学校が事実上の休校に突入してもうすぐ2ヶ月.本学の授業再開は5月中旬から6月頭へと延びてしまい,目下不足する授業回数分のオンライン授業教材の作成中である.
ある程度の割合の人が免疫を全員が持っていない限り,封鎖作戦を解除すれば感染拡大が再燃することは明らかである.かといってずっと穴の中に巣ごもりし続けるわけにもいかない.
日本の緊急事態宣言の解説の際に出てきたグラフによると,接触数が60%減だと感染者数横ばい,70%減だと収束に2ヶ月,80%だと1ヶ月ほどで収束らしい.ということは,免疫を持っている人が全体の60%くらいに達すれば感染が拡大し続けるような「疫病」ではなく,感染すると要注意ではあるが「単なる風邪」になる.
ということで,「集団免疫獲得作戦」を採用しようとした国があった.英国である.「集団免疫獲得作戦」と言うとすごそうだが,要するに「ほぼノーガード戦法」である.ところが専門家から「何百万人も重体になり,数十万人死にますよ…」 と言われて方針転換.皇室も首相も感染してしまった.
ところで,こんな話がある.感染者と確認されているのは,実際には市中感染者の数十分の一では無いかという話だ.もし本当だとすると,こういう計算になる.
免疫を獲得した実数が人口の60%,検査等で確認される数については,リンク先の「感染者の28倍から最大で55倍の人がすでに感染」という情報を元に中間をとって40倍ということにして,60%÷40=1.5%,つまり表面的な感染率が1.5%で集団免疫獲得ということにしてみよう.
感染率が世代に依らないとして,世代別の致死率をかけて,全体の死者数を再計算してみる.
人口(万人) | 実際の 感染率(%) |
見かけの 感染率(%) |
見かけの感染者に対する致死率(%) | 死者(人) | |
若年層 | 1,515 | 60 | 1.5 | 0.2 | 455 |
生産年齢 | 7,488 | 60 | 1.5 | 0.4 | 4,493 |
高齢者 | 3,598 | 60 | 1.5 | 8.0 | 43,176 |
合計 | 12,601 | – | – | – | 48,124 |
ということで,5万人ほどがお亡くなりになる模様.欧米でもまだこの域には達していないので,ワクチンも特効薬も無い状況下で,単なる「集団免疫獲得作戦」を目指すのは,けっこう無謀そう.