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都構想の陰で進行する大阪長期衰退の始まり(第1話-新幹線偉大なり編)

ずいぶん人に知れることになってしまった下の図(あるいは,これの亜種).元々は10年以上前の市民講座用のスライドで,その後,授業用に転用.研究室のwebサイトには実は8年くらい前から掲載されている.

転載等を許した書籍や講演会等では,今日の第1話程度の内容しか書かれず,早々に「新幹線は重要」という結論に至っているが,詳しく話すと1時間ほどかかるような内容が裏にはある.大変重要な情報なので,大阪(および近畿一円)の方は,よーく説明を理解して欲しい.この手の予期せぬ指摘をすると,逆ギレする人が大阪には多いが,キレてないで早々に対処する必要がある話なので,早く頭を切り換えて欲しい.

日本国内での発展した場所というと,東京,名古屋,大阪etc…いろいろ具体的な地名が思い浮かぶと思うが,皆さんの頭の中では,それはごく当然のこととして受け止めていると思う.だが,今から140年近く前の日本の人口ベスト15は,このような都市であった.なお,人口ベスト15というと,現在の100万人クラス以上の都市数に近い.つまり,この下の図が,かつての日本の大都市とその配置なのである.

semi-031この図の都市には,今となっては少々違和感のある都市がいくつか含まれている.北海道では,札幌が大都市なのではなくて函館である.北陸の富山や金沢は全国屈指の大都市であった.近畿では和歌山が全国的大都市であり,四国にも徳島という大都市があった.九州の大都市は北九州でも福岡でもなく,熊本と鹿児島である.

さて,近年の人口ベスト15の地図を作ってみると,下のようになる.そうすると,明治の人口ベスト15からは函館,富山,金沢,和歌山,徳島,熊本,鹿児島が「落選」する.100年以上の間に,何かが起こったわけである.

ここに新幹線の路線を書き込んでみる.そうすると,何と,「落選」した都市は新幹線から外れた都市ばかりではないか.熊本と鹿児島への新幹線はごく最近出来たので事実上は新幹線が無かった都市として考えて良い,新幹線の効果絶大なり,と言っても過言ではない.唯一の例外は札幌だけではないか.

semi-032さらに,この図にベスト15から漏れている,最近政令指定都市になった箇所を書き込んでみると…新潟,静岡,浜松,岡山,熊本いずれも新幹線上である.例外は相模原だが,ここにはもうすぐリニアの駅ができる.これは,もう,新幹線の効果は間違いない.

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というのが,基本的筋書きなのだが,かなり「途中略」になっている.その「途中略」の部分を説明してみよう.なかなか講演会等でも省略せずに話せる機会はないくらい,話が長い.全9話の予定である.

大阪が府市統合(都構想)を実現させれば大阪の衰退に歯止めがかかるのではなかろうか,と考えている人が多いものの,実は上に触れた「途中略」はそれを超えるかなり大事な話の可能性が高いと思っている.もしかしたら府と市をくっつけて都を名乗ればそれで解決できるようなレベルではないような構造的な問題が現時点で既に発生してしまっており,数十年単位でこの先,大阪(および近畿一円)が苦しみ続けることになるのではないかと心配している.

が,残念ながらこの手の話よりも内向きの議論ばかりされているのが悲しいところ.

つづく

#逆ギレしないでね.いちいち逆ギレしていると,大事なことを話す人が少なくなってしまうので,結局損するのは逆ギレした人,という状況になると思う.日本国憲法第21条とか,日本国憲法第23条って大事だよね.法律家なら知ってると思うけど.

大阪府市統合+道州制=地図に残るは「大阪駅」のみ?

平成の大合併を始め,行政の統廃合の際にはその中味はともかく,新しく出来る街の名前が何になるのかは住民の重大な関心事である.時には合併等の中味の話が決着しているにもかかわらず,新名称の議論がこじれてご破算になるケースも少なくない.

さて,大阪府市統合(大阪都構想)の件であるが,市長が吠えまくっているのが原因かどうかすらわからないが,在阪マスコミは構想の中味についての独自検証は全くしないようである.そればかりか,事実関係の報道すら最小限の状況である.

結果として,”中味がわからない”というアンケート結果が,各局各紙そろいもそろって70%前後になるような状況であり,マスコミの機能不全甚だしい.(大阪市長は一部新聞のアンケートの設定が悪いといっているようだが,各局各紙のアンケート結果の違いが[賛否を含めて]ほとんどないことから,聞き方の問題ではなく,本当に市民がわかっていないと思って行動した方が良いだろう)

そういえば,2011年の大震災直後の原発関連の報道については,マスコミの隠し事が多そうと漠然と感じていたが,数年経って明確になった.玉石混交だったものの,ネットの情報には正しい情報がかなり含まれていた.今回も「大人の事情」で報道しないということかしら.マスコミ勤めの友人の話では,東京のマスコミには政治部と社会部が存在するが,大阪には政治部が無くて社会部しか存在しないので,報道能力そのものに差があるということらしいが,それで良いのか?

さて,地名の話に戻すと,府市統合時に「大阪市」の名前が地図から消えるが,これに関しては「大阪府」が残るし,新区名に続けて旧区名を続けることで,地域のアイデンティティーは保持する方針のようである.これは平成の市町村大合併においても,○○郡△△町[大字◇◇]と××市が合併した後,旧△△町の新地区名を××市△△町◇◇などと標記することで地域のアイデンティティーの問題を解決していることと,基本的には同じ方針だ.(実際には,消滅した町の住民および出身者は,寂しい思いをしているが…)

例えば昔一時期住んでいた住所だとこういうことか.

  • 大阪市淀川区西宮原→大阪府北区淀川西宮原

「都構想」だけの場合は,これで大阪のアイデンティティの問題は解決するわけだが,大阪の話とは別に全国的には道州制の話がある.いわば,平成の大合併の都道府県版である.新しくできる州の名前は決まっていないが,近畿一円が合併するとした場合には「大阪州」はかなり難しい.経ヶ岬から潮岬まで大阪というのはあまりにも無理があるので,関西州とか近畿州とかそういった名前になる可能性が高いのではないだろうか.

そうすると,京都や神戸のような政令指定都市では例えば…

  • 京都府京都市左京区北白川→関西州京都市左京区北白川 

ということで,元の都市名が残るけれども,都構想を実施してしまった大阪については,例えば…

  • 大阪市淀川区西宮原→大阪府北区淀川西宮原→関西州北区淀川西宮原

おぉおおお…大阪が消えた.

ということは,大阪府市統合+道州制の後で地図上に「大阪」が残るのは大阪駅と新大阪駅くらいなもので,地名としては消滅するわけか.あとは東大阪市の位置から想像するしかなくなるのか…?

#九州の「博多」は駅名で残る地名の一つだが,こちらは福岡市の区の一つとして存続している.
#そういえば,「与野市」って,地図上から消えたよね.
#私のような「新住民」には,「まぁしょうがないかな」で済まされる問題かもしれないが,大阪生まれの大阪育ちの人には耐え難いレベルかも.たぶん,そこまで気づいていない人多そう.

北陸新幹線のバージョンアップ

北陸新幹線は,この先,金沢から福井方面に延伸されて敦賀までは約8年後に開業する.ルートはまだ決まっていないが,最終的には大阪に達する.

一方,速度については整備新幹線の最高速度は260km/hと法律に書かれてしまっているので,一応それにあわせて律儀に260km/h運転されているが,整備新幹線の基本的な線形は山陽新幹線などと同じく,半径4000メートルの曲線で構成されている.勾配は山陽新幹線などの15‰程度よりずいぶん急な30‰が採用されているが運転速度のネックになりやすいのは曲線である.

つまり,(一部の急勾配などを除き)北陸新幹線は山陽新幹線なみの速度(つまり300km/h)まで将来的にバージョンアップできるだけの基礎的な設計がされているとも言える.

山陽新幹線については実現はしなかったが,320km/h以上での運転が構想されていた時期もあることから,北陸新幹線についても320km/h運転というのはあながち夢物語ではない.

なお,この手の話をすると「北陸新幹線用車両は急勾配対応なので…」という話が出やすいが,ドイツのICE用の最近の高速新線では40‰の勾配に対応しながら300km/h運転しているところもあるので,それ用の車両を車両メーカに発注すればいいだけではないだろうかと思う.

#関係法令の改正,保安装置のバージョンアップ,架線設備の更新……が必要かな

北陸新幹線がガラガラ…早合点するなって

開業したばかりの北陸新幹線がガラガラだという.そりゃそうだろう.新幹線が出来たからといって即日,北陸の人が東京方面に用事が発生したり,知人が出来たりするわけじゃない.数年〜数十年かけて移動構造が変化してゆく.

今回開業した区間は長野〜富山〜金沢であるが,このルートはかつては越後湯沢乗り換えのはくたか号の経路であった.

首都圏からなら越後湯沢で乗り換えて…

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笹団子とお茶買って…

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乗って,くつろぐ.

乗車したことがある人ならわかるが,はくたか号の最混雑区間は,越後湯沢から直江津までである.席が確保できなくても,直江津を超えると空席が多くなる.そういう列車が毎時1本程度走っていた.そんなわけで元々,北陸三県下ではやや座席が供給過剰であった.

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首都圏と新潟県からから北陸三県への鉄道利用は北陸三県東側で一日約8000人である.

これが12両編成の28往復計56本,概ね毎時2-3本になった.全列車に均等に分けると1本あたり142人.1両あたり平均12人ほどになるので,「ガラガラ」は最初からわかってのことであって,徐々に客を増やしてゆく作戦であろう.

まずは,ターゲットは航空.航空による首都圏からの利用は約6600人.先の8000人と合わせると合計14600人の利用である.全部鉄道に移転すると1本あたりの客は260人,1両平均20人あまり.新幹線化すると客は2-3割増えることが多いので,そうなると1本あたりの客は325人くらい,1両平均27人になる.

忘れている人が多いが,大阪まで開通すると,今度は近畿および中京,それから首都圏から米原回りで北陸三県へは約22500人の利用者がある.8年後の敦賀開業時点でほぼこの数字は確定である.さらに客が2-3割増えることを想定すると約28000人.同じ列車本数だとすると1本あたりの客は500人くらい,1両平均42人.これだと概ねそんなものかという混み具合.

つまり,東京から金沢行きだけで北陸新幹線プロジェクトが終わるなら6両編成でも充分であるが,「ガラガラ」でも12両もつないでいるのは,そう遠くない将来に西側区間が開業することを想定しており,そのための輸送力を,現時点で確保したからであろう.

そう騒ぐなって.

新幹線との対面乗り換えが注目されて10年以上経過したんだが

九州新幹線が鹿児島付近の先っぽだけ営業していた時代,新八代で新幹線と在来線特急が対面で乗り換えできていたのは有名な話.これは便利だということで,同様の取り組みをしようと結構あちこちで盛り上がっていたんじゃないかと思うが,あれから約10年.大した設備ではないはずなのだが,1つも実現しない.

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システムの違う鉄道をホームの両側に乗り入れなければならないので,取り付け線の整備程度などはいるがフル規格新幹線建設などに比べて大幅に簡便なはずだったのだが…

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いや,べつに軌間可変装置を付けなければならないということはないんですよ.車両と装置が開発できたら後付けで付ければ良いだけで,FGTが実現するまで在来線と新幹線を接続してはいけないということはないんですよ.出来そうなところはやりましょうよ.

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長野駅から南方面とか,名古屋やリニア三重県駅から三重県南部とか,新大阪から日本海側各地とか和歌山とか,岡山を起点に各方面とか,小倉から大分・宮崎とか,鹿児島中央から宮崎とか・・・

新潟駅はいつ出来るんだったっけ?

#こういった小技についても,「整備計画」認定できるようにしようよ>国交省殿

大阪府市統合+道州制=神戸市が州都?

大阪の府市統合(大阪都構想),あまり的確な報道が無いので,メリット・デメリットがイマイチよくわからないまま,なぜか当事者の一方だけで住民投票が行われることになりそう.「2200億円」が大阪市外に流出するなら大阪市民が気の毒だが,じゃぁ流出しないのなら大阪府民(除く大阪市民)のメリットが何なのか,やはりよくわからないという状況である.だれかわかりやすく解説してくれんかのう.

地方自治法の改正で,わざわざ府市統合しなくても二重行政が解消されるのでは,という話もあるようなので,府市統合と指定都市都道府県調整会議の効果の差についても,だれかわかりやすく解説してくれんかのう.

さて,府市統合がもし実現されて,その先,「道州制」が実施されたら・・・ふと気がついた.関西州最大の都市はどこになるんだろうか.

府市統合後は,大阪市は5つの基礎自治体(つまり普通の市と同レベル)になっているようなので,もはや「大阪市」は存在せず,かといって「大阪府」も関西州として近隣府県と統合されてしまっているので,そこには「大阪府」も存在しない.さすがに経ヶ岬から潮岬までを大阪と呼ぶには無理があるので,州名が「大阪州」にはならないだろう.そうすると,おぉぉぉぉぉ・・・いずれ「大阪」という名前が行政組織から消滅するのか,すごい話だな.

元大阪市の基礎自治体5区は,それぞれ50万人前後になるそうなので,そうすると関西州における区市の人口の順位はこうなるのかな.

  1. 神戸市154万人
  2. 京都市147万人
  3. 堺市84万人

人口最大の(行政組織上の)都市は「神戸市」で,もし人口最大の都市を州都にすると,関西州の州都は神戸か?

#似たような話は,東京についても起こりうる.ただし,道州制の議論では東京だけ別扱いという案もあり,その辺は大阪を含む関西とは違っている.

「2200億円」は無かったんや・・・で?

先日は「毎年2200億円あったら何ができるだろうか」という捕らぬ狸の皮算用をしてみたが,大阪市長の話を追って行くとこの2200億円は府に移管した事務経費や市債の返済分等々に使われるそうな.

つまり,市域外の府下で使える2200億円というのは,無かったと言うことなんやな.毎年2200億円,もしもあったなら,府下でかなりの投資が行われるという机上の空論をしてみたが,それはできそうには無いということか.5年で関空リニア完成レベルという,あの強力な破壊力(いや投資力)は期待してはいけないの?

そうすると,新たな疑問がわいてくる.それは………

府市統合しても府下(除く大阪市)には,さほどの期待すべき投資が成されるわけでは無いということか? 府市統合すると,一体何が良いのか?というほとんど振り出しのような原点に戻ってきてしまう.

えっーと,かつての国政でも埋蔵金の議論があったが,地下鉄売り払うとか,泉北高速売り払うとか,電力株売り払うとか,そういう一時的なのは「二重行政の解消」による構造改革的な効果ではないよね.全部売り払っても大阪市1年分の予算規模にも到達しなさそうだし.

公共施設類の二重投資を解消,という話なんだろうが,ハコモノにしろ,上下水道にしろ,事業組合作って府市で統合するだけで二重化は解消できるので,府や市の本体を統合する必然性のある部分て,どのへんなんだろう.市を小分割するので逆にコストアップでは無いかという意見もあるようだが,いかに?

Q&A読んでも,現状でどこに構造的な無駄が存在するのか,わからんのだが,具体的にどこそこにウン億円の無駄があって,府市統合でそれをどういう形態に変化させることが出来て,その結果,いくらの統合効果が出て,それを積み上げるといくらになって,というわかりやすいリストでも作ってくれんかのう.いくつかの例は別資料に書かれているようだが,積み上げると毎年3千億円以上にもなるの? 今のところ”効果はありまーす”と書いているだけに見えてるんだが.そもそも,この説明サイトは府や市の公式見解なのかな?

やっぱり700ページの資料読まんとわからんのやろうか.府民(≠市民)には,どんなメリットがあるんかな.それから府民(≠市民)の住民投票はどうなったのかしら?

こういう後ろ向きの発言してい…ry) おや,夜中なのに誰かやってきたよぅd・・・

#このサイトが比較的わかりやすそうだが,このサイトの解説見ると,少なくとも1100億円あまりは「区」ではなく「府」に渡るように見える.じゃぁ,やっぱり皮算用してもええんか?

幹線鉄道計画のPDCAはまわっているか?

授業期間が終わると学生が部屋に訪ねてくる機会もめっきり減るので,この時期になると「BGM」をかけながら仕事をすることが多い.

音楽を聴くと…唄が頭の中をぐるぐる回って仕事にならない.ラジオもおしゃべりは同じようなもので,話に気をとられて仕事にならない.歌詞のない音楽は,まぁ許容範囲か.ピアノ曲あたりが無難.

そして最近発見した仕事に最適な「BGM」はこれだ.

http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php

http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php

名付けて,「Back Ground Meeting=BGM」

内容は下手なニュース番組よりもよっぽど中味がある(当たり前か).時々新幹線ネタや国土整備ネタも出てくるぞ.変な「マスコミフィルター」がかかってないので,お勧め.難点は長いこと.会期中は毎日7時間とか.並行して委員会が開かれていることも多いので,延べ時間はものすごいぞ.衆参でダブルだ.

さて,最近この国会中継でよく聞くようになったキーワードがある.それは「PDCA」.JABEEだけでなく,ついに国会でもPDCAを聞くことになったとは,時代も進んだものである.

Plan→Do→Check→Action→Plan→…

計画立ててみて,やってみて,うまくいったかどうだか検討して,内容修正して,またやってみて,の繰り返し.

ところで,標題の幹線鉄道計画だが,1970年代に法律つくって,73年に具体的な計画立てて,…いまだに73年に閣議決定されたから云々ということが論拠になって話が続くことが多いが,冷静になって考えてみよう.

おかしいだろ.

1872年に鉄道が初めて走って,最初の鉄道政策である鉄道敷設法までが20年.
1892年に鉄道敷設法ができて,建主改従,改主建従の議論があって改正されるまでが30年.
1922年に改正鉄道敷設法できて,太平洋戦争開戦から「もはや戦後ではない」までの15年を除いて,初の新幹線政策ができるまでが33年.
1970年の全国新幹線鉄道整備法ができて,今年で45年目

おかしいだろ.

日本の幹線鉄道計画のPDCAはまわっているか?その答えは…?

#サボってる?>担当部署殿

航空コンテナがあるなら新幹線コンテナがあってもいいじゃないか

・・・と,いつも思う.

東海道新幹線が計画された際に(方便だとは良くいわれるが)貨物電車を走らせて,いわゆる国鉄コンテナを東京−大阪間で輸送しようという計画があった.そのための風圧試験も行われて,150キロ運転くらいまでなら何とか使えそうだが,それ以上は転倒しそうだということで,解決が先送りになっている.

東海道新幹線貨物列車は,夜間に150キロ運転で東京−大阪間を結ぶという話が一応あったが,皆がよくご存じのように夜間は保守作業に充てられ,実現はしていない.

その後,放置されていた課題は青函トンネルの貨物列車と新幹線の風圧問題へと,50年の歳月を経て繋がるわけだが,そもそも裸のコンテナを積載して走らせるから問題なわけで,車体内に収納するコンテナならばさほど問題ないはずである.

ボディ内に収納するコンテナといえば,これ.

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そう,航空コンテナである.いくつかのサイズの規格があるが,標準的なサイズのものはそのまま新幹線の車体内にも収まりそうなサイズである.

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TGV郵便列車のような専用車両で,車内に航空コンテナを収容させて走らせれば高速走行でも何の問題も無いと思うのだが,ダメかな.既にある技術の組合せで実現できるので,割と簡単に実現できると思うのだが.

新聞記事の精度(読売新聞四国編)

ほとんど事実関係だけ書いているので,さほど引っかかる点は無いのだが・・・

四国新幹線実現へ、4県トップら愛媛でシンポ : 地域 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE).

・・・(いつまでリンクが生きているかわからないが)この記事の記述.

  • 波床はとこ正敏・大阪産業大工学部教授が基調講演を行い、「全国で高速道路や空港などが整備されたが、都市の発展にはほとんど貢献していない。新幹線が通ると政令指定都市クラスに成長し、絶大な効果をもつ」と持論を展開した。」

→都市の発展にはほとんど貢献していないんじゃなくて,国土の均衡ある発展を実現するまでには至っていない,というあたりが最も正確.それから,「持論(=あることに関して前から主張し続けている,その人独自の意見。)」という表現.間違っちゃぁいないんだが,論拠無くむやみに言っているように聞こえかねないので補足.

この手の講演では時間が限られているのでわかりやすい部分を使って話をするのだが,その背景はもしも話せば結構長かったりする.実は交通整備と地域の発展に関する研究は,いくつかの研究テーマのうち最も基本の部分であり,博士論文がそのテーマだったりなんかする.つまりいわゆる「1丁目1番地」.説明すると長すぎるので,最もわかりやすいお話しを取り上げているということである.なお,講演で使うスライドは,元々は学部1年生の授業用であり,講演内容のリクエストと時間の長さによっては「汽笛一声新橋を」から話し始める.

詳しくはこのサイトの下の方にある「明治期以降の交通網整備が我が国の地域構造に及ぼした影響に関する研究」のpdfファイルを参照.全部説明すると,2時間はかかる.

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