建設・工事」タグアーカイブ

スラブ軌道のカントの調整

300km/hで通過する新幹線.曲線にはカントというレールの内外高さの差を付けてある.

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山陽新幹線以降の新幹線ではスラブ軌道というコンクリート板に金具を介してレールを取り付ける方法が採用されており,砂利でできた銅賞を調整する必要が無いのでメンテナンスの手間が少ない.

逆に,カントのようなレール位置の微調整が面倒なのだが,どうやっているかというとレールとコンクリート板の間に挟む金具で調整しているようである.

下の写真には線路が2本写っているが,奥の線路はホームに面したせいぜい70km/h運転できれば良い線路,手前が300km/h運転対応の線路である.両者とも曲線上なのだが,明らかに両者違っている.

IMG_1020まず,そもそものコンクリート板自体が手前の線路のものは少し傾いているのだが,さらに手前の300km/h対応の線路のレールには金具が挟まれており,かなり浮いている.

下の写真だと,その浮いているレールの浮き具合が左右のレールで異なっているのがわかる.この差がカントである.

IMG_1019こうやって,元々210km/h運転対応だった軌道を300km/h運転に対応させているようである.

山形新幹線・米沢―福島間で抜本的な防災対策

こういう話がある.

通称山形新幹線こと奥羽本線と東北新幹線の直通特急(要するに「つばさ」)に乗ると,福島を出てしばらくすると割と急な上り坂が延々と続くとともに右へ左へとカーブも続く.

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板谷峠であり,かつては専用の機関車があったくらい有名な日本指折りの難所である.ある程度改良されたとはいえ「つばさ」は基本的には昔と同じ線路を走る.山形”新幹線”は線路の幅(軌間)を新幹線に合わせただけで,基本システムは在来線のままである.なので遅い.

峠区間を過ぎても,別の種類の”難所”は続く.単線区間である.新幹線とは名ばかりで,線路が1本しかないので向かいから来る列車と時間調整をすることもある.

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記事中の山形県知事の提案は,峠区間の再整備をするなら,いっそフル規格新幹線に準拠したインフラにしようという提案である.これはアリだ.

山形”新幹線”は,日本の厳密な基準では新幹線ではない.だが,欧州に行くと走っているTGVやICEを基準にすると,山形新幹線(および秋田新幹線)は立派な高速列車だ.

じゃぁ,TGVやICEがどうやって発展してきたかというと,実は部分的にまるで国道のバイパスのように高速新線をつくり,そうじゃない部分は古い線路をそのまま使って全体のシステムを構築してきた.日本的基準から言うと,TGVやICEは「ミニ新幹線」である.

ドイツやフランスに2-3年おきに出かけると,同じ都市間の移動でも訪れるたびにTGVやICEの走行経路が微妙に変わり,所要時間が少しづつ短縮している.

どういうことかというと,部分部分,少しづつ高速新線を新たに建設して年々年々少しづつ本物の高速鉄道に近づけているのである.つまり,この方式を「輸入」すれば山形新幹線や秋田新幹線は少しづつ本物の新幹線に近づけるという方法が採用できる.新幹線建設を待ちわびる他の地域とはひと味違った整備手法を導入できるのである.

整備費用の負担方法など,詰めるべき事項はあるものの,良いアイデアである.

#約20年前,とりあえず跡追いで同じシステム入れておけば何かと楽だったかも > 西日本方面各位

都市創造工学専攻WEBサイトの写真

事務方からwebサイトをリニューアルするので写真を何枚か送れと連絡あり.テキトーに何枚か見つくろって送ったのはこんな感じ.採用されるかどうかは事務方の気分次第か?


まずは,鉄道の高架工事の現場.これはJR奈良駅の天王寺方であり,左に伸びるのが桜井線,右方向が関西本線である.

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次は,どアップ過ぎて何かわからない鉄筋鉄筋また鉄筋.実は沈埋トンネルを陸上でつくっている段階のもので,このあとコンクリートが打たれて,現場に運ばれて,海の底に沈められる.

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これは近所の高速道路.開通前に沿線住民にお披露目された際のもの.

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東海道新幹線の橋梁で,浜名湖を渡るものを水面スレスレからのアングルで撮ったもの.

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こっちは国土のバイパスの橋梁で,例の今切れ口に架かる浜名大橋.

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秋田行きと青森行きがKiss.

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工事中だったころの九州新幹線.場所はJR西日本の車両基地の横

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実は道路鉄道併用橋の大鳴門橋.

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こっちは日本における元祖長大吊り橋である関門橋.

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そして,天満橋から見た大阪ビジネスパークの風景.船がやってくるのは1時間に一度で,さらに京阪特急がすれ違うのを寒空の中待ち続けたのは十数年前.

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このほかにも,防潮堤とかお城の石垣とかも送ったが,以下略.

最近の高架橋(の角っこ)

皆さん,お気づきだろうか.最近の高架橋のコンクリートの柱…の角っこ.そう,今日は角っこのお話である.

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丸い.

景観に配慮して,最近の高架構造物は角を丸めるようにしてあるそうな.ただし,工事する側は,これが大変だそうで,それまでは板で型枠つくれば終わりだったものが,この角っこのために丸い型枠をつくらないといけないそうで,面倒&コストアップだそうな.

#しかも型枠の再利用がしにくいらしい.

京都・四条通は「道路工事で渋滞」か?…社会実験時を振り返る

なぜか普段の10倍もアクセスがあり,どうやらこの話が気になっている人が多そうなので,続きである.
京都・四条通、道路工事で渋滞慢性化 観光客「歩いた方が早い」 : 京都新聞.
京都・四条通は「道路工事で渋滞」じゃないよ

現在進行形の四条通の歩道拡幅事業は7年半前の「トランジットモール社会実験」が原点である.原点ではあるが,7年半前の「トランジットモール社会実験」は本物の「トランジットモール」とは似て非なるものなので,あれがトランジットモールだと信じてはいけない.別物である.

まずは,7年半前(2007/10/14)の最初の写真.烏丸通り側から河原町通り方向に歩いて行く.すでにこの写真の段階で,重大なヒントがある.説明は後ほど.

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当時の交通規制内容がこれ.ここにもヒントが.

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当時も左折レーンが準備されていたことがわかる写真.ただし,ここは四条烏丸交差点の東側部分で,細街路への左折レーンではない.

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バス停部分.当時はバス停部分は「バスベイ」になっており,楽にバスが追い越せた.

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さて,何が現在と違うか,おわかりいただけただろうか.

  1. 現在は自家用車も進入できるが,当時は自家用車が進入禁止になっていた.
  2. (細街路が車両通行止めで)四条通は直進のみであった.
  3. 直進のみなので,左折レーンはなかった.
  4. 現在はバス停部分が半島状に突き出ているが,当時は「ベイ」になっており引っ込んでいた.

ということである.遠い北欧の都市街路も参考になるが,まずは原点がどうであったか再確認する価値はありそうである.

なお,当時はバスが「トランジットモール」には似つかわしくない高速度で四条通をびゅんびゅん突っ走っていた.

# 何度も言うが,本物の「トランジットモール」とは似て非なるものであり,別物である.

線路切替えなので振替えられてみた(ナゴヤンの思考回路編)

3/28の線路切替えの夜,家に着くと我が家のナゴヤンから電話あった.「今,京橋」らしい.

振替え輸送で何度も乗り換えて片町線で帰路につくのが面倒なので,京阪電車で帰るから,京阪の駅までクルマで迎えに来いという.

さすがナゴヤンの思考回路である.京阪電車なら交野線で河内森-河内磐船経由でJRに乗り換えれば良いと勧めてみたが,「疲れた」らしい.

………が,まぁ,JRの混雑具合(結構ガラガラ)から考えて,電車での外出を取りやめたか,ナゴヤンのような思考回路に基づいて行動したか,そういう人は多かっただろう.

京都・四条通は「道路工事で渋滞」じゃないよ

こういう記事がある.
京都・四条通、道路工事で渋滞慢性化 観光客「歩いた方が早い」 : 京都新聞.

確かに渋滞している(先月末に現地で確認済み↓).

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新聞記事は「工事のせいだ」と言っているようだが,誰もが気になる「渋滞の先頭」に行ってみると,先頭は四条通と直交する南北方向の細街路への左折が原因であった.

つまり,横断歩行者が途切れるのを待って左折するので,原則1車線しかない「新」四条通では,その左折待ちの車が唯一の車線を塞いでしまっているようだ.

いちおう,所々にはこういった左折への配慮がされているが,左折車が多くて左折レーンからはみ出している…

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…正直言って,この配慮こそが余計だと思う.四条通は右左折禁止で直進のみ,直交する街路は四条通の交差点では左折のみ可で四条通は横断禁止.(できれば河原町通も同様に自動車による横断も禁止)などとすると中心繁華街での自動車はかなり少なくなる.

何をアホなことを言っているのかと言われそうだが,実際にそうしている街路は存在していて,中心街への余計な自動車進入を事実上阻止しながらも,荷物の搬出入等の用事のある自動車はほぼ問題なくアクセス可能な街路構造が出来上がる.

下の写真はスウェーデンのエーテボリという都市の街路であるが,細街路からメインストリートへ出る交差点では右折しかできない(日本の左折相当).ほぼ全ての中心街の交差点がこうなっており,道路としてはまっすぐ続いているのに,車はまっすぐ進ませない.

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別の交差点.

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どうしてもメインストリートの向こう側に行きたければ,いったんこういった自動車流の処理を主眼にした外周道路に出てから向こうの街区にアクセスし直すことになる.

IMG_0966話を元に戻すと,京都の四条通の渋滞は,「道路工事で渋滞」ではなくて,「車線を減らしたのが悪い」のでもなくて,バスを除く自動車を中心市街に近づけさせないための自動車サーキュレーションの基本設計のまずさに起因しているのでは無いかと思う.

#1 「工事で渋滞」よりも根が深いかも.
#2 とりあえず,20-30年前の川端通りの工事中の時のように,自家用車進入禁止にする方法もある.

線路切替えなので振替えられてみた(新線は仮線編)

3/28に区間運休させて線路切り替えを行った放出-京橋間に乗ってみた.

今日は平日昼間なので,カメラオジサンはいなくて,正真正銘のカメラ小僧であるが,こちらも物見遊山の見物なので,人のことをとやかく言える筋合いではない(学外の会議への移動途中です.念のため).

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先週まで走っていたのは左側の島式のホームの左側であるが,この島式のホーム,ずいぶん昔から線路が1線しかないのに島式で設計施工されていた.今回,ようやく本来の使い方がされるようになるわけだが,実に気の長い話である.

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片町線用のもう一線については,ただいま準備中といったところだが,鴫野駅を住道方に出るとすぐに上り勾配になるような設計になっており,この先でおおさか東線用の線路をまたぐようだ.

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京橋方向に出ると,例の分岐器を通過するが,この分岐器で分かれた線路はいずれ使わなくなると思うので,下の写真の左への線路は新線だが仮線なのかも.

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この先,新しい鉄橋を渡るが,複線用の鉄橋なのに右側を走っている.つまり,この新線もまた仮線のようである.

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鉄橋を過ぎて,勾配を下りながらカーブを通過するが,ここは軌きょうの上に土のうが積まれていた箇所のはず.どういう工事したんだろ.

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ここから先は,既設線路に接続.新線だが仮線ぽい箇所があるので,(運休までして実施するかどうかはともかく)この先も何度か線路を切り替えるんだろう.こりゃぁ大変だな.

線路切替えなので振替えられてみた(鴫野駅編)

JR学研都市線の放出-京橋間で大規模な線路切り替え工事があるので,3/28(土)の夕方以降,終電まで区間運休である.ということで,切り替えられる前に旧線を乗ってみて,運休になったらわざわざ振り替え輸送されてみることにした.(暇人か,と言われれば,そうかもしれない)

今回の切り替え工事は,鴫野駅の南側ホームのこの線路を,新しく出来たホーム側の線路に移設する工事のようである.同じようなことを考える人は多いので,鴫野駅のホームはカメラ小僧(というか,カメラオジサン)だらけである.鴫野駅のホーム上でこの工事現場担当の知り合いの方とすれ違ったような気がするが…気のせい?

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工事が大がかりな原因の一つは,この分岐器関係かな? 最終的には貨物列車はおおさか東線だけを走ることになると思うので,片町線上のこの分岐器は不要になると思うが,東線が完成していないので,貨物専用の分岐器も仮に設置しなければならない,ということかな.

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ここ(↑)で分かれて,現在線のこの分岐器(↓)を取っ払って,現在の渡り線につなぐのかな.大変そう.

IMG_1020そして,新線は新しく架けられた橋を渡って,現在線に合流.この部分も一夜にして切り替え.

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よく見ると,黒い土のうのようなものの下に,組み立てた軌道(軌きょう)が既に置かれているように見えるが,これはどういうことだ?????

【祝】北陸新幹線延伸…福井先行開業は?

開業おめでとう・・・っって,まだ2-3日早いか.大阪にとってはうれしさも半分なり金沢開業といったところであり,金沢以東が近畿圏とのつながりを離れ,首都圏に取り込まれる記念日でもある.

さて,その先,金沢から西,敦賀までは7年後ということになっているが,その途中の福井市まで先行開業できないかなという話が出ている.福井を終点にするには用地買収して車庫作って等という話もあるが,東北新幹線の八戸の話を参考までにご紹介.

今は東北新幹線は青森まで走り,もうすぐ北海道へと行こうとしているが,長らくの間は八戸で止まっていた.線路は八戸駅で止まっていたかというとそうではなくて,北方にしばらく続き,現在は本線となっている線路上には,実は車庫があった.

その写真がこれ.車庫には入り口が2つあって,大きな左側の方が現在の本線になっている部分である.

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延伸工事が始まると,この車庫は取り除かれて・・・

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車庫は小さい方だけ残してスリムになり,今は本線になって新幹線の営業列車が走っている.
DSCN6439ということで,まぁ,敦賀開業までの数年間のためにこういった設備を作るつもりがあるのならできないこともない,ということである.なお,福井駅から白山車両基地のある松任までは70kmほどなので,新幹線なら20分くらい.松任まで回送する気があるのなら別途の設備は不要ということになる.少なくとも金沢駅にいったん入線させれば松任の車庫には入ることはできる.