在来幹線」タグアーカイブ

じゃぁ,Inter City 「1」は?

Inter City 2」が実は快速列車の色塗り替えバージョン車両だという話をしたが,じゃぁ「1」はどうなのかというと,先頭車両はこんな感じ.

電車? いえいえ,制御客車というやつで,無理矢理に日本風電車的表現するならば「クハ」.電動車は反対側の機関車.ただし,そうすると編成全体では「クハ+サハ+サハ+サハ+サシ+サロ+サロ+クモ」という表現になるかな.

前回も書いたが,この古い車両の列車はなかなか侮れない.

img_9112tc

側面.この写真をクリックして拡大すると,車両下部に「200」「RIC」という文字が見える.国際列車にも使用できる高速対応客車だ.

img_9114tc

線形さえ良ければ,200km/hでかっ飛ばしてくれる.高速新線があれば,もちろんそこを走行する.なので,日本なら整備新幹線クラス相当の地方幹線はこの列車と路線改良だけでことが足りてしまうため,ドイツの鉄道網については「高速新線が少ないな」などと侮ってはいけない.

img_9124tc

長距離客が多いので,車内の「網棚」も通常サイズのスーツケースがそのまま載っかる.

img_9120t

ちなみに,日本で通常サイズのスーツケースが載っかるのは新幹線の棚くらいで,関空快速の棚に写真のスーツケースを載っけようとしたら,半分くらいはみ出したので,すぐに降ろした(ダメじゃん).

Inter City 2 っって何だ?

ドイツ鉄道の車内雑誌には主要列車の使用車両が載っている.ICE,ICE2,ICE3,…見慣れない車両が載っている.この「Inter City 2」って何だろう?

その答えは翌日やってきた.DüsseldorfからMünsterまでInterCity,つまり長距離急行列車に乗ろうとした.通常はInterCityというと,機関車がこういう古い客車を引っ張ってくるんだが…

img_4579c

そういうのを期待していたら,こんな列車が入ってきた.車内広報誌で見た「Inter City 2」だ.電車?

img_8753tc

白い色の二階建て車両だ.側面はこんな感じ.

img_8766tc

どこかで見たような,いや,乗ったことがあるような.反対側はこんな感じ.

img_8775tc

んんん? これはもしかして…

img_8751tc

…近距離急行列車,というか快速列車の色塗り替えバージョンじゃないか.RExxxxとか,そういう列車番号のやつね.格下列車の車両を使い回してるわけやね.昔のエーデル鳥取みたいなもんか?

なお,車内のイスは一応取り替えている模様,と思ってたら,よく見るとRExxxxの車両のイスも新しいのに交換してあるので,KeyPointはそこでは無さそう.

飲み物の車販があることと,車内にこういう表示器があることくらいしか違いが無さそう.

img_8759tc

img_8761tc

一応160km/h運転するので,新幹線のこだま号程度のサービスレベルには達している.それから,一番最初の写真のInterCity用の古い車両は200km/h運転対応だったりするので,侮れない.

レールパスの有効範囲

ヨーロッパに行くとき,例えば「ユーレイルパス」などを買ってゆくと乗り降り自由で大変楽である.

グローバルパスが一番制約が少ないが,その分値段も高い.訪問国が少ないときには2−3カ国だけ有効なセレクトパスなどを使って費用を節約することもある.

さて,今回の欧州調査は英国とドイツが主な訪問国であるが,英国からドイツに行く場合でこういう行程だとどうなるだろう.

Birmingham(英)→London(英)→[仏]→Bruxsells(ベルギー)→Köln(独)→Düsseldorf(独)

ユーロスターは英国からベルギーに行く便の場合はフランスを通過する.それからベルギーからドイツまで行くには当然ベネルクスを通る.

ということで,普通なら英国,フランス,ベルギー,ドイツの計4カ国分のレールパスを準備するか,パスとは別に列車を手配する必要がある.

ところが実は,パスは英国のパス(ブリットレールパス)とドイツのパス(ジャーマンレールパス)で済む.

Birmingham(英)→London(英)…これはブリットレールパスで乗れる
London(英)→[仏]→Bruxsells(ベルギー)…これはブリットレールパスを持っていれば格安でユーロスターに乗れる
Bruxsells(ベルギー)→Köln(独)…ここがミソ
Köln(独)→Düsseldorf(独)…これはジャーマンレールパスで乗れる

img_8737tc

「ここがミソ」と書いている部分は,最近になって特定の列車に限りジャーマンレールパスで乗れるようになったようだ.つまり,Bruxsells発の「ICE」だけジャーマンレールパスが(最近)有効になったようだ.(広島工大の先生が「発見」)

これも上下分離の一種の恩恵か?

なお,ドイツまでしか有効でないパスを使ってデンマークまで夜行列車に乗ったこともあるので,ここ以外にもパスの有効範囲の例外はいくつかあるようである.

時間が有り余っている&体力に自信のある人はジャーマンレールパスだけを使ってロンドンからドイツまで旅行する方法もある.

Virgin Train

エジンバラからバーミンガムまで,約4時間の汽車旅である.英国鉄が解体されて,もうワケの分からん状態だが,とりあえずブリットレールパスは特に何でも乗れるようだ.

9時ちょっと前の西側まわりロンドン行き特急.電化区間なのに,なぜか5両編成のディーゼル特急だ.英国鉄系ではなくて,車体にはこう書いてある.

IMG_7964tc

レコード屋さんではありません.今や立派な交通事業者.

IMG_7982tc

1等車のチケットを持っているので席に着こうとすると,こんな感じ.食堂車ではありません.

チケットのチェックが済むとすぐにコーヒーを注ぎに来てくれる.ジュースもいるかと聞かれるが,コーヒーだけでいいと返事する.コーヒー代はチケット代に込み.

IMG_7965tc

さらにしばらくすると,今度は国際線の飛行機のようなメニューを持ってきて,選べという.朝食だ.軽食だ.

オムレツを頼むと,サーモン入り,スモークサーモン入り,なしを選べという.えっ? まさかの車内調理? 「なし」を選ぶと,クレッソン入れてもいいか,と聞いてくる. えっ? やっぱり車内で調理???

待つこと20分ほど.運ばれてきた.

IMG_7966tc

ううううう〜んん.

東洋の島国では,車内販売を廃止して護送車のような列車運転してるんだってねぇ?

さらにその後,飲み物のお代わりはいるか? バナナやパンケーキはいるか? 再び,飲み物のお代わりはいるか? …

バーミンガムに着くころには,お腹たぽんタポンである.

なお,バーミンガムに着く直前にはコーヒーカップとグラスを新しいものに取り替えに来たので,そのままロンドンまで乗ってゆくと,お昼ご飯も出てきたかも.

英国は十分に「おもてなし」の文化があると思った.(一方,「おもてなし」をPRしている国では…)

超有名な橋

エジンバラ駅からローカル列車で10分ほど.まぁ,一生のうちで二度と降りないであろう駅で降車.

IMG_6093tc

こういう位置にある駅である.ローカル列車が2つ写ってるだけだって?

IMG_6066tc

向こうに写っている赤いのを拡大.トンネルつきのタワー?

IMG_6074tc

駅から外に出て,横にまわり込むとこんな感じ.建設系の人で橋関係の授業を受けたことのある人なら必ず紹介されたであろう「超有名」な橋.エジンバラのすぐ近くにある「フォース橋」だ.

IMG_6159tc

変わった形をしている.トラス橋の一種らしいが,一部の部材がワイヤ?いや,よく見ると細かいトラスかな.

IMG_7909c

列車が走ってきた.

IMG_7914c

橋でけぇ.列車小ちぇぇ.

IMG_7928tc

なお,この橋,2両編成のローカル列車のために架けられたものではなくて,幹線の一部である.たまに長大編成の特急列車や急行列車が走ってくる.

ぐるぐるぐる

敦賀駅から北陸本線で米原方面に出発すると,しばらくして米原方面の線路が金沢方面の線路を乗り越す.この辺は山が険しいので,特に貨物列車が勾配を楽に登坂するために,米原方面の線路が山の中をぐるっと時計回りに1周して高低差を稼ぐ.

ループ線だ.

IMG_4648

半周すると,地図上は小浜線の近くを走っていることになっているが,高低差がずいぶんついており,こんな感じだ.よく見ると眼下に小浜線の線路が見える.

IMG_4652

ここまでは,北陸線をよく使う人なら見たことのある光景.

じゃぁ,下から上,つまり小浜線から北陸本線を見上げると,こんな感じになる.

IMG_4540

結構上を走ってるね.小浜線自体がやや標高高めの場所を走っており,さらに写真に写っている二階建ての家屋は小浜線よりも高い位置にある.その家屋のさらに上,6階か7階相当のところを走っている.これでループ半周.

さらにもう半周して米原方面へ.北陸新幹線が出来ると,このループを特急で通ることも無くなるのかな.

スローガン@小浜

商店街を東に抜けると,おや? 市役所?

IMG_4461

なんか書いてあるぞ?

IMG_4464

舞鶴のスローガンとはちょっとニュアンスが違うのね.
快速鉄道」の方も,色あせてるけど看板下ろしてないのね.

小浜駅には何も書いてないと思ったら,小浜駅を出てすぐの鉄橋を渡るときにこういう看板発見.

IMG_4504

駅構内よりも目立つなぁ.

小浜線

東舞鶴から小浜までは2両編成の新しい電車だ.舞鶴線からの直通客も少なくないようだが,運転系統が分断されており,遅延が生じても待ってくれないようである.

IMG_4402

ゴトゴトと走るが,途中駅ではホームと線路が1本ずつしか無い箇所もある.

IMG_4409

よく見ると,元々あった線路を引きはがしているようだ.下の写真は,構内踏切の跡地のようだ.運転本数の減少に応じて不要な線路を撤去したということだろう.臨機応変なダイヤの変更,などというものは,もはや望むべくもないのだろう.

IMG_4410

沿線人口の減少+高速道路の整備+対抗意識なしというトリプルパンチ.

IMG_4411

小浜駅到着.

IMG_4416

敦賀方面,東舞鶴方面とも毎時1本が基本のようだが,東舞鶴方面については9時台,10時台,11時台の運転がなく,8時47分を逃すと12時04分まで無い.ひでぇ.

敦賀方面も運転の無い時間帯が複数ある.

これじゃぁ,「おでかけはお車で」と言っているようなものだ.

IMG_4417tc

積極的な営業をしたくない,という気持ちがひしひしと伝わってくるダイヤだ.これを北陸新幹線の並行在来線というのは無理がありすぎだ.すでに地域間輸送の機能を失っている.営業する気力が無いのなら,はっきりそう言って議論すべきであり,見え見えの方便は止めるべきだろう.

小浜線は北陸新幹線建設とトレードオフの関係にはありませんね.

高速道路は延びるが…

京都駅から北西方向というと山陰本線.かつては保津川沿いの線路を走り,その後も単線の線路をゴトゴトと走っていたが,今やそんなことをしていてはこいつに負ける.

IMG_3961

園部まで複線化,京都府下は全線電化したものの,高速道路と特急の所要時間はほとんど同じ.家族連れなら安さの面で自動車の勝ちか?

IMG_3964

電車も新車になって,に比べると早く着くようになったが,状況は厳しそう.

道路はどんどんできるのに,鉄道の高速化はなかなか進まないのは,財源制度,整備制度の違いが原因.資金潤沢な会社がある一方で,ヒーヒー言ってる会社があるのも,制度設計の問題.内部補助けしからんという話はよくあるが,世の中,内部補助で保っている面は多い.

高速鉄道整備,欧州ではかなり進んでるのにね.

 

山陽+智頭<山陰

かつて「あさしお」に乗った時には,夕方京都駅を出発して,山陰本線をゴトゴトと西へ西へと向かい,真っ暗になってから鳥取駅へと着いたかなぁ.所要時間は鳥取まで約4時間.もう,大概着いてくれと思う頃に到着.

DIMG_3412tc

今は,経路が変わって山陽本線と智頭急行経由で約3時間.大阪なら約2時間半.ビールとつまみでいい気分になった頃に到着.早くなったものである.もっとお急ぎの方は姫路で新幹線乗り換え.

所要時間では「山陽+智頭<山陰」だな.

…だが,都市間の連絡の機能は向上したものの,山陰線沿いの小駅は通らなくなってしまった.

小さな町々を結んでゆく機能も「山陽+智頭<山陰」だな.
(不等号の左右の社会的な重みがちょっと変わってしまうけど)