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青函「第2トンネル」構想

 津軽海峡の海底下を通る「第2青函トンネル」の建設を将来実現させようと、大手建設会社や土木の専門家らが、動きだした。財源の確保など課題はあるものの、実現されれば北海道新幹線のさらなる高速化が可能になり、貨物列車の輸送力向上なども期待できる。

情報源: 青函に「第2トンネル」専門家ら構想 貨物線で新幹線高速化 | どうしんウェブ/電子版(経済)

貨物列車専用線を在来線規格の単線トンネルとして建設する案らしいが,どうせ掘るなら単線は単線でもフル規格新幹線サイズの電車が通せるように掘るべし.

現在の青函トンネルは,新幹線が通るトンネルにもかかわらず夜中も貨物列車が通るような線路になってしまっているので十分な保守時間がとれていないんじゃないのかな.

加えて,青函トンネルは掘削開始からもう50年.開業から間もなく30年.大規模な修繕も遠くない将来に必要だろうし,日々のメンテナンスも増えてくるだろう.

そうした場合に,日常的な利用法としては第2トンネルは在来線貨物列車用だとしても,「第1トンネル」のメンテナンススケジュールの必要に応じて新幹線電車も通せるようにしておいたほうがいいだろう.

北海道新幹線としては青函トンネルはまだ1才.だが,懐妊期間があまりにも長かったので,第2トンネルのことを考えるのなら,そろそろ「第1トンネル」の高齢化の心配もしながらインフラ計画を考えた方がいいかもしれない.

 

セルカニアスの地下駅の線路

たぶん,タイトルを見ても何のことが分からない人が多いと思うので,解説を.

スペインの都市近郊鉄道は「セルカニアス」というが,そのセルカニアスの発着する都心の地下駅のお話.こういう乗り物である.

そんで,気になったのは,電車の方ではなくて線路.日本の地下鉄の線路などとはずいぶん雰囲気が違っており,ほとんど路面電車の線路である.

コンクリート板に溝が掘られており,そこにレールがはめ込まれているように見える.いちいち細かな調整が不要でメンテナンスフリーなのかも.レールとコンクリート板の間に樹脂が充填されているようにも見えるので,騒音レベルも小さくなっているのかな.

日本では地下鉄というと,騒音の激しいものの代名詞になっているが,こういった騒音防止策もある模様.ところ変われば品変わる.

 

 

新幹線の旭川・新千歳乗り入れを

 11月に北海道商工会議所連合会の会頭に就任した岩田圭剛氏は日本経済新聞のインタビューで、北海道新幹線の札幌延伸前倒しと2026年冬季五輪の招致を重点課題にあげた。新幹線の旭川や新千歳空港までの乗り入

情報源: 新幹線、旭川・新千歳乗り入れを 道商連・岩田新会頭  :日本経済新聞

北海道新幹線を旭川や千歳空港へというのは,ごく当然出てくるアイデアかな.

北海道の場合,直流電化区間は無いので,電気設備は新幹線と共用できる可能性もある.そうすると三線軌の雪対策さえうまく行くのなら,例のトリビアが有効かもしれないよね.

#トンネルあると無理かも.高架橋も厳しい箇所あるかも.

東海道新幹線の浜名湖の件

別途書くと言った浜名湖の件である.

南海トラフ系地震に対する東海道新幹線の浜名湖付近の線路の置かれた状況については,ずいぶん前に書いた.詳しくは,以下の各リンク参照.
東北に行ってみた(水没した地区編)
リニア新幹線整備の理由(東京-名古屋編)
浜名湖を渡る鉄道(今切れ口編)
浜名湖を渡る鉄道(村櫛伝説編)
浜名湖を渡る鉄道(鉄橋観察編)

これに対して当該鉄道会社は公式には「津波の影響はない」と言っており,上のリンクの2つ目の内容を国交省にお知らせした後も内容の訂正は無いようなので,安全だと思い込んでいるようである.2-3年前の時点では『静岡文化芸術大の磯田道史准教授が浜名湖上を通過する東海道新幹線の津波に対する安全性に疑問を投げ掛けていることに関して「どういう根拠で言っているか分からない」』などと少々小馬鹿にした発言をしていたかと思うが,この歴史学者先生,映画「武士の家計簿」の原作者だとか,NHK教育の歴史番組の司会者だと言った方が分かりやすかっただろうか.

さて,今回は浜名湖付近の東海道新幹線が安全かどうかという点の議論ではなく,南海トラフ系の大地震で津波が新幹線の線路を襲うことを前提としたお話である.

東海道新幹線が大地震で不通になることに対しては,東西間交通の確保の観点では中央新幹線が有効であろう.だが,たとえ中央新幹線が開通した後であっても,リニア新幹線の輸送能力が低いであるとか,静岡から愛知県にかけての地域が全国的に見て重要な産業地帯であるという点を考慮すると,東海道新幹線はなおも重要な新幹線である.中央新幹線が完成しさえすれば壊れて消滅してもよいというわけではない.

これに対して鉄道会社は古くなった新幹線インフラの更新を徐々に進めるとともに高架橋の橋脚に鉄板を巻いたりするなどの対策を進めているところである.

だが,浜名湖をわたる線路については流失の可能性があり,国鉄末期にはせめてこの部分だけ線路を付け替えることができないかということで,当時の国鉄総裁が調査を開始しようとした,という話を耳にはさんだことがある.

対津波という点では,橋脚がしっかりしており,橋梁部分が最大波高よりも上ならば東日本大震災においても流失を免れていることから,現線路の北方の湖面上を新橋梁で通過するという方法は有効ではなかろうか.この現線路の北方を通過するというルートは,東海道新幹線建設時に当初計画されたルートであるとともに,国鉄末期に線路付け替えのルートとしても候補になったルートのようである.

じゃぁ,どの程度の費用がかかるのか,勝手に試算してみよう.現線路の北方約1kmを通すとすると,こんなライン取りか?

工事延長約13.3kmなので,工費をちょっと高めの200億円/kmと仮定すると,約2700億円かな.

まさかとは思うが,「津波でこの線路が被災してから,国費で直してもらおう」なんて考えてないよね.もし現線路が津波で被災したら「浜名湖の入り口を新幹線が通るなんて危険きわまりない.線路を直す際には迂回させるべきだ」という議論になるんじゃないだろうか.そうすると常磐線の復旧工事のように内陸迂回路線になり,浜松市の動物園付近から東名高速の付近を経て三ヶ日湖南岸,二川駅付近に達する工事延長30km超の大工事になりかねない.工期は調査を含めて突貫工事で10年か?

いろいろ後手だね.

 

“雑魚な客数のために面倒なことできるかよ!” と返答してJR東海が失ったかもしれないこと(その3)

JR東海がやっちまったかもしれないお話の(その3)である.これは既にJR自身が気付いている点,新大阪駅(と,その近辺)の件である.

新大阪駅に北陸新幹線を乗り入れる場合,可能なら地下よりも地上駅にして東海道山陽新幹線と同じレベルのホームにしたいところである.そうすれば北陸新幹線の線路と山陽新幹線の線路を繋ぎたくなった場合,数キロにもわたるであろう連絡線を建設しなくても現状の西方から20番線(あるいは27番線)への出入りを拡張すればいいだけである.

ところが新大阪駅周辺での地上での線路工事は少々厄介だ.事実上頓挫している路線がある.

新大阪の少し南側に阪急電鉄の京都線が走っている.阪急としては「南方」という駅が新大阪最寄りになるが,いかんせん地下鉄で1駅離れており,とうてい乗換駅にはなり得ない.そこで,梅田の北方にある十三駅から京都線よりも少し北側を通って新大阪に達し,そのまま東進して淡路駅で京都線に戻るという新線の建設を東海道新幹線開業の頃から計画していた.

ところが,地上を走る新線はまかり成らんと住民の反対があったため,計画頓挫.十三から新大阪駅までについてはまだ計画は放棄していないようだが,その先の淡路までについては計画が頓挫してしまった.

…という話はほぼ新幹線建設にもあてはまるであろう話であり,鉄輪新幹線だろうがリニア新幹線だろうが,新大阪に乗り入れる新線建設は地上ではなくて地下線を考えざるを得なくなった.

さて,リニア新幹線はまだ名古屋以西がどこを通るのか公表されていないが,新大阪駅終点だけははっきりしている.誰が見てもほぼ2択で,27番線北隣の阪急保有の土地の地下になるか,20番線南隣の駅前広場地下になるかであろう.現状の新幹線駅ホームの真下という選択肢も無きにしも非ずだが,高架の脚がたくさんあるので,それを受け換えさせながら工事をするのはかなり難工事だ.失敗すると新幹線が止まるというかなりチャレンジャーな工事計画になる.

一方,北陸新幹線についても京都-大阪間が「南ルート」になった場合は新大阪駅付近はリニアとほぼ同じライン取りになりそうであるので,駅そのものの他,路線を地下の浅い部分で通すことになるであろう新大阪駅付近の道路についても地下空間の取り合いになる.新大阪駅ではどちらも山陽新幹線への乗り継ぎ,JR近郊線への乗り継ぎ,地下鉄への乗り継ぎを便利にしたいという点でも目的は同じだ.

目的が同じなら地下空間内でリニアと北陸新幹線の上下2層にすればいいじゃないかと思うが,両者経営が異なるので,おそらく新大阪駅では客用コンコースは別に設けたい,という話になるだろう.かといって,平面上で並べると,近い方はともかく,遠くなる方は移動距離が長くなる.

じゃぁ,「北ルート」なら問題がないかというとそうでもない.線路を地下で平面交差させるわけにはいかないので,やはりどちらかが地下の浅い方,もう一方が地下の深い方になる.当然,深い方が移動には不利.

ということで,地下空間の取り合いだ.

JR東海にとって厄介なのは,おそらくそれだけではない.一般人から見れば単なるJR会社間の調整事項だが,事業としてみると北陸新幹線は(営業予定はJR西日本だが)建設は国の実施する公共事業,もう一方のリニア新幹線はがっつり国策(JR東海はなぜかこの表現を嫌う雰囲気がある)に載っかった全幹法に基づく整備計画路線とはいえ,民間の事業(JR東海はこっちを強調したがる)だ.

公共事業 vs 民間事業.新大阪平成の陣

地下空間の調整の必要性はJR東海は認識しているようであり,最近は地下空間の調整について発言するようになってきた.「コンペティター」に勝つには圧倒的優位に立つのが理想的だろうが,そうでない場合には最初からうまいこと抱き込んでおくという方法もあった.ちょっと前まで,まさかそんな雑魚な話が天下のリニア事業に影響するとは思ってなかったよね.

 

 

線路際に住んでいる人だけが知っている

いくらマニア君がネットで検索しまくっても知らない,線路際に住んでいるだけ人が知っている情報がある.

沿線住民は線路工事を夜中にされて「ゴラァ」と怒らないのかというと,(まぁ怒っている人がいるのかもしれないが)事前にこういうチラシがポストに投函されて事前に知っているので,「あぁ,あの工事か」と感じる程度である.

まぁ,全部の工事で事前告知があるわけじゃないけど,一種の事前コンセンサス形成.

チキチキチキ2

線路際に住んでいると,たまに変わった列車に出会う.原則として銀色の7両編成の電車しか走ってこないが,珍しく機関車が走ってきた.

貨物列車だ.積み荷は…レールだ.

何かの作業している.

運んできて置いていったのは,このレールだね.交換準備の模様.

麻生財務相北陸新幹線改善に「新宿から引くとか」

麻生太郎財務相は13日の閣議後会見で、北陸新幹線の延伸ルートの方針が固まったことについて「良い話だと思う」と評価する一方、「あまり詳しくない人がやっているのかと…

情報源: 麻生太郎財務相、北陸新幹線のダイヤ改善に「新宿から引くとか」

いやぁ,よく観察してらっしゃる.そこ,線路用地はあるんですよねぇ,既に.

わざわざ「鉄道用地」って書いてありますし.

フル規格新幹線と在来線車両に関するトリビア

新幹線の車両サイズについていえば,米国車両≒満鉄車両≒新幹線≒中国車両というのは有名どころ.東北新幹線のコピー品がそのまま中国を走れるのはこういった背景があるから.わざわざそれをここで書いても新鮮さが無いので,別ネタ提供.

果たしてこの先使うことがあるのかどうだか不明だが,新幹線の車両サイズと在来線(JR)の車両のサイズをしげしげと見つめていて気付くことがある.それは,こういう関係…

新幹線用標準軌のレールからフル規格電車の車体側面までの距離と,在来線用狭軌のレールから車体側面までの距離がほぼ同じ.

つまり,これらを三線軌として建設した場合,共通レールからホームまでの距離は新幹線と在来線とでほぼ同じなので.細かいことに目をつぶれば,三線軌のホームは両者で共通化できるかもしれない,というお話.

例えば,フル規格新幹線と在来線を同じホームに発着させて乗り換えさせたい場合,両者各1線ずつじゃなくて三線軌にしておくとか,大都市部で新線工事がしにくい場合,原則としてフル規格用の路線を造っておいて,軌道は三線軌にすれば駅のホームは両用にできる可能性があるということ.

新幹線に関する,すばらしきムダ知識.

#こうやって,ネット上に10年ほど転がしておくと,何となく実用化されることもあるかもしれないと思う今日この頃.まぁ,もっとも電気系統は共通化しにくそうなので,そう簡単でないことは重々承知.札幌駅の1番線2番線はこういう方法はどうだい? もっともあそこは1番線2番線転用の場合も,建築限界の関係で取り壊して作り直しらしいが.

大阪市営地下鉄カジノ線

大阪の湾岸地帯の埋立地である咲洲と夢洲を結ぶ例の秘密の地下トンネルであるが,ついに大阪市長自ら「すでに地下鉄用のトンネルがありますから」と発言されたようなので,完全公表情報であることが確認できた.

おさらいしておくと,今は道路だけが通じている大阪港の夢咲トンネルであるが,道路の上下線間には地下鉄用の空間が既に準備されている.こんな感じ.
dscn0077dscn0068ここを通る地下鉄計画については,地方交通審議会の答申路線ですらなく,公共交通関係の専門家の間では,「補助金も出ていないであろうし,道路トンネルとして掘ったにせよ余分な構造物への支出は会計検査に引っかからなかったのだろうか」など,この地下鉄トンネルの建設費はどうやってひねり出したのか不思議だという話になっている.

さて,建設費をどうやったのかも不思議だが,ここにもしも本当に地下鉄を通したらどうなるかという交通計画についても不思議である.整備するなら既に地下鉄やニュートラムが開通している側の咲洲側から路線が延びてくるようになるだろう.地下鉄中央線のコスモスクエア駅から延伸させるのだろうが,地下鉄中央線であるので,輸送能力はかなり高い.

トンネルを抜けた先の夢洲については,ここを2025年の万博会場にしようという構想がある.1970年の大阪万博の際は,地下鉄御堂筋線が臨時の線路を使って直接乗り入れていたほか,阪急千里線にも臨時駅があったらしい.(なお,若い人のために説明しておくと,大阪モノレールの万博記念公園駅は,かなり最近の設置であるので万博輸送をしたわけではない)

ということは万博の会場輸送としては,ここに地下鉄を通せば鬼に金棒.敢えていえば新大阪駅から乗り換えなくてはならないのがやや難点,という程度であり,能力的には何の問題もなかろう.

ところが問題はある.万博はせいぜい半年なので,半年を経過するとこの万博地下鉄は運ぶべき客が無くなってしまう.そこで登場するのがIRリゾートことカジノである.

夢洲を統合型リゾートと称するカジノ島にしようとする構想がある.日本のラスベガスを目指すのかしら? 観光立国らしいが,日本までわざわざやってきた外国人がカジノに行きたいのかという突っ込みや,まさか日本型カジノって姐さんが肩をはだけて「皆々様方よぉござんすか」などとやるつもりか? …などと言ってみたくなる.

交通計画の面から言うと,カジノに来るような客層が地下鉄に乗るだろうかといった点や地下鉄に乗ってやってくるとしても地下鉄路線を維持するほども客数があるのかという点が心配である.本家ラスベガスにはモノレールやバスが走っているようであるが,逆に言えばカジノ地区の交通機関はモノレールやバス程度で十分間に合うということでもある.

はてさて,大阪市営地下鉄はカジノ線に手を延ばすべきか.
大博打を打ってみるか? それとも,大阪の地下鉄はカジノせんか?