シアトルからバンクーバーまでのAmtrakの経路には,おもしろい橋がある.これ.
跳ね橋である.回転したり上に吊り上げたりするのではなく,鉄道橋が見事に跳ね上げられている.プラレール以外で跳ね橋を見たのは初めてであり,以後も見たことがない.
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AMTRAK(振り子式列車編)
カナダのVIA鉄道だけでなく,米国のAmtrakにも振り子式列車がある.シアトルとカナダのバンクーバーを結ぶ列車である.
機関車+客車の形式だが,客車部分が「振り子式」で,曲線で車体が傾く.見てのとおり,スペイン製のタルゴ客車である.短い車長の客車のつなぎ目部分に共用の1軸台車が付いている,いわゆる連節車両である.
このタルゴ客車のもう一つの特徴は,スペインにおいて元々の広軌の線路と欧州標準の標準軌とを直通できるという点である.北米は(一部の特殊な区間を除き)標準軌で統一されているので軌間可変装置は不要なはずなのだが,上側の写真(米国)とさらに下側の写真(スペイン←→フランス)とでは,一部のパーツ(車軸の下のスリ板のような部分)が少し違うだけで,同じように見える.
予讃線のトンネル
予讃線は県間を結ぶ幹線鉄道なのに,なぜか単線のままで特急列車が向かいから来る特急列車を待ち合わせ...などということもある.この日は向かいから来る列車がちょっと遅れているようだ.ちょっとクスッとくるような理由で(内緒).
割と似たような沿線状況の紀伊半島の紀勢線沿線で育った身なので,複線化していない点についてはもうちょっと何とかならんかったものかと思う一方で,振り子式電車が走っている点については,似たようなものかなとも感じた.
紀勢線は国鉄時代の1978年に電化され,同時に紀伊田辺までの複線化が完成している.時期がもう少し遅かったらこの予讃線と同じ状況になっていただろう.予讃線の電化は観音寺より東側が国鉄の最末期の1987年3月,松山まで電化が完成したのが1990年代である.
そういうわけで,インフラについても厳しい状況の箇所があり,このトンネル,何か・・・小さい.
よく見ると,架線が三重になっており,狭小トンネル対策がされている.電化に合わせて,盤下げ(下側の地面を掘って削って高さを稼ぐ)もされているらしい.
トンネル自体もレンが巻きでかなり古そうだ.昔なら電化という設備投資に合わせて,トンネルを掘り直したり曲がりくねったSカーブを改善したりといった手直しがされることが多かったと思うが,最小限の投資しかされていないように見える.
新幹線の予算も充分には確保しなければ,その他の改良の予算も確保しない.どうなってんのかな.株式会社にしさえすれば,事態は好転して改善されると思ってたんだろうな.そういえば,この路線の運行している鉄道の株主って,誰だったっけ? 株主の責任が問われているかも.
TGV6866
日本の新幹線と違って,独仏のICEやTGVは必ずしも大都市間だけを結んでいるわけではない.そういう列車は朝晩の計2本しかない,などということも多く,走行経路も変である.今回のフランス訪問は,そういう列車の存在なくしては成立しないスケジュールで,ディジョン→ナンシーを午前中に移動することが必須であった.
乗車した列車は,TGV6866.始発は南仏のマルセイユ(6:14発)であり,途中,リヨン(Part Dieu駅)(8:04),ディジョン(9:52),Culmont(10:45),ナンシー(12:11),終点がメス(12:53)である.フランス東部を縦に走るという珍しいTGVである.
ディジョン駅で待っていると,発車時刻よりも10分以上前に南側から入線してきた.まぁ,余裕を取ってるんだろうと思って乗り込むと,定刻発車.あれ?南側に出発してゆく.ディジョン駅で進行方向が変わったようである.
30分あまり走行して,周囲は農地だらけの小都市Culmontに到着.南東から回り込んで西向きに入線.ここも時間に余裕を取ってあるなと思ったら,定刻に発車.東向きに走り出してカーブを曲がって北向きに進路が変わった.
途中の線路は,いちおう複線電化しているが速度は100km/h前後で日本の在来線特急なみである.TGVが走るからと言って,全てが150km/hとか300km/h対応というわけでは無いようである.まぁ,朝と晩しかTGVが走らない路線なので仕方ないか.
そして降車予定のナンシーに定時到着.南側から回り込んで,列車はほぼ北側から南向きに入線した.降車した後,出発の様子を見ようと待っていると,再び10分程度の停車時間を取ってあるようであった.そして出発.再々度向きが変わって,北向きに出発していった.次は終点メス.
気がついた限りで3度の方向転換があったが,リヨンについては南方から高速新線を走行して市の郊外で南からPart Dieu駅への進入経路がありそうで,そのまま北方に出ればディジョン方面へ行けそうなので,この列車の進行方向変更回数は3回のようである.
ちなみに,マルセイユからメスやナンシーまでの時間だけならパリ経由でもあまり変わらない.そこまでして直通運転にこだわるか,という気もするが,客に乗り換えをさせないというフランス流の気遣いであるのかもしれない.今はもう無くなってしまったが,東京を無視して日本海を縦走していた特急白鳥号みたいなものか.
鉄道後進国ニッポン(やっぱり160KM/Hだったわ)
ドイツのローカル列車が160km/h運転で,フランスが150km/h運転だと書いたが,訂正.フランスも160km/h運転だったわ.
DijionとBesançonの間のローカル急行列車に乗車したが,往路のこういう車両も・・・
復路のこういう車両も・・・
両方とも160km/h運転してたわ.
DijionからBesançon方面には,最近になってTGV用の高速新線が開業しているが,並行する在来線がほったらかしかというとそうでもないようで,改良工事がなされているようである.
改良後とおぼしき軌道はこのような感じであるが,コンクリートまくら木+ロングレールはもちろんのこと,レールが太い.写真では分かりにくいが,日本の新幹線や首都圏の在来線なみ(60kg/m以上?)である.もちろん,上の写真のDijion-Dole間以外のDole-Besançon間も160km/h運転.
日本って,新幹線以外の改良はヤル気無いよね.ましてや並行在来線を改良する気なんて,毛頭ないよね.
追伸:快速列車が200km/h運転している区間もあるらしい.
欧州鉄道遅れの拡大構造
日本の鉄道の良いところは,遅れが少ないことである.じゃぁ,欧州はと言うと・・・
クレルモンフェランからリヨン(Part Dieu駅)に戻る急行列車で2時間.あと5分ほどでリヨン着というとき,信号待ちで停止した.駅の構内に入るための信号で足止めである.欧州の駅の構内配線は,基本的にはどの線からでもどのホームにでも入れるような構造になっている.臨機応変な対応ができるというわけである.
日本なら駅の到着番線が事前に確定しているが,欧州の場合,到着10分か20分くらい前にならないと明らかにならない.「臨機応変」なので.そういうわけで,駅ではみんな電光掲示板の前に張り付いている.ホーム番線の表示が出たら,ぞろぞろ歩き出す.
さて,信号待ちは5分ほどして解除され,動き出したと思ったら「カコン」という音がして急停止した.勘としては「これ,アカンやつや」.運転席で「ピューンピューン,ピューンピューン」という音がしている.運転士と車掌が車内を行ったり来たりしている.非番の乗務員とおぼしき男性も加わった.車内放送では「安全上の問題でどうやら,こうやら」と言っているようだが詳しいことは分からない.
待つこと50分,大幅に遅れて到着.終着駅も変更になった模様.降車して電光掲示板を見ると,かなりひどいことになっていた.原因がどの列車かは不明だが,おそらくたった一つの原因が,大規模駅の平面交差を通じて各方面にまき散らかされた瞬間である.
鉄道後進国ニッポン(フランスのディーゼル急行も150KM/H)
ICEもTGVも提供されていない独仏の主要地方都市はケムニッツとクレルモンフェランとオルレアンのようだが,ケムニッツについては160km/h運転のディーゼル急行が走っていることを確認している.
今回はフランスのクレルモンフェランである.リヨンからは,本数は少ないがこういう列車が走っている.
3両連節×2のボンバルディア製ディーゼルカーで,TERという地域急行である.「急行」であるが,そもそも途中は農地ばかりで,しかも小駅の多くは廃駅になってしまっているようで,都市内交通を除くと実質的には最低位の列車である.
その列車の最高速度はこんなもの.
標準的には120-130km/hくらいで運転されている.線路も一部の短絡線等を除いて複線化されている.TGVが無くても,そこそこのサービスは提供されているわけである.
パリ方面については,機関車牽引のこういう列車が運転されており,こっちは乗車していないが,ローカルディーゼル急行よりはサービス水準が高いことは推して知るべし,というところであろうか.(表定速度で,120km/hくらいなので,新幹線こだま号レベルのサービス水準)
国土強靱化-幹線鉄道網でありそうな事態
リニア新幹線が整備される理由は,東海道新幹線だけに頼っていると南海トラフの地震で東西間交通が途絶すると困るから,ということになっている.資金の制約から,とりあえず2027年までに東京-名古屋間を開業,というのは今やよく知られているお話し.
一方,その先の大阪までについては,これまた資金の問題から2045年開業予定ということになっている.
ところで,「2020年,東京オリンピックばんざーい」によってすっかり影の薄くなった南海トラフ地震であるが,その発生確率は30年内に70%だとか80%だとか言われている.オリンピック開催が決まったからと言って,発生を数年待ってくれる,なんてことはあり得ない.そういえば,2011年の東北の地震が発生するまでは,次の南海・東南海地震は2035年頃,とか良くいわれてなかったっけ?
実際の発生時期は神のみぞ知る世界であるが,もっとも危惧される事態は,ほんとに2035年頃に南海トラフ大地震が起こってしまうことである.つまり,リニアが名古屋暫定開業状態で,北陸新幹線も大阪まで達していない状態である.
リニア自体はこれから建設される構造物なので,対災害については細心の注意を以て設計され建設されるが,問題なのは東海道新幹線である.補修工事が既に現時点で開始されているとは言え,静岡県下の震度7地帯,愛知県下の震度6地帯を長距離にわたって通過するので,東からリニアで名古屋まで到達できても,その先の西に行くすべがない,という事態が生じうる.
北陸新幹線も中途半端な位置で建設が止まっていたとすると,東西間移動に北陸新幹線と在来線を乗り継がなければならなくなったりで,不便この上ない.
さらに関西とってもっと悲劇なのは,この事態でリニアの西進が大幅に遅れる可能性がある.大地震が発生して東海道新幹線が途絶した場合,誰が復旧させるかというと・・・もしかしたら鉄道会社は「国の災害復旧費用で」と考えているかもしれないが,最大200兆円の被害である.国は各種の復旧工事と支援でカネが無くなるであろう.そうすると「余力があるなら新幹線の復旧は鉄道会社の自力で・・・」という話になりかねない.その東海道新幹線の復旧費用の財源はというと,元々はリニアの関西延伸に使うはずだった資金を転用ということになるだろう.
かくして,2045年リニア全線開通は大幅延期,というシナリオが発生しないでも無い.北陸新幹線を早期全通させるか,リニアを早期全通させるかしない限り,ありそうな事態だと思うのは私だけだろうか.最悪の事態は最悪のタイミングでやってくる・・・かも.
完成したのに未使用の超高級インフラ
普通なら,会計検査院がすっ飛んできて大目玉ということになりそうな話のはずだが,完成したのに使っていない超高級インフラが存在する.
それが,これ.
そう,瀬戸大橋.えっ,もう二十数年前には使われはじめてるってか? よーく見てみよう.
わからない? じゃぁ,これは?
線路の左側(外側)の空間が妙に広い.おまけに台座のようなものも見える.つまり,「新幹線用地」(というか新幹線用空間).せっかく確保した新幹線用の空間である.使わないのはもったいない.16両フル編成がすれ違えるだけの荷重設計がなされており,その分,橋自体もゴツくなっている.なのに,使われていない.
何がもったいないかって言うと,せっかくつくったのに,使われずに放置されているインフラほどもったいないものは無い.
意味が分からない人は,明日,かーちゃんが作った食事に手を付けずに捨てたり,他のものを食べたりして見ろよ.身にしみて分かるぞぉ.
おまけ.上の写真は珍しいレールの継ぎ目である.橋の伸縮に合わせて,レールも伸縮する仕掛けである.ここ以外では,広電の「天満橋」で見たっけな.
#まだ旅立ってないので,これは「自動投稿」ではありません.
鉄道後進国ニッポン(長距離列車の「車内食」)
北米にせよ,欧州にせよ,長距離列車に供食サービスはつきものである.この点では日本の新幹線はTGVやICEほか数々の長距離列車に負けている.駅弁があるって・・・? やはり弁当と温かいちゃんとした食事は違う.コンビニ弁当があれば街の定食屋は絶滅かというとそうでは無い.
例えば,北米西海岸の長距離列車.シアトル→バンクーバーのAmtrak.
ちゃんと食堂車が付いている.
食堂車の内部.
出てくる食事自体は,豪華,というわけではないが,航空便の機内食と同程度かそれ以上のものは出てくる.
乗降の激しい新幹線では難しいという意見があるかもしれないが,この手のサービスはちょこちょこと停まるドイツのICEでもある.(しかも,1等なら座席まで持ってきてくれる)