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都構想の陰で進行する大阪長期衰退の始まり(第3話-他の交通網編)

以下の話の続きである.
第1話-新幹線偉大なり編
第2話-産業振興vs交流編

地域間のつながりが非常に重要だというのが前回までのお話しであるが,残念ながら大阪はこの点についてはあまり得意でない印象を受ける.つまり,自らが前へ前へと出ようとすることにはたけているのだが,大阪以外の地域とうまくやって行くのはあまり得意ではない地域性のように思われる.北陸方面で何度も何度も大阪に対する恨み節を聞かされた.(…と指摘したからと言って,逆ギレしないでね)…そういえば,四国でも聞いたっけ.

さて,地域間交流のハードウェア的装置と言えば,まず最初に浮かぶのが新幹線よりも高速道路網であろう.産業政策と高速道路整備は切っても切れない関係にあり,自動車を円滑に通すための道路は,バイパス整備なども含めて他のインフラに先んじて整備されてきた.

ならば,高速道路整備状況は地域の発展に直結しているはずである.そうして作ってみたのが次の図.だが…

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高速道路整備が直結しているのなら,もう20年以上前につながっている北陸自動車道沿いの富山や金沢の地位はもう少し向上していそうなものであるが,そうでもない.和歌山への高速道路も,関空整備の時点ではつながっていたが,今や和歌山市の商店街は全国的にも寂れた商店街の典型のようにテレビで取り上げられる始末である.徳島はどうした,鹿児島は? 貨物トラックが円滑に走れるようになったからといって,新幹線のような明瞭な関係があるわけではなさそうである.

じゃぁ,次は飛行機だ.プロペラ機じゃ遅いので,ジェット機の発着だ.空港のジェット化は長らく地方空港の主要課題であった.新幹線が無くても飛行機でひとっ飛びすれば,問題ないはずであった.だが…

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全国あちこちに飛行場が整備され,大都市と結ばれたはずだったが,やはり新幹線ほどのインパクトはないように見える.

いやいや,重厚長大産業こそ基幹産業だ.そのためには大規模な港湾が必要だ.港湾整備は産業振興に重要なので,公費を投入だ.だが…

重要港湾程度では,あまり関係はなさそうである.特定重要港湾の状況は高速道路や空港よりは関係がありそうだが,やはり新幹線のインパクトには欠ける.

じゃぁ,あらためて新幹線について見てみると…

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やはりこれかな. だが…まだ第3話.まだまだ話は続く.

 つづく

都構想の陰で進行する大阪長期衰退の始まり(第2話-産業振興VS交流編)

第1話-新幹線偉大なり編の続きである.

「地域の発展」というと,昔は富国強兵,殖産興業だが,比較的最近なら全国的な発展度合いを均衡化しようとしていた,つまり国土の均衡ある発展を目指していた一連の全国総合開発計画が思い浮かぶ.

全総関係のプロジェクトはいろいろあるが,大きく分けて交通系の大規模なプロジェクトと,地域開発系の大規模なプロジェクトとがある.地域開発系のもので有名なのは社会科の教科書にも出てくる「新産業都市」である.

新たに工業都市を設置して,それを核に地域開発しようというのが新産業都市であり,主として地方部に配置された.よく似た「工業整備特別地域」の方は,新産業都市が新規設置であったのに対して,こちらは既にある程度開発が進んでいた地区を指定して工業促進を図ったものである.

その全国的な分布の概略が下の図であり,緑色の星印が新産業都市で基本的には地方部に位置する.黄色の星印が工業整備特別地域であり,太平洋ベルト地帯に多い.

semi-041a均衡ある発展を目指したプロジェクトだったはずなので,成功すれば地方部にも人口が張り付いて,例えば人口ベスト15から落選した都市にいくつか返り咲きが生じても不思議じゃぁ無かったわけだが,そうでもなかった.

結局は緑色の星の配置よりは,新幹線の配置の方がしっくりくるという結果になる.つまり,産業を意識的に配置するよりは,新幹線の方が影響が大きかったということだろう.

つまり,大阪(および近畿一円)の発展のためには,自地域における産業を直接的に活性化するという視点だけでは長期的な繁栄はおぼつかないということである.とかく大阪の人は自らが頑張れば何とかなると思いがちなのだが,こういった地域間の連携につながる策が必要なのだが…(…逆ギレしないでね.)

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経済学が専門の人に「簡単すぎる」と叱られるのを覚悟で簡便化して説明すると次のような話になる.地域というのは,全国的に金太郎アメなワケでは無くて,場所場所によって得手不得手がある.

例えば,甲地域は商品Aを生産するのが得意で,100円という安価で生産できる(別に商品でなくてもサービスでも良いが,あまり細かい話は置いておく).でも商品Bを生産するのはあまり得意ではなくて,200円かかる.

一方,乙地域では商品Aの生産は得意ではなくて200円かかるが,商品Bの方は得意であり,100円で生産できる.

このとき,甲地域も乙地域も,それぞれ商品Aを100個,商品Bも100個必要だったとして,お互いの交流が全くなく,必要なものは自地域で全て生産したとしよう.そうすると,全体で必要な生産費用は下の図のように60,000円になる.

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さてさて,ここでお互い得意なものを交換できるようになったとしよう.得意でない方の商品は生産を止めて,甲地域は商品Aを200個,乙地域は商品Bを200個生産して,それぞれ100個ずつ交換する.交換の際に相手側に渡す際の値段を100円ではなくて150円にしたとしよう.

そうすると,お互い交換する商品については,値段と量が同じなので(輸送費等の話を脇に置いておくと)相殺できたとして,全体で必要な生産費は40,000円になる.先ほどの場合と比べると全体の生産費は下がった.必要なものはそれぞれの地域で必要な個数確保できている.

地域間交流ばんざい,なのかもしれない.いわゆる「選択と集中」の基礎だろう.自由貿易の基本概念だろう.交通整備が必要な基礎的背景はここにあるといえる.(同時に自由な取引を阻害すべきでないという基礎もここにある)

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ただし,このシステムは必ず成功するとは限らない.自由貿易論者が隠している別のシチュエーションが存在しているので要注意である.

Give & Takeの関係が成功してWin-Winの関係が構築できるのは,それぞれの地域が必ず他地域に差し出せるだけのレベルと量の「得意なもの」を持っているという暗黙の前提がある.

例えば,下のように甲地域は商品Aも商品Bも生産が得意でない場合,甲と乙を結んでしまうと全体の生産コストは下がって効率化が進むが甲では何も生産できずにただ買うばかりになってしまい,地域の経済が破綻する.それでも交流が開始された地域間では効率化が進むので,全体としては何もしていない地域群に比べると強い地域圏が形成される.新幹線はそういった地域圏を形成する効果があるといえる.

give-take.027 が…まだ第2話である.これだけで話は終わらない.

つづく

都構想の陰で進行する大阪長期衰退の始まり(第1話-新幹線偉大なり編)

ずいぶん人に知れることになってしまった下の図(あるいは,これの亜種).元々は10年以上前の市民講座用のスライドで,その後,授業用に転用.研究室のwebサイトには実は8年くらい前から掲載されている.

転載等を許した書籍や講演会等では,今日の第1話程度の内容しか書かれず,早々に「新幹線は重要」という結論に至っているが,詳しく話すと1時間ほどかかるような内容が裏にはある.大変重要な情報なので,大阪(および近畿一円)の方は,よーく説明を理解して欲しい.この手の予期せぬ指摘をすると,逆ギレする人が大阪には多いが,キレてないで早々に対処する必要がある話なので,早く頭を切り換えて欲しい.

日本国内での発展した場所というと,東京,名古屋,大阪etc…いろいろ具体的な地名が思い浮かぶと思うが,皆さんの頭の中では,それはごく当然のこととして受け止めていると思う.だが,今から140年近く前の日本の人口ベスト15は,このような都市であった.なお,人口ベスト15というと,現在の100万人クラス以上の都市数に近い.つまり,この下の図が,かつての日本の大都市とその配置なのである.

semi-031この図の都市には,今となっては少々違和感のある都市がいくつか含まれている.北海道では,札幌が大都市なのではなくて函館である.北陸の富山や金沢は全国屈指の大都市であった.近畿では和歌山が全国的大都市であり,四国にも徳島という大都市があった.九州の大都市は北九州でも福岡でもなく,熊本と鹿児島である.

さて,近年の人口ベスト15の地図を作ってみると,下のようになる.そうすると,明治の人口ベスト15からは函館,富山,金沢,和歌山,徳島,熊本,鹿児島が「落選」する.100年以上の間に,何かが起こったわけである.

ここに新幹線の路線を書き込んでみる.そうすると,何と,「落選」した都市は新幹線から外れた都市ばかりではないか.熊本と鹿児島への新幹線はごく最近出来たので事実上は新幹線が無かった都市として考えて良い,新幹線の効果絶大なり,と言っても過言ではない.唯一の例外は札幌だけではないか.

semi-032さらに,この図にベスト15から漏れている,最近政令指定都市になった箇所を書き込んでみると…新潟,静岡,浜松,岡山,熊本いずれも新幹線上である.例外は相模原だが,ここにはもうすぐリニアの駅ができる.これは,もう,新幹線の効果は間違いない.

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というのが,基本的筋書きなのだが,かなり「途中略」になっている.その「途中略」の部分を説明してみよう.なかなか講演会等でも省略せずに話せる機会はないくらい,話が長い.全9話の予定である.

大阪が府市統合(都構想)を実現させれば大阪の衰退に歯止めがかかるのではなかろうか,と考えている人が多いものの,実は上に触れた「途中略」はそれを超えるかなり大事な話の可能性が高いと思っている.もしかしたら府と市をくっつけて都を名乗ればそれで解決できるようなレベルではないような構造的な問題が現時点で既に発生してしまっており,数十年単位でこの先,大阪(および近畿一円)が苦しみ続けることになるのではないかと心配している.

が,残念ながらこの手の話よりも内向きの議論ばかりされているのが悲しいところ.

つづく

#逆ギレしないでね.いちいち逆ギレしていると,大事なことを話す人が少なくなってしまうので,結局損するのは逆ギレした人,という状況になると思う.日本国憲法第21条とか,日本国憲法第23条って大事だよね.法律家なら知ってると思うけど.

大阪府市統合+道州制=地図に残るは「大阪駅」のみ?

平成の大合併を始め,行政の統廃合の際にはその中味はともかく,新しく出来る街の名前が何になるのかは住民の重大な関心事である.時には合併等の中味の話が決着しているにもかかわらず,新名称の議論がこじれてご破算になるケースも少なくない.

さて,大阪府市統合(大阪都構想)の件であるが,市長が吠えまくっているのが原因かどうかすらわからないが,在阪マスコミは構想の中味についての独自検証は全くしないようである.そればかりか,事実関係の報道すら最小限の状況である.

結果として,”中味がわからない”というアンケート結果が,各局各紙そろいもそろって70%前後になるような状況であり,マスコミの機能不全甚だしい.(大阪市長は一部新聞のアンケートの設定が悪いといっているようだが,各局各紙のアンケート結果の違いが[賛否を含めて]ほとんどないことから,聞き方の問題ではなく,本当に市民がわかっていないと思って行動した方が良いだろう)

そういえば,2011年の大震災直後の原発関連の報道については,マスコミの隠し事が多そうと漠然と感じていたが,数年経って明確になった.玉石混交だったものの,ネットの情報には正しい情報がかなり含まれていた.今回も「大人の事情」で報道しないということかしら.マスコミ勤めの友人の話では,東京のマスコミには政治部と社会部が存在するが,大阪には政治部が無くて社会部しか存在しないので,報道能力そのものに差があるということらしいが,それで良いのか?

さて,地名の話に戻すと,府市統合時に「大阪市」の名前が地図から消えるが,これに関しては「大阪府」が残るし,新区名に続けて旧区名を続けることで,地域のアイデンティティーは保持する方針のようである.これは平成の市町村大合併においても,○○郡△△町[大字◇◇]と××市が合併した後,旧△△町の新地区名を××市△△町◇◇などと標記することで地域のアイデンティティーの問題を解決していることと,基本的には同じ方針だ.(実際には,消滅した町の住民および出身者は,寂しい思いをしているが…)

例えば昔一時期住んでいた住所だとこういうことか.

  • 大阪市淀川区西宮原→大阪府北区淀川西宮原

「都構想」だけの場合は,これで大阪のアイデンティティの問題は解決するわけだが,大阪の話とは別に全国的には道州制の話がある.いわば,平成の大合併の都道府県版である.新しくできる州の名前は決まっていないが,近畿一円が合併するとした場合には「大阪州」はかなり難しい.経ヶ岬から潮岬まで大阪というのはあまりにも無理があるので,関西州とか近畿州とかそういった名前になる可能性が高いのではないだろうか.

そうすると,京都や神戸のような政令指定都市では例えば…

  • 京都府京都市左京区北白川→関西州京都市左京区北白川 

ということで,元の都市名が残るけれども,都構想を実施してしまった大阪については,例えば…

  • 大阪市淀川区西宮原→大阪府北区淀川西宮原→関西州北区淀川西宮原

おぉおおお…大阪が消えた.

ということは,大阪府市統合+道州制の後で地図上に「大阪」が残るのは大阪駅と新大阪駅くらいなもので,地名としては消滅するわけか.あとは東大阪市の位置から想像するしかなくなるのか…?

#九州の「博多」は駅名で残る地名の一つだが,こちらは福岡市の区の一つとして存続している.
#そういえば,「与野市」って,地図上から消えたよね.
#私のような「新住民」には,「まぁしょうがないかな」で済まされる問題かもしれないが,大阪生まれの大阪育ちの人には耐え難いレベルかも.たぶん,そこまで気づいていない人多そう.

北陸新幹線のバージョンアップ

北陸新幹線は,この先,金沢から福井方面に延伸されて敦賀までは約8年後に開業する.ルートはまだ決まっていないが,最終的には大阪に達する.

一方,速度については整備新幹線の最高速度は260km/hと法律に書かれてしまっているので,一応それにあわせて律儀に260km/h運転されているが,整備新幹線の基本的な線形は山陽新幹線などと同じく,半径4000メートルの曲線で構成されている.勾配は山陽新幹線などの15‰程度よりずいぶん急な30‰が採用されているが運転速度のネックになりやすいのは曲線である.

つまり,(一部の急勾配などを除き)北陸新幹線は山陽新幹線なみの速度(つまり300km/h)まで将来的にバージョンアップできるだけの基礎的な設計がされているとも言える.

山陽新幹線については実現はしなかったが,320km/h以上での運転が構想されていた時期もあることから,北陸新幹線についても320km/h運転というのはあながち夢物語ではない.

なお,この手の話をすると「北陸新幹線用車両は急勾配対応なので…」という話が出やすいが,ドイツのICE用の最近の高速新線では40‰の勾配に対応しながら300km/h運転しているところもあるので,それ用の車両を車両メーカに発注すればいいだけではないだろうかと思う.

#関係法令の改正,保安装置のバージョンアップ,架線設備の更新……が必要かな

北陸新幹線がガラガラ…早合点するなって

開業したばかりの北陸新幹線がガラガラだという.そりゃそうだろう.新幹線が出来たからといって即日,北陸の人が東京方面に用事が発生したり,知人が出来たりするわけじゃない.数年〜数十年かけて移動構造が変化してゆく.

今回開業した区間は長野〜富山〜金沢であるが,このルートはかつては越後湯沢乗り換えのはくたか号の経路であった.

首都圏からなら越後湯沢で乗り換えて…

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笹団子とお茶買って…

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乗って,くつろぐ.

乗車したことがある人ならわかるが,はくたか号の最混雑区間は,越後湯沢から直江津までである.席が確保できなくても,直江津を超えると空席が多くなる.そういう列車が毎時1本程度走っていた.そんなわけで元々,北陸三県下ではやや座席が供給過剰であった.

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首都圏と新潟県からから北陸三県への鉄道利用は北陸三県東側で一日約8000人である.

これが12両編成の28往復計56本,概ね毎時2-3本になった.全列車に均等に分けると1本あたり142人.1両あたり平均12人ほどになるので,「ガラガラ」は最初からわかってのことであって,徐々に客を増やしてゆく作戦であろう.

まずは,ターゲットは航空.航空による首都圏からの利用は約6600人.先の8000人と合わせると合計14600人の利用である.全部鉄道に移転すると1本あたりの客は260人,1両平均20人あまり.新幹線化すると客は2-3割増えることが多いので,そうなると1本あたりの客は325人くらい,1両平均27人になる.

忘れている人が多いが,大阪まで開通すると,今度は近畿および中京,それから首都圏から米原回りで北陸三県へは約22500人の利用者がある.8年後の敦賀開業時点でほぼこの数字は確定である.さらに客が2-3割増えることを想定すると約28000人.同じ列車本数だとすると1本あたりの客は500人くらい,1両平均42人.これだと概ねそんなものかという混み具合.

つまり,東京から金沢行きだけで北陸新幹線プロジェクトが終わるなら6両編成でも充分であるが,「ガラガラ」でも12両もつないでいるのは,そう遠くない将来に西側区間が開業することを想定しており,そのための輸送力を,現時点で確保したからであろう.

そう騒ぐなって.

新幹線との対面乗り換えが注目されて10年以上経過したんだが

九州新幹線が鹿児島付近の先っぽだけ営業していた時代,新八代で新幹線と在来線特急が対面で乗り換えできていたのは有名な話.これは便利だということで,同様の取り組みをしようと結構あちこちで盛り上がっていたんじゃないかと思うが,あれから約10年.大した設備ではないはずなのだが,1つも実現しない.

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システムの違う鉄道をホームの両側に乗り入れなければならないので,取り付け線の整備程度などはいるがフル規格新幹線建設などに比べて大幅に簡便なはずだったのだが…

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いや,べつに軌間可変装置を付けなければならないということはないんですよ.車両と装置が開発できたら後付けで付ければ良いだけで,FGTが実現するまで在来線と新幹線を接続してはいけないということはないんですよ.出来そうなところはやりましょうよ.

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長野駅から南方面とか,名古屋やリニア三重県駅から三重県南部とか,新大阪から日本海側各地とか和歌山とか,岡山を起点に各方面とか,小倉から大分・宮崎とか,鹿児島中央から宮崎とか・・・

新潟駅はいつ出来るんだったっけ?

#こういった小技についても,「整備計画」認定できるようにしようよ>国交省殿

大阪府市統合+道州制=神戸市が州都?

大阪の府市統合(大阪都構想),あまり的確な報道が無いので,メリット・デメリットがイマイチよくわからないまま,なぜか当事者の一方だけで住民投票が行われることになりそう.「2200億円」が大阪市外に流出するなら大阪市民が気の毒だが,じゃぁ流出しないのなら大阪府民(除く大阪市民)のメリットが何なのか,やはりよくわからないという状況である.だれかわかりやすく解説してくれんかのう.

地方自治法の改正で,わざわざ府市統合しなくても二重行政が解消されるのでは,という話もあるようなので,府市統合と指定都市都道府県調整会議の効果の差についても,だれかわかりやすく解説してくれんかのう.

さて,府市統合がもし実現されて,その先,「道州制」が実施されたら・・・ふと気がついた.関西州最大の都市はどこになるんだろうか.

府市統合後は,大阪市は5つの基礎自治体(つまり普通の市と同レベル)になっているようなので,もはや「大阪市」は存在せず,かといって「大阪府」も関西州として近隣府県と統合されてしまっているので,そこには「大阪府」も存在しない.さすがに経ヶ岬から潮岬までを大阪と呼ぶには無理があるので,州名が「大阪州」にはならないだろう.そうすると,おぉぉぉぉぉ・・・いずれ「大阪」という名前が行政組織から消滅するのか,すごい話だな.

元大阪市の基礎自治体5区は,それぞれ50万人前後になるそうなので,そうすると関西州における区市の人口の順位はこうなるのかな.

  1. 神戸市154万人
  2. 京都市147万人
  3. 堺市84万人

人口最大の(行政組織上の)都市は「神戸市」で,もし人口最大の都市を州都にすると,関西州の州都は神戸か?

#似たような話は,東京についても起こりうる.ただし,道州制の議論では東京だけ別扱いという案もあり,その辺は大阪を含む関西とは違っている.

「2200億円」は無かったんや・・・で?

先日は「毎年2200億円あったら何ができるだろうか」という捕らぬ狸の皮算用をしてみたが,大阪市長の話を追って行くとこの2200億円は府に移管した事務経費や市債の返済分等々に使われるそうな.

つまり,市域外の府下で使える2200億円というのは,無かったと言うことなんやな.毎年2200億円,もしもあったなら,府下でかなりの投資が行われるという机上の空論をしてみたが,それはできそうには無いということか.5年で関空リニア完成レベルという,あの強力な破壊力(いや投資力)は期待してはいけないの?

そうすると,新たな疑問がわいてくる.それは………

府市統合しても府下(除く大阪市)には,さほどの期待すべき投資が成されるわけでは無いということか? 府市統合すると,一体何が良いのか?というほとんど振り出しのような原点に戻ってきてしまう.

えっーと,かつての国政でも埋蔵金の議論があったが,地下鉄売り払うとか,泉北高速売り払うとか,電力株売り払うとか,そういう一時的なのは「二重行政の解消」による構造改革的な効果ではないよね.全部売り払っても大阪市1年分の予算規模にも到達しなさそうだし.

公共施設類の二重投資を解消,という話なんだろうが,ハコモノにしろ,上下水道にしろ,事業組合作って府市で統合するだけで二重化は解消できるので,府や市の本体を統合する必然性のある部分て,どのへんなんだろう.市を小分割するので逆にコストアップでは無いかという意見もあるようだが,いかに?

Q&A読んでも,現状でどこに構造的な無駄が存在するのか,わからんのだが,具体的にどこそこにウン億円の無駄があって,府市統合でそれをどういう形態に変化させることが出来て,その結果,いくらの統合効果が出て,それを積み上げるといくらになって,というわかりやすいリストでも作ってくれんかのう.いくつかの例は別資料に書かれているようだが,積み上げると毎年3千億円以上にもなるの? 今のところ”効果はありまーす”と書いているだけに見えてるんだが.そもそも,この説明サイトは府や市の公式見解なのかな?

やっぱり700ページの資料読まんとわからんのやろうか.府民(≠市民)には,どんなメリットがあるんかな.それから府民(≠市民)の住民投票はどうなったのかしら?

こういう後ろ向きの発言してい…ry) おや,夜中なのに誰かやってきたよぅd・・・

#このサイトが比較的わかりやすそうだが,このサイトの解説見ると,少なくとも1100億円あまりは「区」ではなく「府」に渡るように見える.じゃぁ,やっぱり皮算用してもええんか?

幹線鉄道計画のPDCAはまわっているか?

授業期間が終わると学生が部屋に訪ねてくる機会もめっきり減るので,この時期になると「BGM」をかけながら仕事をすることが多い.

音楽を聴くと…唄が頭の中をぐるぐる回って仕事にならない.ラジオもおしゃべりは同じようなもので,話に気をとられて仕事にならない.歌詞のない音楽は,まぁ許容範囲か.ピアノ曲あたりが無難.

そして最近発見した仕事に最適な「BGM」はこれだ.

http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php

http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php

名付けて,「Back Ground Meeting=BGM」

内容は下手なニュース番組よりもよっぽど中味がある(当たり前か).時々新幹線ネタや国土整備ネタも出てくるぞ.変な「マスコミフィルター」がかかってないので,お勧め.難点は長いこと.会期中は毎日7時間とか.並行して委員会が開かれていることも多いので,延べ時間はものすごいぞ.衆参でダブルだ.

さて,最近この国会中継でよく聞くようになったキーワードがある.それは「PDCA」.JABEEだけでなく,ついに国会でもPDCAを聞くことになったとは,時代も進んだものである.

Plan→Do→Check→Action→Plan→…

計画立ててみて,やってみて,うまくいったかどうだか検討して,内容修正して,またやってみて,の繰り返し.

ところで,標題の幹線鉄道計画だが,1970年代に法律つくって,73年に具体的な計画立てて,…いまだに73年に閣議決定されたから云々ということが論拠になって話が続くことが多いが,冷静になって考えてみよう.

おかしいだろ.

1872年に鉄道が初めて走って,最初の鉄道政策である鉄道敷設法までが20年.
1892年に鉄道敷設法ができて,建主改従,改主建従の議論があって改正されるまでが30年.
1922年に改正鉄道敷設法できて,太平洋戦争開戦から「もはや戦後ではない」までの15年を除いて,初の新幹線政策ができるまでが33年.
1970年の全国新幹線鉄道整備法ができて,今年で45年目

おかしいだろ.

日本の幹線鉄道計画のPDCAはまわっているか?その答えは…?

#サボってる?>担当部署殿