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【祝】鉄道開通142年

例のメロディーであるが,実は以下の歌詞であるとの未確認情報もある.
※バブル期の「ひかり号」始発駅発車&終着駅到着時のメロディーに合わせて
(もしくはJR東の品川駅15番線の発車メロディーに合わせて)…

  • (♬)汽笛一声新橋を
    (♬)はや我が汽車は離れたり

※これについても,真偽のほどはナゾである.

弾丸列車計画の駅選定とリニア計画

東海道新幹線計画の祖先こと弾丸列車計画.正式には「新幹線計画」と言ったらしいが,最近刊行された書籍を読んでいると,どの都市とどの都市を結ぶべきか,つまり駅選定の際に考慮した事項が載っている.
大きく,3つの事項が考慮されていることがわかる.

  1. 輸送的観点…発着旅客数や貨物量
  2. 社会事情的観点…下記参照
  3. 現在線急行列車の停車駅…まぁ,つまり当時の実績ですね

2つ目の社会事情的観点については以下の項目が列んでいる.

  1. 人口
  2. 経済事情…生産力,海運移出入
  3. 政治事情…選挙区,議員数,官庁の分布状況
  4. 文化事情…大学や専門学校の設置状況
  5. 観光…観光地の状況
  6. 軍事…師団や旅団の司令部等の配置
  7. 交通事情…接続路線や後背勢力圏など

軍事はともかく,他は幹線鉄道計画としては至極当然の項目が列んでおり,これらをもとに東京〜下関間で20駅が選定されている.当時の列車の想定速度は150km/hであった.戦後,この計画は200km/h運転の東海道新幹線プロジェクトに引き継がれ,原案が鈴鹿山脈越えであったものを米原経由に変更した上で建設されている.元の検討の前提条件は150km/h運転,実際には200km/h運転なので,概ね+30%である.
さて,リニア中央新幹線計画については,1973年に決められた250km/h運転を想定した中央新幹線計画のルートを踏襲している.引き継ぐにあたって速度が250→500km/hと+100%になっており,ほとんど別物の交通機関になっているのだが,基本的なルート選定については「1973年の基本計画に書いてあるから」で済ませてしまっている.ホントにそれでいいのか?
ちなみに,東海道新幹線開業直前のビジネス特急こだま号は110km/hなので,200km/h運転になることでほぼ倍.つまりリニア新幹線プロジェクトは東海道新幹線登場時と同程度の速度引き上げ比率なのだが,500km/hという超超高速運転の乗り物は日本国のどことどこをどこ経由で結ぶべきなのか,まともな議論はされていない.
250km/h運転想定の計画を,+30%程度の320km/h程度のプロジェクトとして引き継ぐのであれば,さほど問題はなかったんだけどね.倍半分だとさすがに誰でも気づくほど差があるよね.

国土強靱化-幹線鉄道網でありそうな事態

リニア新幹線が整備される理由は,東海道新幹線だけに頼っていると南海トラフの地震で東西間交通が途絶すると困るから,ということになっている.資金の制約から,とりあえず2027年までに東京-名古屋間を開業,というのは今やよく知られているお話し.
一方,その先の大阪までについては,これまた資金の問題から2045年開業予定ということになっている.
ところで,「2020年,東京オリンピックばんざーい」によってすっかり影の薄くなった南海トラフ地震であるが,その発生確率は30年内に70%だとか80%だとか言われている.オリンピック開催が決まったからと言って,発生を数年待ってくれる,なんてことはあり得ない.そういえば,2011年の東北の地震が発生するまでは,次の南海・東南海地震は2035年頃,とか良くいわれてなかったっけ?
実際の発生時期は神のみぞ知る世界であるが,もっとも危惧される事態は,ほんとに2035年頃に南海トラフ大地震が起こってしまうことである.つまり,リニアが名古屋暫定開業状態で,北陸新幹線も大阪まで達していない状態である.
リニア自体はこれから建設される構造物なので,対災害については細心の注意を以て設計され建設されるが,問題なのは東海道新幹線である.補修工事が既に現時点で開始されているとは言え,静岡県下の震度7地帯,愛知県下の震度6地帯を長距離にわたって通過するので,東からリニアで名古屋まで到達できても,その先の西に行くすべがない,という事態が生じうる.
北陸新幹線も中途半端な位置で建設が止まっていたとすると,東西間移動に北陸新幹線と在来線を乗り継がなければならなくなったりで,不便この上ない.
さらに関西とってもっと悲劇なのは,この事態でリニアの西進が大幅に遅れる可能性がある.大地震が発生して東海道新幹線が途絶した場合,誰が復旧させるかというと・・・もしかしたら鉄道会社は「国の災害復旧費用で」と考えているかもしれないが,最大200兆円の被害である.国は各種の復旧工事と支援でカネが無くなるであろう.そうすると「余力があるなら新幹線の復旧は鉄道会社の自力で・・・」という話になりかねない.その東海道新幹線の復旧費用の財源はというと,元々はリニアの関西延伸に使うはずだった資金を転用ということになるだろう.
かくして,2045年リニア全線開通は大幅延期,というシナリオが発生しないでも無い.北陸新幹線を早期全通させるか,リニアを早期全通させるかしない限り,ありそうな事態だと思うのは私だけだろうか.最悪の事態は最悪のタイミングでやってくる・・・かも.

完成したのに未使用の超高級インフラ

普通なら,会計検査院がすっ飛んできて大目玉ということになりそうな話のはずだが,完成したのに使っていない超高級インフラが存在する.
それが,これ.
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そう,瀬戸大橋.えっ,もう二十数年前には使われはじめてるってか? よーく見てみよう.
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わからない? じゃぁ,これは?
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線路の左側(外側)の空間が妙に広い.おまけに台座のようなものも見える.つまり,「新幹線用地」(というか新幹線用空間).せっかく確保した新幹線用の空間である.使わないのはもったいない.16両フル編成がすれ違えるだけの荷重設計がなされており,その分,橋自体もゴツくなっている.なのに,使われていない.
何がもったいないかって言うと,せっかくつくったのに,使われずに放置されているインフラほどもったいないものは無い.
意味が分からない人は,明日,かーちゃんが作った食事に手を付けずに捨てたり,他のものを食べたりして見ろよ.身にしみて分かるぞぉ.
IMG_0614おまけ.上の写真は珍しいレールの継ぎ目である.橋の伸縮に合わせて,レールも伸縮する仕掛けである.ここ以外では,広電の「天満橋」で見たっけな.
#まだ旅立ってないので,これは「自動投稿」ではありません.

リニア大阪開通で神戸が京都と似たような条件になる件

リニアが大阪まで開通するにあたって,京都が危機感を覚えている状況にあるが,もし原案のままだと東京(品川)から京都へはこう変わる.

  • 現在:品川→(のぞみ)→京都,134分,乗換0
  • リニア:品川→(リニア)→名古屋,40分
    乗換10分
    名古屋→(のぞみ?)→京都,35分,計85分,乗換1回

    • つまり,時間は-49分で乗換が+1回

実は,大阪までリニアができると似たような状況になるのが神戸である.新神戸基準では・・・

  • 現在:品川→(のぞみ)→新神戸,161分,乗換0回
  • リニア:品川→(リニア)→新大阪,67分
    乗換10分
    新大阪→(新幹線)→新神戸,13分,計90分,乗換1回

    • つまり,時間は-71分で乗換が+1回

三ノ宮基準では・・・

  • 現在:品川→(のぞみ)→新神戸,161分
    乗換10分
    新神戸→(地下鉄)→三ノ宮,3分,計174分,乗換1回
  • リニア:品川→(リニア)→新大阪,67分
    乗換10分
    新大阪→(新快速)→三ノ宮,26分,計103分,乗換1回

    • つまり,時間は-71分で乗換が±0回

京都は所要時間が短くなるけど,乗換が増えてイマイチなのに対して,神戸は元々乗換があるので,時間短縮の効果がそのまま享受できて,結果としてリニアが原案のまま開業すると京都と神戸の,東京方面から見た相対的な位置関係がほとんど同じようになる(新神戸の場合).今は30分の差がある.

軌間可変電車(FGT)の台車のお話し

GCT (= Gauge Changeable Train)というか,FGT (Free Gauge Train) というか,新幹線の広めの軌道と在来線の狭めの軌道を直通運転できる電車の開発が始まって,かなり経過した.
乗ったことはないのだが,実物の初代試験車両はある鉄道車両製造工場で見かけたことがある.写真は…許可が下りなかったので,無い.最新型の試験車両についても,台車だけは別の鉄道車両製造工場で見かけたが,やはり写真は…許可が下りなかったので,無い.
さて,この軌間可変電車であるが,スペインでは営業用車両として走っているにもかかわらず,日本ではなかなか営業車として登場しないのは,1つにはスペインの場合は広軌(1668mm)と標準軌(1435mm)であるのに対し,日本の場合は標準軌(1435mm)と狭軌(1067mm)であり,サイズが小さくて実現しにくいことと,もう一つは日本の軌道,特に在来線の軌道があまり重い電車が高速運転することに耐えられないからであるようだ.
試験車が試運転した路線では,日々の軌道の保守が面倒で・・・という話はネットの噂話かと思っていたら,かなり信頼できる筋からも同じ話を聞いたので,やはり本当のようである.(逆に,重量級高速貨物列車が多数走っている路線なら,さほど問題ないということか?)
ところで,台車が重いとか軽いとかいうお話しでは,最近,こんな製品が開発されつつあるようだ.
まだ営業車を使っての試験段階のようだが,熊本電鉄の電車が履いている川崎重工性のefWINGという台車は炭素繊維強化プラスチック製で,軽いらしい.素人の浅はかな考えでは,この軽い素材と構造が,例の重くて困っている台車に応用されるようになれば,「日々の軌道の保守が面倒で」という軌間可変電車の欠点が克服されるのかなぁと.
新幹線で製品化するには大変かもしれないので,まずは都市鉄道の軌間可変台車にして,近鉄の京都駅から吉野行きとか,阪急電車を関空まで乗り入れるとかやってみるといいかも.

しおかぜ9号松山行き,本日の最終便です(えっ!?)

これを書いているのは9日土曜日.手元にあるのは,岡山駅12:35発のしおかぜ11号の切符.台風接近中.
岡山で乗り継ぐべく,山陽新幹線乗車中に不安になってJR四国のサイトを見ると・・・朝の段階では「12:35発のしおかぜ11号まで運転」とあったのが知らぬ間に「11:34発のしおかぜ9号まで運転」に変わっているではないか.えっ,台風で運休?
今なら間に合う,予定よりも早めののぞみ号に乗れば,岡山駅で4分乗換.隣の親子も4分乗換とか言っている.
そして,・・・何とか間に合った.ただいま,しおかぜ9号松山行き,本日の最終便の中.席が無いので「乗務員室」と書かれたデッキのイスを確保.
紫雲丸事故などをきっかけに瀬戸大橋が本州と四国の間に架けられ,昔に比べれば「海外」感は少なくなったが,こういった異常時には「海外」を実感させられる.橋よりはトンネルの方が(景色はイマイチだが)輸送の安定度は大きいと感じた日であった.
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北陸新幹線のルートの話(並行在来線の定義って何?)

新幹線を新たに建設しようとすると,しばしば問題になるのが「並行在来線」である.ところが,この並行在来線,定義がイマイチはっきりしないのでどの路線が該当するのか議論になりことが少なくない.
国土交通省のサイトには,こう書いてある.
http://www.mlit.go.jp/tetudo/tetudo_fr1_000041.html

  •  並行在来線とは、整備新幹線区間を並行する形で運行する在来線鉄道のことです。  整備新幹線に加えて並行在来線を経営することは営業主体であるJRにとって過重な負担となる場合があるため、沿線全ての道府県及び市町村から同意を得た上で、整備新幹線の開業時に経営分離されることとなっています。

建設する新幹線が,在来線の真横にある場合で,しかも新幹線化されるであろう特急列車がそこをまさに走っている場合には特段異論は出にくい.ところが,在来線と新幹線が離れていたり,新幹線の横に在来線はあるのだが,新幹線化される特急列車がそこを走っていなかったりすると揉め事の原因になる.
上の文章をよく読むと,在来線の経営分離をする理由は「JRにとって過重な負担となる場合がある」である.島の三社はともかく,本州三社は株式を全て民間に放出しているので,今やこのような配慮は過保護じゃないかと個人的には思っているのだが,とにかく理由は「JRにとって過重な負担となる場合がある」である.加えて,公費建設するのに最初から特定の完全民間株式会社に対して経営権を保証しているのにも違和感があるし,新幹線開業後の新幹線の線路のリース料も「受益の範囲内」に設定されて,完全民営会社に利益を確約しているのも違和感がある.
さて,どんな場合に「JRにとって過重な負担となる場合がある」かというと,ほとんどの在来線では特急列車の収益で路線を維持し,その路線上を普通列車や貨物列車を通しているような資金構造になっているので,特急が走らなくなると収益源を失って「JRにとって過重な負担となる場合がある」というわけである.
とすると,並行在来線の定義は上に書いてある「整備新幹線区間を並行する形で運行する在来線鉄道」というよりは, ”新幹線の開業によって特急列車が走らなくなる在来線” と書いた方がより正確である.
例えば北陸新幹線は,敦賀まで工事中,その先はルート案が複数あって確定していないが,どのルートになろうとも終点が大阪である限りかならず発生するのは「湖西線の並行在来線問題」であり,滋賀県は必ずその問題に巻き込まれる.ただし,並行在来線については「経営分離」と書いてあるだけで,在来線の直接の沿線が全てを負担しなければならないとは書いていないことに留意する必要がある.要は,正しく受益者負担を考えるべし,ということである.以外と”忘れている主体”も利益を得ていることがある(しかも確約されてたりして).
#もっともそれ以前にいつも感じるのだが,財政力の弱い地方部での新幹線整備は地元負担がいろいろあり,国土軸付近ではほとんど地元負担がないのは不公平じゃないの,と感じる.

北陸新幹線のルートの話(リニア新幹線との関係編)

北陸新幹線が金沢までできるのは,もうすぐ.その先,福井県下の敦賀までは公式には2025年完成予定で,現在もっと早くできないかといろいろ案が練られている.
ところで,公式開業予定の2025年というと,リニアの名古屋開業予定の2027年とほとんど同じである.北陸新幹線の敦賀開業が前倒しになっても,せいぜい数年なので北陸新幹線はリニアが少なくとも名古屋まで来ていることを前提に計画するのが適当である.(・・・が,そんな議論はあまり聞いたことがないのが残念なところ.)
ほぼ福井限定のお話しであるが,福井から金沢,富山をまわって東京までは約3時間弱ということになっている.
じゃぁ,リニアができるとどうなるだろう.もしも,北陸新幹線が米原に接続されて,北陸新幹線から名古屋まで直通列車が運転されたら,福井から名古屋まで1時間弱,そうすると,東京まではリニア経由で2時間を切る.
北陸新幹線の接続が米原でなくても(いや,敦賀から先が建設されていなくとも),フリーゲージトレイン(GCT)が米原まで運転されて,米原と名古屋の2回乗換を要したとしても2時間ちょっと.3時間近くになることはない.
わかるかな?
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