日本の新幹線と違って,独仏のICEやTGVは必ずしも大都市間だけを結んでいるわけではない.そういう列車は朝晩の計2本しかない,などということも多く,走行経路も変である.今回のフランス訪問は,そういう列車の存在なくしては成立しないスケジュールで,ディジョン→ナンシーを午前中に移動することが必須であった.
乗車した列車は,TGV6866.始発は南仏のマルセイユ(6:14発)であり,途中,リヨン(Part Dieu駅)(8:04),ディジョン(9:52),Culmont(10:45),ナンシー(12:11),終点がメス(12:53)である.フランス東部を縦に走るという珍しいTGVである.
ディジョン駅で待っていると,発車時刻よりも10分以上前に南側から入線してきた.まぁ,余裕を取ってるんだろうと思って乗り込むと,定刻発車.あれ?南側に出発してゆく.ディジョン駅で進行方向が変わったようである.
30分あまり走行して,周囲は農地だらけの小都市Culmontに到着.南東から回り込んで西向きに入線.ここも時間に余裕を取ってあるなと思ったら,定刻に発車.東向きに走り出してカーブを曲がって北向きに進路が変わった.
途中の線路は,いちおう複線電化しているが速度は100km/h前後で日本の在来線特急なみである.TGVが走るからと言って,全てが150km/hとか300km/h対応というわけでは無いようである.まぁ,朝と晩しかTGVが走らない路線なので仕方ないか.
そして降車予定のナンシーに定時到着.南側から回り込んで,列車はほぼ北側から南向きに入線した.降車した後,出発の様子を見ようと待っていると,再び10分程度の停車時間を取ってあるようであった.そして出発.再々度向きが変わって,北向きに出発していった.次は終点メス.
気がついた限りで3度の方向転換があったが,リヨンについては南方から高速新線を走行して市の郊外で南からPart Dieu駅への進入経路がありそうで,そのまま北方に出ればディジョン方面へ行けそうなので,この列車の進行方向変更回数は3回のようである.
ちなみに,マルセイユからメスやナンシーまでの時間だけならパリ経由でもあまり変わらない.そこまでして直通運転にこだわるか,という気もするが,客に乗り換えをさせないというフランス流の気遣いであるのかもしれない.今はもう無くなってしまったが,東京を無視して日本海を縦走していた特急白鳥号みたいなものか.