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東北新幹線西側のナゾの空間(歩いてみた編)

東北新幹線を東京から乗って北上すると,進路右側に埼京線が併走する区間があるが,同時に進路左側には未利用地がしばらく続く.簡素な建物が建っている箇所もあるが,高度な土地利用が求められる首都圏にしては,もったいない土地のようにも見える.元々,東北・上越新幹線は大宮以南は大宮以北10km程と同様に複々線として建設され,新宿にもターミナルが設けられる構想があったが,この空き地のある区間では沿線からの騒音に対する懸念から構想は見送られ,公式にはこの空き地は環境のための緩衝地帯ということになっていたかと思う.
その未利用地に沿って歩いてみる.スタートは南与野駅で,そのまま南下してみる.

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こういった掲示もあるのだが,注目ポイントは赤で書かれた下の部分の文章.鉄道会社名で「無断で,鉄道用地に入ってはいけません.」と書いてある.つまり,ここは今も「鉄道用地」.環境のための緩衝地なら,地元の自治体にでも引き渡してしまって公園にでもするのがいいはずなのだが,「鉄道用地」のようである.
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疲れてきたので,中浦和駅でお散歩終了.

茨城県のBRT(かしてつBRT編)

2007年に廃止になった鹿島鉄道の代替バスは「かしてつバス」と呼ばれる.運行はかしてつではなく,関鉄グリーンバス.その路線の一部が鹿島鉄道線の路盤を転用したバス専用道になっており,「かしてつBRT」と呼ばれているらしいので行ってみた.


常磐線の石岡駅から出て,このあたりから専用道路に入る.

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石岡南台駅.かつてのプラットホームを転用しているように見えるが,そうではなくて,左側はバス停標識が停留所本体.右側は屋根付き.
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元の鹿島鉄道線時には使われていたであろう跨線橋とその下の駅舎(?)は,今は使われていない.ハードウェアは作る金があっても運営に手厚い保護をすることができないのが日本のシステム.
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所々に道が太くなった行き違い箇所が有り,上下便が交換する.
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一般道との交差部分は「踏切」が付いているが,専用道の優先通行を確保するというものではなく,一般道から誤って専用道に車両が進入しないようにするだけである.バスが近づくと遮断機が上がるが,バスそのものは原則一旦停止のようである.もっとも,交差する一般道の交通量が少ないので,このような交差点が遅延の原因にはならなさそう.
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道路としては貧弱だが,便数も少ないので,さほど交換待ちも問題にはなってなさそう.並行する国道(下の2枚目)が,時間帯によっては渋滞するようで,それなりに効果はある模様.なお,運賃は普通のバスなみ.運行本数は残念ながら少ない.
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ここで終点.
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専用通路が確保され,定時性確保の努力がされているのは評価できるが,本数が少なくて1本逃すと待ち時間が長い.値段も安くは無く,海外のLRTのゴムタイヤ版だと思い込んではいけない別物である.廃止鉄道線の代替バスとするとまぁOKか.高頻度運転も,低廉な運賃も,中心市街地活性化も,P&Rも,信用乗車etc…もなく,これをBus「Rapid」Transitと呼ぶのは個人的には若干抵抗有り.

日本に本物のBRTは出来るか?(基幹バスシステム)

名古屋に行くと,バスレーンが道路中央に配置されている箇所がある.まるで,ゴムタイヤ式の路面電車のようなシステムである.路面電車が路側の歩道から直接乗降できないかどうか模索するのとは逆の発想だ.基幹バスシステムという名前が付いているが,路上駐車による影響を避けるという点では左の路側車線走行よりは優れていると思われるが,バリアフリーではやや劣る.
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地下鉄や高架鉄道の整備をする余裕のないアジアの都市では,名古屋のバスシステムを参考にすることが多いらしく,自動車社会ではあるものの,名古屋のバス(地下鉄も)結構がんばっている.願わくば,LRTシステムを特徴づけている各種の施策も取り込むと,もっと完璧になるのであるが,日本の中では最も本当のBRTに近いシステムの一つである.(が,やはりバスかも.)

KIX-エクスプレスのラフ検討

関西国際空港へアクセス鉄道としてリニアを整備せよ,という構想がある.おそらく上海のトランスラピッドに感化されたものだと思うが,果たして芽があるかどうか,ラフなフィージビリティスタディをしてみよう.起点を新大阪にすると,関空までの最短の鉄道延長は約50kmであるので,この数字を使ってみる.
最高速度を500km/h,加速度および減速度を山陽新幹線なみの2.5km/h/sとすると,加減速に要する時間は各200秒である.このとき,加減速時の平均速度は250km/hであることから,加減速時に要する走行距離は各々13.9kmと計算できる.残りの22.2kmが500km/hでの巡航となり,これに要する時間は160秒である.結局,合計560秒(=9.3分)が全区間の所要時間となり,特急はるかの48分と比べて38.7分の短縮である.建設費は東京-大阪間が約9兆円なら,1/10程度の距離なので9000億円といったところか.
次に,加減速度を阪神電車なみの4km/h/sにしてみると,加減速に要する時間は各125秒,加減速時に要する走行距離は8.7km,500km/hでの巡航距離は32.6km,走行時間235秒となり,合計485秒(=8.1分)が全区間の所要時間である.特急はるか比39.9分の短縮.
じゃぁ,通常タイプの新幹線ならどうだろうか. 最高速度を250km/h,加減速度を2.5km/h/sとすると(実際には速度が上がると加速度が落ちるが),加減速に要する時間は各100秒,加減速時に要する走行距離は3.5km,250km/hでの巡航距離は43km,走行時間619秒となり,合計819秒(=13.7分)が全区間の所要時間である.特急はるか比34.3分の短縮.建設費は最近の整備新幹線の見積である100億円/kmをもとにすると,5000億円か.
ついでなので,最高速度160km/hの在来線タイプならどうだろうか.加減速度を2.5km/h/sとすると,加減速には各64秒,その間の走行距離は1.4km,160km/hでの巡航距離は47.2km,走行時間1061秒となり,合計1189秒(=19.8分)である.特急はるか比28.2分の短縮.建設費はあんまり安くはならないので,5000億円程度か.
まとめると,こうなる.さて,どれを選ぶ?

建設費 所要時間 短縮 △1分あたり
リニア新幹線500km/h 9000億円 8.1分 △39.9分 226億円/分
通常新幹線250km/h 5000億円 13.7分 △34.3分 146億円/分
在来線160km/h 5000億円 19.8分 △28.2分 177億円/分

日本に本物のBRTは出来るか?(ガイドウェイバス)

名古屋のバスは昔から結構がんばっている(お土地柄,戦果は厳しいが).
大曽根駅から北東に延びるゆとりーとラインはガイドウェイバスで高架上を走るバスである.一応案内軌条の軌道扱い(要するに電車の仲間)であるが,バス専用道を走るバスであることに間違いない.
高架なので,乗り降りが少々面倒であるが,走ってしまえば信号待ちはないので,スムーズではある.
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しかし,見てのとおり,高架構造物を作らなければならないので建設費が高く,「ペイするか」という視点が導入された途端に急速に意気消沈してしまうようなシステムであり,ここ以外には話は続かない.軌道法適用条項を外せば部分的な導入は効果があると思うが,残念ながらお役人様の頭はさほど柔軟ではない.ガイドウェイバス自体はBus Rapid Transitの要素をかなり満たしており,あとは使い勝手の面を拡充すれば十分にBus Rapid Transitである.日本の自称BRTは「安かろう」が前面に出すぎて,何を満たせば便利に使ってもらえるのかの検討が不十分だと思うのは気のせいか?BRTの基準て何だったっけ?

日本に本物のBRTは出来るか?(台北編)

写真は台北の中心市街地におけるバス専用レーンの状況である.
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一般車線はかなりの交通量であるが,バスレーンには一般車両の混入も無く,スイスイ.これなら鉄の線路が無くても十分なのかもしれない.こういう施策は,灯台もと暗し,名古屋がお手本だったりするケースも多い.
確かにこれなら「Bus Rapid Transit」を名乗ってもいいだろう.日本のBRTの定義って何だったっけ?

日本に本物のBRTは出来るか?(完璧なバリアフリー)

フランスのナントのBRTに使われている連節バスの出入り口である.
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客のいるところは路面では無くプラットホームである.全ての出入り口ではなく一部だけだが,ドアが開くと同時にスロープが自動で出てくる.ここまですればLRTとバリアフリーの程度はほとんど変わらない.もちろん,信用乗車方式なので車内を大旅行する必要もなく,乗ったドアからそのまま降りられる.
ちなみに,路面電車の近代化版LRTの場合は下の写真のようだが,使い勝手は大きくは変わらない.
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日本の「バリアフリー対応バス」はノンステップバスといえども必ず最初に段があり,手動で板を出してもらって渡してもらわない限り,一人では乗車することはできない.だが,写真のようなシステムなら人手を煩わせる必要がなく,気兼ねなく(心理バリアなく)乗降できる.
これなら鉄輪かゴムタイヤかを気にする必要はない.ところで,日本の「BRT」の定義って何だったっけ?

日本に本物のBRTは出来るか?(優先信号)

フランスのナント市のLRT4号線ことBRTシステム「Busway」である.郊外方向に行くと,一般道の中央に専用レーンが設置されているところがある.ただし,見てのとおり,明らかに専用であることがわかるようなインフラである.視覚効果を狙ったものというよりは重量級のバスが通過することに対応して舗装が強化されているのではないかと思われる.分離帯が無いが,一般車の走る車線よりは若干路面そのものが高くなっているようである.
さて,写真は交差点部であり,鉄輪式のLRTと同じく赤青黄色の信号機とは別に縦棒横棒式の専用信号機が設置されているが,おもしろいのは交差する側の道路に対して「踏切警報器」があることだ.2枚の写真の違いがわかるだろうか? 縦に2灯並んだ赤色灯が交互に点滅している.ナントのBRTには踏切がある.つまり,BRT側が完全な優先権を持っているということであろう.それに比べて日本のPTPSは何と控えめなことか…
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確かに,これほど確実な優先信号なら平均速度は高いだろう.これならBus Rapid Transitである.そういえば,日本の「BRT」ってどういう定義だったっけ?

LRTを使ってみよう(PARK & RIDE編)

郊外から車で来ると,中心街は逆方向,「P+電車」は右へ曲がれという看板が出る.
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そのまま標識に従って「P+電車」方向に進むと…
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駐車場付きの電停があらわれる.
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ここから電車で中心街方向へ.
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なお,同じように写真を撮っていた地元のオッサンによると,ここの電車が雪景色の中を走るのは滅多にないらしい.彼曰く「おまえらラッキー」
2013年3月下旬,英国Nottinghamの様子.

LRTを使ってみよう(PARK & RIDE編)

郊外から車で来ると,中心街は逆方向,「P+電車」は右へ曲がれという看板が出る.
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そのまま標識に従って「P+電車」方向に進むと…
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駐車場付きの電停があらわれる.
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ここから電車で中心街方向へ.
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なお,同じように写真を撮っていた地元のオッサンによると,ここの電車が雪景色の中を走るのは滅多にないらしい.彼曰く「おまえらラッキー」
2013年3月下旬,英国Nottinghamの様子.