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【祝】rの見直し(骨太方針2026)

このページの

https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/honebuto/2026/decision0721.html

このリンク先にあるpdfの

https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/honebuto/2026/2026_basicpolicies_ja.pdf

p.34に(3)戦略的な社会資本整備の推進,という項目があり…

そこには「近年の金利状況等を踏まえ社会的割引率を見直す。」と書いてある.

そもそも公共投資判断の際の割引率は,借金をして事業を実施する民間事業とは異なるので,金利とイコールではないのだが,とにかく,ようやく「見直す」の文字が入った.

具体的な数値については,まだこれから議論されることになるとは思うが,r=4%がマズイという事実は現政権の認識になったわけだ.

高市政権が最初にすべきインフラ政策は「rの見直し」

なお,同資料のp.12には新幹線や都市鉄道を含む交通インフラにも言及があり,「成長投資を支える基盤」と位置づけられている.

 

北陸新幹線「JR負担75%だと京都府市は各1%未満」は絵に描いた餅

JRの負担75%だと京都府市は各1%未満 北陸新幹線「桂川案」で前原衆院議員が試算 – 産経ニュース

北陸新幹線の敦賀(福井県)―新大阪間の延伸ルートについて、京都市のJR桂川駅付近を通る「桂川案」を採用した与党整備委員会の共同委員長、前原誠司衆院議員=日本維…

情報源: JRの負担75%だと京都府市は各1%未満 北陸新幹線「桂川案」で前原衆院議員が試算 – 産経ニュース

この話.

既に開業した北陸新幹線の金沢‐敦賀間の建設費のうち,JRが支払うリース料で約75%を賄う予定になっているらしいが,それを,そのまんま敦賀-京都-大阪間に当てはめると,こうなるという話らしい.

まぁ,絵に描いた餅である.

金沢‐敦賀間の建設費と敦賀-京都-大阪間の建設費は,キロあたり3〜4倍くらいの差がある.つまり,75%という同じ比率ならJRが支払う額も3〜4倍である.

ところが,建設費が高いからと言って,新幹線の運賃を3〜4倍にできるわけではない.少しだけ上乗せできる可能性は無きにしも非ずだが,JRが支払う額は原則として「受益の範囲内」なので限界があり,絶〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜対に3〜4倍にはなりません.

概ね金沢‐敦賀間のキロあたり支払い額+α程度が限界になると思うので,絶〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜対に3〜4倍にはなりません.(北陸新幹線の最大交通量は金沢-敦賀間であって,敦賀–大阪間ではないので,敦賀–大阪間のほうが支払い能力は低い.)

支払期間を30年ではなくて「約75%を賄うまで」にすれば,実現できる可能性がないことはないが,30年間で計算しようとしている限り,絶〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜対にムリです.

かといって,沿線自治体が3倍ほどにもなった建設費を出せるかというと出せない.何なら,東北新幹線の青森付近を建設していた時期に比べると,キロあたり建設単価は10倍弱近いので,ムリムリムリ状態.

ということは,出せる可能性があるのは国庫くらいなもんである.全能感に包まれて変な計算しないほうが吉.

ラフな計算してみよう.5.5兆円 x75%=4.13兆円,4.13兆円÷30年=1375億円/年.つまり,敦賀–大阪間だけの年間リース料が1375億円である.1375億円÷365日=3.77億円/日.需要予測ではこの区間の利用者数は1.4万人/日のようなので,3.77億円/日÷1.4万人/日=2.7万円/人.つまり,運賃を2万7千円上乗すればOK(誰が乗るねん).

ちなみに,北海道・東北・北陸・九州新幹線などの整備新幹線のリース料の年間総額は全部合わせて計770億円のようである.いかに非現実的かよくわかる.

フェルミ推定レベルの計算能力すら無いなら,発言せずに,静かにしていたほうが吉.
こういう人が10年前に一旦決着した議論を引っ掻き回していると思うと,恐ろしい.

【祝】西九州新幹線全通で佐賀の勝ち確定か

西九州新幹線の未整備区間 佐賀県と国交省が環境アセスメント実施で合意 特定のルートは定めず

情報源: 西九州新幹線の未整備区間 佐賀県と国交省が環境アセスメント実施で合意 特定のルートは定めず(FBS福岡放送) – Yahoo!ニュース

(リンク先はすぐにリンク切れになる可能性高そうだが)この件. ルート決まらないのにアセスとはこれいかに,という件は置いておいて,西九州新幹線が全通した場合,「長崎の勝利」ではなく,実は「佐賀の勝利」の可能性が高い.

長崎駅の周辺はこんな感じ.

一生懸命周辺を再開発しているが,地形の制約のため,猫の額ほどの面積しか無い.

一方,(佐賀駅を通るとして)佐賀駅の周辺はこんな感じである.

ん? 佐賀駅の周辺はもう開発の余地がないって?

よく見てごらん.

「駐車場だらけ」だ.
つまり,開発のタネ地だらけだ.

もっと広域を見てみても…

農地はそのまま残したほうが良いのでは,という見方もあるが,少なくとも山地ではない.

つまり,「西九州新幹線全通=佐賀勝利」というシンプルな方程式なのである.

北陸新幹線京都ルート桂川駅は京都市民に不便+府民はもっと不便

北陸新幹線の京都市の駅として「桂川」が落とし所?という方向性があるようだ.

「新大阪」がOKなら「桂川」でもいいじゃないかというノリは,わからんでもない.それに関しては,すでに主な論点を2度にわたって指摘したが,忘れていた視点があった.

それは,「京都府民」である.新幹線の建設費負担は,「市」よりも「府」のほうが多いにも関わらず,府民(≠京都市民)の利便は議論されない.

市民視点の話はすでに書いたとおりなので省略するが,桂川駅は一応市内である一方,府民にとっては不便さを埋める手段がない.

現京都駅を北陸新幹線の駅にするのなら,京都府南部方面からはJR奈良線や近鉄京都線でそのまま直接アクセスできる.北西方向からもJR山陰線(嵯峨野線)でそのまま直接である.

ところが,桂川を北陸新幹線の駅にすると,京都駅でいったんJRの大阪方面の列車に乗り換えてアクセスすることになり,結構不便である.乗車時間数分に加えて,乗り換え1回あたり20分相当の心理的ロスなどという話もあるくらいだ.

京都府南部方面には,松井山手駅があるじゃァないですか,という意見もあるとは思うが,その駅,学研都市線上の駅なので,実は京都府南部からはすこぶる使いにくい.(学研都市線沿線住民の私は使いやすいが)

ということで,「桂川駅」は建設しやすい可能性はあるものの,京都府民としては後々「大枚はたいたのに,なんでこんなに不便なんだ」「誰がこんな場所に決めたんだ」というネガティブな反応が数十年単位で発生する可能性ありマス.

北陸新幹線京都ルート桂川駅の何がマズイのか

北陸新幹線の京都駅はなぜ「桂川」がイマイチなのか

「中速鉄道」の適する条件

なんだか「中速鉄道」が日本の新幹線計画の救世主だという錯覚が蔓延しているらしい.新幹線の基本計画線沿線地域でそういう話を時折聞くようになった.

「200km/h未満の速度でもそこそこ便利じゃない?」的な発想であるが,たしかに欧州レベルなら便利である.欧州レベルなら.

欧州の「中速鉄道」こと「在来線の改良区間」では150-200km/h運転は当たり前である.それは,線路が真っ直ぐで踏切がほぼ皆無だからである.そういう状況なので,一部の曲線を改良しさえすれば「そこそこ高速運転」ができてしまう.

ところが,日本の「中速鉄道」の議論では,その辺を完全無視して,「160km/h運転すれば便利になるはず」と思いこんでいる.最高速度が160km/h運転で便利なら,北越急行線で十分であり,北陸新幹線は不要だったはずである.

このような曲線改良が効果を発揮するのは,踏切がほとんど無くて,一部の曲線以外は線路が真っ直ぐな路線だけである.例えばこんな区間.踏切も少なそう.

都市間の線路は基本的に田んぼを突っ切る真っ直ぐな線路であり,所々に方向を変える曲線が入るだけ.これなら曲線改良&少数の踏切のアンダーパス化などで十部効果が期待できる.

でも,こんな路線だと,そもそも「中速運転」ができない.

カントをつけて,風による転倒を防ぐための防風壁を設ければ既存の在来線の線路でも160km/h運転可能だという暴論も存在するが,防風壁で風が本当に防げるのなら,湖西線の運転休止は存在しないはずである.

こういう区間(振り子式車両が投入されているような区間)は,結局のところ真っ直ぐな新線を建設せざるを得ず,真っ直ぐな新線ならば速度を160km/hに抑えなければならない理屈も存在しない.暫定整備計画の「青函トンネル方式」になるだけである.

また,踏切についても「センサーを高性能化すればOK」みたいな論の展開をする人もいるが,高性能なセンサーを付けても,列車が通過する直前に踏切に侵入されれば何の効果も無い.

なお,本家中速鉄道のドイツの場合,在来線改良で150-200km/h運転しているような区間では,「中速列車」と「ローカル列車や貨物列車」の線路は分けられ,複々線化される方向で徐々に整備が進んでいるようなので念の為.

#3億円もかかったらしい中途半端な報告書を真に受けないようにしましょう.

高市政権が最初にすべきインフラ政策は「rの見直し」

積極財政の高市政権が発足したが,「鉄道政策の進展に期待する」「インフラ整備が進む」等々の期待の声が大きい.

ところが実は,1年ほど前に買って読んだ実質的な政策集と言われる本には,あんまりインフラのことは書かれていない.もう一冊買ってみたが,やはり同じで,セキュリティ関連やエネルギ政策は詳しいものの,インフラ関連は手薄に見える.

連立政権を組むうえで「大阪副首都構想」に賛意を示してはいるものの,これも日本国のBCPとしての首都機能のバックアップという観点の延長で,インフラ整備政策というよりはセキュリティ関連である.国土強靭化の観点にも触れられてはいるが,これもセキュリティの延長である.

内閣の布陣を見ると,手薄なところは詳しい人に任せる方針のようにも見えるので,特に心配はしていないが,インフラ関連で具体論に入る前に最初に手を付けるべき点は,「rの見直し」である.

「r」って何?…ということだが,社会的割引率(social discount rate)のrateの「r」である.

今のところ,日本で計画されるプロジェクトを事前評価する場合の社会的割引率は4%に設定されている.

年間換算レートみたいな数値であり,一応,授業や教科書では,「世の中,経済成長とかするので1年後の1万円は今年の1万円と価値が違うだろ? その変化率を社会的割引率といって例えば10%なら,来年の1万1千円と今年の1万円は同じ価値ということだ」みたいな説明をする.

この割引率という数値は,現金で持っているよりも公共投資をしたほうが社会的に有利だ,という指標計算に使う率なので,経済成長率とか,公定歩合(現在は基準割引率および基準貸付利率)とか,そういう値を設定するというのがセオリーである.事実,諸外国での計算上の社会的割引率はそうなっている.

ところが日本では平成初期の基準貸付利率に相当する「4%」のままである.30年以上前の社会に合わせた値のままである.今は「0.75%」であり,経済成長が「目標2%」で実際にはマイナス成長していることもあるかもしれない国が,である.

この「r」の値で,計算上の総費用は大きく変化するし,将来得られるメリット(便益)の総額も大きく変わるので,プロジェクトの事前評価結果も大きく変わる.例えば,ざっくりした計算ではこんな感じ.

交通インフラプロジェクトに限らず,すべてのインフラ整備にこの「r」が関係してくるので,具体的に何を作るのかという話を進めるのと合わせて,「rの見直し」が必須である.

# 実態に合わせるのなら,r=1%くらい.成長目標ベースとするにしてもr=2%くらいが妥当かな.

米原ルート「実現難しい感触」

この話.

米原ルート「実現難しい感触」 北陸新幹線で京都維新代表

https://www.47news.jp/13219902.html

https://www.sankei.com/article/20250929-SWQE3TCXZFP5FJZO5KDJI3LSDA/

前原誠司代表は29日、北陸新幹線敦賀(福井県)―新大阪延伸を巡り、滋賀県を通る「米原ルート」は、「実現が難しい感触だ」との見解を示した。


選挙の公約に掲げる前に,ちょっと考えればわかる話なんですけどね.公約,軽いよね.

「…第3の案をまとめ、提示する取り組みに移りたい」と話した。

第3の案ありますよぉ〜.

北陸新幹線「京都駅付近の地上ルート」まとめ&リンク集

岐阜羽島と岐阜駅を結ぶLRT構想

 

名鉄「あのぉ〜,僕のこと忘れてませんかぁ.
一応,頑張ったら直通運転できるんですけど.
つーか,毎日ちょびっとやってるんですけど.27分デス.

 



おまけ:2005年春までの様子.(こっちは学生が確実に乗ってくれる可能性アリ.)

MMT(現代貨幣理論)の要修正ポイント

経済学者ではないので,この話題に深く首突っ込むのはやめておくが,理系というか工学系の人ならすぐに気づく「要修正ポイント」があるので,それに関してのメモである.

もっとも,以下の「要修正ポイント」は,MMT(現代貨幣理論)に限った話ではなく,世の中の経済政策全般に共通する話でもある.

さて,MMT(現代貨幣理論)については,wikipediaにはこう書かれているし,詳しく知りたい人はGoogleで検索するなりAIに問ってみるなりしてください.自国通貨建ての国債を政府が発行できるのなら,国債発行を通じて市中に資金供給すればよく,必ずしも国債の償還は不要だという論であり,市中に資金供給する具体的方法として公共事業等をすればよいという話である.

そんで,これに対する反論として,資金供給過多になってインフレを起こすとか言われてたりするわけだ.そんで,そんで,その反論の反論としてインフレ率を監視して資金供給量をコントロールすればいいとか,増税してコントロールすればいいとかいう議論になってたりするようだ.

まぁ,どの話も一応,わかる.

だが,残念ながらこの辺に議論の限界があったりするのかなぁとも思ってしまう.

上の話を簡単に書くと,「理想とする状態に比べて,実際の状況が大きすぎる場合,小さくするような方向のコントロールをする」という話(逆に,実際が小さすぎる場合は,大きくなるようにコントロール)であるが,これは制御工学の範疇である.ネガフィードバック(NFB).

工学系の人ならすぐに気づくと思うが,NFBをかけると理想状態に制御できるんだけれども,要注意点としては「時間的な遅れがあるとうまく制御できない」だ.電子回路の発振の話みたいなもんだね.

NFBとか理由のわからん話をされてもなぁ,という人向けには,バネに吊るした重りの挙動の説明がいいかも.

バネに重りを吊るして,ゆっくりと手を離す.バネが伸びて一定の長さのところで重りは止まる.経済学的に言うと均衡点だ.理想状態.

ところが,何らかの理由で「理想状態」からズレるとどうなるか.下方向にズレるとバネの力が強くなって「理想状態」に戻そうとする.ところが位置的な「理想状態」に達した段階ではバネの力は釣り合い状態に戻るものの,重りには上方向の勢いがあって「理想状態」では止まらずに今度は上方向にズレる.そうするとバネの力が弱まり…以下,延々とこの繰り返し.いわゆる単振動である.

経済学系の論文でも時刻tで微分された速度相当の変数や加速度相当の変数といったものが登場するものもないことはないが,実践的政策ではあまり気にされている気配がない.(むしろ逆に,ちょっと遅れてコントロールするほうがbetter的な話があったりする.)

まとめると,「要修正ポイント」としては,「逆方向のコントロールをする」だけじゃなく,「制震ダンパーみたいなシステムも組み込む必要アリ」だな.

新幹線整備の地方定額負担案

現行の新幹線建設スキームでは,建設される路線の沿線で地方負担が発生し,(実態はかなり色々ややこしい財源構成になっているが,一応は)国:地方=2:1になっている.

ところが,山岳地帯ばかりで駅の設置もできないのに高額な請求書が来ることを警戒する動きが無きにしもあらず.

例えば,北陸新幹線の高崎-敦賀間は延長470.6kmに対し,新設された駅数が18駅(高崎駅除く)なので,平均駅間距離は26.1kmである.つまり26km分の建設費負担をすると1駅付いてくるということが期待されるわけだ.

ところが,今もめている北陸新幹線の敦賀ー新大阪間については,(小浜京都ルートの南北案だと)駅間距離は次のような感じ.

敦賀-小浜:35km,小浜-京都:63km
京都-松井山手:20km,松井山手-新大阪:27km

1区間以外は,概ね平均的な駅間だが,小浜-京都間が平均26kmの倍以上ある.しかも,(どういう割り振りするのか不明だが)都市部の地下線工事で異様に建設単価が高い.そりゃぁ「請求書」に警戒するのも頷ける.

整備新幹線で駅間距離が長い区間は実は他にもある.それは,北海道新幹線の奥津軽いまべつ−木古内間の74.8kmで,青函トンネルを含む区間だ.

じゃぁ,青函トンネルの建設費を青森県と北海道が折半したかというと…してない.建設時期が異なるし,整備新幹線計画が正式に動き出す前に建設開始されたので,地元負担の考え方がないので,全額国持ちということになる.もしも現行の「2:1」のスキームができた後でのトンネル建設だったなら,おそらく地元負担で揉めたであろう区間でもある.

ということで,青函トンネルを参考に,地形が険しくて駅が設置できないような区間については,国の負担を原則とするという方法は考えられる.

もっと簡単なルールにするなら,地元負担は「設置される駅1つにつき線路26km分」に設定するとういう方法もある.

(地下線など)難工事で工費が高くなる区間の沿線と,田畑に単純に線路を敷くだけの区間では同じkmの建設でも負担が異なる.だったら,工事単価にかかわらず,地元負担は駅1つと線路26km分の定額払いに設定するという方法もある.