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茨城県のBRT(ひたちBRT編)

日立にもBRTがあるようなので,立ち寄ってみた.日立駅ではなく,大甕(おおみか)駅発着.ここも日立電鉄線の廃止線路跡をバス専用道として活用している.廃止路線の代替バスというわけではないようである.
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大甕駅から少し南下した地点から線路跡地転用の専用道路に入る.ここは一般道からの出入り口で,やはりバス側に遮断機がある.

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地図データ ©2015 Google, ZENRIN

100 m


このバスのおもしろい点は,整理券がICカード化されていることである.現金精算時の取りっぱぐれ防止策としては,世界一かもしれない(が,それでいいのか?).運営事業者が日立製作所グループだから,機器類のショーケースと理解すればいいのだろうか.
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専用道路はさほど延長は長くないが,全線にわたって歩道が整備されているのでこの専用道にぶち当たりさえすれば,停留所にたどり着くのは容易である.地元住民のお散歩コースにもなっているようである.

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停留所部分で行き違いが出来るようになっているほか,要所要所でも交換できるように道路が部分的に太くなっている.停留所は屋根付きだが,かなりシンプル.

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歩行者用の「踏切」もある.
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一般道との交差点については,バス道路側に遮断機があるのは「かしてつBRT」と同じ.信号機付きの場所もあれば,単に一旦停止の場所もある.
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元日立電鉄の久慈浜駅で専用道は終了.ここから先は一般道を走る普通のバスである.
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茨城県のBRT(かしてつBRT編)

2007年に廃止になった鹿島鉄道の代替バスは「かしてつバス」と呼ばれる.運行はかしてつではなく,関鉄グリーンバス.その路線の一部が鹿島鉄道線の路盤を転用したバス専用道になっており,「かしてつBRT」と呼ばれているらしいので行ってみた.


常磐線の石岡駅から出て,このあたりから専用道路に入る.

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石岡南台駅.かつてのプラットホームを転用しているように見えるが,そうではなくて,左側はバス停標識が停留所本体.右側は屋根付き.
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元の鹿島鉄道線時には使われていたであろう跨線橋とその下の駅舎(?)は,今は使われていない.ハードウェアは作る金があっても運営に手厚い保護をすることができないのが日本のシステム.
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所々に道が太くなった行き違い箇所が有り,上下便が交換する.
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一般道との交差部分は「踏切」が付いているが,専用道の優先通行を確保するというものではなく,一般道から誤って専用道に車両が進入しないようにするだけである.バスが近づくと遮断機が上がるが,バスそのものは原則一旦停止のようである.もっとも,交差する一般道の交通量が少ないので,このような交差点が遅延の原因にはならなさそう.
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道路としては貧弱だが,便数も少ないので,さほど交換待ちも問題にはなってなさそう.並行する国道(下の2枚目)が,時間帯によっては渋滞するようで,それなりに効果はある模様.なお,運賃は普通のバスなみ.運行本数は残念ながら少ない.
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ここで終点.
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専用通路が確保され,定時性確保の努力がされているのは評価できるが,本数が少なくて1本逃すと待ち時間が長い.値段も安くは無く,海外のLRTのゴムタイヤ版だと思い込んではいけない別物である.廃止鉄道線の代替バスとするとまぁOKか.高頻度運転も,低廉な運賃も,中心市街地活性化も,P&Rも,信用乗車etc…もなく,これをBus「Rapid」Transitと呼ぶのは個人的には若干抵抗有り.

日本に本物のBRTは出来るか?(基幹バスシステム)

名古屋に行くと,バスレーンが道路中央に配置されている箇所がある.まるで,ゴムタイヤ式の路面電車のようなシステムである.路面電車が路側の歩道から直接乗降できないかどうか模索するのとは逆の発想だ.基幹バスシステムという名前が付いているが,路上駐車による影響を避けるという点では左の路側車線走行よりは優れていると思われるが,バリアフリーではやや劣る.
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地下鉄や高架鉄道の整備をする余裕のないアジアの都市では,名古屋のバスシステムを参考にすることが多いらしく,自動車社会ではあるものの,名古屋のバス(地下鉄も)結構がんばっている.願わくば,LRTシステムを特徴づけている各種の施策も取り込むと,もっと完璧になるのであるが,日本の中では最も本当のBRTに近いシステムの一つである.(が,やはりバスかも.)

日本に本物のBRTは出来るか?(ガイドウェイバス)

名古屋のバスは昔から結構がんばっている(お土地柄,戦果は厳しいが).
大曽根駅から北東に延びるゆとりーとラインはガイドウェイバスで高架上を走るバスである.一応案内軌条の軌道扱い(要するに電車の仲間)であるが,バス専用道を走るバスであることに間違いない.
高架なので,乗り降りが少々面倒であるが,走ってしまえば信号待ちはないので,スムーズではある.
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しかし,見てのとおり,高架構造物を作らなければならないので建設費が高く,「ペイするか」という視点が導入された途端に急速に意気消沈してしまうようなシステムであり,ここ以外には話は続かない.軌道法適用条項を外せば部分的な導入は効果があると思うが,残念ながらお役人様の頭はさほど柔軟ではない.ガイドウェイバス自体はBus Rapid Transitの要素をかなり満たしており,あとは使い勝手の面を拡充すれば十分にBus Rapid Transitである.日本の自称BRTは「安かろう」が前面に出すぎて,何を満たせば便利に使ってもらえるのかの検討が不十分だと思うのは気のせいか?BRTの基準て何だったっけ?

日本に本物のBRTは出来るか?(台北編)

写真は台北の中心市街地におけるバス専用レーンの状況である.
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一般車線はかなりの交通量であるが,バスレーンには一般車両の混入も無く,スイスイ.これなら鉄の線路が無くても十分なのかもしれない.こういう施策は,灯台もと暗し,名古屋がお手本だったりするケースも多い.
確かにこれなら「Bus Rapid Transit」を名乗ってもいいだろう.日本のBRTの定義って何だったっけ?

日本に本物のBRTは出来るか?(完璧なバリアフリー)

フランスのナントのBRTに使われている連節バスの出入り口である.
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客のいるところは路面では無くプラットホームである.全ての出入り口ではなく一部だけだが,ドアが開くと同時にスロープが自動で出てくる.ここまですればLRTとバリアフリーの程度はほとんど変わらない.もちろん,信用乗車方式なので車内を大旅行する必要もなく,乗ったドアからそのまま降りられる.
ちなみに,路面電車の近代化版LRTの場合は下の写真のようだが,使い勝手は大きくは変わらない.
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日本の「バリアフリー対応バス」はノンステップバスといえども必ず最初に段があり,手動で板を出してもらって渡してもらわない限り,一人では乗車することはできない.だが,写真のようなシステムなら人手を煩わせる必要がなく,気兼ねなく(心理バリアなく)乗降できる.
これなら鉄輪かゴムタイヤかを気にする必要はない.ところで,日本の「BRT」の定義って何だったっけ?

日本に本物のBRTは出来るか?(優先信号)

フランスのナント市のLRT4号線ことBRTシステム「Busway」である.郊外方向に行くと,一般道の中央に専用レーンが設置されているところがある.ただし,見てのとおり,明らかに専用であることがわかるようなインフラである.視覚効果を狙ったものというよりは重量級のバスが通過することに対応して舗装が強化されているのではないかと思われる.分離帯が無いが,一般車の走る車線よりは若干路面そのものが高くなっているようである.
さて,写真は交差点部であり,鉄輪式のLRTと同じく赤青黄色の信号機とは別に縦棒横棒式の専用信号機が設置されているが,おもしろいのは交差する側の道路に対して「踏切警報器」があることだ.2枚の写真の違いがわかるだろうか? 縦に2灯並んだ赤色灯が交互に点滅している.ナントのBRTには踏切がある.つまり,BRT側が完全な優先権を持っているということであろう.それに比べて日本のPTPSは何と控えめなことか…
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確かに,これほど確実な優先信号なら平均速度は高いだろう.これならBus Rapid Transitである.そういえば,日本の「BRT」ってどういう定義だったっけ?

日本に本物のBRTは出来るか?(ナントの専用道)

フランスのナント市にはLRTが走っているが,LRTの4号線に乗ろうとすると,こういう乗り物がやってくる.IMG_3771
見てのとおり,バスである.いわゆる連節バスであるが,乗り場は「プラットホーム」があり,発車時刻の案内電光掲示,券売機,屋根付き待合室等々,乗り物がゴムタイヤ式であること以外,鉄輪式のLRTとサービス水準的にはほとんど変わりがない.走行路も完全に専用通路が確保され,バス専用道路か,もしくは一般車の車線とは分離帯で隔離されたバス専用レーンである.
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途中の停留所も,LRTの電停と何ら変わりがなく,線路さえ敷けば,そのままLRTとして運行できるほどインフラの整備水準が高い.
 
IMG_3929確かにこれならBus Rapid Transitである.ところで,日本の「BRT」の定義って何だったっけ?

日本に本物のBRTは出来るか?(ゴムタイヤトラム編)

「BRT」というと,かつてはこういう乗り物を指していたと思うのだが,気のせいだろうか.通称「ゴムタイヤトラム」.車輪がゴムタイヤ式であること以外,ほとんど全く低床式路面電車を使ったシステムと寸分変わらないというシステム.写真はトランジットモール区間である.
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写真はフランスのナンシーだが,こういう乗り物が独仏にはいくつか存在する.ところが,いつの間にかBRTという言葉が独り歩きして,気がつくと「それ,20−30年前の『都市新バスシステム』だよね」という代物がBRTだと言われている.違和感あるなぁ.せめてBRTの規準を設けないと,何でもかんでもBRTになってしまう.
ちなみに,欧州では連節バスは単なる「バス」であり,ラピッドかどうかとは全く関係がない.BRTの定義って何だっけ?

日本に本物のBRTは出来るか?(バス専用高速道路車線)

しつこいようだが,カナダの首都はオタワで,トロントやモントリオールは首都では無い.
さて,オタワのTransitwayというバス専用道路システムであるが,ごく一部区間ではあるが,高速道路上にバス専用レーンがある.写真は筆者が運転しながら必死のパッチで撮った写真である.
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今はGooglemapですぐ確認可能である.この場所,”航空写真なら”両側1車線ずつがバス専用になっているのがわかる
航空写真なら連節バスの姿も見えるぞ.ここまでするのなら,確かに「Bus Rapid Transit」だ.日本のBRTの定義って何だったっけ?