鉄道で国づくり」カテゴリーアーカイブ

レールだらけ(地下鉄編)

鉄道線路は左右のレールが1組になっている。わざわざ言わなくても、子供でも知っているお話。ちょっと詳しい子供なら、地下鉄には3本目のレールがあることを知っていることもある。
第三軌条(サードレール)と言って、地下鉄電車に電力を供給するためのレールで、その代わりに屋根上の架線が無い。架線が無いとその分だけトンネルを小さくできるので、建設費を安く抑えることができる。
じゃぁ、この地下鉄は? レールが4本ある。ロンドンの地下鉄。最も左のレールは電力供給用、左から2番目と最右端のレールは車輪が走行するためのレール。じゃぁ、中央のレールは?
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中央のレールも電力供給用。最も左のレールと中央のレールには碍子がついており、絶縁に気が使われていることがわかる。この2組でプラス極とマイナス極(厳密にはちょっと違うようだが)になっている。通常は走行用のレールをマイナス極と共用にするのだが、ここでは別にレールがわざわざ準備されている。
別にすることのメリットとしては、変電所に帰る電流が地中などを伝って思いもよらない箇所に電蝕…つまり一種の電気分解ですね…の影響を与えることを防いだり,電車のボディーとホームとの間に電位差が生じて乗客が感電したりすることを防げる(だったっけな)。

連節バスは広い道しか走れない…というわけではない

この交差点をバスが曲がります.
 

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IMG_6331隅切りはしてあるものの,「2車線+両側歩道」どうしの交差点である.
こんな感じの街路.車線部分が特に広いわけでは無い.
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ちなみに,ドイツでは連節バスのことを「BRT」と言ったりはしない.単なるバスです.

これは日本的基準ではBRT?

日本的基準では連節バスはBRTのようだが,じゃぁ,後ろに延ばすのではなく上に積み上げても日本的基準ならBRTになりそうなものである.
さらに,その中量輸送相当のバスがウジャウジャ専用レーンを走っていたら,これは「大量型軌道」か?Europe08-0202こうやって極端な例を考えてみると,何がおかしいかがわかりやすい.LRTやBRTは確かに「中量輸送」ではあるが,輸送量の多寡だけが都市交通の仕分けの基準ではない.都市内においてどんな役割を担うのかを考えて基準を設けないと,変な話になってゆく.
似たような話は,「街路の規格」にもある.日本の基準では街路は自動車交通をどれだけの量,どれだけの速度で通すかしか基準がない.そろそろ,いろいろ見直した方が良さそうだ.

きかんしゃトーマス

大井川鉄道できかんしゃトーマスが走るそうだが,英国にある多数の保存鉄道の一部でも,トーマスが走っている.
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Europe08-0286顔つきがちょっと違うぞ,という話は置いておいて,トーマス号はたくさんあるわけではなく,異なる保存鉄道間で貸し借りしているようである.
日本から行くなら,事前予約することが出来たと思う.写真は,ロンドンから電車で1時間ほどのAltonから延びるミッドハンツ鉄道である.
終点は,こんな感じ.

TRANSPORT IN CANADA(フニクラ編)

都市交通関係者で時々話題になるのだが,海外に行くと遊園地の遊具のような都市内交通機関があちこちにあるのに,日本では少ない.
例えば,写真はカナダのケベック州のケベックシティにある交通機関だが,斜行エレベータというか,ケーブルカーというか,何とも簡易な斜面移動交通である.もちろん,有料.
Quebec07-155Quebec07-046日本の場合は,金を取って二地点間を輸送する軌道系の交通機関だと,鉄道もしくは軌道扱いになってしまい,様々な規制を受ける(・・・とともに,最近までは審議会を経ないと事実上整備できなかった).
じゃぁ,建物の一部をなす装置という扱いなら斜行エレベータになるのだろうが,そうすると料金を取りにくい.
海外で実用化されている種の交通機関なら基本的には問題ないはずだが,頭が硬くて都市内移動の利便向上の機会を逃してしまっていると思われる.

山ん中の列車に米国ご家族一行様が乗っているワケ

世間の小中学生等をもっているご家庭では,夏休み突入である.
名古屋から電車に乗って終点亀山まで行くと,こういう列車が待っている.折り返し京都府下の加茂行きになる1両のディーゼルカー.ほぼレールの上を走るバスである.
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ゴトゴトと山の中の渓谷沿いや小さな盆地を走ってゆくが,何故かローカル線に似つかわしくないご家族ご一行様が乗っている.持ち物の雰囲気から米国人で,小学生くらいの子どもが二人.子どもの手に持たれている本の表紙をよく見ると「Ninja …」.
なーるほど,忍者に会いに来たワケね.案の定,伊賀上野でご降車.Have a nice holiday!

国土強靱化-副首都機能候補地を勝手にリストアップ

来たるべき大災害に備えて首都機能を何とかしないといけないという議論があるのだが,東京オリンピックが決まって以降,議論が低調でドキドキする.日本人はとにかく忘れっぽい.
何を首都機能の範疇とするのかは議論の余地があり,それをどこに移したりバックアップを取ったりするのかも議論のあるところだが,もしも日本の頭脳である霞ヶ関(を中心とする官庁街等)と同程度のまとまった面積を関西に確保しようとすると,公有地ではこんな場所がある.いずれも,面積的には同程度の規模である.
これら以外だと海岸の埋め立て地になるが「国土強靱化」の観点では役立たずであろう.
こういった国土整備の重要な案件は,全幹法の規程により幹線鉄道整備に大きな影響を及ぼす.(・・・はずである.法令を正確に遵守すれば.)
まずは,霞ヶ関(および周辺官庁街等)


伊丹空港(大阪国際空港)
航空ネットワークの関空への完全集約が必要だが,・・・実際には結構難しいかも.通勤鉄道線が近隣に複数あるほか,山陽新幹線も近い.高速道路も至近.ただし,ここを転用してしまうと空港は関空になり,遠くなる.ここをつぶしてしまうと,京阪神圏の空港は全て海岸地帯になり,ちょっと問題かも.


万博公園
結構便利な位置だが,公園をつぶすことにはいろいろ意見が出そう.高速道路至近.モノレールあり.通勤鉄道もあり.万博期間中には地下鉄が臨時で延伸されていたこともあるので,その気になれば地下鉄もOK.高速鉄道はやや遠いので,東海道新幹線をひん曲げるか,これからつくるリニアの経路をひん曲げるかする必要があるかも.空港は大阪空港まで割と近い.


陸上自衛隊祝園分屯地
自衛隊の移転先が必要.近隣の丘陵地帯も手つかずに近く,大面積の確保はしやすい.通勤鉄道は周辺に複数あるが,支線等の延伸必要.いずれの線も高速運転向きではないので,大阪市内までは時間がかかる.高速鉄道の駅は遠いので,これからつくるリニアなどの駅が必要.空港は遠いので,アクセスが課題.


陸上自衛隊長池演習場
他よりやや狭い.演習場の移転先が必要.上の祝園とよく似た状況だが,通勤鉄道がJR奈良線くらいしかない.

TRANSPORT IN CANADA(自家用車編)

カナダ国内の長距離移動は航空,じゃぁ短距離中距離はというと,鉄道網がかなり希薄なので,クルマである.車が使えない場合は,グレイハウンドなどのバスである.
NOL06-121実はカナダは米国よりも所得が低いので,飛行機にはあまり乗らずに,大陸横断クラスの距離でもクルマである.日本ではクルマで「only 10 hours」とか「only 1000 km」とは言わないが,彼らにとってはこの程度の距離はクルマのカバー範囲である.
もちろん,空港や駅はクルマで乗り付けるのは当たり前,米国に行くのもクルマである.ということで,一度だけクルマで米国まで行ってみたことがある.ただし,さすがにonly 1000km先のN.Y.は遠すぎて無理なので,半分ほどの距離のデトロイト郊外までである.
ちなみに上の写真はカナダ在住中に使っていた車(Ford Contour)であり,現地では比較的コンパクトなクルマだと思って使っていたが,帰国後に大学の駐車場に同じ車種が停められており,3ナンバーであることを知った.大学に駐めてあった車は仕事上”Contour”が切っても切れない分野の先生のものであった.

ガソリン値上がり(国の担当部局は何している!?)

ご存じのようにガソリンの価格がべらぼうに高い.レギュラーで160円台,ハイオクで170円台というから,一時期の5割増しといった感覚である.
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国の担当部局は何している!?………輸入価格を抑えろ,というお話しではない.
最近はさっぱりテンションが下がっているが,地球温暖化ガスの削減はどうなった? 京都議定書クリアをあきらめたからと言って,何もしないでOKになったわけではない.特に運輸部門のCO2削減はなかなか進まず,モーダルシフトのかけ声をかけるも,反応は鈍い.
自動車を使う理由は便利だからだが,利用にあたっての費用が高ければ使用する率が少なくなるはずである.そう,現在はガソリン価格が高くてモーダルシフトを推進する絶好の時期である.
不要不急の自家用車利用は電車やバスに切り替えてもらい,渋滞を解消さえて自動車の燃費を向上させ,公共交通も自動車交通もwin-winの関係になる絶好のチャンスである.
国の担当部署は何をしているんだろう.まさか,そのことに気付きさえしていないのか?

国土強靱化における幹線鉄道網最大のネック

最近の国土整備の方向性として「国土強靱化」とか「国家のリスクマネジメント」などといったキーワードが聞かれるようになってきているが,日本の幹線鉄道網については,40年前の計画から基本構想が更新されておらず,この図の路線を建設費の目処が付いた順に着工しているに過ぎない.
時々,”建設の新しいスキーム”などと称しているが,単なる資金計画である.民間が出資する場合も同じ.この図が金科玉条になってしまっている(40年前の国土整備方針なのに).nfig235-1
どこがネックかというと,実は「大阪」である.東海道山陽新幹線も,リニア新幹線も,北陸新幹線も山新幹線も四国新幹線も「大阪」が結節点になっており,ここが機能不全になると幹線鉄道網を使っての東西往来が出来なくなる.それ以外にも「東京」「名古屋」は要注意箇所であるが,それでも一応迂回ルートは存在している.
困ったことに,「大阪」は(事実上新大阪駅になるのだが)大津波時には新大阪駅は浸水被害の可能性が指摘されている.高架なら大丈夫かって? 浸水するような状況だと,鉄道を支える各種機器類や電源供給等に支障が出て,線路が無事でも機能不全に陥る可能性がある.「名駅」も津波はともかく(水害のイメージがあり)地元民は眉をひそめて大丈夫かと必ず言うし,「品川」はそもそも海岸地帯で埋め立て地である.
もちろん,この図は(いつ出来るかわからないレベルの)完成予想図であるが,在来線特急であっても事情はほとんど同じである.山陰本線は京都から分岐していると思ったあなた,あなたの頭の中の路線図は古い.京都から鳥取に向かう特急は,大阪経由の「はくと」であり,「特急あさしお」は今や昔である.
新幹線を敦賀発着に,などという意見もあるかもしれないが,それがいいのかどうかはともかく,昔の「列島改造論」ベースの全体構想は,早急に見直す必要がある.
ちなみに,国土強靱化政策大綱には,「PDCA サイクルの徹底 」という項目が基本的な考え方として登場する.新幹線をはじめとする幹線鉄道もこの国土強靱化の取り扱い範疇であるが,例のごとく何もしないのかなぁ.