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ツッコミどころの多い地図(6)

今回は土佐くろしお鉄道の「野望」である.例の地図には,四国南部にこういう路線も描かれている.

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ご存じ,土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線である.この地図では全線予定線のままであるが,実際には南国市の後免から安芸を経て奈半利まで開通している.その先,予定線は室戸を経て宍喰方面まで続き,徳島県下の牟岐線につながる予定である.牟岐線付近は阿佐海岸鉄道として実際に甲浦まで開通している.

そして,さらに…

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西側の足摺岬付近では,中村(この地図ではなぜか四万十にちゃんと改名されている)から宿毛を経て愛媛県の宇和島まで予定線が延びている.実際には中村から宿毛の間が開業しており,宿毛駅は終端駅になっているが,そのまま延ばそうと思えばさほど難しくはなさそうである.

どちらも高知市に近い側が開通しているが,残る部分は県境を挟む区間であり,県境を挟む区間では一般的に移動数が少ない(ローカル線では通学客が多い)ために,さらなる延伸はかなり厳しそうな気配ではある.

神戸市営地下鉄と阪急を直通運転するっちゅう構想はどうなったっけ?

そういえば,かつて神戸市営地下鉄と阪急神戸線を三ノ宮で直通運転するという構想があったけど,あの話どうなったっけ?

DSCN1532地下鉄三宮駅から東方をのぞくと,営業線は北方(新神戸方面)に曲がっているが,直進方向には保守車両が置かれている空間がうっすら見える.ここが将来の連絡線予定空間???

東京界隈ではどんどん都市交通プロジェクトが進行しているが,京阪神圏で進んでいるのは,おおさか東線くらいか.

関西って鉄道インフラ整備弱いね.

ツッコミどころの多い地図(5)

今回はナゾの新幹線である.

この(いい加減な)地図では,新幹線は赤色で示されているのだが…

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こんなところに北陸新幹線? いやいや,これは北越急行線.長野のことを気にしなくても良いのなら,北陸新幹線はこのルートでもよかったかもしれないが,さすがに基本計画ですらこんなルートはない.

単線の在来線を新幹線として描くとはなかなか大胆な地図である.

交流人口のワナ

人口減少局面である.

減った人口の分は,交流を拡大して「交流人口」で埋めればよいという.確かに外国から訪れてくれるのなら,訪れた「交流人口」で減った人口の分を埋め合わせができる.でも絶対数はそんなに大きくないよね.

じゃぁ,国内の交流を拡大することで人口減は埋め合わせできるのか?

確かに交流を行って,訪問を受けた地域では「交流人口」の分だけ穴が埋まるかもしれない.だが,交流している間の「空き巣」では交流人口の分だけ減ってるんじゃないのか,とも思う.

ふるさと納税でいろいろ物色していて,ふと感じる今日この頃.
( ↑ 米とか果物につられてんじゃねぇよ)

ツッコミどころの多い地図(4)

今回も北海道である.下の写真の伊達市から洞爺湖の東側を経て倶知安に至る「胆振線」は比較的有名で,昭和新山の活動に伴って影響を受けたのは有名なお話.1986年に廃止されて30年近く経過するが,いい加減な地図上では切れ切れになりながらも,なぜか国鉄線?として存在している.

廃線せずに残しておけば観光路線になりそうな気がするが,国鉄末期ではそういう発想もなかっただろうな.

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倶知安の西側にもナゾの路線が描かれている.予定線としては,函館本線の黒松内から寿都付近を経て岩内までが描かれており,このうち,黒松内から寿都方面には寿都鉄道という鉄道が開業していたようだ.

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岩内で黒松内からの予定線は終わっているが,その右側の共和というところ付近に鉄道線を消した痕跡が残っている.実にいい加減な作図である.どうやらこれは岩内線という1985年に廃止になった路線のようであり,函館本線上の小沢から岩内を結ぶ15キロほどの路線で,上の予定線とあわせると函館本線のバイパス線のような経路が出来上がったようである.

まだこのいい加減な地図の探訪は続く.

ツッコミどころの多い地図(3)

古い地図はいろいろ面白い.

北海道の話は続く.名寄の西側にどこにもつながらないナゾの「予定線」が描かれている.朱鞠内湖付近から始まって,西は羽幌(のちょっと手前)までの路線である.これは何だ?

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調べてみると,名寄から朱鞠内湖を経て羽幌までの路線が鉄道敷設法で予定されており,このうち,東の方の名寄と朱鞠内湖の間は実際に建設されて深名線の一部になったようだ.深名線は朱鞠内湖付近から南下し,函館本線の深川まで達していた.

未開業区間は名羽線と名付けられ,沿線には炭鉱があったようなので石炭輸送目的の路線と重複する羽幌付近の10㌔あまりが炭鉱鉄道として開業していたようだ.

深名線は1995年に廃止されており,この地図からも消されている.ということは,元々描かれていた深名線だけを消して予定線はそのまま地図に残したので,このような変な場所に予定線だけが残されたということのようだ(まぁ,作図がいい加減だということ).

同じく西側についても炭鉱鉄道が廃止されるとともに,接続されていた海岸沿いの羽幌線も廃止されてしまい,残ったのが地図の予定線というワケのようである.

おかげで,何かと興味深い地図になったわけだが,まだまだツッコミどころは多い.

京都・四条通は「道路工事で渋滞」か?…社会実験時を振り返る

なぜか普段の10倍もアクセスがあり,どうやらこの話が気になっている人が多そうなので,続きである.
京都・四条通、道路工事で渋滞慢性化 観光客「歩いた方が早い」 : 京都新聞.
京都・四条通は「道路工事で渋滞」じゃないよ

現在進行形の四条通の歩道拡幅事業は7年半前の「トランジットモール社会実験」が原点である.原点ではあるが,7年半前の「トランジットモール社会実験」は本物の「トランジットモール」とは似て非なるものなので,あれがトランジットモールだと信じてはいけない.別物である.

まずは,7年半前(2007/10/14)の最初の写真.烏丸通り側から河原町通り方向に歩いて行く.すでにこの写真の段階で,重大なヒントがある.説明は後ほど.

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当時の交通規制内容がこれ.ここにもヒントが.

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当時も左折レーンが準備されていたことがわかる写真.ただし,ここは四条烏丸交差点の東側部分で,細街路への左折レーンではない.

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バス停部分.当時はバス停部分は「バスベイ」になっており,楽にバスが追い越せた.

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さて,何が現在と違うか,おわかりいただけただろうか.

  1. 現在は自家用車も進入できるが,当時は自家用車が進入禁止になっていた.
  2. (細街路が車両通行止めで)四条通は直進のみであった.
  3. 直進のみなので,左折レーンはなかった.
  4. 現在はバス停部分が半島状に突き出ているが,当時は「ベイ」になっており引っ込んでいた.

ということである.遠い北欧の都市街路も参考になるが,まずは原点がどうであったか再確認する価値はありそうである.

なお,当時はバスが「トランジットモール」には似つかわしくない高速度で四条通をびゅんびゅん突っ走っていた.

# 何度も言うが,本物の「トランジットモール」とは似て非なるものであり,別物である.

ツッコミどころの多い地図(2)

実家にあった古い地図.いろいろ面白い.

北海道の帯広の西側,狩勝峠付近.すでに新狩勝峠トンネル経由の新線になっているが,新得から足寄に向けて「国鉄の予定線」が描かれている.(よく見ると,今はなき士幌線と池北線も細い線で描かれている)

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どうやら新得から上士幌までは北海道拓殖鉄道という路線で,戦前に開業し,昭和40年代に廃止になった路線のようであり,その先の足寄まではやはり予定線があったようである.

狩勝峠のさらに西側にも「なんだこれ」という予定線が見える.根室本線と石勝線をショートカットしている「予定線」がある.日本国有鉄道紅葉山線という路線名だったようだが,当然未完成である.

DSCN1121この地図(書店のカレンダー),なかなか正確である.

ツッコミどころの多い地図(1)

以前,実家の台所の壁に貼ってあった地図.いろいろとツッコミどころが多い.

例えば,茨城県の水戸から鹿嶋にかけてであるが…

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鹿嶋と水戸の間の鹿島臨海鉄道線が「国鉄の予定線」になっている.

調べてみると,元々は国鉄の新線として建設されていたようであり,国鉄末期に国鉄ではなくて地方鉄道線として開業したということのようである.ということで,ツッコミどころが多いのだが,割と正確,ということでもある.

なお,よく見るとかしてつBRTになった路線も地方鉄道線として石岡駅から鉾田まで描かれていたりする.

ツッコミどころは,まだまだたくさんあるが,追々見てみることにしよう.

モノレールはなぜ遅い?

再びモノレールの話である.

羽田空港に行くモノレールはそうでもないが,それ以外のモノレールはとっても遅い.鉄道の速度は主に曲線での遠心力による転倒とか,直線部分での蛇行動による脱線などが制約要因だったかと思う.だが,モノレールについては,この写真のように…

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…がっちり軌道をつかんでいるので,乗客の乗り心地の問題とか,高架のカーブで停止した際に傾いた状態でどうやって救出するかとかいった問題を解決しさえすれば,脱線するような事態は考えにくいのでもっと速度が出せても良さそうである.

少なくともカーブをゆるくしさえすれば,時速50km/hしか出せない,などということは避けられると思う.

ゴムタイヤによる制限,ということも考えられるが,中央新幹線用のリニアは時速160キロくらいまではタイヤ走行なので,タイヤの問題ではない.その程度の速度は出せそうである.

モノレールは,通称モノレール補助と呼ばれる道路財源を使った補助を得て作られることが多いが,このために原則として道路空間上であり,曲線は自動車道路の一般道レベルの曲線にならざるをえない.時速40キロ程度の低速交通機関を取り扱うのが基本である軌道法が適用されるので,あまり速い速度は想定しようとしていないかも.

そういうしがらみを解き放てば,交通システムとしては,もう少し対自動車競争力のある交通機関になると思うのだが,もうちっと何とかならんかな.