鉄道で国づくり」カテゴリーアーカイブ

TRANSPORT IN CANADA(フニクラ編)

都市交通関係者で時々話題になるのだが,海外に行くと遊園地の遊具のような都市内交通機関があちこちにあるのに,日本では少ない.
例えば,写真はカナダのケベック州のケベックシティにある交通機関だが,斜行エレベータというか,ケーブルカーというか,何とも簡易な斜面移動交通である.もちろん,有料.
Quebec07-155Quebec07-046日本の場合は,金を取って二地点間を輸送する軌道系の交通機関だと,鉄道もしくは軌道扱いになってしまい,様々な規制を受ける(・・・とともに,最近までは審議会を経ないと事実上整備できなかった).
じゃぁ,建物の一部をなす装置という扱いなら斜行エレベータになるのだろうが,そうすると料金を取りにくい.
海外で実用化されている種の交通機関なら基本的には問題ないはずだが,頭が硬くて都市内移動の利便向上の機会を逃してしまっていると思われる.

山ん中の列車に米国ご家族一行様が乗っているワケ

世間の小中学生等をもっているご家庭では,夏休み突入である.
名古屋から電車に乗って終点亀山まで行くと,こういう列車が待っている.折り返し京都府下の加茂行きになる1両のディーゼルカー.ほぼレールの上を走るバスである.
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ゴトゴトと山の中の渓谷沿いや小さな盆地を走ってゆくが,何故かローカル線に似つかわしくないご家族ご一行様が乗っている.持ち物の雰囲気から米国人で,小学生くらいの子どもが二人.子どもの手に持たれている本の表紙をよく見ると「Ninja …」.
なーるほど,忍者に会いに来たワケね.案の定,伊賀上野でご降車.Have a nice holiday!

国土強靱化-副首都機能候補地を勝手にリストアップ

来たるべき大災害に備えて首都機能を何とかしないといけないという議論があるのだが,東京オリンピックが決まって以降,議論が低調でドキドキする.日本人はとにかく忘れっぽい.
何を首都機能の範疇とするのかは議論の余地があり,それをどこに移したりバックアップを取ったりするのかも議論のあるところだが,もしも日本の頭脳である霞ヶ関(を中心とする官庁街等)と同程度のまとまった面積を関西に確保しようとすると,公有地ではこんな場所がある.いずれも,面積的には同程度の規模である.
これら以外だと海岸の埋め立て地になるが「国土強靱化」の観点では役立たずであろう.
こういった国土整備の重要な案件は,全幹法の規程により幹線鉄道整備に大きな影響を及ぼす.(・・・はずである.法令を正確に遵守すれば.)
まずは,霞ヶ関(および周辺官庁街等)


伊丹空港(大阪国際空港)
航空ネットワークの関空への完全集約が必要だが,・・・実際には結構難しいかも.通勤鉄道線が近隣に複数あるほか,山陽新幹線も近い.高速道路も至近.ただし,ここを転用してしまうと空港は関空になり,遠くなる.ここをつぶしてしまうと,京阪神圏の空港は全て海岸地帯になり,ちょっと問題かも.


万博公園
結構便利な位置だが,公園をつぶすことにはいろいろ意見が出そう.高速道路至近.モノレールあり.通勤鉄道もあり.万博期間中には地下鉄が臨時で延伸されていたこともあるので,その気になれば地下鉄もOK.高速鉄道はやや遠いので,東海道新幹線をひん曲げるか,これからつくるリニアの経路をひん曲げるかする必要があるかも.空港は大阪空港まで割と近い.


陸上自衛隊祝園分屯地
自衛隊の移転先が必要.近隣の丘陵地帯も手つかずに近く,大面積の確保はしやすい.通勤鉄道は周辺に複数あるが,支線等の延伸必要.いずれの線も高速運転向きではないので,大阪市内までは時間がかかる.高速鉄道の駅は遠いので,これからつくるリニアなどの駅が必要.空港は遠いので,アクセスが課題.


陸上自衛隊長池演習場
他よりやや狭い.演習場の移転先が必要.上の祝園とよく似た状況だが,通勤鉄道がJR奈良線くらいしかない.

TRANSPORT IN CANADA(自家用車編)

カナダ国内の長距離移動は航空,じゃぁ短距離中距離はというと,鉄道網がかなり希薄なので,クルマである.車が使えない場合は,グレイハウンドなどのバスである.
NOL06-121実はカナダは米国よりも所得が低いので,飛行機にはあまり乗らずに,大陸横断クラスの距離でもクルマである.日本ではクルマで「only 10 hours」とか「only 1000 km」とは言わないが,彼らにとってはこの程度の距離はクルマのカバー範囲である.
もちろん,空港や駅はクルマで乗り付けるのは当たり前,米国に行くのもクルマである.ということで,一度だけクルマで米国まで行ってみたことがある.ただし,さすがにonly 1000km先のN.Y.は遠すぎて無理なので,半分ほどの距離のデトロイト郊外までである.
ちなみに上の写真はカナダ在住中に使っていた車(Ford Contour)であり,現地では比較的コンパクトなクルマだと思って使っていたが,帰国後に大学の駐車場に同じ車種が停められており,3ナンバーであることを知った.大学に駐めてあった車は仕事上”Contour”が切っても切れない分野の先生のものであった.

ガソリン値上がり(国の担当部局は何している!?)

ご存じのようにガソリンの価格がべらぼうに高い.レギュラーで160円台,ハイオクで170円台というから,一時期の5割増しといった感覚である.
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国の担当部局は何している!?………輸入価格を抑えろ,というお話しではない.
最近はさっぱりテンションが下がっているが,地球温暖化ガスの削減はどうなった? 京都議定書クリアをあきらめたからと言って,何もしないでOKになったわけではない.特に運輸部門のCO2削減はなかなか進まず,モーダルシフトのかけ声をかけるも,反応は鈍い.
自動車を使う理由は便利だからだが,利用にあたっての費用が高ければ使用する率が少なくなるはずである.そう,現在はガソリン価格が高くてモーダルシフトを推進する絶好の時期である.
不要不急の自家用車利用は電車やバスに切り替えてもらい,渋滞を解消さえて自動車の燃費を向上させ,公共交通も自動車交通もwin-winの関係になる絶好のチャンスである.
国の担当部署は何をしているんだろう.まさか,そのことに気付きさえしていないのか?

国土強靱化における幹線鉄道網最大のネック

最近の国土整備の方向性として「国土強靱化」とか「国家のリスクマネジメント」などといったキーワードが聞かれるようになってきているが,日本の幹線鉄道網については,40年前の計画から基本構想が更新されておらず,この図の路線を建設費の目処が付いた順に着工しているに過ぎない.
時々,”建設の新しいスキーム”などと称しているが,単なる資金計画である.民間が出資する場合も同じ.この図が金科玉条になってしまっている(40年前の国土整備方針なのに).nfig235-1
どこがネックかというと,実は「大阪」である.東海道山陽新幹線も,リニア新幹線も,北陸新幹線も山新幹線も四国新幹線も「大阪」が結節点になっており,ここが機能不全になると幹線鉄道網を使っての東西往来が出来なくなる.それ以外にも「東京」「名古屋」は要注意箇所であるが,それでも一応迂回ルートは存在している.
困ったことに,「大阪」は(事実上新大阪駅になるのだが)大津波時には新大阪駅は浸水被害の可能性が指摘されている.高架なら大丈夫かって? 浸水するような状況だと,鉄道を支える各種機器類や電源供給等に支障が出て,線路が無事でも機能不全に陥る可能性がある.「名駅」も津波はともかく(水害のイメージがあり)地元民は眉をひそめて大丈夫かと必ず言うし,「品川」はそもそも海岸地帯で埋め立て地である.
もちろん,この図は(いつ出来るかわからないレベルの)完成予想図であるが,在来線特急であっても事情はほとんど同じである.山陰本線は京都から分岐していると思ったあなた,あなたの頭の中の路線図は古い.京都から鳥取に向かう特急は,大阪経由の「はくと」であり,「特急あさしお」は今や昔である.
新幹線を敦賀発着に,などという意見もあるかもしれないが,それがいいのかどうかはともかく,昔の「列島改造論」ベースの全体構想は,早急に見直す必要がある.
ちなみに,国土強靱化政策大綱には,「PDCA サイクルの徹底 」という項目が基本的な考え方として登場する.新幹線をはじめとする幹線鉄道もこの国土強靱化の取り扱い範疇であるが,例のごとく何もしないのかなぁ.

TRANSPORT IN CANADA(エアカナダ編)

P.E.I.に行くにしても,ナイアガラに行くにしても,カナダでよく使うのがこの航空会社である.10年以上前はもう1社比較的大きな航空会社があったのだが,つぶれてこの航空会社に吸収されてしまった.
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カナダの国民性は一言で言うと「リラ〜ックス」なので,この航空会社の雰囲気もそんな感じである.時には「Delay」「Revised」「Cancel」もあるが,イライラしてはいけない.「リラ〜ックス」である.南隣の国のようにハイテンションだがギスギスした感じは微塵も無い.「リラ〜ックス」である.荷物を運ぶときにも,こういうこともあるが,気にしてはいけない.「リラ〜ックス」である.Quebec07-042
Quebec07-043追伸,最初に書いた「買収された航空会社(カナディアン航空)」の機体がこれ.
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LRTを使ってみよう(一日乗車券編)

LRTは床面が低いだとかが取りざたされるが,私が一番重要だと思っているのは「一日乗車券」だ.
日本のバスや地下鉄の一日乗車券は,都市により様々な値段が付いているが,概して高めの設定がされている傾向があり,あまり買う気が起きないことが多い.欧州の都市を訪問した際には,よく1日券を買うが,価格としては3回程度バスや地下鉄に乗れば元が取れる設定になっているケースが多い.
IMG_7626写真は,ドイツフライブルク市の一日乗車券,正確に言うと,24時間券である.大人1人と子ども4人までが乗れ,5.5ユーロなので,概ね800円といったところである.
都市によって扱いが違うのだが,チケットを買ったら停留所,もしくは電車やバスの車内出入り口付近にある「打刻機」に入れて使用開始時刻を記入する.上のフライブルク市の場合,確か買った瞬間から自動的に有効である.
あとは買ったときの有効範囲内なら乗り降り自由.間違った電車やバスに乗ったと思えば降りて引き返せばよい.いちいち運転席の横まで行ってチケットを見せる必要すらない.乗った入り口から降りればよい.この便利さは止められない.
一方日本では,チケットの売り上げをどう分配するかで揉め,信用乗車では無賃乗車があるのでは無いかといって揉め,磁気券では今後は改札機が対応できいと言っては揉め,将来ICカード化されるとICカードにはデポジットがいるのどうのと言っては揉め,さっぱり導入が進まない.良くいわれることだが,出来ない理由を見つけ出すのが得意技なのが日本人である.

東海道新幹線の能力

日本で最も輸送能力が高い幹線鉄道は,言うまでも無いが東海道新幹線である.1編成16両で,1300人以上の座席定員がある.
さて,東海道新幹線の運転可能本数は,以前は4分間隔の毎時15本であったが,これは東京駅の処理能力,もっと厳密に言うと,東京駅のすぐ横浜側の分岐器の能力に依るところが大きかった.他の駅が駅構内への進入速度が70キロで設計されているのに対し,ここの分岐器だけが60キロ制限になっており,列車が構内に入りきるのに他の駅よりも時間がかかったからと思われる.東京駅付近での列車の最小運転間隔は3.75分であったが,新大阪駅付近ではそれよりも短かったようである.新幹線の列車検知はレールに特殊な電流を流して検知する方法(軌道回路)が原則だが,東京駅および一部の駅には光学式の装置が併設されており,列車の進入完了の検知精度を向上させているのではないかと思われる.
写真の右上の小箱が光学式の検知器,左側の箱2つが軌道回路用の装置.(東京駅)
LX-2005-05-11-05LX-2005-05-11-352006年からは保安装置がデジタル化されて,ガクンガクンと何度も急なブレーキをかける方式から滑らかにブレーキをかける方式に改良されるとともに,運転間隔が3分間隔以下になっており,京都駅や名古屋駅ではピーク時間帯には時刻表上であるが,2分間隔で列車が雁行することもある.米原や岐阜羽島などで各停タイプの列車がのぞみ号にゴボウ抜きされる場合の運転間隔も,実測すると2分台になっている.
東海道新幹線には,まだ潜在能力がありそうである.

TRANSPORT IN CANADA(長大橋編)

赤毛のアンで有名なカナダのプリンスエドワード島(P.E.I.)に行くには,通常は航空機だが,陸路で向かうと大陸とP.E.I.の間には延長14kmほどもある長大橋が架かっている.

 あまり有名ではないが,瀬戸大橋が10kmほどなので,結構な長さである.PEI側から見ると,こんな感じ.

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橋を通ると,こんな感じ.
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厳寒の期間が長いので,工事は大変そう.
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橋梁部分の構造はこんな感じ.単純な道路橋.
PEI_09-3241997年完成なので,写真は完成3年目ということのようである.どうりで,Monctonまでの夜行列車の食堂車で同席したおばあさんが「P.E.I.へは船に乗ったの?」と聞いてきたわけだ.その船というのは,鉄道連絡船だったようである.