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北海道新幹線がガラガラだって?そう早合点するなって

北海道新幹線が開業早々なのにガラガラだという.

乗車率が30%台だとか20%台だとか,いう.まぁ,そんなもんだろう.だって,途中までの暫定開業なんだから.

E5系/H5系電車の編成定員は731名.仮に乗車効率が30%だとすると,乗客は219名.

函館市は28万人ほどの都市で,これは秋田市の32万人とほとんど同じである.つまり函館が終点ならミニ新幹線程度の輸送力で間に合うのが常識,ということになる.

仮に秋田新幹線用のE6系電車なら編成定員は336名なので,この電車に先の219名を乗っけると,乗車効率65%になり,まぁまぁ,そんなもんである.

北陸新幹線の金沢開業と同じく,現時点の終点は途中の暫定開業の駅であり,北海道新幹線の終点は函館市の人口の7倍の札幌市191万人である.

しかも,函館開業の現時点では東京-函館間は約4時間であるが,札幌まで開業する頃までには,なんとか時間短縮をして札幌まで4時間ほどで結ぼうとしている.

  • 東北新幹線の320㌔運転からのさらなる高速化
  • 盛岡以北の整備新幹線区間での260㌔運転からのさらなる高速化
  • 青函トンネルでの140㌔運転からの高速化

こうした高速化を全部達成することで,対北海道の航空旅客の半分ほどを新幹線で輸送しようとしているわけである.

人口7倍で旅客も7倍,その半分なら3倍半.北海道新幹線が札幌まで開通してさらなる高速運転が実現すれば,札幌行きの新幹線の座席は概ね埋まり,さらに増便しなければならないほどだろう.

そう早合点するなって.まだ開業して数日だろ?

北陸新幹線敦賀以西、ルート選定調査「半年必要」…石井国交相

こういう話があったんだが…

石井啓一国土交通相は3月18日の閣議後会見で、北陸新幹線の敦賀以西ルートについて「調査を行うとすれば、調査着手から概ね半年程度は必要だ」との考えを示した。

情報源: 北陸新幹線敦賀以西、ルート選定調査「半年必要」…石井国交相

リンク先を見ると,あぁ,そうなんだ,「3ルートの選定のための調査では、各ルートの事業費、所要時間、輸送需要の見通し、収支採算性などを検証する」には半年必要なんだ…と思ってしまう.

だが,ちょっと待てよ.「事業費」はともかく,「所要時間」「輸送需要の見通し」「収支採算性」の三つについては,全国新幹線鉄道整備法施行令という政令の第二条で,基本計画を決定するための調査事項として挙がっているものである.

本来は基本計画策定時に調査する事項を,整備計画が出来上がった後の,本来なら地図上で具体的なルート設定をして環境影響評価を行うような時期になって,わざわざあらためて調査すると言っているのである.

つまり,何が言いたいかというと,現行の基本計画は,すでに基本計画の体を成していない,ということなのである.国土交通大臣自ら,それを間接的に認めてしまっているわけだ.(たぶん,大臣自身は気付いていないと思うけど)

これは中央新幹線を基本計画から整備計画に上げる際にも見られた状況であり,わが国の新幹線網構想の根幹にかかわる問題である.

そろそろ基本計画をちゃんと見直した方がいいんじゃないかな.(ツッコめるほど詳しい国会議員さんが居なさそうだけど).

 

北海道新幹線あまり速くないとは言うが…

北海道新幹線が青函トンネルの減速運転であまり速くないとは言うが…

一応,約1時間ほどの短縮になっている模様.時刻表2016年4月号を入手したので,調べてみた.

お昼頃に新青森→函館間を移動する場合である.

【開業前】
新青森(12:04)→白鳥77号→函館(14:25)
時間:141分
費用:5,490円(指定席)

開業後】
新青森(12:37)→はやぶさ11号→新函館北斗(13:38)
新函館北斗(13:51)→はこだてライナー→函館(14:06)
時間:89分
費用:7,890円(指定席)

ということで,まとめると…

乗換:+1回
時間:−52分
費用:+2,400円

見かけ上は,1分短縮あたり46円なり.乗換1回30分相当という話もあるので,短縮は22分相当とすると,1分短縮あたり109円なり.

青函トンネルが遅いとはいえ,乗換を気にしなければ,まぁ,そんなもんかというような感じ.乗換があると,開業もありがたさ半分なり新幹線,といった感じ.

三線軌化とかしてでも,何とか直通運転したかったねぇ.

 

北陸新幹線の増収効果想定の2倍以上

「北陸新幹線の増収効果想定の2倍以上」らしい.開業1年の北陸新幹線のお話.

じゃぁ,リース料上げてもいいよね.「想定」が間違っていたんだから.

こういった事前予測に基づく設定が事実と異なっていた場合,見直す条項があってもいいと思うが,そういうシステムは事前には準備されていない模様.

鉄道会社はリース料決めるまでは「儲からない」を連発すると後で大もうけ出来るという構造か??

何かの契約のように,固定部分と出来高払いの部分があってもいいんじゃないかなと思う今日この頃.

大もうけしているのなら,以後建設する部分では「調整」してもいいよね.

ほらな…

今ごろになって言ってもねぇ.首相がこうつぶやいているらしい.

読売新聞:消費税を8%に引き上げたら景気が冷え込んだ。上げなければ、税収は今頃もっと増えていただろう

元記事はこちら:http://www.yomiuri.co.jp/politics/20160227-OYT1T50029.html

だから言わんこっちゃ無い.だれか,消費税の最適税率計算しないのかねぇ.ちゃんとデータハンドリングしている経済の研究者なら,できると思うんだけど.首相の周りの人でも「止めとけ」って言ってた人はいたと思うぞぉ.

金融緩和ばかりしても,適切な投資先が無ければ金がダブつくだけで,実体経済は良くならない.見かけの数字が変化するだけ.

じゃぁ,何が適切な投資先かというと,生活上の,あるいは経済活動上の具体的な困りごとを改善する政策が適切なはず.

日本の困りごとというと,エネルギーや食料生産が海外頼みだとか,国土面積の割に細長い形が故に意外と移動に時間がかかるとか,田舎が疲弊しているとか,いろいろあるぞ.

何が良い投資先か,目利きはセンスの問題かも.

路面電車の地下線

タイトルが,それ自身,矛盾しているじゃぁ無いかという指摘は置いといて,海外のLRTについて調べているとしばしばお目にかかるのがこういう施設.

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路面電車の地下線である.日本ではまずあり得ない.

なぜ日本ではあり得ないかというと,日本では原則として鉄道整備は独立採算であるからだ.つまり,地下線をつくったならば,その建設費を運賃で払わなければならない.

例えば1kmの地下線を100億円でつくったとしよう.この100億円を運賃で支払うとする.地下線に乗り入れてくる電車の客は,平均5km乗車して200円支払ったとすると,1kmならば40円分である.

100億円÷40円/人=2億5000万人

電車には毎便100人ずつ乗っていたとすると…

2億5000万人÷100人/便=250万便

往復計で5分ごと,朝6時から24時までの18時間運転されていたとして…

18時間×(60分÷5分/便)=216便/日
250万便÷216便/日=11574日=31.6年

運賃を全額建設費の支払いにまわしても30年以上かかる.車両費や電気代,保守費,人件費,利払い等々の入っていない段階でこれであるので,事実上,運賃で地下線の建設費を払うなんてのは不可能である.

そもそも,朝から晩まで5分ごとにほとんど満員のLRVが走ってくるとの設定に無理がある.

つまり,こういった「路面電車の地下線」は独立採算の下ではできない施設,ということになるわけだ.インフラ整備の根源的な考え方が違う,というお話.

そうか,やっぱりアカンか…

記事の冒頭と同じく,本当にそういう話が出ているのなら思わず頭を抱えたくなった.

思わず頭を抱えたくなった。9日に大阪市内で開かれた「副首都推進本部会議」の第2回会合。大阪の副首都化や二重行政解消を目指し、府と大阪市が昨年末に設置した新組織だ…情報源: 【from社会部】大阪城で10万人盆踊り、ゲーム大会…残念な「副首都会議」、思いつきの的外れ放談でいいのか(1/2ページ) – 産経WEST

大阪における「副首都」の議論は,国策としての側面というよりは単なる地方振興策としての議論の色が強いと思っていたが…

「大阪城で10万人による盆踊り大会を」(作家の堺屋太一氏)、「大阪で若者が集うゲーム大会を」(元東京都知事の猪瀬直樹氏)-。

…これってマジすか? 猪瀬さんの本,ちょうど読んでたところなんで,今度こそまともなブレーンが来たかと思ったんだが,そうか,やっぱりアカンか…

新聞記事の精度:朝日新聞編(補足)

この話の補足である.

「(2)既設新幹線の譲渡収入の一部」は国鉄時代に建設した新幹線をJRが取得した際の対価であり,国鉄時代に建設した新幹線は運賃収入が原資だという話をした.

おそらく「国鉄時代に建設したのなら,28兆円の債務を残したまま国鉄は破綻し,結局は税金で埋めたことになっているから,やはり税金ではないか」との疑問が生じたかもしれない.今回はその部分の補足である.

国鉄の債務が膨らんだのは,鉄道路線を作り続けたことが原因であるとしばしば指摘されるが,それよりも,1)職員数が多すぎた,2)利率の高い資金調達をしてしまった,あたりの方が効いていたかと思う.職員数については,国鉄時代の40万人以上から,国鉄再建策を経てJR化までに概ね半減している.

利率の高い資金調達…て何だ,ということだが,確か資金源は財政投融資(財投)であったかと思う.財投の資金源は郵便貯金と厚生年金ではなかったか.つまり,国鉄は郵便貯金と厚生年金の焦げ付き案件であったわけだ.

通常の金融機関なら,融資案件がうまくいっていないのなら利率を下げるだとか,借り換えるであるとか,返済額を減じるとか,そういった再建策を出すのだろうと思うが,ここは違った.低成長時代に入っているのに利率は高いまま.借り換えも許さずに,貸し続けたわけだ.

郵便貯金の利率が民間銀行よりも高い時代が続いたことは比較的記憶に新しいところであるが,つまりのところ,郵貯や厚生年金を通じて国民に資金が流れたわけである.そういう観点からすると,貨物駅の広大な敷地を売却したり,新幹線をJRに譲渡したりしてもなおも残った借金を税金で穴埋めするというのは,さほど不合理な話でもないように思われる.

話を整理すると,国鉄時代の新幹線についても,一見,国鉄債務の税金による処理を通じての税金による建設負担のように見えるが,実は国鉄債務の税金による処理は財投の失敗による資金の国民への散逸が主たる原因であり,新幹線が税金で建設されたわけでは無い(つまり利用者負担である)ということである.

 

 

思い込みで記事を書く新聞は必要か(続新聞記事の精度:朝日新聞編)

昨日の朝日新聞の記事の件の関連である.あんまり他サイトの紹介はしないんだが,大事な話なので,以下のサイトも一読どうぞ.

「(朝日社説)北陸新幹線 大阪延伸は必要か」におけるウソ

朝日新聞社説「北陸新幹線 大阪延伸は必要か」批判

今日は定期試験の採点で疲労困憊なので,こんだけ.

#脳内ソースを元にテキトーに記事を書くだけの簡単なお仕事です.