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JR新大阪-桜島間直通列車は大阪万博の救世主か?(その3)

情報源: 大阪・関西万博 会場もよりの桜島-新大阪間に直通列車検討 JR西日本 – 毎日新聞

続きである.

JRが新大阪-桜島間に何本の臨時列車を走らせられるかだが,この時期までに北梅田(仮)駅が開業しているはずなので,新大阪から北梅田までは複線.その先が問題で,北梅田からは環状線の外側に貼り付けられた単線の貨物線頼み,西九条駅構内に交換設備があり,構内を抜けると再び複線である.

ということは,ネックは北梅田-西九条間の約3.3kmの単線区間ということになる.北梅田駅はほぼ大阪駅と同じくらいの位置なので,大阪−西九条間の環状線の所要時間を参考にしてみると,約5-6分.ということで,北梅田-西九条間も5-6分といったところか.

分岐器と信号機の取扱時間を1分と見込んで片道6−7分,往復なので2倍して12-14分.これが1時間の中に何組入るかというと,4-5組.つまり毎時片道4-5本というのが現有設備の限界ということになる.

毎時4−5本の内,関空特急が2本,南紀特急が1-2本走るので,残りは1本.南紀特急が走らない時間帯ならもう1本.つまり,せいぜい毎時2本.これが新大阪-桜島間直通列車に割り当て可能な本数ということじゃなかろうか.(しかも貨物列車が通る場合には明け渡す必要あり.)

じゃぁ,この毎時2本で何人輸送できるかだが,環状線と同じ車両の8両編成を使うとすると,編成定員約1200人なので,1.5倍詰め込んで1800人.毎時2本で,3600人/時.

ピーク時に必要な観客輸送能力(6.3万人/時)の6%弱といったところか.
(「救世主」ではなさそう…か?)

環状線の外回り線路を活用したいところで,福島駅南西方の阪神電車本線を越えるあたりで環状線外回り線から貨物線へと片渡り分岐器を入れたとすると,単線区間は半分ほどの距離になる.単線区間の所要時間を3分として計算し直すと,毎時片道7.5本になる.関空特急と南紀特急に3本明け渡すと4.5本になり,15分毎運転くらいは運転できるかなぁ?

そうすると,輸送能力は7200人/時になり,ピーク時に必要な6.3万人の11%あまりになる.
(救世主にはなりそうもないが,猫の手くらいにはなる?)

ところが…(つづく

JR新大阪-桜島間直通列車は大阪万博の救世主か?(その2)

情報源: 大阪・関西万博 会場もよりの桜島-新大阪間に直通列車検討 JR西日本 – 毎日新聞

続きである.

経済産業省の3年前の資料によると,一日の来場者数30万人(たぶん最大)を想定し,地下鉄中央線の延伸を延伸して6両編成の電車を3分間隔で199%まで詰め込んで輸送し,此花大橋と夢舞大橋を6車線まで拡幅すると,シャトルバス692台でピストン輸送すれば輸送できるらしい.
夢舞大橋は既に最初から6車線で設計施工してある模様.)

このwebサイトによると,「大阪市の基本計画によれば」(…探してみたが,見当たらない)来場予想2800万人に対して,1日最大28万人,ピーク時5.9万人/時の輸送力が必要らしい.40%が鉄道利用で,ピーク時2.4万人/時を輸送するらしい.

じゃぁ,3000万人なら,ピーク時6.3万人/時の処理が必要ということか.

地下鉄中央線の輸送力が鍵になりそうだが,車両が今のままなら定員820人(6両),路線自体はATC化されており御堂筋線などと同じ仕様のようなので,頑張れば3分未満の間隔でもいけそうだが,折り返し能力の問題もあるので,3分間隔としてみる.詰め込み具合は,行楽客を199%詰め込むというのは非現実的なので,京阪神圏の路線整備の目安の150%に設定してみる.

820人/本×(60分÷3分/本)×150%=2.46万人/時

あんまり数はさばけそうに無いが,0.06万人/時は船で輸送したとすると,残りはバスである.

6.3万人/時 −2.46万人 −0.06万人=3.78万人/時

これをバスで運ぶとすると,仮に70人/台として…

3.78万人/時÷70人/台=540台/時

…ということで,ピーク時には540台/時くらいのバス便が必要である.6.7秒に1台のバスが走ると言うことやね.遠くから会場まで運ぼうとすると,必要なバスの台数はもっと増えて,経産省の資料とかwebサイトに書かれているように,大阪府下のバスの半分をかき集める必要があるということになる.

まぁ,そこは実はあんまり問題じゃないと思ってましてね.
(でも,かき集めるのはしんどいかも)

ピーク時には540台/時のバス便というと,自家用車換算では1000台分程度になるので,ほぼ一般道1車線を消費してしまう.会場からの回送便も必要なので,2車線をバスだけで消費する.

つまり,橋を4車線から6車線に増設してもバスだけで消費ということになる.万博会場への物資輸送やIRへの輸送,物流ターミナルへの出入りは別途あるので,道路の能力はギリギリということになりそう.増設分は全てバス専用レーンでもいいレベル.

まぁ,そこも実は切実な問題じゃないと思ってましてね.
(車線増設さえしておけば,ピーク時間帯の1-2時間だけ,物流と自在搬入を制限すればOK ?)

6.7秒ごとに到着するバスを処理するのが実は大問題じゃないかと思ってまして,(どんなバスを使うのかにも依るが)バス客が降りきる(あるいは乗り切る)までに10秒以内じゃ無理で,2-3分は見ておかないといけないんじゃないかと思う.中の2.5分と言うことにして…

2.5分/台÷6.7秒/台=22.5

つまり,同時に20-25台くらいのバスが停まれるような巨大バスターミナル(ちなみにバスタ新宿は乗車用12台,降車用4台)が必要かも.ここらへんは,乗降に何秒かかるかによる.

このバース数だと,一見して空きバースを見つけるのは困難なので,次々と到着するバスに自動指示するような信号システムが必要かも.

…とは書いたが,6.7秒間隔のバスって,現実的なんだろうか?

まだJRの話に到達してないな.(つづく

 

JR新大阪-桜島間直通列車は大阪万博の救世主か?(その1)

情報源: 大阪・関西万博 会場もよりの桜島-新大阪間に直通列車検討 JR西日本 – 毎日新聞

このお話.コロナの話でそれどころでは無い状態だが,輸送能力不足が懸念されている.

新型コロナパンデミック→世界恐慌レベル不況,という状況に突入しそうだが,そうなると,そもそも世界中からお客を集めるという21世紀大阪万博とか,その後のインバウンド狙いのギャンブル施設は成立しないんじゃないかと思い始める今日この頃.

海外旅行というのは,生活に余裕があるときにするものなので,アフターコロナの世界は(一部の動きの変な国はともかく)みんな貧乏になっていて,インバウンド需要消滅の可能性あり.

さて,そういう観点は横に置いといたとして,果たして標記の直通列車は万博輸送に役に立つのかというチェックをしてみよう.

規模の小さかった花博はミニ地下鉄とバスで十分対応できたし,ポートピアもあんまり大きくは無かったのでポートライナーとバスでOKだった.

愛知万博はリニモという交通手段が注目を集めたが,あまり輸送能力は高くなかったので,JR→愛知環状鉄道というルートで,最寄りの八草駅からバスといった方法もあった.P&Rもしてたっけ? 博覧会の規模としては花博とあまり変わらない.

1970年大阪万博はというと,地下鉄御堂筋線(正確には北大阪急行の臨時路線延伸)と阪急千里線とでじゃんじゃん輸送していたし,小一時間くらい歩く気力があれば国鉄駅や阪急駅も使えたので,概ね十分な客の輸送能力があった.客の総数6400万人.

*–*

じゃぁ,2025年の大阪万博はというと…地下鉄中央線の延伸とバス輸送と,あとは船? ヘリコプターがどうのこうのという話もあったっけ?

まずは,簡単なあたりから.

ヘリコプターなどの空からの輸送については,ごく一部の忙しい人の輸送には使えるかもしれないけど,数が捌けない.ということで,話題づくりにはなるが,主たる輸送にはなり得ない.テレビで「切り札!」とか言ってたと思うが,どんな弱い切り札やねん.

埋め立て地なので,海上輸送が使え,船による輸送も計画されていたかと思うが,100人乗りの船を10分間隔で運行しても600人/時にしかならないので,ゆったり落ち着いて会場入りしたい人向けの隙間交通にはなりそう.

想定来場者総数3000万人,ピーク時には,1時間で6万人くらい輸送したい模様.甲子園の観客輸送みたいな数字やな.阪神電車に相談に行くのが早道かも…(つづく

 

さき細りのうた

おしえてください
この世に生きとし生けるものの
すべての会計に限りがあるのならば
海は死にますか 西は死にますか
北はどうですか 東もそうですか
おしえてください

私は此の頃 破綻について考えます
誰もが等しく 客を失う悲しみについて
走る苦しみと 終わり無い悲しみと
払いの苦しみと 間引く悲しみと
現在の運営と

答えてください
この世のありとあらゆるものの
すべての事業に 約束があるのなら
バスは死にますか 汽車は死にますか
客が去る様に 錆が来る様に
みんな逝くのですか

わずかな生命の
きらめきを信じていいですか
250億ドルのような 望みといったものを
去る人があっても 来る人はなくて
欠けてゆく月は いつか満ちるのか
なりわいの中で

おしえてください
この世に生きとし生けるものの
すべての会計に限りがあるのならば

空は死にますか タクは死にますか
船は死にますか 鉄は死にますか
港は死にますか 駅は死にますか
私の大切な 故郷もみんな
逝ってしまいますか

米公共交通機関に250億ドル_新型コロナ対策で

トランプ米政権は2日、新型コロナウイルスの感染拡大によって深刻な影響を受けている公共交通機関に対し、総額250億ドルの緊急支援金を交付すると発表した。

情報源: 米、公共交通機関に250億ドルの支援金交付 新型コロナ対策で – ロイター

自動車社会で公共交通は影が薄いと思われている米国でさえ,米国ですら,米国だに,新型コロナ対策で支援するらしいぞ.

いっぽう,東洋の某国は地方の鉄道会社に経営状態がよろしくないのは「オマエの努力が足りないからだ」怒っている模様.
まさに「Too Little, Too Late」
現政権は国民の生命と財産を守れるか

バス路線を共同経営「運賃プール」解禁へ

運行本数などに応じて各社に運賃収益を再分配する「運賃プール」制度を認める。

情報源: バス路線を共同経営 政府「運賃プール」解禁へ  :日本経済新聞

バスだけじゃなくて,バスと電車,地下鉄,etc.とか異種混合でもOKにしようよ.

そうでないと,MaaSは誰かが一括して料金を集めて,それを元に各社と個別の契約をするような形態になってしまい(都市内交通を対象とした一種の旅行業),IT事業者の独壇場になるぞ(≒交通事業者はITの下請け状態).

【祝】LRTで富士山登山鉄道実現か?

山梨側の麓と5合目とを結ぶ有料道路「富士スバルライン」上に、次世代型路面電車(LRT)を敷設するのが最も優位性があるとする骨子の素案が了承された。

情報源: 富士山登山鉄道構想、スバルラインにLRT敷設 素案了承  :日本経済新聞

既存の観光道路の路面に敷設しちゃうわけね.例えば,こういう場所とかも.

いちおう,LRVは8%勾配程度までは登れることにはなっているが,都市内で地平から高架へ上がる部分とか,地下線に降りる部分とかの短い距離の話で,連続勾配でも大丈夫かどうかは車両メーカーに確認した方がいいと思うけど.(箱根登山鉄道も部分的には8%勾配)

なお,登山鉄道というとスイスだが,ツェルマットからゴルナグラート山(谷向かいはマッターホルン)に登る登山鉄道はこんな感じ.

急勾配なので,明らかに水平ではない電車.明らかな急勾配.

模型ではありません.

左の山の上の建物群のあたりが終点.これ以上前に進むには,空中を走るしかないというところで終点.確か,運賃は団体割引で往復1万円くらい,個人では1.4万円くらいだと思う.
(まぁ,”入山料”込みやね.)

往路は指定列車に乗車し,復路はどの列車でもOK,途中下車もOK.かな.

話を元に戻すと,路面軌道にすればバスも走れると書いてある部分が気になる.町中の路面電車は速度が遅いので線路保守は比較的少なくてすむため,保守しにくい路面軌道でもなんとか成立する.だが,粘着式の登山鉄道の線路は保守量が多くなる可能性があるので,併用軌道にしちゃうと大変なことになるかも.

単純な構造の線路にすることをオススメします.できればラックレール式で(※1).早々に箱根登山鉄道や大井川鐵道に技術的なご相談を.

#1 ゴルナグラート鉄道は,延長約9.4kmで標高差約1485mなので,平均勾配は約16%.この富士山登山鉄道は標高差約1400mを延長約30kmで登るので,平均勾配は約5%.箱根登山鉄道は標高差約540mを15kmかけて登るので,平均勾配は4%弱,最急勾配8%.大井川鐵道井川線は平均勾配は1.5%程度だが,最急勾配が9%なので,ラックレール式.ということで,富士山登山鉄道は箱根登山鉄道よりは条件が厳しそうで,工夫すれば粘着式でもいけるかもしれないけど,ラックレールが必要になる箇所があるかも.終点近くの急カーブあたりが怪しそう.

#2「検討会」のメンバーが “偉い人” ばかりで,技術的検討大丈夫かなぁ.WGグループとかの子会議を作った方がいいんじゃないのかなぁ?

#3 急勾配に強い方式としては,鉄輪式のリニアモーター電車というのもあるけど.

 

複数FeliCa対策グッズ

PiTaPaを導入せざるを得なくなり,パスケースには複数枚のFeliCaが常に入っている状態になった.

改札機でのエラーに悩まされており,とりあえずループアンテナの指向性を考慮して,パスケースを90度開くという方法で回避している.概ね良好な結果になっているが,それでも時々意図しない方のFeliCaが反応してしまう.

確実なのはパスケースから取り出してしまうことだが…これって非接触のICカードの意味があるんだろうかと思い悩むこと3ヶ月.

こういうのを入手した.

カードのポイントを景品に交換して手に入れたもので,先着500名の限定らしい.まだあるかどうかは知らない.類似品はICカードセパレーターという商品名で通販等でも買える.

「ICOCA等のカードの反応して欲しくない側」に重ねておくと,電波を遮断してくれるというもので,複数枚のICカードをパスケース内に共存させるというものだ.

手元に届いて約1週間.使ってみた.

結果は概ね良好.いちいちパスケースを90度開かなくても,使いたい側のICカードを改札機等にかざせば意図通りに反応してくれる.めでたし,めでたし.ちゃんとgoodsがあるじゃん.

…と当初は手放しで喜んでいたが,次なる恐怖が.

つまり,ICOCA定期で入場したいときにPiTaPaをかざしてしまうと現金決済で入場できてしまい,逆にPiTaPaで割引を受けてバスなどに乗りたいときにICOCAがプリペイドカードとして使えてしまう…という恐怖.

結局どうしているかというと,パスケースを90度半開きにしながら券面を確認しながら使っているという元の状態へ.なかなか世の中うまくいかないもんだね.

#なお,FeliCaならスマホに読み込ませて切り替えて使えば良いじゃないかとお考えのあなた.見てしまいました.とある駅の改札出口で,スマホのどのFeliCaで入場したのかわからなくなって,切り替えては改札機でピンポーンと鳴らされ,切り替えては改札機でピンポーンと鳴らされ………改札から出られなくなっている人を…

超高効率太陽電池コスト200分の1へ

街乗り用電気自動車(EV)が必要とするエネルギーの大半を太陽電池で賄えるなど、エネルギー問題のゲームチェンジャーになりそうだ。

情報源: 世界を変える超高効率太陽電池 コスト200分の1へ  :日本経済新聞

究極的には町中を走っている間にお天道様から得たエネルギーを使って充電して,電灯線や発電機からの電力供給なしに走り続けられるようになるかもしれないが,これに自動運転が加わると,世論的には電車やバスは廃止してしまえ,ということになりかねない.

自動運転だろうが太陽電池駆動だろうが,都市の空間の利用効率はあんまり改善しない,つまり渋滞からは逃れられないし,間延びして密度の低い,維持費の安くない都市ばかりになってしまうと思うが,こういう話に関しては鉄道会社もバス会社も危機感を持った方がいいと思う.

【祝】「あずさ」と「かいじ」当面安泰

山梨県は18日、2027年開業予定のリニア中央新幹線の新駅位置について「甲府市大津町が優位」とする検証結果を発表した。県はJR身延線小井川駅周辺との比較検証を行った結果、1日当たりの乗降客数は同数だが、アクセス性や新駅と小井川駅間をシャトルバスで結んだ場合、乗降客が400人増え、身延線の利用客も増加することから甲府市大津町が妥当と判断した。

情報源: 山梨リニア新駅「甲府市大津町が優位」 県が小井川駅周辺と比較、検証 – 毎日新聞

例えば新宿駅から甲府駅まで,特急「あずさ」「かいじ」で,乗換なしで1時間40分ほど.毎時2本.

リニアができると……

新宿-品川:20分
(乗換):10分
品川-山梨県駅:25分
(乗換):10分
連絡バス:10分
(乗換):10分
身延線:20分

……概ね,計1時間45分.(+乗換抵抗3回分,毎時1本)

やったね,当面特急「あずさ」と「かいじ」は安泰かも.

#クルマ社会の発想から抜け出せない模様.
整備新幹線沿線でもよくある発想のパターンだけどね.