渡島大野の次は,木古内駅だ.
6年前の段階では,まだ着工されていないが,もう完成している.工期はやはり数年程度のようだ.当時はまだ江差線が営業中だった.
駅舎正面.
そして,駅前通り.さ,さみしい…
駅の南側の踏切から駅方向を見る.
そして,その踏切の向こうにあった,あった,新幹線の杭.
つづく.
あれは37年前,1978年の秋であった.それまでのディーゼル特急と比べるとピカピカの車体.何と言ってもサイドラインが美しかった.屋根にはパンタグラフ以外ほとんど何も無く,ボディそのものも屋根がやや低くて細身.新幹線を除くともっとも編成美がすばらしい列車ではなかったろうか.特に登場時の塗装がベストだった.…が,寄る年波には勝てず,いよいよ本当に終わりらしい.
予想通り,代役は北陸線からやってくるようである.
その後,こういう記事があった.
JR西日本の野中雅志金沢支社長は27日の記者会見で、北陸新幹線が敦賀以西ルートで福井県小浜市を通る場合、JR小浜線がJRから経営分離される並行在来線に当たるかに…
情報源: 小浜線、経営分離か未定 北陸新幹線延伸でJR西支社長
あのーーーーーーーぉ,特急が走っているかどうかじゃなくて,新幹線の開業によって当該在来線から新幹線に客が移ってしまい,経営状態が悪くなる路線のことを並行在来線とするのが適当なんですけど.長距離客が小浜線にそんなにたくさんいらっしゃるんでしょうか? いらっしゃるのなら並行在来線問題として取り上げるべきだし,そうでないならローカル線問題.
野中支社長は会見で「並行在来線の定義は、知る限りでは特急の有無に言及していない」と述べた。
国土交通省の説明には「整備新幹線に加えて並行在来線を経営することは営業主体であるJRにとって過重な負担となる場合があるため…」とあり,新幹線の開業にともなって,当該在来線の経営がお荷物になるような路線であることを並行在来線の定義として採用している.
つまり,繰り返しになるが,新幹線に移転するような客がない路線は,そもそも新幹線が有ろうが無かろうが,営業状態に与える影響は新幹線の開業前後で変わらないので,国交省の想定する並行在来線の説明にあてはまらない.
…ちゅうか,並行在来線の定義は旧運輸省の頃から示されていたはずだけど.
もう言葉遊びは止めようよ.新幹線が有ろうが無かろうがお荷物だと思っているような路線の存廃問題は,並行在来線問題じゃ無くて単なるローカル線の存廃問題ですよ.新幹線に便乗せずに正面から向き合いましょう.
北陸新幹線が東側から延びてきて,富山や石川あたりを着工しようかというときにも,同じような話があった.
新幹線建設にともなう並行在来線というのは,以前にも指摘したように,特急列車が走らなくなる路線を指すのが適当である.
元々特急列車が走っていない路線は,そもそも長距離客が乗っていないので,新幹線が走ろうがそうでなかろうが,旅客動向に大きな変化はないはずなである.新幹線の有無と経営状態とは関係がない.小浜線に長距離旅客はそんなにたくさん乗っているんだろうか? 経営分離したいのなら,小浜線の長距離客の動向くらいは示した方がいいだろう.
かつても同様の議論があり,「枝線分離問題」と言われた.だが,枝線分離を並行在来線分離とこっそり言い換えて論じるべきではない.「便乗廃止」だ.はっきりと「ローカル線の経営なんか,めんどくさくて儲からないからやりたくない.新幹線以外は全部廃止したい.」と言えばいいではないか.経営姿勢がはっきりするではないか(もちろん,非難を受けるだろう).
ローカル線の経営をしないということは,地域独占を自ら放棄するということなので,幹線鉄道経営の参入自由の原則が日本でも議論されても文句言えないよね.
株式会社化されて,そして株主が国ではなくなった.確かに自由だ.だが,会社成立の経緯は消すことが出来ない.ローカル線の経営も含めて日本国の主要な鉄道の営業に責任を持つというのが,国鉄が解体されて民営化された際の原点ではなかったのだろうか.
#やる気の無いJRにローカル線を任せるよりは,いっそ経営分離された方が沿線は幸せではないか,と言う人もいる.
こういう話がある.
2016年3月に開業する北海道新幹線について北海道旅客鉄道(JR北海道)が試算した当初3カ年の収支見通しが16日、分かった。3年間で合計約150億円の赤字を見込む。老朽化が進んだ長大な海底トンネルを
情報源: 北海道新幹線、当初3年で150億円の赤字 JR北海道が試算:日本経済新聞
この原因は,青函トンネルがJR北海道の持ち物だからである.
通常,整備新幹線のインフラ部分は国の持ち物で,「受益の範囲内」でリース料を払う.なので,少なくとも赤字にはならない.
また,お荷物になる在来線については,「並行在来線」として経営から切り離すことが出来る.
ところが,青函トンネルはその歴史的な経緯から,新幹線開業にあわせた経営分離の対象区間でもなければ,新幹線を走らせるインフラが国有資産というわけでも無い(JR北海道自体が株主が国だというツッコミはおいといて).
本来なら,新幹線を走行させるにあたって,国が青函トンネルの資産一式をJR北海道から買い取り,「受益の範囲内」でリース料を払う方式をあらためて導入すれば良かったのだろうが,そういう議論は無かったようである.
今からでもいいので,そういう方式を検討してもいいのではないかと思う.
ちょっと前の時刻表だが,基本的には今も変わっていないと思う.
山形県の米沢駅のホーム上の時刻表である.福島駅方面への県境の峠部分を越えてゆく普通列車は,朝1本,昼1本,夕方2本,終電(20時台)の以上5本である.
「つばさ」が毎時1本ずつ走っているので,路線としては決して閑散路線ではないが,普通列車についてはこういう状況である.
新幹線が建設されようとする路線では,しばしば並行在来線の問題がクローズアップされるが,特に厳しい状況に置かれがちなのが県境部分である.日常的に人の往来が少ないので別々の県に分かれた,とも言える部分である.
新幹線化にあたって,こういった県境部分をどうするかは頭の痛い問題であり,例えば熊本-鹿児島県境部分や新潟-富山県境部分では,電車が走れる設備があるにもかかわらず,経費を最小化するためにわざわざ短い編成のディーゼル列車を運転しているし,青森-北海道部分ではずいぶん前から普通列車が無くなってしまっている.群馬-長野県境では,碓氷峠部分に特殊な機関車の維持が必要ということもあり,線路が無くなってしまってバス転換された.
だがまぁ,通しの列車が片道5本の米坂線が生き残っているんだから,方法はあるのかもしれないけどね.
KTRは,ちょっと前までは「北近畿タンゴ鉄道」の略であったが,今は「京都丹後鉄道」の略になった.中味も旧JNRのにおいがプンプンした第三セクター直営から,インフラ整備と列車運営を分離した形態に変更されて名前が変わった.
さて,この公設民営鉄道(+JR山陰線)に並行して,京都縦貫道という名の高速道路が天橋立近くまで開通している.そんなわけで,家人がバスツアーで伊根町やら天橋立に行ってきたという.いろいろと美味しかったらしい.
山陰線の複線化やKTRの運営にも公費が突っ込まれているとはいえ,京都縦貫道で天橋立まで1時間40分ほど.対する鉄道は特急でも2時間.結果のバランスという点では,鉄道の完敗である.
鉄道の重要性が認識されている一方で,結果をイーブンに出来ない政策.抜本策は山陰新幹線の早期実現か? でも,どうやって資金調達する? そろそろ自動車利用者≒国民ということを認めて,柔軟な資金運用をする時期に来ていると思うんだがね.