東海道新幹線で大地震に備えて脱線ガードを取り付ける工事が進行中なのは有名だ.
九州新幹線も,一部で脱線ガード取り付け中の模様.
走行中の車内から線路を写すのは結構難しくてボケボケだが,これってそうだよね.
阪神淡路大震災から21年.当時は首都機能移転が議論されていたが,その時期に大震災が発生して,六千数百人の方が命を落とした.東京どうする?という話が出た.
そして,のど元過ぎれば熱さ忘れる.
「阪神淡路」から16年が経過し,東日本大震災が発生.二万人近くの方が命を落としたり行方不明になったりした.再び,このままで東京大丈夫?という話が出て,首都機能バックアップ論が出た.
そして,もうすぐ「東日本」から5年.
のど元…… … … ネズミと日本人,どっちが学習能力が高いだろうか.多少の機能分散の話は出てきたが,それでほんとに大丈夫か?
文字通り命をかけて仕事に励んでいらっしゃる東京勤務の皆様,文字通り命をかけてご家庭を守ってらっしゃる皆様,お疲れ様です.
こんな夢を見た.
やはり起きてしまった.大中小の順番でやってくると言われている南海トラフ系の地震,今回は300年ぶりの「大」の番のようである.紀伊半島沖を震源として大規模な震源域がまず東に広がり,次いで東海地震が間髪を置かずして発生,M8クラス後半のようだ.そして数分後,揺れが収まりかけたその瞬間,今度は紀伊半島から西側へと震源域が広がり,さらに日向灘,沖縄方面へと岩盤破壊が進んだ.全部あわせてM9クラスか?紀伊半島の各市町村とは連絡が取れない.四国方面の太平洋岸も同じようだ.
何とか,リニアの東京-名古屋間は開業していたので,迂回ルートの確保はできた.だが,太平洋岸の発電所が停まっているところが多く,所定の本数が走らせられない.捌けない旅客は北陸新幹線経由で移動しているようだ.東海道新幹線は,やはり浜名湖付近の被害が大きい.砂地盤なので,津波と大振動のために地形そのものが変化してしまっている.こうなる可能性は1964年の新幹線開業時からだいたいわかっていたので,国鉄時代に無理をしてでも対策をしておけばという後悔があるが,今さら言っても仕方がない.
この西日本の震災発生から2ヶ月ほどして,何年か前から活発化していた富士山がついに噴火しそうである.大方の予想に反して山頂や宝永火口や南東の側火山ではなくて北東側の側火山が怪しい.リニアが通っている都留市付近まではやや距離はあるので火砕流は大丈夫だが,降灰がどの程度あるか楽観できるような状況ではない.多量の場合は火山灰除去のためにリニア求めなくてはならないかもしれない.
地域振興を裏目的として制定された副首都は結局大阪になっていた.震災前は順調に機能し,関西活性化に役立っていた.だが,今般の南海トラフ地震に伴う大津波は太平洋岸各地を襲うだけでなく,紀伊水道から大阪湾まで入り込み,淀川や大和川流域まで入ってきた.もちろん,大阪の中心街にも入ってきた.
もとより海抜の低かった大阪平野の海岸沿いでは浸水被害が大きく,大阪市内の主要な地下街は水没している.遮水対策はしていたが,全ての浸水経路を防ぎ切れていなかったため,当分地下施設は使えなさそうである.地下変電所もやられたので,大阪市内のかなりの部分で電気が使えない状態になっている.オフィスが機能しないので,市内に立地した副首都機能も満足に動いていない.地域活性化ばかりに目を奪われて,国土のリダンダンシーのことを後回しにしたツケが回ってきた.日本はぼろぼろの東京首都圏でなんとかしなくてはならなくなってしまった.
首都もぼろぼろ,主要国土軸もぼろぼろ,瀕死の状態になってしまった.国籍不明の偵察機が頻繁に上空を横切っているが,もはやそれをなんとかする力も残っていない.一寸先しか見ずに先見の明の無い指導者に導かれた結果がこれであった.
…というところで目が覚めた.
こんな夢を見た.
東京オリンピックに浮かれていた熱もさめやらぬ20xx年,悪夢の一つ目が起きてしまった.首都直下地震である.大量の帰宅難民が出たことはもちろん,地盤の軟弱な密集市街地で発生した火災が猛威をふるい,大災害になってしまった.
比較的近年に建設したビルなどは持ちこたえたものの,首都東京には多数の古いビルや家屋があり,倒壊,火災等おびただしい.地震の規模は阪神淡路大震災程度あろうか.中心部の官庁街をはじめとするオフィス街そのものは助かったが,古くから更新されていなかったインフラ類——上下水道や初期の地下鉄・高架鉄道など——は倒壊したり致命的な破損が起きたりで使えなくなったものが多い.住宅を失った人も多く,仕事どころではない.住宅が残った人も通勤手段が限られていて,日々の生活が著しく非効率になってしまった.知人親類等が被災した人も多く,直接の被災を逃れた人々も仕事が手に着かない.
あれほど首都機能の移転やバックアップについて検討してきたものの,ほとんど実行されていないので日本全体が機能不全になってしまおうとしている.オリンピックに浮かれている場合ではなかった.今さら言っても仕方がないが.怪しい国籍不明の艦船や航空機が近海をウロウロしている.
東京駅へ達する在来線や地下鉄が機能しないので,東北上越北陸新幹線は大宮で折り返し運転である.東海道新幹線も小田原で本線を引き上げ線にしながら折り返している.リニアはかろうじて開通した直後で,インフラそのものは被害が少なかったが,電気系統や通信系統が不十分で満足に運転できない状態になっている.そもそも,アクセス交通が動いていない.
道路も首都高速の何カ所かで落橋があり—防止装置があったはずだが不良品があったようだ—ネットワークが十分機能していない.国道等の一般道は大渋滞だ.
結局,阪神淡路大震災の教訓はどれほど活かされただろうか.復旧復興作業に入り始めたその時,泣きっ面に蜂の事態が起きた.
専門家の大方の予想どおり,紀伊半島沖を…
ここで目が覚めた.
副首都のロケーションのお話,今回が最終回である.
今回は,かつての首都機能移転候補地との比較である.副首都ということは,首都機能のバックアップを行う機能であるので,かつての首都機能移転候補地がそれに適している可能性が高い.すでに全国で数カ所が選定されるところまでは話が進んだ.
チェックポイントは東京都の同時被災の可能性がないか,単独での被災の可能性はどの程度か,新たに都市機能一式を1からそろえなくても既存の都市集積の機能を活用できるか,近傍の既存の都市の肥大化を招かないか,広域的なアクセスに不便はないか,などである.
【ロケーション】
具体的には「栃木・福島地域」「岐阜・愛知地域」が既に選ばれ,リニア新幹線を想定した交通整備を条件に「三重・畿央地域」も選ばれている.
栃木・福島地域は、概ね栃木県大田原市、黒磯市、那須町、西那須野町、塩原町、福島県白河市、須賀川市、表郷村、東村、中島村、棚倉町、石川町、玉川村、平田村、浅川町にわたる地域である。
つまり,東北新幹線沿線のこの範囲あたり,塩原盆地から白河盆地あたりである.
岐阜・愛知地域は、概ね岐阜県多治見市、瑞浪市、恵那市、土岐市、可児市、御嵩町、笠原町、愛知県豊田市、藤岡町、小原村、足助町、旭町にわたる地域である。
つまり,愛知県東部〜岐阜にかけてのかなり広範囲な地域である.
三重・畿央地域は、概ね三重県津市、上野市、鈴鹿市、名張市、亀山市、関町、河芸町、伊賀町、島ヶ原村、阿山町、大山田村、青山町、滋賀県水口町、土山町、甲賀町、甲南町、信楽町、日野町、京都府南山城村、奈良県月ヶ瀬村、山添村にわたる地域である。
つまり,三重県中央の山間部〜京都府南部の山間部にかけての広範囲な地域である.
【地震リスク】
いずれも密集地帯ではないので用地確保はできるとして,まずは災害,特に地震の面である.今回も,以前に参照したこのファイルを見ながら話をしよう.詳しい震度については,こちらのサイトの方が便利である.
栃木福島地域は,首都機能移転地の議論をしていた当時はともかく,今となってはここを移転先にしなくて良かった感が無いではないが,現状における今後の状況を見ると,震度6弱以上の地震が30年間に発生する確率は,3から6%の範囲が比較的多く,大阪周辺の各地と比べると京阪奈丘陵の西側区域が同程度であり,それ以外の大阪近辺の地区よりもこっちの方がマシである.
岐阜愛知地域については,首都機能移転候補地選定をしていた時代に比べて東海地震の想定震源区域が名古屋市に近い場所までかかるようになったことも影響して,震度6弱以上の地震が30年間に発生する確率は,6%を越えており,26%超の区域も多い.今となっては首都機能移転候補地としては地震の面では今ひとつである.大阪周辺の各地と比べると,大阪湾の埋め立て地は論外として,多くの選定地と同程度の危険度である.京阪奈丘陵がややマシである.
三重畿央地域については,伊賀市付近でややリスクが高く,全般的に伊勢湾に近い地域でのリスクが高いが,それ以外については京阪奈丘陵と同程度になっている.伊勢湾岸に近い地域は大阪周辺の多くの選定地と同程度の危険度である.
ということで,概ねであるが,安全な順に…
栃木福島≧京阪奈西≒畿央>京阪奈東≧大阪周辺各地≒岐阜愛知≒畿央東>大阪湾
【首都との同時被災】
東京都の同時被災の可能性については,首都圏直下地震との同時被災の可能性自体は各地ともほとんど無い.だが,南海トラフ地震については首都圏直下地震と大きな間を置かずに連続して発生する可能性が否定できないため,実質的に同時被災になる可能性がある.そうすると,栃木福島地域を除いて地震のリスクの高い地区(リンク先のサイトでの地震カテゴリーⅠ)は,それはすなわち首都圏と同時被災の可能性が高い地区ということになる.そうすると,概ね上に書いた順はあまり変わらない.
栃木福島≧京阪奈西≒畿央西>京阪奈東≧大阪周辺各地≒岐阜愛知≒畿央東>大阪湾
【都市機能活用】
近隣の都市機能を活用できるかという観点では,栃木福島地域は,首都圏まで結構遠く,そもそも首都圏が機能しない場合に活躍しなければならない都市なので,あまり期待できない.郡山が比較的近いが,高度な都市機能の活用という点では課題がありそうである.
岐阜愛知地域については,名古屋がさほど遠くなく,活用できる.しかし,前述のように名古屋は東海地震の想定震源域上になってしまっており,首都圏との実質的な同時被災の可能性を否定できず,やはり課題が残る.
三重畿央地域については,東部については名古屋依存,西部については京阪神圏依存である.名古屋依存については岐阜愛知と同様の課題があるが,西部については南海トラフ系の地震による京都の壊滅的な被災はないと思われるので幾分マシである.
都市機能活用という点では,こうではなかろうか.
大阪周辺各地≧大阪湾>京阪奈西≒畿央西>京阪奈東≧≒岐阜愛知≒畿央東>栃木福島
【広域アクセス】
栃木福島地域は,東北新幹線や東北自動車道沿線であり,一応高速交通は整備されているが,日本海側には出にくく,西日本へのアクセスも課題が多い.空港は福島空港まで1時間ちょっとといった距離であるが,国際便が多数発着できるような空港ではない.
岐阜愛知地域については,リニアができれば沿線になるとともに,中央自動車道もある.中部国際空港も1時間ちょっとである.だが,首都直下地震と南海トラフ地震がほぼ同時に発生した場合を考えると,名古屋を経由してのアクセスが難しくなる可能性があり,長野方面にしか出られなくなる可能性がある.
三重畿央地域については,リニアの沿線になる可能性があるとともに,新名神高速もある.東部については名古屋依存で中部国際空港が近く,西部については京阪神圏依存で関西空港が近い(が,いずれもやや遠く,程度問題).名古屋依存については岐阜愛知と同様の課題がある.
ということで,広域アクセスについては,こういう感じだろうか.
大阪周辺各地≧大阪湾>京阪奈西≒畿央西≒栃木福島>京阪奈東側≧≒岐阜愛知≒畿央東
…ということで,大阪以外ならリニア前提で畿央地区の西側,大阪周辺なら関空アクセス整備前提で京阪奈丘陵あたり,という結論になるかな.
ほらね,センス無いだろ?
内閣府の専門家検討会は17日、南海トラフ巨大地震が発生した場合、東京、大阪、名古屋の3大都市圏の超高層ビルが、最大6メートル揺れる可能性があるなどとする予測を初めて公表した。
いや,読売新聞の記事がセンス無いんじゃなくて,大阪の港湾地区の超高層ビルに大阪府庁の一部機能を移してしまったということ.よりによって,一番ひどい箇所に.
ONE OSAKAの都市計画・交通計画は妥当な案か(防災強化編)
大阪は副首都になれるか(用地確保編)
大阪は副首都になれるか(地盤編)
一部の政治家の方は,専門家の意見を無視するのがかっこいいと思い込んでいるようだが,重大事が起こって割を食うのは府民なので念のため.府庁が機能しないと,多くの死人が出ることもありますのでね.
#ガーガーがなり立てるトップの場合,いろいろと忠言したい人がいたとしても黙っちゃうよね.府庁にも(市役所にも)事情のわかった専門職がたくさんいるはずなんだけどね.
前々回は副首都の立地場所として,平常時における大阪は悪くないという話であった.前回はまとまった土地がどこにあるかの話であった.
今回は,大阪市および前回取り上げた地区の地震動の話である.副首都は地域振興策では無く,非常時—特に首都直下地震や南海トラフ地震—におけるバックアップ機能を果たすことが期待されるため,地震で機能停止するような場所には設けられない.首都直下地震と南海トラフ地震は事実上連動する可能性もあるので,東京以外ならOKというものでもない.首都が機能停止している間に南海トラフ地震が襲うという最悪シナリオであっても対応できるのが副首都の要件である.
さて,以前にも参照したこのファイルを見ながら話をしよう.昨今の建築・建設技術等の発達に伴い,震度5台では大きな都市災害は起こらなくなってきているので,震度6弱以上あるいは震度6強以上で見てみよう.詳しい震度については,こちらのサイトの方が便利かもしれない.
まずは大阪府下である.
【大阪市中心部&夢洲】
震度6弱以上で見ると,ほとんど真っ赤(30年以内確率26%以上),つまり大阪市の中心部には逃げ場が無い状態である.夢洲も同様.震度6強以上だと,地下鉄堺筋線と谷町線附近の南北に長い地域—すなわち上町台地が若干マシで30年以内確率3%以下になっている.つまり,大阪市内は対地震の観点では非常に心配だが,敢えて言えば上町台地がマシ,ということである.上町台地の庁舎を放棄して府庁を埋め立て地に,というのは災害リスクの観点では論外ということ.なお,30年以内に3%の確率で震度7に見舞われる地区は大阪市内では京橋駅北方や住之江区の一部のようであり,このへんは特に避けた方がよさそう.
【伊丹空港付近】
地震に関しては概ね大阪市内の上町台地と同程度のようである.ただし,大阪空港の西側の猪名川に近いあたりは大きな震度に遭遇する確率が高めのようであるので要注意.中国豊中インター付近も地震リスク高め.
【万博記念公園付近】
ここは伊丹空港付近に比べて,さらに半段〜一段,地震リスクが低くなる.震度6弱以上では伊丹空港付近と同程度だが,震度6強以上だと色が1段薄い.他の視点での結果も同様の傾向だ.
【陸上自衛隊信太山演習場附近】
ここは,地震のリスクに関しては万博記念公園付近と伊丹空港付近との中間的な度合いのようである.大阪市内よりはマシだが,決定的にリスクが低いわけでは無い.
…ということで,大阪市内は論外として,府下では万博記念公園あたりが無難そうに見える.続いて大阪府以外についてである.
【巨椋池跡地附近】
なんとなく予想はしていたが,大阪市内と同レベルの地震リスクである.上町台地の方がマシ.沼地の干拓地であるので,足下はズブズブということだろう.堆積物が厚く層をなしているのかもしれない.ここは開発はしやすそうだが,対災害を考えると重要拠点には向いていなさそう.
【陸上自衛隊祝園分屯地附近】
ここは万博記念公園と同程度のリスクのように見える.ただし,分屯地を超えて開発する場合は要注意で,東側の木津川方向は地震のリスクが急に大きくなる.逆に西側の京阪奈丘陵の地震リスクは大阪付近の開発可能な地域の中では低い部類である.
【陸上自衛隊長池演習場附近】
ここは祝園分屯地よりもさらに若干ではあるが地震リスクが低そう.京阪奈丘陵と同程度だろうか.
…ということで,大阪付近でまとまった土地があり,なおかつ地震のリスクが低めのところを探すと,万博記念公園付近か陸上自衛隊祝園分屯地附近の京阪奈丘陵,あるいは陸上自衛隊長池演習場附近あたりということになる.
前回は副首都の立地場所として,平常時における大阪は悪くないという話であった.今回は「大阪に副首都としての機能を受け入れる空間はあるのか」という話である.要するに用地確保の問題である.
すでにNHKや日銀といった一部の機関は非常時に大阪で全国的機能を代替できるように準備しているという話があったかと思うが,最も重要なのは日本政府そのものの各省庁等をはじめとする機関である.これら機能とほぼ同じものを大阪に立地させるには,(ハコモノ云々という話はあるものの)やはりある程度のハコは用意しなければならない.
東京の霞ヶ関地区(およびその周辺の官庁街)と同程度の面積が確保できるかどうかが一つの目安だろうか.概ね1.5-2㎢程度か.
以下,地図のスケールは全て同じである.
【夢洲案】
大阪府下で探してみると,まず考えられるのは大阪湾の埋め立て地である.大阪湾の埋め立て地である咲洲や舞洲には既にいろいろと立地してしまっているので,夢洲なら今のところがら空きである.「統合型リゾート」と称するカジノ候補地でもある.面積的には十分広い.
だが,カジノはともかく隣の咲洲の高層ビルを大阪府庁舎にしようとして失敗したという黒歴史(長周期地震動に弱かった)がある.津波は大丈夫かな? その上,交通アクセスも今のところ道路が1本,ヒミツの地下鉄トンネルが1本という状況なので,かなり不便である.決定的なのは広域交通の弱さで,新幹線駅まで40-50分以上かかる.
【伊丹空港案】
これについては,ずいぶん前から伊丹空港を廃港にして跡地を首都機能移転先にする構想がある.
航空ネットワークの関空への完全集約が必要なので,”口撃”されている通常型新幹線の関空乗り入れが必要であるばかりか,この地区から関空へのアクセス交通整備が必須である.JR宝塚線や阪急伊丹線,阪急宝塚線など通勤鉄道線が近隣に複数あるほか,山陽新幹線も近いので路線をちょっと曲げれば新幹線駅を設置することも困難では無い.高速道路も至近である.大阪や阪神圏の市街地にも近い.ただし,ここを転用してしまうと京阪神圏の空港は全て海岸地帯になり,地震災害時には同時に空港が使えなくなる可能性がある.
【万博記念公園案】
結構便利な位置だが,公園をつぶすことにはいろいろ意見が出そう.
高速道路は至近であり,モノレールや通勤鉄道もある.万博開催期間中には地下鉄が臨時で延伸されていたこともあるので,その気になれば地下鉄もOKであるほか,阪急千里線も近い.新大阪はやや遠いので,東海道新幹線をひん曲げるか,これからつくるリニアの経路をひん曲げるかする必要があるかも.空港は大阪空港まで割と近いものの,関空へのアクセスの課題は多く,迅速な移動が難しい.
【陸上自衛隊信太山演習場案】
やや南北に細長いが面積はある.自衛隊の移転が必要.
近隣に阪和線や泉北高速鉄道線があるので,通勤輸送の確保は何とか可能そうに思える.高速道路はすぐ横を走っている.だが,広域アクセスは課題が多く,新大阪は結構遠いため,リニア新幹線を延伸してここまで引き入れるか,例の”口撃”されている通常型新幹線の関空乗り入れ線をこの地区経由にする必要があると思われる.山陽新幹線方面からは,なにわ筋線を新幹線対応で建設してここまで直通させる必要がある.
以上が大阪府下のまとまった土地であろう.いずれも一長一短である.
神戸〜阪神都市圏方面では,まとまった土地が無さそうなので,東方向で探してみる.
【巨椋池跡地案】
大阪市の北東で京都市の南方,木津川,宇治川,桂川の三線が合流する地点の東側であり,かつては巨大な池があった地区である.現在は干拓されて広大な田んぼになっている.
通勤鉄道は京阪と近鉄が近傍を走っているので,その気になれば線路を敷きかえることは可能であろう.高速道路は東西南北に走っているので問題無し.広域アクセスの面では,新幹線駅がやや遠いので(奈良の人には叱られそうだが)ここを副首都にするならリニアはここを通した方がいいだろう.だが,空港については伊丹,関空ともに遠く,北陸新幹線を大阪につなぐ際の経由地としてこの地区を指定した方が良いと思われる.だが,最初に書いたように,この土地はもともと淀川水系の三線合流地帯の巨大沼地であったところなので,地盤が良いとは言いがたく,水害の危険性も高そうなので,あまり高度な利用には向いていないと思われる.
【陸上自衛隊祝園分屯地】
河川近くの沼地がダメなら,じゃぁ丘陵地はどうだろうか.上の巨椋池から10-20kmくらい南に行くと京阪奈丘陵というほぼ手つかずの丘陵地帯がある.その中の国有地はというと,大面積なのはやはり自衛隊がらみである.
ここを転用するには自衛隊の移転先が必要である.近隣の丘陵地帯も手つかずに近く,大面積の確保はしやすい.通勤鉄道は周辺に複数あるが,支線等の延伸は必要である.いずれの線も高速運転向きではないので,大阪市内までは時間がかかる.既存の新幹線駅は遠いので,これからつくるリニア駅はここへのアクセスを念頭に設置する必要がある.奈良市にも近いのでリニア奈良駅とすることもできる.また,北陸新幹線を大阪につなぐ際の経由地としてこの地区を指定した方が良いと思われ,一部の試案にあるように,北陸新幹線と関空アクセス新幹線を接続して空港アクセス鉄道とすることが有効と思われる.
【陸上自衛隊長池演習場】
祝園の近くには長池という演習場もある.ここは他よりやや狭い.
演習場の移転先が必要という点を含めて,上の祝園とよく似た状況である.通勤鉄道はJR奈良線くらいしかない.
以上のように,大阪湾の埋め立て地と巨椋池の埋め立て地とは論外として,大阪府下および周辺にはいくつか候補地はありそうである.
さて,年末になってきたので,今年の重大ニュースを振り返ってみよう…と言いたいところだが,単に振り返ってもつまんないので,年始に見た夢が正夢だったのか,逆夢だったのかをチェックしてみよう.まずは,リニア編である.
こんな夢を見た.その夢の中では,リニアの東京-大阪間はもちろん完成している.使いにくいと言われた品川駅はサブターミナル化し,リニアは東京駅に乗り入れている.あまりの所要時間の差があったため,東海道新幹線を使う人が少なくなり,東京駅には14-19番線の6線も必要なくなった.そこで14-15番線だけ残して残りはリニア用ホームに改造されている.14-15番線も東北新幹線と直通できるように配線変更されて首都圏内はスルー運転されており,もはや東京行きあるいは上野行きなどと言った新幹線は珍しくなっている.
リニアの大阪延伸(同時開業)の話は,残念ながら進んでいない.政治家の皆さんは「同時開業」を異口同音に唱えるが,誰も具体的かつ有効な策は打ち出せていない.最近,コンセッション方式なる方法を唱える経済学者もいるが,それって当サイトで1年半以上前に書いた方式の一つ(No.1)だよね.他にも案があるよぉ.
リニアの東京側ターミナルに関しての計画の進化はないので,「初夢」が正夢か逆夢かの判別はついていない.東北新幹線系統と東海道新幹線系統のスルー運転も,見えていない.技術的にはそんなに難しい話じゃないんだけどね.
続いて…
致命的な被害はなかったものの,首都圏でM6クラスの直下地震が発生したことを機に首都機能の本格的な受け皿を関西に求めることになり,ある程度まとまった土地が探された.その影響もあり,リニアの名古屋以西ルートは京都と奈良で揉めていたが,京都でも奈良でもない場所にリニア駅ができることになり,同時に副首都駅になった.副首都機能の稼働開始間もなくして大地震と大津波が太平洋岸を襲い,静岡県下の東海道新幹線の海岸に近い区間では復旧に数年以上の期間を要する被害が出ている.新幹線の線路を内陸に付け替えるべきかどうかで議論が出ているようだが,結論は出ていない.
幸い,今のところ首都圏の直下大地震は発生していないので「正夢」にはなってはいない.がしかし,大地震の危機は過ぎ去ったという話は聞かれない.2011年からもうすぐ5年,そろそろ「のど元過ぎれば熱さ忘れる」ような状態になりつつある.
リニアの名古屋以西についての進展はないので,ルートについても(表面的には)何も進んでいない.「副首都」に言及する政策案を提言する政党も出始めているが,現時点では防災を意識しているのかそれとも関西の振興策なのか判然とせず,目的がぶれたレベルにとどまっている.
首都圏直下地震と南海トラフ地震は独立事象ではなくて連動する可能性が否定できないが,現中央政府は有効な対策を打ち出せないまま5年を消費してしまおうとしている.大阪地方政府も数年を消費したが,かけ声の勇ましさに比べて成果は少ない(というか,「黒歴史」に近いプロジェクトがいくつかあった).
それから…
終点は大方の予想どおり新大阪駅になった.関西空港への延伸の要望はあったものの,空港アクセス客を運ぶほど線路容量に余裕がなるわけではないことが分かってきたため,関空アクセスの改善は別の方法が採用されることになった.航空ネットワークと鉄道ネットワークの結合政策の影響もある.
リニアの西進に手が着いていないので,リニア大阪駅の位置も公式には出ていない.関空アクセスリニア案がお話にならないのは,「夢」を検証するまでもない.
さらに…
リニアは500km/h運転で営業開始されたが,開業後も数々のデータやノウハウが蓄積し,もう少しスピードアップできることが分かってきた.東京-大阪間67分であったものをほんとうに1時間で結ぶべく,600km/hでの営業運転が検討され始めており,試験運転では700km/hも記録されている.
リニアの速度向上の話は現時点ではまだ時期尚早のようであり,「正夢」には至らず.
リニアの完成により三大都市圏のリニア駅の拠点性が高まったので,全国的な幹線鉄道網の再編の気運が盛り上がってきており,同時に便利な鉄道網と航空ネットワークの結合も実現しそうである.
これについても,何の議論もされておらず,この国には幹線鉄道のまともな国策は無いようである.
つづく
引き続きこれである.残る項目については,重複が多いので,まとめて記述.
「5.二重行政の根絶」
副首都、国際エンターテインメント都市”OSAKA”を実現するためには、大きな投資が必要であり、1円の税金も無駄 にできません。二重行政は典型的な無駄です。現在、二重行政の解消は、大阪会議における“話し合い”がまったく機能 しないまま、依然として二重のままになっています。あらゆる手段を使って二重行政の解消に正面から取り組みます。
まず,副首都の部分であるが,本当に国家の重要機能を大阪に配置する場合には,それは国家事業になるので基本的には地方自治体である大阪府や大阪市の支出を当て込むようなものにはならないでしょう.なので地方による「大きな投資が必要」ではないと思いますけど.
それから「国際エンターテインメント」実現を目指す場合は,エンターテインメントの基本的な部分は「民活」じゃないかと思いますが.
「6.大阪を豊かにする「1.」から「5.」を実現するための統治機構改革」
副首都大阪を確立するためには、大阪に強力な行政機構が必要です
副首都は国家機能なので,強力な行政機能が求められるのは副首都機能そのものであり,大阪府(や市)が首都機能を果たすわけではありません.東京都は都市としては首都ですが,地方行政府としての東京都が日本を牛耳っているわけではありません.
もっとも,副首都が防災を強く意識したものであるのなら,地理的に淀川河口付近に位置する大阪市が適切な場所かどうかは,かなり慎重な議論が必要ですね.
「9.市町村への権限委譲」
事務事業を移管する場合には,関連する財源も移さないと,移された側は「仕事だけ降ってきた」という状態になりかねませんが,大丈夫???
「12.市民サービスの充実(大阪市)」
(1) 公共施設の避難所機能強化
(2) 密集市街地対策の推進
(3) 南海トラフ大地震への対策
(4) 要支援者の把握サポート
具体的に何しようとしているんしょうか.防災の専門家が怒ってるんですけど.
在阪マスコミは,そろそろ社会部だけじゃなくて政治部を創設した方がいい時期に来ていると思う.それとも「長いものには巻かれろ」か? ならばネット上の”便所の落書き”の方がマシだな.
(あーこわいこわい.)