道新幹線に対し,北陸新幹線はせいぜい2-3本程度にしかならないので”雑魚”だ.

だが,リニア開業後はだいぶ様相が違うんじゃ無いかと思う.

中央新幹線の整備計画格上げ時の審議で使われた資料(交通政策審議会答申)によると,輸送需要量については次のような見積をしているようである.単位は(億人キロ/年)である.

交通政策審議会答申,2%成長時(上段は2005年,下段は2045年)

中央 東海道 合計
442 442
505 314 819

つまり,リニアが開業すると全体での輸送量は何と全体で+85% ! すごい! しかもリニア新幹線だけで東海道新幹線の115%も運んじゃうんだ!

でもちょっと待てよ,と言う数字が混じっている.リニア新幹線は片道毎時最大9本(*)で東海道新幹線比60%,編成定員は1000人で東海道新幹線比76%,営業時間帯はおそらくちょっと延びるので東海道新幹線比110%くらいかな.そうすると,単純計算で東海道新幹線比50%程度の能力になるので,東海道新幹線比115%も運ぶ,という想定は結構マユツバものかも.おそらく,航空からの客がたくさん乗ってくるようになるという想定であるとともに,容量制約の基準が甘い計算の気がする.

(*)ほんとに毎時9本かどうか疑っているんだが,一応そう発表されている.

一方,似たような計算を別の局面でもやっているようであり,中央新幹線小委員会第3回資料では,両者の合計の輸送量が示されており,同じく単位は(億人キロ/年)である.

中央新幹線小委員会第3回資料

中央 東海道 合計
? ? 675

各新幹線の輸送量は資料に示されていないが,仮に最初の表の比率で按分するとこうなる.

中央新幹線小委員会第3回資料の結果を按分

中央 東海道 合計
417 258 675

これでも中央新幹線の輸送量が東海道新幹線の90%であり,先ほど書いた50%程度の能力しか無いにしては多い.東海道新幹線の席には2-3割の空席があるのでそれを考えるとリニアの席が完売していればギリギリ実現できそうな数字になった.

さて,東海道新幹線の客数は減った.どの程度減ったかというと2005年の442から258へと減ったので,▲41%である.

毎時15本から41%減らすと毎時9本弱になった.6本分の線路容量が空いて,米原乗入れを断ってなければこの分をリセールできた.まぁ,こういう客数なら16両編成で運転する必要も無いかもしれないので,12両編成にするかもしれない.そうすると本数は1.33倍にする必要があり,15×(100%-41%)×1.3333=11.8本.これでも3本分余る.やっぱりリセールできたね.

幹部のこれまでの発言・失言によると,リニア運転開始後は東海道新幹線には大車輪で稼いでもらわないと帳尻合わないようなので,(東海道新幹線と同程度の利益率にはならないかもしれないが)この遺失利益はもったいなかったかも.

東京近辺なら通勤用駅を新設して短距離新幹線を運転するという使い方ができるが,関西ではそういった距離帯に相当する滋賀県と揉めてしまったので,今さら新駅設置…するのかしら? やっちまったものは仕方が無いが,今後は神奈川県や静岡県と揉めないようにするのが得策だねぇ…あぁぁ,静岡とは既に揉めてたか.じゃぁ,神奈川県とは意思疎通をちゃんとしておいた方が良いかも.

というとで,将来の線路容量の余裕分をリセール(あるいは活用)するという事業は,関西方面では閉ざされた模様.まぁ,それだけで済めばよかったかもしれないんだが… (つづく)

 

フル規格新幹線と在来線車両に関するトリビア

新幹線の車両サイズについていえば,米国車両≒満鉄車両≒新幹線≒中国車両というのは有名どころ.東北新幹線のコピー品がそのまま中国を走れるのはこういった背景があるから.わざわざそれをここで書いても新鮮さが無いので,別ネタ提供.

果たしてこの先使うことがあるのかどうだか不明だが,新幹線の車両サイズと在来線(JR)の車両のサイズをしげしげと見つめていて気付くことがある.それは,こういう関係…

新幹線用標準軌のレールからフル規格電車の車体側面までの距離と,在来線用狭軌のレールから車体側面までの距離がほぼ同じ.

つまり,これらを三線軌として建設した場合,共通レールからホームまでの距離は新幹線と在来線とでほぼ同じなので.細かいことに目をつぶれば,三線軌のホームは両者で共通化できるかもしれない,というお話.

例えば,フル規格新幹線と在来線を同じホームに発着させて乗り換えさせたい場合,両者各1線ずつじゃなくて三線軌にしておくとか,大都市部で新線工事がしにくい場合,原則としてフル規格用の路線を造っておいて,軌道は三線軌にすれば駅のホームは両用にできる可能性があるということ.

新幹線に関する,すばらしきムダ知識.

#こうやって,ネット上に10年ほど転がしておくと,何となく実用化されることもあるかもしれないと思う今日この頃.まぁ,もっとも電気系統は共通化しにくそうなので,そう簡単でないことは重々承知.札幌駅の1番線2番線はこういう方法はどうだい? もっともあそこは1番線2番線転用の場合も,建築限界の関係で取り壊して作り直しらしいが.

北陸新幹線「小浜-京都-京田辺」に

 西田委員長は「京田辺市はJR片町線や近鉄京都線とも接続できて利便性が良い。経済波及効果も見込める」としている。

情報源: 北陸新幹線「小浜-京都-京田辺」に 与党委、最終調整 : 京都新聞

あらら,ほんとに京田辺にするのかしらねぇ.奈良は惜しいことをしたね.京都市と国内社会的ポジション入替の歴史的チャンスの瞬間だったのだが,逃した模様.

さて,京田辺に駅ができるとすると,京田辺駅と新大阪駅を真っ直ぐに結んだ場合,ウチの家の目の前を通過するんだが.

8年ほど前,冗談半分で名古屋と新大阪を真っ直ぐ直線で結んだ場合は京田辺とウチの目の前を通過するので,リニアの工事状況の観察をできると言ったが,それが北陸新幹線で実現するとはねぇ(ほんまか).

いずれ,日々,北陸新幹線の工事の進捗状況をこのサイトで報告することになるのか???

#我が家から100-200m程度の距離の模様.ただし線路だけ.

サンダバ関空リレー号

北陸新幹線の敦賀以西のルートの方向性が決まりつつあるものの,工事がすぐに完了するわけではないので当面は敦賀乗り換えで大阪まで来ることになる.

一方,ウメキタ地区ではウメキタ地下駅整備が着手されており,大阪駅と連絡通路で繋がるのかな? この駅は南紀方面への特急や関空方面への特急も通る予定.

ならば,当面の敦賀乗り換え北陸新幹線連絡特急,要するにサンダーバードだが,これを現大阪駅発着でなくウメキタ発着にして,そのまま南進させて関空まで延伸運転させてしまえばいいんじゃないかなと思う.(もしかしたら既に考えているかもしれないが…)

北陸方面に行くと地元民用の特急列車時刻表には,サンダーバードと関空特急はるかとの接続時刻表が作成されていたりするので,国際空港アクセスの需要は少なくないはず.敦賀-関空間ならサンダバ用車両でなくともはるか用車両を京都から敦賀まで延伸運転するという方法でもいいかも.

海外じゃぁ幹線鉄道がそのまま国際空港に乗り入れるのは当たり前になりつつあるし,北陸新幹線には関空延伸という構想もあるので,こういった形で「試運転」して様子を見るというのもアリかも.

 

北陸新幹線延伸問題、京都商工所は苦渋…

北陸新幹線の大阪延伸問題で、京都商工会議所の立石義雄会頭(オムロン名誉会長)は29日の定例会見で、与党が年内にも決定する延伸ルート案について、「政治的に決定した…

情報源: 「小浜舞鶴ルート案は採算性が最も悪い?」北陸新幹線延伸問題、京都商工所は苦渋…

この記事の最後の部分にこうある.

「北陸新幹線をめぐっては、京都と大阪をつなぐ南北新ルート2案も検討されているが、立石会頭は、府南部のけいはんな地区を経由する「南ルート」案に対し、「リニア中央新幹線(の新駅)との結節点でないと、あまり意味合いがなくなってくる」と述べた。」

えーと,ちょっと補足しておくと,リニアの”奈良市付近”の駅には毎時1本程度の停車,品川まで1時間半ほどかかるので,北陸新幹線の「南ルート」の駅がリニアの接続駅になっても,京都市の人が北陸新幹線の10分ほど乗ってわざわざその駅に行くことは少ないと思います.

京都駅からは東海道新幹線で名古屋まで約35分,リニアが開業しても毎時数本は東海道新幹線の列車は運転されるでしょう.名古屋で乗り換えてリニアで品川まで40分ほど,こちらも毎時数本というのが最速ルート.ということで,京都市の人はこの経路がメインルートになるはず.

じゃぁ,北陸新幹線の「南ルート」とリニアとがこの”奈良市付近”で接続されるとどこが恩恵を受けるのかというと,まぁ京都府南部の人はもちろん恩恵を受けて,奈良市および奈良県北部も恩恵を受けるのだが,北陸新幹線沿線で恩恵を受けるのは小浜〜敦賀あたり.福井市あたりになると乗り換え無しの北回りで東京まで行くのと”奈良市付近”経由が時間的には同程度になり始め,さらに東ではリニア開業後でも北回り有利.

それからまだ見込は立っていないが,山陰新幹線が京都市北方で分岐し,北陸新幹線の「南ルート」経由で大阪まで乗り入れるようになると山陰の各地から東京までの最速ルートは山陰新幹線+リニアを”奈良市付近”で乗り継ぐのが最速ルートになるはず.

例えば鳥取から東京までは,現状では姫路乗換で5時間弱かかっているが,山陰新幹線とリニアを”奈良市付近”で乗り継ぐと約3時間ほどになるはず.(新大阪乗り継ぎと時間変わらず,料金はこちらの方が安いはず)

「北陸新幹線が日本海側と太平洋側を連絡する重要路線であることも考慮し」の意味は実はこの辺にあったりするんだが,国土交通省やJR各社を含めて理解している人は少なそう.国土のグランドデザイン,とはいうものの,鉄道のグランドデザインできる人は日本(東京)にいるのかねぇ?

 

初夢鉄道2016答え合わせ(平成東京地震編)

初夢鉄道答え合わせ,今回は「平成東京地震編」である.

東京オリンピックに浮かれていた熱もさめやらぬ20xx年,悪夢の一つ目が起きてしまった.首都直下地震である.大量の帰宅難民が出たことはもちろん,地盤の軟弱な密集市街地で発生した火災が猛威をふるい,大災害になってしまった.

まだ東京オリンピック自体開かれていないので答え合わせの時期にはなっていない.だが,比較的大きな地震は2016年も数々起きており,東日本でも次々発生している.もはや首都直下で大きな地震が発生していないのが不思議なくらいな状態になりつつある.

比較的近年に建設したビルなどは持ちこたえたものの,首都東京には多数の古いビルや家屋があり,倒壊,火災等おびただしい.地震の規模は阪神淡路大震災程度あろうか.中心部の官庁街をはじめとするオフィス街そのものは助かったが,古くから更新されていなかったインフラ類——上下水道や初期の地下鉄・高架鉄道など——は倒壊したり致命的な破損が起きたりで使えなくなったものが多い.住宅を失った人も多く,仕事どころではない.住宅が残った人も通勤手段が限られていて,日々の生活が著しく非効率になってしまった.知人親類等が被災した人も多く,直接の被災を逃れた人々も仕事が手に着かない.

首都圏の建築物は少しずつ新しい耐震性に優れたものに建て変わってきている.だがインフラ類は橋脚類に鉄板が巻かれたりなどの対策が進行しているものの,全てのインフラ類が「直下地震READY」なわけではないので,はてさてどうなるものか.

あれほど首都機能の移転やバックアップについて検討してきたものの,ほとんど実行されていないので日本全体が機能不全になってしまおうとしている.オリンピックに浮かれている場合ではなかった.今さら言っても仕方がないが.怪しい国籍不明の艦船や航空機が近海をウロウロしている.

首都機能移転やバックアップについては,ほとんど全く話を聞かなくなってしまった.このままでは,「首都直下地震 ≒ 首都機能不全 ≒ 日本全体の機能不全」の構図が実際に生じてしまいそうである.東京オリンピックの施設が云々と騒いでいる間にも着々とXデーは近づいているはずである.

日本国内でちょっと大きな地震が発生するたびに近隣のあまり友好的ではない国の偵察機がウロウロしているのは,既に現実になっている.

東京駅へ達する在来線や地下鉄が機能しないので,東北上越北陸新幹線は大宮で折り返し運転である.東海道新幹線も小田原で本線を引き上げ線にしながら折り返している.リニアはかろうじて開通した直後で,インフラそのものは被害が少なかったが,電気系統や通信系統が不十分で満足に運転できない状態になっている.そもそも,アクセス交通が動いていない.

現在のところ首都直下地震は発生していないものの,発生した場合の緊急輸送体制をどうするのか,などは不明のまま.机上模擬訓練くらいはしていても良さそうなものだが,どうするのかな?

道路も首都高速の何カ所かで落橋があり—防止装置があったはずだが不良品があったようだ—ネットワークが十分機能していない.国道等の一般道は大渋滞だ.

これも特段対策が進んだという話はない.

結局,阪神淡路大震災の教訓はどれほど活かされただろうか.復旧復興作業に入り始めたその時,泣きっ面に蜂の事態が起きた.

専門家の大方の予想どおり,紀伊半島沖を…

「首都直下地震 + 南海トラフ巨大地震 + 富士山爆発」という三連コンボが発生することも不思議ではないが,それぞれの単体の対応も進んでいない状況では,三連コンボへの対応などさっぱり考えてないだろうな.

今回の答え合わせ対象はポストオリンピックを想定しているので,まだ答え合わせの時期ではないが,この1年,ほとんど対応が進まなかったことは事実であろう.

#2016年はあと1ヶ月ほどあるので,平穏に2016年が暮れを迎える保証はなく,まだ結論は早いという話もある.

初夢鉄道2016答え合わせ(地方創生編−2)

「初夢鉄道答え合わせ」の続き.今回は「初夢鉄道2016(地方創生編)」の(その2)である.

一方,リニア新幹線については相変わらず各種の申し出—名古屋以西の区間について何らかの公的資金を投入して早期全線完成するための各種の案など—については,断り続けていた.東京大阪間の鉄道の影響は非常に大きいので,このような態度を受け,企業の大阪からの流出は大きくなり,東海道新幹線の客数の名古屋を境に多段落ちが激しくなってきており,東海道新幹線の客単価が下がり始めていることが幹部の気になり始めていた.

リニアへの公費投入については割合あっさり受け入れた.通常の有利子負債と低利融資では,長期的な影響の差は大きいので(金だけ出して口は一切出さないなどと言うことは通常考えにくいが)背に腹は代えられないと言うことか?

関西の地位低下については相変わらず続いており,大手家電会社が新興国の軍門に降ったのは記憶に新しいところ.

東海道新幹線の客数については,段落ちの傾向はともかく,景気が比較的好調にもかかわらず絶対数が頭打ちの様相を見せつつあり,幹部は気が気ではないだろう.リニア開業で東名阪間の客数の絶対数が大幅に増える算段をしているようだが,全通の20年後には交通行動の傾向自体が変化している可能性は十分ある.青函トンネルは着工から開通まで20年を要したが,開通時には交通行動が変わってしまっており,石油の備蓄タンクにするかどうかが検討されたくらいだ.

北陸新幹線の敦賀以西のルートについては,一時期大幅な遠回りの提案もなされたりしたが,いわゆる小浜ルートの変形である京都経由案が現実視され,実際にそのようなルートで実現した.東海道新幹線へ京都から乗り入れる件についても例のごとく運営会社から突っぱねられたため,京阪間は淀川の南側を経由して大阪に達するルートとなり,山陽新幹線との直通運転が実現した.あれほど北陸新幹線とのシステム統合の費用ガーと叫んでいた割には,あっさりと東海道山陽新幹線と北陸新幹線系統のシステム統合が行われた.これにより,東海道新幹線経由の客はさらに減少することになってしまい,悩ましさを増した.あまり急がない客や北関東の客は,大地震をおそれてなるべく北回りで移動しようとする人が増えている.山陽新幹線沿線と直通することで北陸新幹線沿線への移転を考える企業も増えている.

北陸新幹線の敦賀以西については小浜-京都経由案になりそうな気配である.京阪間についても淀川の南側,さらに踏み込んで京阪奈丘陵学研都市付近経由が検討され始めている.だいたい当たりかな.

山陽新幹線との直通については,まだ見通しは立っていないが,確かJR西の幹部がどうやるのか研究の余地あり的な発言はしていたかと思う.運行システムがぁー,などという話もあるとは思うが,米原とは異なり,新大阪駅を走りながら通過して直通運転することはないので,停車中にスイッチをパチンと切り替えるだけである.在来線と新幹線を直通している例も日本には2例あるし,在来線と線路を共有している例まであるので,まぁ,針小棒大に騒ぐほどのことはないわな.

JR東海がつれない発言を繰り返しているので,リニア開業後の東海道新幹線名古屋以西は名古屋-福井・金沢間,京都-名古屋間,京都-静岡県間,およびリニアのチケットが満席で取れなかった客を運ぶローカル新幹線化がほぼ確定した.たぶん2050年頃に後悔するかも.

リニアの工事は事前から言われていたように,南アルプスで難工事になったが,何とか当初予定通りの完成にはこぎ着けた.2027年秋には名古屋まで開業したが,東京側のターミナルが品川,西側が名古屋のため,北関東から関西に至るには東京駅と品川駅と名古屋駅で計3回もの乗換が必要になり,少なからぬ客が乗り換え無しの北陸新幹線に流れている.東海道新幹線での収益で名古屋開業時の借入金を返済し,大阪延伸工事をするつもりだったが,厳しい状況になりつつある.大阪の企業が中京圏に移転する例があるのが多少の救いであった.

リニアの南アルプストンネルは着工したばかりなので,何ともという状況だ.リニアの他路線との接続の悪さは,いずれ問題になるだろうが,現時点では顕在化していない.

東阪間の客が北陸新幹線に流れることは現時点ではないが,団体客を試行的に東北新幹線と北陸新幹線を直通運転させた列車で運ぶことが行われはじめており,直接の東阪間ではない東阪間利用客が将来的に北回りになる可能性は出始めた.

まだリニアも北陸新幹線も全通していないので何とも言いがたい部分はあるが,前にも述べたように景気の割には客数の伸びが少くなっており,悩ましいだろう.

「新」整備新幹線の検討がなされた際,その他にも多数の新幹線建設の要望があったが,現実的な期間内に建設可能な路線だけが選ばれたために幹線鉄道改良をどうするのかが課題になっている.フリーゲージトレインを当て込んでいたが,なかなか使い勝手の良い設計にすることができなかったため,FGT特急が走っている区間はかなり限定的であり,結局在来線改良もしなければFGT特急を走らせることも出来ないという話になった.このような背景もあり,全幹法の暫定整備手法の規程を台車の重いFGTをも考慮した枠組みに改正されることとなり,暫定整備手法の適用条件もかなり緩和されることになった.

基本計画線から整備新幹線への格上げはまだ行われていない.かといって在来線の改良についても何の方針もない.国の鉄道施策部門の能力の限界であろうか.

フリーゲージトレインについては相変わらず見通しが立っていない.暫定整備計画の中味も相変わらずである.長崎以外にFGTを使うという話も聞かなくなった.