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京田辺駅のホームの途中の信号機がなくなったワケ

今は撤去されてしまったが,以前は学研都市線の京田辺駅のホームの途中に信号機があった.もちろんホームに入る前にもホームからの出発用にも信号機があった.

今はこの信号機は無い.

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なぜこの信号機があったかというと,京田辺駅前後が単線,つまり線路が1本しか無かったからだ.

単線区間では正面衝突を防ぐためにいくつかの安全策が講じられる.

まずは,一方の列車が駅に停車したことを確認して反対方向の列車を入線させれば衝突が防げる.単線区間で駅の手前で待たされることがあるのは,この方式のことが多い.

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これだとロスの時間が多いので,何とか両方向から同時に列車を駅に入れたいところ.

そこで,駅に構内をとっても広く確保しておいて,ブレーキを多少かけ損なっても正面衝突しないようなほどホームを長〜〜〜〜〜〜〜〜〜くしておく方法.跨線橋の近くに停車してほしいのに,なぜかかなり手前で列車が停まって降りてから歩かされるような駅は,このタイプ.

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もっと積極的に設備投資をするなら,安全側線という設備を導入する.ホーム部分の複線区間からホームの先で単線へと合流する直前にもう一基分機器を入れておいて,むやみに出発した場合はその挿入した分岐器であらぬ方向へと脱線させられるようになっているというもの,安全側線という名前がついているが,「大事故起こすくらいなら脱線した方が安全」という代物.

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そういう安全側線が設置できない場合は,駅への進入速度を信号機で大幅に制限してゆっくり進入させる.この方式が昔の京田辺駅.つまり上の写真は速度を大幅に制限する表示をしているというわけだ.

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さて,じゃぁ,信号機がなくなった今はどうなっているかというと,別の方法を採用している.保安装置(ATCやATS)を使って停止するまでの速度管理を厳重にすることで信号機がなくても良いことになっている.いわゆる新型ATS(P形)がこの駅に導入されて,速度管理が厳重になることで信号機が廃止された模様.

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よく見ると涙ぐましい工費節約

岡山駅を出て…

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早速,単線に.

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南に進路を変えるが,よく見ると右側には複線用の用地がある.でも単線.

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高架区間に入ると,複線に.短い単線区間だが,岡山駅構内を複線にすることができない(か,あるいはコストが高い)のかな.

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しばらく走って…

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高架区間が終わると,再び単線に.

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下に降りたら,すぐにまた複線に.こんな短区間なら,つないじゃえよぉ.

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駅を過ぎたら再び単線に.

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しばらく走ったら…

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再び複線に.

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駅を過ぎたら,再び単線に.

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しばらく走ったら…またまた複線に.

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このまま複線で進むかと思いきや…

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茶屋町駅の手前で再び単線に.

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高架に昇ったら…

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複線になる.ここも繋いじゃえよ.

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ここから南は,ずっと複線.

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短い単線区間であっても,複線で連続させずにわざわざ単線で繋いでいる.たぶん,信号システムをいじるのが面倒なんじゃないか(費用がかかる)と想像.

こまめなコストカットやね.

遠方信号機

線路際の信号機は,赤橙緑のランプの後ろに黒い遮光板が付いており,その板は真四角では無くて上下端が丸くなっているのが標準である.

だが,たまに田舎の路線で真四角の黒い板がくっついた信号機が設置されていることがある.

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遠方信号機という名前で,駅の手前の信号機の,さらに手前に設置されていることが多い.

鉄道の信号機は,その横を通過すると緑→赤などと変化してその先に列車を入れないようにするのだが,この遠方信号機にはそんな機能は無く,この先にある信号機の表示している内容の一段上を示す,という単純な機能しか無い.

つまり,上の写真だとこの先の信号機(駅の直前の信号機)は橙(または緑)だということである.もしも橙色を示した遠方信号機があったら,この先の信号機は赤だということなので,ブレーキをかけた方がよい,と言うことである.

田舎の路線に多いのは,単線区間でなおかつ信号保安装置が簡易な装置しかついていない路線に限られているからである.どの程度簡易かというと,駅間の途中では原則として列車が居るかどうかを検知せず,駅を出発したことと隣の駅についたことを検知して(イン-アウトだけ管理),その間の状態なら駅間に列車が居るはず,と判断するというものである.

何事もなく動いているときには特に問題がないが,(通常はそんなことは発生しないが)駅を出発したことの検知に失敗すると途中に列車が居るかどうか知る方法が無いので,正面衝突してしまうことがある.(事故は様々な要因が重なった結果であるが)かつての信楽高原鉄道線もそのような信号システムであった.

来週14日で信楽高原鉄道事故から25年になる.鉄道の保安装置って,直接営業成績に結びつかないけど,大事だね.

複線化を→話進まず

大都市から離れると,線路際でよくこういったスローガンを見かける.

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日本全国で複線化や電化を目指している鉄道線は多い.

じゃぁ,(米国はダメダメだが)欧州はというと,余程でない限りローカル線であっても複線化や電化はほぼ実現されている.少なくとも特急や急行相当の列車が走っているようなところで単線非電化にはお目にかかったことが無い.

この差はどこから来るかというと,ほぼ「カネ」である.ちゃんと財源が確保されているということ.日本でいうところのガソリン税相当の税金がちゃんと公共交通に還元されており,ローカル線の複線化・電化・路線改良・新車購入といったインフラ投資にまわっているのはもちろんのこと,日々の運営費にも資金が投入されている.

一方,日本ではガソリン税は「自動車ユーザー」という名のニアリーイコール国民の利用する道路投資にまわされていた.その道路すら,今や一般会計を通して投資されるようになり,ガソリン税は単なる普通の税金になってしまった.

インフラ投資しないと,後々困るぞ.いつまでも使えると思うな,何とやら.

なお,JRに期待する声は多いが,近年JR各社が自ら進んでローカル線に単独投資した事例はほとんどない模様.

カーネギー1897

福知山線の柏原駅.「かしわばら」ではなく「かしはら」でもなく,「かいばら」

駅舎は花博会場からの移設であり,ちょっと凝ったデザインである.今回の話題は,駅舎ではなくて,ホーム.

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昔は結構ホームの上屋の骨組みとか,ホームそのものの脚とか,架線柱とか,いろんなところで古レールが使われていた.うろ覚えだが,レールの中古取引が昔はできなかったかららしい.中古取引ができてしまうと,勝手にレールを線路から外して売り払う輩が出てくるからだとか.今はそうではないとかなんとか.

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よく見ると,レールなので刻印がしてある.これは「CARNEGIE 1906」と書いてあるようだ.カーネギーというと,鉄鋼王で有名なカーネギーか? 今はUSスチールだね.

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他にもいくつかのメーカーっぽいのがあるが,ペンキが厚塗りされていて読み取れない.

こっちは「CARNEGIE 1897」とある.柏原駅開業が1899年のようなので,開業当時に使われていたレールを再利用したホーム屋根ということかな.ちょっとした歴史的建造物だな.

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新幹線札幌駅の件

新幹線札幌駅のホームの位置が決まらないという.元々あった新幹線駅候補用地に商業ビルを建ててしまったからだという.

ここまでアホな案件も珍しいが,目先の利益に走ってしまったんだろう.どうしても現駅西側の用地に建てたいのか? なぜ? 今ひとつ合理的な説明はなされていないようである.

巨大商業ビルをどうしても建てたいのなら,新幹線駅ホームになる階は準備工事をしておいて壁をぶち破りさえすれば力学的に何の問題も無くホームにできるようにしておくべきだったが,そういう先見の明も無かったようである.

さて,駅とビルの間を詳しく見ると,現1番線,およびビルとの間の空間を活用すれば,線路1線とホームくらいは設置できそうである.じゃぁ,(1面1線)×2を狭い空間に作る地下鉄駅のように,垂直方向に縦に並べてしまえば(2階と3階)一応収まるんじゃないかな.

神戸市営地下鉄三宮駅とか,京都市営地下鉄御陵駅(ここは2面4線)とか,縦に積み上げている例はいくつかあるぞ.地上なら京急蒲田駅(ここは2面6線)とかもそうかな.

・現1番線線路は新幹線用の線路に転用
・1番2番ホームは2番専用ホームに
・新幹線1番線線路用に南側にホームだけ設置
・新幹線1番線線路上空に新幹線0番線線路を設置(*)
・新幹線1番線ホームの上空に0番線ホームを設置(*)

(*)新幹線1番線の上空は0番線ホーム,新幹線1番線ホーム上空を0番線線路にする方が建設は楽かも.

3階部分を造ると,駐車場棟から現駅屋上の駐車場に車が出入りできなくなるとか言いそうだが,鉄道会社が「クルマが…」と言い出したら,終わりである.

なお,桑園駅の南側も狭そうなので,ここも縦に積み上げてしまえばいいと思う.

#今月末に札幌に行くので,詳しく観察してこよう.

クリップ留め

「クリップ留め」というと,通常は書類のことであるが,最近はこんなものもクリップ留めである.

この写真は,これから敷設されるコンクリートまくらぎ.長寿命で重量があるのでずれにくいため,保守低減に役立つとともに,高速運転にも役立つ.以前のものは中央部がくびれていたが,最近のものはズン胴である.レールの下になる部分が少し幅広になっている.

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マクラギとレールは,簡素なものなら犬釘だけで固定されるが,さすがにそんな簡素なものは最近は見ない.レールとの固定もバネつきの鉄製を使ってボルト留めのことが多い.

さて,上のズン胴のマクラギの敷設後の様子.緩衝材がマクラギとレールの間にはさまれ,固定そのものは巨大クリップである.

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拡大するとこんな感じ.パチンと留めて終わり.作業の簡素化.

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レールとマクラギを留める方法だけでも,こんなにある模様

準備工事?

インフラ整備の際,こっそりと準備工事なるものがされていることは多い.些細な仕様変更さえしておけば,後々関連施設が拡張される際に出戻り工事が不要になっている,という類である.評論家が好きなネタだね.針の穴ほどの話を膨らませて本を書いたりするやつ.

例えば有名どころでは新大阪駅の在来線ホームや地下鉄御堂筋線ホームには新幹線ホームを増設する際の橋脚が準備されていたり,上越新幹線の長岡駅には羽越新幹線用のホーム空間があったりとか,そんな感じである.

そこまでたいそうでなくても,地味な準備工事はあちこちで見かける.例えば,この道路が線路を越える陸橋.単線なら線路を通す穴はもう少し小さくても良さそうなものだが,線路をどちらかに寄せれば複線が通せそうなだけの大きさにしてあるように見える.

どうせ陸橋を作るなら,線路を越える部分の橋の長さが3〜4m伸びたところで,大して工事費は変わらない,ということだろう.

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ところが,準備工事実施時には想定していなかった事態が起こると対応させるのに苦慮することもある.上の写真の陸橋に近づくと…

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線路の上空の架線がちょっと変である.陸橋の下をくぐる部分だけ上空の電線が3本になっている.電線を通すには高さが足りないようで,ぎりぎりまで電線を低くしている.

電線を低くすると,電車側のパンタグラフの電線を押し上げる力が強くなる(基本的にはバネなので)ので,その力強くなってしまったパンタグラフに「対抗」するために電線側を3本にしてあるわけだ.

つまり,陸橋の下の空間は,複線化は想定していたものの,電化はあんまり考えていなかった,ということだろうか.

将来を見越してインフラ整備をする,っって,言うのは簡単だけど結構難しいね.

どうして階段上がったり下がったり?

名古屋の地下鉄久屋大通駅の構内には,こういうスケルトン模型が置いてあった(今はどうだか知らない).

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地上には交差点とその上に歩道橋があり,これだけでも十分ダイナミックな空間の使い方だが,その下では地下鉄が十文字に立体交差しており,さらに地下通路や巨大配管類も通っている.

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オレンジ色の部分が地下通路だが,青色の配管類(電力線類や通信線類,上下水道に点検通路?)を避けるために一旦階段で配管類の下まで降りて再び昇っている.

地下鉄駅の連絡通路類では,しばしば何故昇ったり降りたりさせられるのかというと,こういう事情があるからである.配管類をもっと深くに通せばいいかというと,なかなかそういうわけにもいかない.配管類は沿道の建築物に引き込まれているので,深すぎると工事が大変である.

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さらに目線を降ろすと,これは地下鉄の駅の風景だね.地下鉄駅の天井が低くて重苦しいのは,頭上の隠された空間にこういったカラクリがあるからである.

設計下手だなぁ,などと言わないでね.

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さぁ,この平凡な地下鉄駅の写真の受け取り方が変わったかな?

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ハインリッヒの法則

最近電車に乗っていて気になることがある.車内の蛍光灯が切れている電車にしばしば出会うことだ.

気のせいかな?

以前はあんまりそういう電車に出くわすことはなかったが,最近多くなったような気がする.

気のせいかな?

故障を一定確率以下に抑えながら,メンテナンスコストを抑えるには…という種のリスク管理の結果,以前は放置することのなかった小さな故障を放置するようになったのかな?

気のせいかな?

「確率」は時として因果関係を忘れるための隠れ蓑になることがあるので気をつけた方がいいかも.サイコロの目が出るのも確率じゃなくてミクロに見れば確定的な事象かもしれませんので.全部「神様の思し召し」にしていたら,科学は何も進歩しなかったよね.

そろそろ電車の大事故から11年だね.