線路」タグアーカイブ

線路は増えるよどこまでも

線増工事という種類の鉄道工事がある.単線の線路を複線にしたりする工事で,高度経済成長期には全国の幹線でよく行われていたが,タイミングを逸した路線では近年まで手つかずというケースも少なくない.

この区間もそういったところであり,ようやく数年前に複線化された.といっても,必要最低限の複線化で,線路が1本になったり2本になったりといった具合である.

単線から複線になるはじめの部分.分岐器が挿入されようとしている.

DSCN0813

小さな水路にも小さな橋梁を新設.

DSCN0814ここは隣に新しい線路ができはじめている.

DSCN0820

カーブを曲がって…

DSCN0825

その先にある駅の線路は2線あるので,そこは活用して…

DSCN0827

さらにその先も線路を増設して…

DSCN0842

ここで終わり.ここからは単線

DSCN0847以上,2008年の夏の宇野線,つまり瀬戸大橋の北側部分.この線路に四国4県が依存しているのだが,何とも心細い.

そう言えば去年の今ごろ〜年度末にかけて,”四国に新幹線を!”とやっていたと思うが,その後はどうなったんだろう.最初は勢いよくてもなかなか継続的に活動できていないケースが多いが,どうですかね.長期戦ですよ.

リニア地下鉄の勾配

最近徐々に増えてきているミニ地下鉄.

トンネル径を小さくするためにリニアモータ式にされることも多い.

リニア式にすると勾配に強いという話は,カナダのスカイトレインでもしたが,地下鉄だとどの程度急かわかりにくい.そこで例のごとく運転席にへばりついて観察すると…

…結構急である.地下鉄の場合,駅はなるべく浅めにつくりたいが,他の既設地下鉄や上下水管等々避けなければならない地下埋設物も多い.こういうときには急勾配,急曲線を採用できると路線の線形設計がやりやすい.

四条畷駅のナゾの分岐器

知っている人は知っているお話.ヒントは,朝8時頃まで.

2面4線の四条畷駅.京橋方には両渡りの分岐器が付いており,どのホームからでも京橋方向には折り返し運転ができる.じゃぁ,木津方を写した下の写真はというと,2番線と3番線の間に片渡りの分岐器が付いている.でも,列車を出発させるための信号機が建てられていない.なんじゃ,こりゃ.

答えはと言うと,普段は京橋方から来た電車が折り返すのに使うのは両端の1番線と4番線であるが,朝8時頃までは山側の1番線を木津方面→京橋方面へのスルー運転用とし,ホーム向かい側の2番線は4番線とともに京橋方面からの折り返し運転用として使う.

1番線に写真手前側から,2番線に写真奥側から同時に列車が進入することがあり,万一2番線の列車が過走した場合に正面衝突しないようにするためには,本来なら安全側線を取り付けるのだが,そんな用地は無いので片渡り分岐器で代用している.なので,信号機が無い.

ATS-P型が付いているはずなので,速度管理しながら進入させれば安全側線は必要ないはずだが,そうはなっていないところを見ると,ATSが簡易なのかしら?

#鉄道マニア君でも知らない人いるのね…

もうすぐ交換されるレール

しばしば「地面やレールの写真が多い」との指摘を受けるが,ま,興味の対象がそうなので仕方が無い.

このレール,えぐれてます.

曲線の外側のレール.その外側のレールの内側,つまり車輪がよくあたる部分がえぐれている.

表面も剥離しているので,そろそろ交換か.そういえば,国鉄時代の新幹線のレールって,こんな感じのところが多かったよね.

断面が変形してしまってます.

破断する可能性がありそうな箇所は,継ぎ目がなくても継ぎ目板で予防.四連続.

日本に本物のBRTは出来るか?(日本のBRTは何の略称か)

日本には本物のBRTが無いという話は結構何度も繰り返してきた.

東北に行ってみた(BRT編)
日本に本物のBRTは出来るか?(オタワのバス専用道路)
日本に本物のBRTは出来るか?(PARK&BUS乗車)
日本に本物のBRTは出来るか?(バス専用高速道路車線)
日本に本物のBRTは出来るか?(ゴムタイヤトラム編)
日本に本物のBRTは出来るか?(ナントの専用道)
日本に本物のBRTは出来るか?(優先信号)
日本に本物のBRTは出来るか?(完璧なバリアフリー)
日本に本物のBRTは出来るか?(台北編)
日本に本物のBRTは出来るか?(ガイドウェイバス)
日本に本物のBRTは出来るか?(基幹バスシステム)
茨城県のBRT(かしてつBRT編)
茨城県のBRT(ひたちBRT編)
日本に本物のBRTは出来るか?(連節バスは十分条件か)
これは日本的基準ではBRT?

いちおう,お役所ではBRTをBus Rapid Transitと呼んで,ほとんど進まないLRTと同じようなものであるかのような印象を与えながら政策を進めている.…が,今ひとつ釈然としない.
確かに,一部のローカル線を置き換えたバス路線はそれなりに存在感はある.だが,都市内交通としての「BRT」は一昔,いや二昔,いやもっと昔の都市新バスシステムと何が違うのか,イマイチよくわからない.日本的使い方なら連節バスは単なる長いバスである.
そして最近,日本のBRTは実はBus Rapid Transitの略ではなく,次の言葉の略称では無いかと思い始めている.
BRT = Bus で Replace した Transit

これなら,実態と合っていると思う.BRTがローカル線の転換バスの新形態だというのなら,納得である.

福井駅先行工事部分

2020年北陸新幹線延伸の先行開業を目指している福井であるが,先行開業するにあたってネックになっているのがこの部分である.

ob3sW7-8年前には既に金沢方の半分程度の新幹線高架橋が完成していたが,その高架橋の右隣にあるえちぜん鉄道が問題になっている.

計画ではえちぜん鉄道を,まずこの完成した新幹線の高架橋に仮線で乗り入れて仮駅を開業し,その間に下のえち鉄福井駅を撤去.そして高架駅をつくり,完成したら仮駅を新高架駅に移す.

その後,新幹線の高架駅を完成させて,新幹線開業,という段取りである.

ところが,福井駅まで新幹線を先行開業させようとすると,えちぜん鉄道の仮駅が工事の進捗に影響を及ぼす.ということで,なかなか工期が短縮しにくい原因になっている.

もっとも,他にも先行開業期間中の2-3年間だけ使う留置線や検修設備等々,わざわざ安くない金をかけてまで作るのか,という問題もあり,なかなか一筋縄では行かない.

なお,えち鉄の仮線は,もうすぐ使用を開始できそうなところまで工事が進んでいるように見える.

高架にしようと思ったら既に高架橋があった場合

鉄道を高架にしようとしていて工事を進めていくと,もしも,その先に先客がいた場合.こんな感じですね…

DSCN1175

困ったねぇ.

こういう場合は,まず道路の高架橋を仮の高架橋に移し…

DSCN8273

このままだと,隙間が狭すぎて電車が走れないので…

DSCN8275

全部の段取りが済んで,もう電車が走れるという段取りになったら,邪魔な道路高架橋を取っ払って,線路を地平から高架に移し,そして道路を地上に通す.

…ということを一夜にしてする模様.

#なお,上の写真は順に近鉄奈良線,JR奈良駅,JR奈良駅である.

きのくに線(紀勢線)の崖崩れの思い出

大雨が原因できのくに線こと紀勢線が止まっているようだ.箕島-御坊間が不通らしいが,そういえばガキのころ,家の近所の崖が崩れて3ヶ月くらいバス代行になってたっけ.

ここですね.

放課後に復旧現場を見物に行き,そのまま線路の上を歩いた記憶が…


それから数年後,こっちでは崖が崩れたところに新宮行きの夜行便が突っ込んで脱線したっけ.

ここですね.

[map lat=”34.108132″ lng=”135.135298″ zoom=”15″][/map]

昭和30年代に全通して以降,一部区間を除いてそのままなので,昔から災害に弱いのが泣き所. 国道は年々改良されてバイパスも建設されるが,こっちについては抜本的対策は成されていない.

欧州では線路インフラの整備は国や地域の仕事,運営は事業者の仕事になっているが,日本では独立採算の美名の下,放置されているのが現状である.

有視界続行運転

目視の続行運転というと,路面電車は基本的にはそのような運転をしている.道路交通法に従って運転するので,運転士の注意力と交通信号機に頼って2列車以上が続けて運転できる.

じゃぁ,そうではない鉄道はどうかというと,一定の閉塞区間内に2列車以上入れないようにして運転するのが原則…

DSCN6240

…のはずだが,上の写真の2列車はヘッドライトの点灯具合から見て同じ方向に進んでいる.「有視界」続行運転である.日本の鉄道監督官庁が見たらひっくり返りそうな運転方式かも.

もう時効だから話すと,かつて和歌山に野上電気鉄道というのがあって,全線単線であった.ある休日,行楽客がとても多くて,本来の列車には積みきれずに積み残しがでた.そこで,急遽車庫から電車を出してきて,満員の電車のすぐ後ろを走らせて運転.もちろん連結せずに「有視界」運転.

後にも先にも,路面電車以外で目視だけに頼って運転しているのを目撃したのはそれだけであった.続行運転用の施設などあるわけもなく,たぶん本当はアウト.今から40年くらい前のお話.今はもう路線自体存在しない.

リニアの開業予定年次に見る全線早期開業のポイント

リニアこと中央新幹線が東京-名古屋間に開業するのが2027年の予定.大阪まで開業するのは2045年の予定.

18年遅れる原因が京都がゴネているからだ,などと揶揄されることも少なくないが,それは的を射ていない.

話は簡単である.金の問題である.

今から28年前の1987年,JRが発足した当時の新幹線は国の資産だった.毎年賃借料を払って施設を借りて新幹線を運行していたわけである.その後,1989年,JR各社は東北・上越新幹線を約3兆円,東海道新幹線を約5兆円,山陽新幹線を約1兆円で購入した.

当然一括払いできるわけではないので,26.5年ローンで購入.そうすると,初年度が0.5年,さらに26年経過すると,2015年.そう,間もなくほぼ完済である.一部は60年払いの部分もあるが,額が小さい.

ローンを完済すると,その後のJRはどうなるかというと,基本的には以後大もうけ.税金払い増大が基本コース.

税金払うくらいなら,積極的に投資したいと思うのが普通の会社.ということで,再び5兆円の借金に耐えられる状況になったJR東海は5兆円でリニアを建設することにした.

なぜ全線一括で建設しないかというと,東京-名古屋間の建設費が約5.5兆円,そう,今までにしたことのある借金額では全線一気に建設するのはリスクが高いからである.過去の実績にあわせると名古屋まで,と言うこと.

ところで,名古屋-大阪間の兼津費は約3.5兆円.資金に余裕ができたらこれに着手したいところ.東海道新幹線のローン約5兆円を26.5年で還した実績があるので,じゃぁ3.5兆円なら何年分の返済相当かというと,3.5兆円÷5兆円=70%,つまり26.5年の70%でOK.26.5×70%=18.6年.

つまり名古屋に遅れること,概ね18.6年なら大阪まで建設可能ということである.2027年に18.6年を加えると,2045.6年.大阪までの開業目標は何年だったっけ?だいたい合うだろ.

京都がゴネているからじゃなくて,資金調達の問題なんだよね.

でも,いくら優良巨大企業とは言え,一企業の資金調達の問題が国土の構造をゆがめてしまうというのは,極めてマズいことなんだけど,誰も指摘しないよね.