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【祝】京阪神から東京出張は北陸新幹線で!?

京阪神から東京へ出張するには東海道新幹線が定番で,新大阪を起点にすると例えばこんな感じかな.

新大阪→(東海道新幹線)→東京
2時間30分,運賃8750円+のぞみ5700円=14450円
往復すると,14450円×2=28900円
大阪→(サンダーバード)→金沢→(北陸新幹線)→東京
5時間30分,運賃10150円+サンダーバード1450円+かがやき6780円=18380円
往復すると,18380円×2=36760円

うーん,これだけを見てしまうと,時間がかかる上に値段が高くて出張には使う気にならない.

だが,こうならどうかな.

新大阪→(サンダーバード)→金沢→(北陸新幹線)→東京…
…東京→(東海道新幹線)→新大阪
運賃14470円+サンダーバード1450円+かがやき6780円+のぞみ5700円=28400円
運賃(14150+760)円+サンダーバード1450円+かがやき6780円+のぞみ5700円=28840円

おっと,片道だけ北陸回りにして一周する方がちょっと安い.

同じ景色ばかりで,東京出張に飽きてきたあなた.以前はこんなことはする気にならないくらい時間がかかったが,片道5時間半でも金沢乗り換え時に昼飯でも食えば気にならなくなるぞ.前泊や後泊で片道は単なる移動日になるようなケースでは,同じ経路を往復するんじゃ無くて,話の種に北陸新幹線を使うというのはどうかな.良い気分転換になると思うけど.


なお,似たような話は行き先が長野の場合でもあって,長野への行き方が大幅に多様化するんだが・・・

新大阪→(しなの)→長野…4時間52分,10770円
新大阪→(新幹線自由席)→名古屋→(しなの)→長野…3時間51分,11270円
新大阪→(サンダーバード)→金沢→(かがやき)→長野…4時間4分,14290円
新大阪→(のぞみ)→東京→(かがやき)→長野…4時間10分,20700円

・・・ぐるっと回ってみると,

新大阪→(新幹線自由席)→名古屋→(しなの)→長野…
…長野→(かがやき)→金沢→(サンダーバード)→新大阪
運賃11990円+新幹線自由席2480円+しなの1450円+はくたか4960円+サンダーバード1450円=22330円
運賃(11660+760)円+新幹線自由席2480円+しなの1450円+はくたか4960円+サンダーバード1450円=22760円

おや,名古屋経由で往復するよりもちょっと安いのとほとんど同じ.しかもこっちは所要時間は往復ともあんまり変わらない.往復で同じところを通らないので,観光周遊コースにぴったりだ.

※以上,切符売り場で係員に正確に説明しないと妙な切符が発券される可能性があるので要注意!
※運賃計算,少々のミスはご容赦を.

昭和の名残よ,さようなら

今日はやはりこの話題かな.

IMG_0218ん?…機関車の番号が違うって?…よく見てますねぇ.
そう,最終便の出発にカメラを持って出かけてはいけない.人だらけで,列車そのものは撮れない.撮影するなら情報を察知したらその際に撮っておくべきであって,最終日は人混みの雰囲気を味わいにゆく日である.

IMG_0221で,いつ撮ったかというと写っているカメラ小僧(カメラおじさん?)が半袖であることからわかるように,去年の夏である.今日(12日)は年度末近いので訪ねてくる人が多く,朝から晩まで職場.明日もそんな感じ.

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一応,JR発足後の豪華寝台列車,ということになっているが,知っている人は知っているとおり,昭和時代の子どものころにブームがあった「ブルートレイン」の内装を改装して緑色のペンキを塗ったものだ.機関車も私の小学生のころには既に走っていたものである.

IMG_0233お昼頃に札幌に向けて出発.

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途中にはさまっている食堂車も,元は電車の特急に組み込まれていた食堂車で,廃車を逃れて改造されたもの.つまり実は骨董品.

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個室寝台を最後にして…

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そしてまた,昭和の名残は行ってしまった.

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「JR九州の在来線黒字1路線だけ」でも上場できる新幹線の威力

これも,ちょっと前のネット記事

JR九州の在来線、黒字1路線だけ – goo ニュース.

いつまでリンクが生きているのかわからないので,概要を書くと,「JR九州の在来線のうち黒字は1路線だけで,あとは赤字.」というお話し.

そのまま何も考えずに受け止めるとJR九州って大変なんだぁ,と思ってしまうが,一方でJR九州については株式を上場する話が進行している.赤字だらけでにっちもさっちも行かない会社が上場するわけがなので,この記事には書かれていない重要な観点が抜けている.そこに気がつかないと「鉄道事業って赤字なんだ」と洗脳されてしまうので要注意.

在来線は赤字だが,会社全体では事業がうまくいっているので上場するという話になる.もちろん,鉄道以外の関連事業でもがんばっているのだが,在来線以外の好調な鉄道事業の話がすっぽり抜けている.そう,新幹線だ.

新幹線事業が好調なので,在来線が赤字でも会社全体としては関連事業等もふくめて好調,ということである.新幹線の威力絶大なり,である.

もちろん,九州新幹線は公設民営方式で,負担はリース料払いだけで,そのリース料の設定額は必ず利益が出るように設定されている.その利益で他の穴が全て塞がるわけである.新幹線の威力絶大なり,である.

「赤字」は他の鉄道事業を何とかしたいPRの可能性もあるが,鉄道をはじめとするネットワーク事業は区間区間を切り出して評価するのが難しいので要注意である.末端部分が見かけ上「赤字」だからといって順に「赤字」区間を切ってゆくとどういうことが生じるかというと,あら不思議,好調だったはずの幹の部分も徐々に弱って,効率化したつもりが取り返しの付かない状態になっていた,なんてことは良くある話.太い縄はわらしべのより合わせである.

さてさて,上場後のネットワーク戦略はどうするかな?

グリーン車と一等車

ヨーロッパに調査に出かけると,陸路移動はほとんど鉄道だ.ほとんど毎日乗るので,レールパスを使うが,長期間有効のパスは1等車しか設定がなかったりするので,移動はいつも1等車だ.(日本国内では余程のことが無い限りグリーン車には乗らないが)

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ドイツの列車はけっこう田舎のインターシティーでも必ず食堂車が付いていたりする.もちろんICEは食堂車付き.このへんが日本とサービス提供の根本的な思想の違いを感じる.日本は客を運びさえすりゃぁいいんだろ,みたいな感じが年々強くなって行くのが残念なところ.

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そして,標題のお話し.下の写真はフライブルク駅3番線を出発する列車の編成表であり,黄色が一等車,赤が食堂車,緑が二等車である.

DSCN0907概ね3種類の編成が使われていて,客車12両+機関車2両の初代ICE編成,8両×2のICE3編成,それから制御室客車付の8両+機関車1量のIC編成.あとは写真にはないが,夜行列車.

まず,さっき書いたように,必ず赤い食堂車が入っている.1等車に陣取れば席でオーダーすれば軽食は持ってきてくれる.

それから,気付くだろうか,1等車の比率が日本に比べてちょっと多い.列車によって微妙に違うが,初代ICE編成だと比率は1等車が4/12=33%,2等車が7/12=58%,食堂車が1/12=8%.ICE3編成でも,1等車が4/16=25%,2等車が11/16=69%,食堂車が1/16=6%.IC編成だと,1等車が1.5/8=19%,2等車が6/8=75%,食堂車が0.5/8=6%.

日本の新幹線だと,東海道新幹線16両は,グリーン車3/16=19%,普通車が13/16=81%,食堂車なし.東北新幹線だと,グランクラスとグリーン車で2/10=20%,普通車が8/10=80%,食堂車なし.

日本のグリーン車の方が希少性が高い感じ.実際にICEやICの1等車に乗ると,日本のグリーン車ほどの高級感はない.もちろん,2等車の座席が布張りに対して1等車は革張りだったり,差別化は図られている.だが,日本のグリーン車が「お金持ち」がターゲットな感じであるのに対して,ICEやICの1等車のターゲットは,ビジネスマン,長距離旅行者,どうしても静かな雰囲気で乗りたい人等々.カジュアルな服装で若い人が乗ってくることもしばしば.これはフランスのTGVにも共通している.

日本の新幹線は大都市間連絡列車なので,基本的にはビジネスマンが主ターゲットなのに,なぜか本当の意味でのビジネスマン向けの座席の設定がなく,高級席かエコノミークラスしかないというナゾ.

時計仕掛けの幹線鉄道

スイスに行くと,スイス連邦鉄道の列車にこういうのが走っている.

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機関車の番号が「2000」になっているが,製造番号が2000番なわけではないし,型式番号が「2000」なわけでもない.「Bahn-2000計画(Rail 2000計画)」事業に合わせて導入された新規車両なので,プロジェクト名として「2000」が書かれている.後ろに繋がれている車両も同じ計画に合わせて導入されたものである.

Bahn-2000は,(1)主要都市間を30分の整数倍よりもちょっと短い時間で結ぶ,(2)主要都市の駅の出発時刻は原則として毎0分もしくは30分,ということを目指して幹線鉄道の改良をする計画で1987年に計画が開始され,2007年頃に概ね完了.

そういうわけで,スイスの大きな駅に行くと,毎0分もしくは30分のちょっと前になると続々と各方面から列車が集まってきて,毎0分もしくは30分を過ぎると三々五々各方面に列車が散って行く.つまり,毎0分もしくは30分には,駅のホーム上には各方面からの列車が勢揃いしており,全方向相互間の乗換が出来る,というシステムだ.

日本は新幹線を作って走らせて,それに合わせて他を考えるというシステムだが,スイスは発想が逆で乗換がうまくいくようにするには最低限,どの程度の改良をすればいいかという視点で整備がされている.

なので,スイスには日本の新幹線相当の高速新線がほとんど無い.Oltenの南側に少しと,あとはアルプスの長大トンネルの中くらいなものである.

なお,上の写真の列車に関するWikipediaの説明項目には「「バーン2000計画」の要となる200km/h列車用として」と書かれているが,車両としては200km/hで走れると思うものの(実際,Olten付近の短い高速新線では走っている),Bhan-2000は200km/h運転導入が主目的の幹線鉄道計画ではないので,この記述はあまり正確ではない.(学生の皆さん,Wikipediaの使い方には注意しましょう.)

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駅の出発時刻の掲示,よく見ると,ほとんど同じ時間に続々と出発している.まるで歯車のように一定間隔で列車が都市間を行ったり来たり.時計の国スイスならではのシステム.このシステムが導入できるのは,列車を時間に正確に走らせることが出来る国だけ.

幹線鉄道計画のPDCAはまわっているか?

授業期間が終わると学生が部屋に訪ねてくる機会もめっきり減るので,この時期になると「BGM」をかけながら仕事をすることが多い.

音楽を聴くと…唄が頭の中をぐるぐる回って仕事にならない.ラジオもおしゃべりは同じようなもので,話に気をとられて仕事にならない.歌詞のない音楽は,まぁ許容範囲か.ピアノ曲あたりが無難.

そして最近発見した仕事に最適な「BGM」はこれだ.

http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php

http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php

名付けて,「Back Ground Meeting=BGM」

内容は下手なニュース番組よりもよっぽど中味がある(当たり前か).時々新幹線ネタや国土整備ネタも出てくるぞ.変な「マスコミフィルター」がかかってないので,お勧め.難点は長いこと.会期中は毎日7時間とか.並行して委員会が開かれていることも多いので,延べ時間はものすごいぞ.衆参でダブルだ.

さて,最近この国会中継でよく聞くようになったキーワードがある.それは「PDCA」.JABEEだけでなく,ついに国会でもPDCAを聞くことになったとは,時代も進んだものである.

Plan→Do→Check→Action→Plan→…

計画立ててみて,やってみて,うまくいったかどうだか検討して,内容修正して,またやってみて,の繰り返し.

ところで,標題の幹線鉄道計画だが,1970年代に法律つくって,73年に具体的な計画立てて,…いまだに73年に閣議決定されたから云々ということが論拠になって話が続くことが多いが,冷静になって考えてみよう.

おかしいだろ.

1872年に鉄道が初めて走って,最初の鉄道政策である鉄道敷設法までが20年.
1892年に鉄道敷設法ができて,建主改従,改主建従の議論があって改正されるまでが30年.
1922年に改正鉄道敷設法できて,太平洋戦争開戦から「もはや戦後ではない」までの15年を除いて,初の新幹線政策ができるまでが33年.
1970年の全国新幹線鉄道整備法ができて,今年で45年目

おかしいだろ.

日本の幹線鉄道計画のPDCAはまわっているか?その答えは…?

#サボってる?>担当部署殿

北陸新幹線開通で富山に行くのが面倒になりそうな件

時刻表2015年3月号を入手.【祝】北陸新幹線開業なのだが,富山に行くのが微妙にめんどくさそう.

金沢-富山間はサンダーバードで約35-40分.これが北陸新幹線開業で大阪方面からがどうなるかというと…

金沢着 乗換時間 金沢発 富山着 金沢着→富山着
946 10分 956 1019 33分
1023 8分 1031 1054 31分
1102 //
1113 9分 1132 1155 42分
1156 10分 1206 1229 33分
1217 17分 1234 1257 40分
1256 10分 1306 1329 33分
1317 16分 1333 1356 39分
1356 10分 1406 1429 33分
1420 //
1456 10分 1506 1529 33分
1556 10分 1606 1629 33分
1653 10分 1703 1726 33分
1756 11分 1807 1829 33分
1852 11分 1903 1925 33分
1913 10分 1923 1946 33分
1956 12分 2008 2031 35分
2015 //
2056 10分 2106 2129 33分
2121 14分 2135 2157 36分
2209 10分 2219 2242 33分
2256 10分 2306 2329 33分
2329 8分 2337 2359 30分

乗換が1回増で,時間短縮が5分くらい.

山形新幹線が乗り換え1回減で,その後の調査で客の動向が約30分短縮相当らしいので,北陸新幹線の開業で富山が心理的に25分くらい遠くなる感じか.まぁ,「金沢止め」が少なくなって実質本数若干増なので,その辺はちょっと改善か(青字).

大阪の人がボーッとしているうちに,北陸が首都圏方面へと離れて行く.

ほくほく線160キロ運転

その昔,首都圏から北陸方面へは高崎から延々と信越本線を走行して直江津へ,そしてそこから西へは北陸本線.

その後,上越新幹線ができると長岡まで新幹線,そこから信越本線で直江津,そして北陸本線で西へ.

さらに北越北線が完成すると,越後湯沢から上越線をちょっと走ってほくほく線へ.そして直江津から北陸本線.

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乗換え時には,笹団子とお茶をお忘れ無く.

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在来線の160キロ運転もあと少し.スピードトライアル試運転の際に入れてもらった運転席のメーターパネルには,200km/hまで目盛りが振ってあったっけ.

P1000494そういえば,在来線の高速運転の話は,その後続かないな.狭軌200キロ運転電車の開発の話はどこへ行った?

遅いぞ,ニッポンの電車.

後押ししますよぉ・・・

・・・貨物列車の.

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山陽本線は言わずと知れた西日本の重要幹線である.その昔,民間鉄道の山陽鉄道によって建設されたわけだが,建設途上から段々と資金が足らなくなり,西に行くほど線形が悪く,広島あたりではカーブもきつければ勾配もきついという状況になってしまった.

そんなわけで,重い貨物列車などが通るときには昔から後押し機関車が付く.昔は黒い蒸気機関車,今は赤い朱色の電気機関車である.

写真は坂を上り終えた貨物列車のお尻にくっついていた機関車が外されたときにものであるが,まさか建設後100年以上も後押し機関車が活躍することになろうとは,当初の建設に携わった方々は想像だにしなかっただろう.

重要インフラの設計規格は重要,という例であろう.

GCT01-201(フリーゲージトレイン)

伊予西条駅に隣接して設置されている「四国鉄道文化館」.赤い電気式ディーゼル機関車や0系新幹線が有名であるが,こういう珍品も展示保存されている.

新幹線?新型特急?いえいえ,もっと珍品.

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妻面の名盤にはこう記されている.つまり「フリーゲージトレイン」.新幹線用の標準軌と在来線用の狭軌の両方を走れる車両である.GCT01系.車重が45トンもあり,最近の電車が30トン弱から40トン弱程度であることを考えると,重量級である.この重さがなかなか在来線で高速走行できなかった原因の一つかも.

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そしてこの電車の最大の特徴は台車である.車軸の真ん中にジャバラのようなものが付いており,ここが伸縮か?

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車軸端部分.

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ダンパが2つも付いており,重装備.速度があまり出ない割にダンパを2つも付けているのは,車輪間の軌間の精度が悪くて蛇行動しやすいからだろうか?

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IMG_8390スペインにも軌間可変式の「電車」が存在するのだが,モーターが台車ではなく車体床下に付いているようであり(ディーゼルカーのエンジンをモーターに変えたような構造?),構造がだいぶ違うようである.