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アベノミクス消費拡大遠く

 個人消費や雇用に関する11月の経済統計が27日、発表された。有効求人倍率はバブル期以来の高水準となった一方、消費者物価指数や消費支出は低迷。第2次安倍政権発足から4年がたち、雇用指標は改善したが消費は依然力強さを欠き、デフレからの完全脱却は見通せない。

情報源: アベノミクス4年:消費拡大、依然遠く – 毎日新聞

「消費の拡大」というお題目を唱えるだけで,金さえ潤沢に供給すれば使うと思ったんだろうかしら?

資金不足だと使いようが無いことは確かだが,どういう局面になると人は消費をしたくなるのかということの分析が不十分じゃなかったのかと想像する.

社会が高齢化しているという.高齢者は消費したがるかというと,むしろ逆である,もう大概に買い換えればいいんじゃないかと思うようなものでも,使えなくなるまで使い続けるのが高齢者である.

若い頃に子育てをする際に資金的余裕が少なかった経験が染みつき,資金に余裕が出来るようになった頃には,あと何年生きるか分からないのに新品を買うのはもったいないと考えるようになり(実際にはリタイアしてから20-30年あるんだけどね).かといって若い人は相変わらず資金不足だし.

企業はというと,ここも不況が長かったせいでいつ好景気が終わるのかおびえながら設備投資に二の足踏んでるし…などなど,資金を供給しさえすれば行動が変わるかというと,もはや染みついたパターンは変えようがないというのが現実ではないだろうか.1人あたりの消費を大きくしようとしても,誰もが24時間ずつしか与えられていないという制約はかなり厳しいし.

じゃぁ,一体,思い切った消費をするのはいつだろうかというと,ヒントは生活パターンが大きく変わる瞬間,具体的には,進学・就職・結婚・出産・転居・家の購入,企業でも移転.このあたりだ.心機一転の際には持ち物の高度化が図られることも多い.

進学・就職・結婚・出産・家の購入,このあたりは人口問題そのものなので,地道な取り組みが必要だが,転居や移転はある程度コントロールが可能だ.

都市のコンパクト化に伴う転居,国土上の各種機能の配置転換に伴う転居などなど,都市計画・国土計画上の立地の適正化に伴う消費の拡大というのは選択肢として残されている可能性はあるように思われる.

 

初夢鉄道2016答え合わせ(西日本大震災編−2)

今回は「初夢鉄道2016(西日本大震災編)」の「答え合わせ」(その2)である.

まだ3日今年が残っているが,まぁ大きな出来事は無かろうと言うことで,答え合わせシリーズのファイナルである.

地域振興を裏目的として制定された副首都は結局大阪になっていた.震災前は順調に機能し,関西活性化に役立っていた.だが,今般の南海トラフ地震に伴う大津波は太平洋岸各地を襲うだけでなく,紀伊水道から大阪湾まで入り込み,淀川や大和川流域まで入ってきた.もちろん,大阪の中心街にも入ってきた.

こっそり「大阪都」を復活させようとしている気配はあるものの,新たな基軸の提案は出来ていないようであり,この構想自体は盛り上がっていない.だが,首都機能自体を東京に置いておくことの危険性は年々増していることは確かであり,やれオリンピックだやれ市場の移転だなどと騒いでいる場合ではない.しかし,正常性バイアスとは恐ろしいもので,もはや東京の人々は茹でガエル状態のようである.

巨大地震そのものも起こっていないが,対策が画期的に進んだわけでもないので,状況自体はほとんど変わっていない.最悪の場合,大阪市の中心部では御堂筋あたりから西側が浸水する可能性があるが,それを考慮した都市計画が進んだという話もなく,どちらかというと危険地帯への都市機能の集積は進行し続けている.

もとより海抜の低かった大阪平野の海岸沿いでは浸水被害が大きく,大阪市内の主要な地下街は水没している.遮水対策はしていたが,全ての浸水経路を防ぎ切れていなかったため,当分地下施設は使えなさそうである.地下変電所もやられたので,大阪市内のかなりの部分で電気が使えない状態になっている.オフィスが機能しないので,市内に立地した副首都機能も満足に動いていない.地域活性化ばかりに目を奪われて,国土のリダンダンシーのことを後回しにしたツケが回ってきた.日本はぼろぼろの東京首都圏でなんとかしなくてはならなくなってしまった.

発災はしていないが,対策も進んでいない状況なので,悪夢の発生可能性は大きくなりこそすれども,小さくはなっていない.

首都もぼろぼろ,主要国土軸もぼろぼろ,瀕死の状態になってしまった.国籍不明の偵察機が頻繁に上空を横切っているが,もはやそれをなんとかする力も残っていない.一寸先しか見ずに先見の明の無い指導者に導かれた結果がこれであった.

怪しい近隣の偵察機は相変わらずウロウロしており,状況的には1年前と比べてほとんど何も変わっていない.

「正夢」にはならなかったが,このままでええのか?

新幹線の旭川・新千歳乗り入れを

 11月に北海道商工会議所連合会の会頭に就任した岩田圭剛氏は日本経済新聞のインタビューで、北海道新幹線の札幌延伸前倒しと2026年冬季五輪の招致を重点課題にあげた。新幹線の旭川や新千歳空港までの乗り入

情報源: 新幹線、旭川・新千歳乗り入れを 道商連・岩田新会頭  :日本経済新聞

北海道新幹線を旭川や千歳空港へというのは,ごく当然出てくるアイデアかな.

北海道の場合,直流電化区間は無いので,電気設備は新幹線と共用できる可能性もある.そうすると三線軌の雪対策さえうまく行くのなら,例のトリビアが有効かもしれないよね.

#トンネルあると無理かも.高架橋も厳しい箇所あるかも.

添削してみ……読売新聞社説

 与党の作業部会が、北陸新幹線で未着工の福井県・敦賀から大阪への延伸ルートを決めた。福井県・小浜と京都を経由する「小浜―京都案」だ。

情報源: 北陸新幹線延伸 熟慮を欠く決定に疑問が残る : 社説 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

今回は読売新聞社の社説である.朝日新聞の場合と同じく,これも,社会的問題提起をしたいという主旨を尊重しながら,事実関係の分析の浅い点などを考慮して添削してみよう………と一度は考えたが,ほとんど朝日と変わらないような感じなので時間の無駄のような気がして,やめた.

10年くらい前から,日本経済新聞の記事が朝日新聞の記事と変わらなくなっていると社会基盤整備分野の研究者の間でささやかれていたが,ついに読売新聞社もその範疇に入ってきたかな.

反対意見を書くことが問題なのではなく,事実関係の収集が不足するとともに,分析が表層的で浅く,目立つフレーズを使いたがる,というのが共通項かなと感じている.

#ちなみに,地方新聞や地方放送局からは割と取材を受けることは多いが,大手新聞社やキー局と呼ばれる放送局からはほとんど取材は来ない.(別に聞きに来いと言ってるわけじゃ無いが)その辺の手近な資料だけで記事書いてない??

大阪府知事,北陸新幹線延伸に反対か!?

 大阪府の松井一郎知事は21日の会見で、与党プロジェクトチーム(PT)が決めた北陸新幹線の敦賀(福井県)以西ルートの建設費について「(沿線自治体の負担は)ルールに基づくべきだ」と述べた。自治体の中には

情報源: 沿線自治体負担「現行ルールで」 北陸新幹線巡り大阪知事

スポーツ新聞風タイトル付けてみました.大阪府知事の発言云々以前に,この日本経済新聞社の記者の分析は正しいんだろうかと疑っている.元記事については有料会員ではないので,無料部分だけしか見ていないが,その範囲を引用してみると…

 大阪府の松井一郎知事は21日の会見で、与党プロジェクトチーム(PT)が決めた北陸新幹線の敦賀(福井県)以西ルートの建設費について(沿線自治体の負担は)ルールに基づくべきだ」と述べた。自治体の中には関西広域連合などで再び議論するように望む意見も出ていたが、松井知事は再議論の必要性を認めなかった。

 整備新幹線はJRの貸付料などを除くと国が3分の2、自治体が3分の1を負担することにな…

…事実関係は太赤部分のみ.つまり,日経新聞が付けた記事タイトルの「現行ルールで」は記者の推測なワケだね.

もし本当に大阪府知事が「現行ルールで」と発言したとすると,下馬評では有力とされる京都駅から新大阪駅へと直接結んでしまう北ルートが採用された場合,京都府下にできる駅は京都駅のみ.京都駅は府県と同格を持つ政令指定都市の京都市内なので,京都府にとっては資金を出してもメリット少なし,という状態になる.

最悪のケースでは,京都府が京都市に大半の負担を求め,府は負担の意思ほとんど無しということになりかねない.こうなると,福井県境-京都駅-大阪府境の区間の建設が暗礁に乗り上げ,敦賀以西の整備自体が不能になる可能性が高くなる.つまり「大阪府知事,北陸新幹線延伸に反対か!?」という状態だ.

だが,どうも「現行」とは言っていないようなので,単に「ルール」と発言しただけならば,『 合理的な方法で決めるべきであり,声の大きさだけで決めるべきではない』という趣旨の発言をしただけじゃないのかなぁ? プロジェクト全体が暗礁に乗り上げかねない意見をわざわざ大阪府知事ともあろう人が軽率に言うかねぇ?

それからたとえ「現行」を付けたとしても,確か広域連合では米原ルートが採用になった場合に広域負担をするような話になっていたかと思うので,その際の手順を準用することを指して発言した可能性もある.

どっちにしろ記者の推測が多くて,伝達精度の低い記事っぽいなぁ.

ちなみに,百歩譲って,路線の通過延長に比例させて沿線自治体に建設費を負担させる現行の方法を採用するとした場合,府県と政令指定都市とは行政的には同格なので,福井県の通過距離,(京都市以外の)京都府の通過距離,京都市の通過距離,(大阪市以外の)大阪府の通過距離,大阪市の通過距離,以上の5者によって按分するのが「現行ルール」になるのではないかという識者の意見もある.そんなわけでこの百歩譲った場合であっても,無議論で自然と負担額が決まるわけでは無いかもしれないので,念のため.

#政令指定都市が整備新幹線の沿線になるのは,今回が実質的には初めてかも.熊本市は政令指定都市だが,着工時後に指定されたので,負担割合決定時には普通の県庁所在都市じゃなかったかと思う.

(追記)こっちの記事の方が正確かも.

JR西社長 — 財源の確保を求めた

 来島社長はルートの決定を受けて「あとは北陸と関西が早く結ばれることが重要だ」と指摘。京都までの先行開業ではなく「大阪までの一括開業が望ましい」とし、新たな財源の確保を求めた。

情報源: JR西社長、経営分離対象路線「地元の同意必要」 : 京都新聞

山陽新幹線のローン払いも
大半が今年度で終わることですし,
多少出していただけると,早くできるんですがね.

「レベル4」完全自動運転バス30年秋にも公道実験

自動運転関連技術を開発するソフトバンクの子会社「SBドライブ」(東京都港区)が平成30年秋にも、北九州市などの公道で、ドライバーが運転に関与しない完全自動運転(…

情報源: 「レベル4」完全自動運転バス、国内4カ所で30年秋にも公道実験 ソフトバンク子会社、「高齢者の足」確保狙う

いずれ公道を走るようになるとしても,その前に専用道を走るバスで実験した方が実用化が早いんじゃないかな.条件の多様な一般道よりも,走行路が決まっている専用道路の方が技術的ハードルはかなり低いはず.一般市街を自由に走行する技術の獲得の前に,専用道を走行する技術を得れば,「新」新交通システムを開発できるんじゃなかろうか.(技術的課題の洗い出しは公道走行の方が得られるものは多いと思うけど.)

情報処理通信系の技術課題としての取り組みはともかく,交通システムとしての実用化の取り組みはどうなってるんだろう.こういった話は交通事業者側からは全く話が聞こえてこないのが残念なところ.

バスなんだか軌道なんだか法体系的に取り扱いが分からないので,まさか国交省の部門間で相互牽制の状態とかいう,何とも言えねぇ話に陥ってるなんてことはないよね.

 

添削してみた…朝日新聞の社説

情報源: (社説)北陸新幹線 あまりに前のめりだ:朝日新聞デジタル

2016/12/19の朝日新聞の社説である.相変わらず,情報の収集と分析および結論の導き方に難があるように思われるなぁ.北陸新幹線の話題を取り上げて社会的課題を提起するとしても,浅い文章だなぁ.

問題提起したいという意図の部分は尊重した上で,卒論シーズンということもあるので,ついでに添削してみた.

[赤い太字の括弧書きは “添”]
茶色の太字の消し線は “削”
(青い括弧書きはコメント)


北陸新幹線を福井県敦賀市から大阪市へ延伸するルート[のうち,敦賀ー京都間]が固まった。複数の案を検討してきた与党が、福井県小浜市と京都市を経由する案を採用した。

(コメント:ルートは半分しか決まっていないので,全部決まったかのように書いてはいけません.)

 北陸や関西の政財界からは早期着工を求める声が相次[いでいるので,世論を反映した動きだ]ぐが、あまりに前のめりだ

(コメント:文章の呼応関係や因果関係をよく見ましょう.)

 小浜・京都ルートの建設には2兆円超かかりそうだ。建設を決めるのは政府だが、財源のあては[これから検討することになる]当分ない。国の財政状況は厳しく、社会保障をはじめ、多額の公費が求められる課題は多い。[だが,国家予算に占める新幹線整備費は約780ppmしかなく]北陸新幹線の延伸[が公共の福祉に大いに役立つのならば]を特に優先する必要性は[大きい]ない

(コメント:財源のアテがないかどうかは難しい証明を必要とします.「無い」ことを証明せざるを得ない(悪魔の証明)ので,なかなか言い切るのは難しいと思います.論拠を整えることが難しい場合は,別の表現にしましょう.それから,費用の多寡については,社会保障費関係が年額約32兆円,新幹線の支出は北陸新幹線以外の新幹線を含めて全部で年額約755億円です.よく考えてから文章を書きましょう.兆と億の単位を混同するとたいへんなことになりますので,注意しましょう.社会保障関係費は新幹線の424倍です.)

東京から長野、富山を経て大阪に至る北陸新幹線の整備計画は、1973年に決定した。現在、北海道と九州で建設中の新幹線2区間も同じだ。

新幹線と高速道路網の整備で、移動時間を縮め、東京の過密と地方の過疎を解決する。故田中角栄元首相が提唱した日本列島改造論のような考え方が背景にあった。40年余りを経て、全国の新幹線は延べ2765キロに達した。安倍政権は「地方創生回廊」と銘打ち、新幹線整備をさらに推し進める方針だ。

ただ、期待した効果がどれほどあったかは冷静に見極める必要がある。[新幹線ネットワークが中途半端に東京を中心に整備されてしまったおかげで]東京一極集中は加速し、地方では急速な高齢化と人口減が進む。新幹線が通る[政令指定都市や]中核都市の多くも例外では[なく,長年月のうちに新幹線の無い都市よりも人口が集積した]ない

(コメント:問題提起をしたら,具体的かつ正しくその問題提起に対する分析結果を示しましょう.読者は正しい情報と分析能力を持っているとは限りませんので,何も示さずに読者の想像に任せる方法は科学的ではありません.新幹線ネットワークの形成と国土の構造変化や,新幹線の有無が人口に与えた影響については正しく分析した上で言及しましょう.広域的に人口が減っている場合でも,新幹線沿線周辺では減少がマイルドだということにも気をつけましょう.)

北陸新幹線は23年春に東京―敦賀間が完成する。「ここまで造れば、大阪まで早く全通させた方がよい」という考え方[が常識的だろう]もあろう。だが、ルート案の検討過程や内容には[課題も存在する]疑問が尽きない

(コメント:「〜もあろう」と書くと,それが少数意見のように見えてしまいますが,東京から見た場合はそう見えても,反対側から見ればそういう風には見えていないかもしれません.政財界からの声が多いことを考慮すると,早期全通の声は常識的と判断するのが適切ではないでしょうか.それから,”疑問が尽きない” と書いた場合,単に情報収集不足と分析力不足を悟られてしまう可能性もあるので,課題を指摘したいのなら明確にそう書きましょう.ただし,適切な情報収集と分析は必要になります.)

滋賀県は同県米原市でJR東海の東海道新幹線と接続する案を推した。建設費が6千億円弱と他の案より圧倒的に安い。だがJR東海と、北陸新幹線の運行を担うJR西日本が難色を示したため、与党側が却下した。[また,これらを説得する者もいなかった。]

(コメント:今や完全に民間会社になったJRとしては,それぞれ単独の意見としては,ごく当然でしょう.問題は,それを説得して調整する者がいなかったことにあります.表面的な事象を追いかけるだけでなく,背景に隠された原因についても分析しましょう.)

京都府は舞鶴市を経由するルートを支持した。しかし選定にあたってはどの自治体も沿線地元への利益を強調[するのは当然であるものの]、日本全体にとってのメリットなど、幅広い視点[とのバランスが悪かった]が見えなかった

(コメント:地方が自地域の利益を最大化しようとすることは当然の行動ですので,それ自体は非難の対象にはなりません,各利害を調整するのが中央政府の役割です.)

JR西は京都―新大阪間について、東海道新幹線と別に北陸新幹線の線路を敷いて、と望む。人口密集地のためトンネルが大部分を占める可能性が高く、建設費はかさむ。そこまでして新たな線路[を建設するのならばもっと有効活用する必要があろう]は必要なのか

(コメント:もしも『東北・上越新幹線の大宮以南は人口密集地帯なので建設費はかさむ,そこまでして新たな線路は必要なのか.どうせ10分くらいしか変わらないんだから大宮終点でいいではないか.』と書かれると,きっと東日本の人は怒るでしょう.いろんな立場の視点から文章を書けるようになりましょう.東海道新幹線が活用できないなら新線建設せざるを得ません.コストパフォーマンスが悪いという指摘ならば,コストに注目するだけでなく,パフォーマンスに着目するという方法もあります.)

新幹線はあれば便利だ。[だが,議論から実際の開業までの期間が道路などに比べて長すぎて]政治家が「実績」とアピール[しにくい]しやすいこともあって、[議論そのものをする政治家が少ないため,深い議論が行われにくい]「建設ありき」の議論になりやすい

(コメント:「道路族」はいても「新幹線族」などという用語が存在しないように,質疑で ”一応しておきました” 的な新幹線関連質疑を行う人はいるが,突っ込んで議論する人はかなり数が少ないですね.イメージだけで書いてはいけません.国土交通委員会の議事録(or ストリーミング配信)などの一次情報をよく分析してみましょう.)

ただ、新幹線建設に多額の税金が充てられることを忘れてはならない[が,その額は社会保障関係費などと比べると雀の涙ほどだ][新幹線が開通した沿線からは “忌々しい新幹線なんて引き剥がしてしまえ” といった新幹線不要論を聞いたことはほとんど無いことなどから考えて]必要性や妥当性について国民が十分納得[できるように情報提供を行い]できない限り、着工に進む[ことをむやみに忌避する社会環境を醸しだす]べきではない。

(コメント:定量的情報の把握を間違えると,正反対の結果を導くこともありますので,まずは正しく数字の大きさを理解して分析しましょう.)


……うぅーん,書き直して再提出してね,というレベルかしら.

#この新聞社の社説や天声人語を題材にする国語の先生がよくいるけれど,因果関係や事実関係の把握など重視しなければならない現代文の題材としてはどうかなぁ…文章だけで雰囲気を作り出して,見えないものを現実のように見せる「文学」としては優れている面もあるかも.

初夢鉄道2016答え合わせ(西日本大震災編−1)

しばらく開いたが「初夢鉄道答え合わせ」の続き.今回は「初夢鉄道2016(西日本大震災編)」の(その1)である.

やはり起きてしまった.大中小の順番でやってくると言われている南海トラフ系の地震,今回は300年ぶりの「大」の番のようである.紀伊半島沖を震源として大規模な震源域がまず東に広がり,次いで東海地震が間髪を置かずして発生,M8クラス後半のようだ.そして数分後,揺れが収まりかけたその瞬間,今度は紀伊半島から西側へと震源域が広がり,さらに日向灘,沖縄方面へと岩盤破壊が進んだ.全部あわせてM9クラスか?紀伊半島の各市町村とは連絡が取れない.四国方面の太平洋岸も同じようだ.

幸い,まだ南海トラフ系の巨大地震は起こっていない.だが内陸地震は2016年も数多く発生し,着々と包囲網は形成されている.ここ何十年も大きな地震が起こっていない地域は徐々に少なくなってきており,「残った地域」についても過去に大きな地震が無い地域かというとそうでもなく,京都や奈良,若狭湾,紀伊半島の内陸,琵琶湖周辺,首都圏や相模湾付近など心配な箇所は多い.

何とか,リニアの東京-名古屋間は開業していたので,迂回ルートの確保はできた.だが,太平洋岸の発電所が停まっているところが多く,所定の本数が走らせられない.捌けない旅客は北陸新幹線経由で移動しているようだ.東海道新幹線は,やはり浜名湖付近の被害が大きい.砂地盤なので,津波と大振動のために地形そのものが変化してしまっている.こうなる可能性は1964年の新幹線開業時からだいたいわかっていたので,国鉄時代に無理をしてでも対策をしておけばという後悔があるが,今さら言っても仕方がない.

大地震は発生してはいないものの,発電所事情については相変わらずである.電力事情の逼迫は何とかしのいでいる感じだが,パリ協定への対応に頭が痛くなりつつある状況だ.日本を名指しで非難する声も出始めている.北陸新幹線はルート選定の話は進んだものの,全線開業が2046年では来たるべき大震災に間に合わない可能性が高い.東海道新幹線の浜名湖付近の件はまた別途考察することにしよう.

この西日本の震災発生から2ヶ月ほどして,何年か前から活発化していた富士山がついに噴火しそうである.大方の予想に反して山頂や宝永火口や南東の側火山ではなくて北東側の側火山が怪しい.リニアが通っている都留市付近まではやや距離はあるので火砕流は大丈夫だが,降灰がどの程度あるか楽観できるような状況ではない.多量の場合は火山灰除去のためにリニア求めなくてはならないかもしれない.

富士山についてもまだ噴火はしていないが,富士山付近の諸観測結果が怪しいのではないかという話は出ては消え,出ては消えしている.世界的スケールで見るとM9クラス地震が発生して数年内に大規模な火山噴火が起こることは常のようなので,今だに大きな噴火が起こっていない日本というのは例外なのか?

(つづく)

 

 

“雑魚な客数のために面倒なことできるかよ!” と返答してJR東海が失ったかもしれないこと(その3)

JR東海がやっちまったかもしれないお話の(その3)である.これは既にJR自身が気付いている点,新大阪駅(と,その近辺)の件である.

新大阪駅に北陸新幹線を乗り入れる場合,可能なら地下よりも地上駅にして東海道山陽新幹線と同じレベルのホームにしたいところである.そうすれば北陸新幹線の線路と山陽新幹線の線路を繋ぎたくなった場合,数キロにもわたるであろう連絡線を建設しなくても現状の西方から20番線(あるいは27番線)への出入りを拡張すればいいだけである.

ところが新大阪駅周辺での地上での線路工事は少々厄介だ.事実上頓挫している路線がある.

新大阪の少し南側に阪急電鉄の京都線が走っている.阪急としては「南方」という駅が新大阪最寄りになるが,いかんせん地下鉄で1駅離れており,とうてい乗換駅にはなり得ない.そこで,梅田の北方にある十三駅から京都線よりも少し北側を通って新大阪に達し,そのまま東進して淡路駅で京都線に戻るという新線の建設を東海道新幹線開業の頃から計画していた.

ところが,地上を走る新線はまかり成らんと住民の反対があったため,計画頓挫.十三から新大阪駅までについてはまだ計画は放棄していないようだが,その先の淡路までについては計画が頓挫してしまった.

…という話はほぼ新幹線建設にもあてはまるであろう話であり,鉄輪新幹線だろうがリニア新幹線だろうが,新大阪に乗り入れる新線建設は地上ではなくて地下線を考えざるを得なくなった.

さて,リニア新幹線はまだ名古屋以西がどこを通るのか公表されていないが,新大阪駅終点だけははっきりしている.誰が見てもほぼ2択で,27番線北隣の阪急保有の土地の地下になるか,20番線南隣の駅前広場地下になるかであろう.現状の新幹線駅ホームの真下という選択肢も無きにしも非ずだが,高架の脚がたくさんあるので,それを受け換えさせながら工事をするのはかなり難工事だ.失敗すると新幹線が止まるというかなりチャレンジャーな工事計画になる.

一方,北陸新幹線についても京都-大阪間が「南ルート」になった場合は新大阪駅付近はリニアとほぼ同じライン取りになりそうであるので,駅そのものの他,路線を地下の浅い部分で通すことになるであろう新大阪駅付近の道路についても地下空間の取り合いになる.新大阪駅ではどちらも山陽新幹線への乗り継ぎ,JR近郊線への乗り継ぎ,地下鉄への乗り継ぎを便利にしたいという点でも目的は同じだ.

目的が同じなら地下空間内でリニアと北陸新幹線の上下2層にすればいいじゃないかと思うが,両者経営が異なるので,おそらく新大阪駅では客用コンコースは別に設けたい,という話になるだろう.かといって,平面上で並べると,近い方はともかく,遠くなる方は移動距離が長くなる.

じゃぁ,「北ルート」なら問題がないかというとそうでもない.線路を地下で平面交差させるわけにはいかないので,やはりどちらかが地下の浅い方,もう一方が地下の深い方になる.当然,深い方が移動には不利.

ということで,地下空間の取り合いだ.

JR東海にとって厄介なのは,おそらくそれだけではない.一般人から見れば単なるJR会社間の調整事項だが,事業としてみると北陸新幹線は(営業予定はJR西日本だが)建設は国の実施する公共事業,もう一方のリニア新幹線はがっつり国策(JR東海はなぜかこの表現を嫌う雰囲気がある)に載っかった全幹法に基づく整備計画路線とはいえ,民間の事業(JR東海はこっちを強調したがる)だ.

公共事業 vs 民間事業.新大阪平成の陣

地下空間の調整の必要性はJR東海は認識しているようであり,最近は地下空間の調整について発言するようになってきた.「コンペティター」に勝つには圧倒的優位に立つのが理想的だろうが,そうでない場合には最初からうまいこと抱き込んでおくという方法もあった.ちょっと前まで,まさかそんな雑魚な話が天下のリニア事業に影響するとは思ってなかったよね.