月別アーカイブ: 2018年10月

今なお聴けるトラディショナル鉄道サウンド

昨今は騒音振動防止の観点からロングレールの普及が進み,電車の走行音というと「ゴーーーーーー」とか「ガーーーーーーー」とか「ウィーーーーーーン」とか少々味気なくなっている.

ところが,だ.附近に住宅さえなければ今なお聴けるトラディショナル鉄道サウンドは存在する.淀川の鉄橋だ.

「カタン,タタン,カタン,タタン」いやぁ,たまらん.ただでさえ盛大なジョイント音がする上,鉄橋なので増幅してくれる.列車長もまぁまぁあるので,サウンドの継続時間は長め.しかも,ここは三複線なので,各線とも往復それぞれ数分おきに走る.三列車同時に梅田から来るというのもあるぞ.

なお,阪急電車に乗ってしまうと単に鉄橋渡るだけになってしまうので,西隣の十三大橋から鑑賞するのがお勧めである.

ローコスト交通系ICカード

以前にも何度か話したことがある件.

日本の交通系ICカードはデポジットとして500円取られるが,欧州の都市交通用ICカードのデポジットではそのような高額の料金を取られたことは(マドリードを除いて…約¥250)無い.

ずーーーーーぅっと使うなら500円でも別にさほど問題では無いが,今回の訪問限りというような海外からの単なるツーリストには何とも承服しがたい500円.

写真はグラナダ(スペイン)のメトロ用の紙製ICカードであり,透かしてみるとループコイルが入っているのが見える.

1日有効券だとカード代込みで4.5€,回数券だとカード代込みで5€,6回乗車.基本的には使い捨てのICカードである.

関西空港「海底トンネル構想」推進へ

関西国際空港と対岸を海底トンネルで結ぶ「第2のルート」整備計画が日の目を見るかもしれない。9月の台風の影響で連絡橋が破損し、利用客らが一時孤立。周辺自治体はこの事態を懸念し、30年以上前から整備を求めてきた。巨額の資金がネックで計画は動かなかったが、懸念が現実になり、リスク管理や関西経済への側面からも首長らは来月、国土交通省や総務省に構想推進を直談判する。

情報源: 地元自治体:関西空港「海底トンネル構想」推進へ  – 毎日新聞

当サイトの最近1ヶ月のアクセスベスト10は以下の通り.

1位:関空連絡第2ルート
2位:高速鉄道の単線運用
3位:Metzの3連節BRT(曲線通過編)
4位:あの貨物線がLRTに!?
5位:関空に日々1便来るだけの海外航空会社の来週の方針
6位:この踏切が閉まるのは列車通過の●分前
7位:中国の高速鉄道建設が爆速な理由
8位:新幹線長崎-関西直通困難-導入費も大幅増
9位:三葉の乗った列車はどこに向かうのか?
10位:三葉の東京滞在可能時間

関空アクセスについては,気になる人が多かったワケやね.

国交省の担当者は「(施設を所有する)新関西国際空港会社は多額の負債を抱え、すぐに新ルート整備に着手するのは現実的ではない。まずは地元自治体で建設費の試算や需要予測など具体的な計画を立ててほしい」としている。

…ということらしいが,「需要予測」がこのプロジェクト構想の適切な判断基準かというとそうではないよね.冗長性とか信頼性の問題であり,量を捌く問題じゃ無いから.国土交通省,大丈夫か?

今や成田空港並みに成長した日本国の西の玄関に関する話を「地元」にまず任せるというのは当事者意識薄すぎると思うが,国土交通省,大丈夫か?

今回の件での反省点はまだ出てこないが,運営を民間に任せていたので「関係ナイモン!」なのか,もしかして?

どっち向いて仕事してる? 民営化したら仕事が終わったと思ってない?

仙岩トンネル整備構想行き詰まり

秋田新幹線の秋田、岩手の両県境で検討されているトンネル整備構想が行き詰まっている。課題は総額700億円もの財源確保で、JR東日本は国や周辺自治体の負担を望む。ただ「JRの全額負担が筋」との意見は根強く、人口減少率が全国ワーストの秋田県を中心に、税金が原資の公費も使う巨額投資には賛否両論がある。国土交通省は費用対効果や負担割合を含めた再協議を、JRと自治体側に求めている。

情報源: 【ZOOM東北】秋田発 新幹線トンネル整備構想行き詰まり 巨額公費に賛否 – 産経ニュース

この手の話があると必ず揉めるのが金銭負担.

国土交通省は「JR東日本と沿線自治体側で、どのようなニーズがあり、どのような計画で建設を進めていくのか、費用対効果や負担のあり方も含め課題を十分に詰める必要がある」と言っているが,つまり「我々は関係ない」というスタンスのようだ.

…けど,日本の幹線鉄道網整備をどうするのか,他に誰が考えるんだい?

整備新幹線が見かけ上は国の2/3補助,実際には実質4/5〜9/10補助になっているのに対し,そうでは無い幹線への国庫補助が1/5.ほんとにその補助率でいいのかってことだね.

そこの区間は奥羽新幹線(基本計画)では無いから我関せず,なのかもしれないけど,だったら奥羽新幹線はしっかりやってゆくんだよね?

それから岩手県と秋田県の負担に対するスタンスは,長崎新幹線の佐賀県と長崎県のスタンスに似ており,こういった負担の温度差に対する問題も解決しなきゃいけないんだけど,解決策は考えたのかい?

どこかの声の大きな人が,ああだ,こぉだと言い始める前にアイデア出さないと,またブツブツ独り言を言うハメになるぞぉ.

 

地下鉄で高い濃度のPM 2.5

(すぐにリンク先が消えそうだが…)

健康への影響が指摘される極めて小さい粒子状の大気汚染物質、PM2.5について、慶應大学のグループが地下鉄で調査をしたところ、最大で地上のおよそ5倍の濃度にのぼったことがわかりました。

情報源: 地下鉄で高い濃度のPM 2.5|NHK 首都圏のニュース

原因はレールと車輪の間の鉄粉みたいだが,鉄粉が出るのは両者の間の摩擦力が原因なので,防止するには地上側と車両側との間のブレーキ力をレールに伝えなければ解決できるということかな.

ということで,解決方法はこれかも.

つまり,リニアモータ.

リアクションプレートに力を伝えて加速,減速をするので,車輪は原則として車重を支えるだけ.

難点は,たぶんモータを発電機として走行エネルギーを電気エネルギーとして回収しにくいことかな.(一応回生ブレーキはある模様)

#レールと車輪の間の鉄粉よりも,タイヤとアスファルトの間で生じる粉塵の方がヤバいと思う.

#今日は新橋-横浜間開業から146年目.今年は明治150年らしいので,明治政府は4年で鉄道開業させたわけやね.

セビリアのガントレット

単線区間と複線区間の境目には分岐器が設置されているのが普通だが,複線から単線になってすぐに再度複線になるような箇所ではこういう分岐器モドキがある.

単線区間はこんな感じ.分岐はしてなくて,往復の線路が少しずれた状態で重なっているのがガントレットだ.

写真はセビリアだが,確かアムステルダムなどにもあったかと思う.

日本にも(現存しないが)名古屋市内のお堀の中にあったはず.瀬戸線が栄町に乗り入れた時に廃止になったんだったっけ.

スペインの鉄道博物館の収蔵物(タルゴ編)

スペインの鉄道博物館,他の展示物はこれといって面白いモノは無い(…と言ってしまうと失礼だが,正直な感想である).

そんな中,スペインらしい展示物がこれだ.

登場して75周年らしい.期間限定特別展示.といってもパネルだけ.

スペインのタルゴというと,人によって受け止めるイメージは異なり…

  1. 曲線を高速で曲がれる振り子式列車
  2. 異なるゲージ間を直通できるフリーゲージ列車
  3. 結構高速で走れる高速列車

…と様々であり,どれが真の姿かというと,どれも正しい.つまり,振り子式列車バージョンも,フリーゲージ列車バージョンも,300km/h超運転できる高速仕様もある.

スペイン国外にも輸出されており,各国仕様があるようだ.ゲージが異なる路線を直通という点では欧州にはロシアという広軌鉄道網を持つ国もあり…

…あった.ロシア版タルゴ列車.説明はこうある.

ロシア鉄道では240km/h運転できる上,7編成のうち3編成は1520mmの広軌区間で使用され,残りの4編成は2016年からモスクワーベルリン間に投入されて軌間変換装置を使っているようだ.

皇居の上空を通過-AirFrance

羽田空港から8日深夜に離陸したパリ行きのエールフランス機が、騒音被害を防ぐために定められたルートを外れて7キロ以上北上し、東京都千代田区の皇居など都心の上空を低空で飛行していたことが11日、分かった。国土交通省によると、気象条件などで着陸をやり直すために到着便が都心を低空で飛ぶケースはあるが、出発便が今回のような飛行をするのは極めて異例。運行の安全上、問題はなかったが、国交省はエールフランスに説明を求めるなど、詳しい経緯の調査に乗り出している。

情報源: 皇居の上空約1380メートルを通過 エールフランス – 産経ニュース

ま…まさかとは思うが,この動画の東京都心通過版を撮りたかった…ってぇわけじゃないよね.(この動画もAF293だし)

秋田新幹線-新ルート整備600億円

JR東日本が検討している秋田新幹線の岩手、秋田県境の新ルート整備で、同社が600億円規模の概算事業費を秋田県や沿線自治体に対し提示していたことが7日、分かった。トンネル新設を含む工事区間は県境をまたぐ十数キロになるとみられる。

情報源: <秋田新幹線>新ルート整備600億円試算 トンネルは10キロ超、工期10年見込み | 河北新報オンラインニュース

関連記事もある.

情報源: <ニュース深掘り>秋田新幹線新ルート整備 防災強化へ議論不可欠 | 河北新報オンラインニュース

山形新幹線の福島-米沢間と似たような事情だが,山形新幹線が「新幹線計画路線に並行する在来幹線鉄道」であるのに対し,こちらは事実上都市間の幹線として機能しているものの地方交通線であり,こちらは公式の新幹線計画は無い.

両記事をよく見ると,どちらにもフル規格新幹線電車を通過させるには追加費用が○○○億円という件も無い.

秋田市への新幹線計画は日本海側の羽越新幹線計画,福島から山形を経由して内陸を縦走する奥羽新幹線計画がある.ところが秋田への現状の主たる幹線鉄道輸送はどちらでも無く,盛岡からの田沢湖線ルートだ.

整備費用は山形新幹線に比べると小さいモノの,状況的にいろいろと悩ましい.簡便な整備は現状のルートを強化することだが,公式の新幹線計画が無いのでフル規格新幹線電車を通過させるトンネルを建設するのが難しそうである.このプロジェクトは在来幹線鉄道の改良工事になってしまい,新幹線整備ではないので国の補助制度メニューもしょぼく,補助率も新幹線建設に比べて小さい.

これに加えて,現状のルートをフル規格新幹線化させた場合,奥羽新幹線や羽越新幹線沿線地域はどうするんだという問題もある.

もっとも,奥羽新幹線がもし完成したとしても,現状の田沢湖線ルートは隣県の県都である盛岡とを結ぶルートであることに変わりは無いわけで,少なくとも防災目的の投資は無駄にはならない.

新トンネルは時間短縮にもつながるそうだが,10キロほどのトンネルだと,急加速しても250キロに達するのは難しそう.時間短縮の恩恵も小さく,170キロ運転程度を念頭に設計しておくというのが無難な落としどころか.170キロなら久留米と新鳥栖のわずか数キロでも到達できる速度だ.いずれフルサイズの電車は山形方向からやってくると期待すれば,トンネル径は在来線サイズでもいいかなぁ.

 

スペインの鉄道博物館の収蔵物(車両編)

マドリードの高速鉄道ターミナル駅であるアトーチャ駅から南へ約1キロあまり.旧デリシャス駅の屋根付きホームをそのまま博物館にしている.

フランスやドイツの博物館に比べると,これといった展示物は無く,古い車両が並べてあるだけ,といった感じ.多少なりともスペインの鉄道の予備知識があれば何とか理解できるが,見て楽しいかというと微妙である.

入り口では古い小型蒸気機関車が迎えてくれる.

数ユーロを払って中に入ると,そこは駅そのまま,ホームの各線路にぎっしり古い車両を並べてある.

古い電気機関車やディーゼル機関車…

それから,これはディーゼルカーのようだが,室内の大半が機械室で客室がとても小さい.営業がこれで成り立ったのか? それとも試作車?

こっちは高速運転用ディーゼルカー? 「FIAT」と書かれているので,イタリア製か?

この青いディーゼルカーは,急行列車用だったようだ.

この車両は食堂車で,博物館の食堂として営業中.

スペインの鉄道車両はやや地味だが,今や軌間可変列車や振り子式列車などの特殊な車両を自国開発しており,これはその初期型のようだ.まだ軌間可変や振り子の機能は無さそう.「Talgo列車」である.