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あの貨物線がLRTに!?

「あの」とか言われても何のことがわからないと思う.個人的な驚きである.

18年前に1年ほどお世話になったカナダのWaterlooというオンタリオ州の地方都市.隣接するKitchenerと合わせて約30万ほどなので,LRTがあればちょうどいい規模ではある.

さて,そのKitchener-WaterlooにLRTの新線ができるらしい.

Kitchenerの中心部では路面走行もするようだ.

ここが…

こうなっている模様.

 

Waterloo大学の近くでは,ここが…

こうなっている模様.

LRT化する前の線路敷はこんな感じ.複線電化された模様.

現在はこんな感じの模様.

わからないものである.

 

…そんで,日本はどうなんだい

 

琵琶湖疎水と湖西線

琵琶湖疎水というと,京都の(そして明治期の)一大インフラ事業であり,琵琶湖から導水トンネルを使って水を琵琶湖から京都盆地に導くとともに,高低差を利用して水力発電が行われた.

電力は日本初の路面電車の動力源として使われたことは有名である.

さて,その琵琶湖疎水を使った観光開発が京都市で進みつつあり,お試しツアーに参加させていただいた.

琵琶湖側の疎水はこんな感じ.

そして,琵琶湖側の水路トンネルの入り口はこんな感じ.

ここを小さな船で川下り,ならぬ疎水下りをするわけだ.

行程のかなりの部分はトンネルで,ほとんどこんな風景.

案内のお兄さんの説明が楽しいので,退屈はしない.

この琵琶湖疎水ができたのは明治なので,後から出来た湖西線が一部でルートが交錯する.このため,湖西線建設時に疎水には新しいトンネルが掘られている.

https://www.google.co.jp/maps/@34.9944013,135.8231731,17z

山沿いの疎水公園というところが旧水路跡地であり,南端部分で湖西線の線路と重なっている.

…とまぁ,ここまでは案内のお兄さんが教えてくれるお話.

実は疎水と湖西線はもう一カ所でも交差している.地図の上で確認すると…

直線で結んでいるのが琵琶湖側からの最初の疎水のトンネルで,トンネル内で湖西線と交差している.水には動力源はないので,導水トンネルはほぼ水平であり,湖西線と疎水の高低差もあまりないはずなので,トンネル内でごく近接した状態で立体交差しているはず.

ということで,トンネルの内壁をよーく観察してみると…

小さなプレートがあった.おそらくこの直下を線路が走っているはずだ.

インフラ整備って既存インフラへの影響を最小限に抑えながら整備するので,結構面倒なことも多そうだな,と感じた瞬間である.

なお,お試し乗船客でこんなことに気づいている人は他にはいなさそう.

琵琶湖通船事業は,今のところ関係者だけしか参加できないが,そう遠くない将来に一般参加も出来るようになる模様.

種籾食っちゃえキャンペーン

予算編成の時期になると,「無駄な」公共事業は止めてしまえ,というキャンペーンが在京マスコミによって繰り広げられる.

「無駄な」という枕詞がミソで,多くの人に「そうそう,必要なことだけして,無駄なことをするのは止そう」と考えさせるとともに,「公共事業は無駄だ」という印象操作に成功してしまうことが少なくない.

そういった報道では,本当に無駄なのかそれとも有効なのかという適切な調査や検討無しに「公共事業は無駄だ」と言わんばかりな内容が垂れ流されている.日々困っていることがあるからそっちに回せと.無駄じゃない公共事業の方が多いのにね.

さてさて,よくよく考えてみるとインフラ投資は各種活動を長期にわたってしやすくするものなので(あるいは補修費用なら今の機能を将来も維持することなので),いわば種籾(たねもみ)である.今,種をまいて,未来で収穫する.これがインフラ投資のはずだ.

文教関係費用や科学技術開発も種籾だ.今,種をまいて,未来で収穫する.同じだ.

インフラ投資も文教予算も技術開発も無駄だとキャンペーンすることは,いわば「種籾食っちゃえ」と言っているようなものだ.目先の利益に流されて,後々大変困ることを主張しているのかもしれない.

気をつけよう,甘い言葉と「種籾食っちゃえ」キャンペーン.

#貴重な技術を易々と外国に売り渡す企業とか,ブランドを簡単に売り渡す企業とかも後々後悔しそう.(その頃には,消滅しているかも)

StrasbourgのBRT(G系統)走行路編

ストラスブールのG系統の走行路を郊外側から見てみよう.

郊外側終点のパークアンドライド停留所を出るとすぐに広幅員道路の中央部に分離帯を介して確保された2車線の専用レーンを走行する.一般車両はシャットアウトされ,もちろん,優先信号つきで,LRTと遜色ない定時性が確保されそうである.

郊外側のパークアンドライド停留所.

専用道へ.

道路の真ん中に立ってみる.

両側には一般車用のレーンが配置されるととみに,自転車道と歩道も確保されている.ここら辺の沿道は新規開発された企業団地のようだ.

しばらく専用レーンというか専用道路を走行すると,今度は一般車両と走行路を共用する区間が続く.沿道は集合住宅だ.だが,自動車交通は少なく,BRTの走行が邪魔されるレベルではない.

さらに進むと再び専用道になる.

しばらく専用道を進み,ストラスブールSNCF駅は近くなると,SNCFの線路の下をくぐる.この部分は復員が十分ではなく,信号機による「交互通行」になっている.

SNCF駅近くの一般道路部分については,専用レーンが確保されている.

SNCF駅着.

ストラスブールでもBRTを導入したんだから,連節バスでもいいじゃんと思っているあなた,大半の区間で専用道を確保してますけど同じことできますかねぇ.

 

StrasbourgのBRT(G系統)外から編

ストラスブールのG系統は連節バスの「BRT」である.車両を外から見てみよう.

まずは,前から.普通の連節バスである.

お尻.普通の連節バスである.車種はメルセデスベンツのシタロ(CITARO)だね.動力は最後部に付いているようだ.

1両目のドア.車椅子マークが付いており,ドア下部から渡し板を出すことができるようだ.

2両目のドア.ぴったり乗り場に沿うことができていない.

1両目のドアはぴったり乗り場に寄せることは可能なようである.

全体.ドアなし側(左側).

全体.ドアあり側(右側).

車両そのものについては,特に変わった様子のない普通の連節バスだね.

 

StrasbourgのBRT(G系統)内装編

ストラスブールのG系統に使われている連節バスの内装はというと,他都市の「BRT」の連節バスと変わらない.

2車体連節の1両目後部座席から1両目全体を眺めるとこんな感じ.前部の出入り口は運転席横を通るが,運賃収受をしているわけではない.車内にも運賃収受関係の機器類は一切なく,運賃箱も券売機も検札機もない.

今度は1両目後部座席から2両目方向を眺めると,こんな感じ.

車内上部にはこういう表示器が付いている.たぶん,NancyのTVR車内に付いていたものと同じ.路線図が表示されている.

時々,こういう表示に切り替わる.バスの現在位置表示だ.日本のバスでは見たことないね.カーナビメーカーは,こういう表示システム作ってバス会社に売り込めばいいのにね.(既に特許とられてるかも)

1両目の中央部分は大々的に車椅子&ベビーカースペースである.混雑時には大人数収容空間にもなっているので,一時期山手線や京浜東北線で走っていた6扉立ち席車両と同じ役割も果たしている.

連結部分越しに,1両目後部座席を見るとこんな感じ.左右のタイヤハウス上に2席の座席があり,タイヤハウス間は狭い.車椅子が通れる幅もなく,日本的基準ではバリアフリーではない.ただし,信用乗車が実施されているので,そもそも日本のように車内を大移動する必要がない.椅子はタイヤハウス上なので,結構「標高」がある.

最後部はエンジンなど機械類がある関係で,座席は「丘の上」にあり,バリアフリーにはほど遠い.

StrasbourgのBRT(G系統)イントロダクション

ストラスブールというとLRTで有名で,訪れるたびに路線網が拡大している.

最近できた「G」という系統はというと,「BRT」である.始点の中央駅から終点のP&R拠点まで,片道約15分という比較的短距離路線であるとともに,中心市街地を通るわけでもないので,客数がやや少なそうということがゴムタイヤ系採用の判断材料か?

こんなやつ.

路線は,こんな感じ.

こう紹介すると,「ほーら,連節バスで十分じゃないか」という人もいるだろうが,MetzやNancyと同じく,ストラスブールについても「真似するなら全部真似しろよ」と言いたくなる要素がてんこ盛りであった.

(つづく)

 

民泊…これでええんか?

10月・11月は出張が多く,宿泊地探しも大変である.

嵐のコンサートを避けて,わざわざ1週間前倒しになった学会は,東方神起の札幌ドームコンサートの存在に気づいていなかったようである.ホテルの空きは非常に少なく,しかも料金もかなり高くなっており,残室1室95万円などというものもある.

発表を予定している人は気が気ではないと思う.キャンセル料の発生し始める時期にリトライするしかないかも.

予約サイトを見ながら,おっ,これは安いと思ってよく見ると,カプセルホテルならまだいい方で「これって単なる民家だよね」という物件,アパートの一室,「バストイレなし相部屋」というもの,物件名が「古びた民家」というまさに名前の通りのもの,写真を見るとどう見てもラブホテルというものまで,ちょっと前には考えられない宿泊施設が並んでいる.

これでええんか? こんなにクオリティ低い宿泊施設を認めてええんか?

都市計画の視点では,不特定多数が入り込むことを避けるために指定された用途地域という土地利用指定—例えば閑静な住宅の専用地など—があるが,そんなところに「民泊」目的の観光客がスーツケースゴロゴロ転がして入り込んでもええのか?

オリンピックが終わるまでカオスが続くんだろうなぁ.(終わっても続くようなら悲劇である)

NancyのBRT(TVR)バリアフリー編

Nancyで採用されたTVRは単なるバスベースのBRTに比べると,車内はともかく出入り口のバリアフリー度は高い.

単なる連節バスの場合,停留所の「プラットホーム」に車体を寄せるのには限界があるが,TVRはレールで案内されているので,単なる連節バスよりも隙間はかなり小さい.その分,単なる長いバスに比べてバリアフリー度は高い.

日本で単なる連節バスを「BRT」と呼ぼうという風潮があるが,バリアフリー度は一本レールの案内であってもTVRやトランスロールの方が優れている.いわんやおや,LRTもドアとプラットホームの間はいちいち乗務員が出てきて板を渡す必要のないレベルである.

乗客数が一定規模なら自動的に「BRT」になるわけではない.

 

連節バスは狭い道路を走れないって?…これ見てから言えよ

単なる連節バスを「BRT」といってしまう日本であるが,その単なる連節バスの運行ですら,なにやら仰々しい会議を経なければ運行が難しそうである.

運行経路についてもいろいろと注文が付く気配があるが,単なる連節バスはそんなに機動性が低いわけではない.

フランスのMetzの3連節ではない普通の連節バスの様子だ.中心街に連節バスがやってきた.

そして,そのまま「ボラード」で進入規制がされた区域に突入!

いわゆるトランジットモールの定義に当てはまる歩行者エリアを連節バスが進む.日本の警察が見たら気を失いそうな光景である.

とりあえずこの位置からは,人混みに消えてゆく連節バスが観察できたが,面白いのはこの先である.観察位置を変えて,しばし待つ.場所は上の写真の奥の狭い街路の交差点である.

やってきた.連節バス.そして,この交差点を曲がった!

……ということで,「連節バスは狭い道路は走れない」は運転士の技能依存だということが判明しましたとさ.

#追記:これは「BRT」ではありません.単なる連節バスを使った路線バスです.