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CANADIAN RAIL(”2階建て”列車編)

GO-trainは2階建ての通勤列車だったが,Via-Railの列車もある意味2階建てである.日本では行き先の違う列車を併結して走る場合は独立した2本の電車列車を連結して走るが.機関車が引っ張る列車が多かった頃は,分離する駅で新な機関車を準備しておいたりということになるが,Via-Railの列車は最初から,独立した機関車牽引の2本の列車を,そのまま機関車を途中に挟む形で連結してしまう.
つまり,こんな感じ.途中の小駅は,1つ目の列車の乗降が済んだら2つ目の列車の乗降をするという風に2度停車する.
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CANADIAN RAIL(GOTRAIN編)

クルマ社会のカナダであるが,主要都市には一応,通勤鉄道がある.ただし,朝は都心方向だけ,夕方は郊外方向だけというケースがほとんどなので,興味本位で乗車すると帰ってこられない可能性があるので要注意.
例えば,オンタリオ州のトロントには「GO train」というのがある.クルマではなくて列車で「GO」というネーミングには,「via rail」と似たような切迫感がある.ただし,「GO」は「GOvernment」つまり,州政府で運営であることを表している.
車両は2階建て車両で,例の汎用機関車が端っこに付く.
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もちろん,パーク&ライド対応
QB0301-040機関車が端っこに1両だけで,いちいち終点では機回ししない.反対側の客車には運転席があり,いわゆる制御客車である.反対向きには推進運転になる.GetOnVIA10-042

プレメトロ(どう見ても”ペイ”はしないけど)

日本では地平面を走るLRTの整備ですら「採算ガー」とかいう話になりがちでさっぱり話が進まないが,海外に行くと「採算ガー」と言うような視点では絶対に「ペイ」しないような交通システムが存在していたりする.
学生によくするどんぶり勘定である.
延長5kmのLRT路線を整備したとしよう.30億円/kmの整備費用がかかったとして30×5=150億円.この線路上をLRTが走る.(実際には難しいかもしれないが)金利が3%ほどで建設費を30年で返済したとしよう.そうすると総支払額は2倍あまりの350億円ほどとして,年間の支払いは,350億円÷30年=11.6億円/年.1日あたりにすると,11.6億円÷365日=320万円.朝6時から夜11までの17時間走ったとしよう.そうすると,18.8万円/時間.片道あたりだとその半分で9.4万円/時間/片道.5分毎に走ったとして,毎時12本なので,9.4万円÷12=7800円/列車.1人あたり200円払ったとして7800円÷200円/人=39人.朝から晩まで5分毎にやってくる電車は全て約40人乗っている・・・・全て運賃で賄うって厳しいねぇ.まだ電気代も,人件費も払ってないよぉ.
さて,ベルギーのアントワープ駅の地下にはLRTの発着場があり,地下鉄風だが走ってくるのはLRT用の小さな電車である.プレメトロという.
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和蘭のアムステルダムでも地下鉄かと思いきや,LRT風電車が2編成併結でやってきたりする.
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こういった地下線は,地平に線路を敷くよりも建設費がかなり高く,キロあたり100〜200億円くらいはする.そうすると,上に書いた計算式の数字はそれぞれ5倍くらいになり,おおよそLRT用の電車では運びきれない数字になってしまう.
つまり,こういう地下を走るLRTというのは,日本の「採算ガー」とかいう風土では絶対にあり得ない交通機関なのである.でも,ベルギーやオランダには存在するし,クルマ社会の米国サンフランシスコにもあったと思う.交通機関単体では「採算ガー」採れませんが,都市全体としてはこうした方が適切であるとの判断で導入されている交通機関であるとも言える.
日本の「採算ガー」・・・何とかなりませんかね.それにこだわって失ってるものがいろいろありそうです.

車両と構造物の”限界設計”

構造物の限界状態設計法のお話し,ではありません.
英国ロンドンの地下鉄は,ご存じの人も多いように変な形をしている.ここまで切り詰めれば,無駄なしという感じの形状で,まずトンネルあり,それに合わせて電車ありという断面である.特に屋根の形状が特徴的で,出入り口の上方は丸く湾曲している.
おそらく初期の路線で建設費を抑えること,電車がここまで大量輸送に使われることを想定していなかったことなどから,小型車両が使われ,その後,電車の大型化に伴ってトンネルぎりぎりまで大きくなったのではないかと思うが,何かあった場合には逃げ道は前後方向以外存在しないなとも思う物理形状である.
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日本では近年,工事費を抑えた地下鉄としてミニ地下鉄が建設される場合があるが,トンネル断面積ではこのロンドン地下鉄の方が小さい.ということは,日本でもここまで割り切ることが出来れば,さらに地下鉄の建設コストを下げることが出来る可能性はあるが,「安全性がー」と言う話になって,実現しないだろうなぁ.ロンドンで実用になっているのだから,日本でも問題ないと思うのだが.

レールだらけ(地下鉄編)

鉄道線路は左右のレールが1組になっている。わざわざ言わなくても、子供でも知っているお話。ちょっと詳しい子供なら、地下鉄には3本目のレールがあることを知っていることもある。
第三軌条(サードレール)と言って、地下鉄電車に電力を供給するためのレールで、その代わりに屋根上の架線が無い。架線が無いとその分だけトンネルを小さくできるので、建設費を安く抑えることができる。
じゃぁ、この地下鉄は? レールが4本ある。ロンドンの地下鉄。最も左のレールは電力供給用、左から2番目と最右端のレールは車輪が走行するためのレール。じゃぁ、中央のレールは?
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中央のレールも電力供給用。最も左のレールと中央のレールには碍子がついており、絶縁に気が使われていることがわかる。この2組でプラス極とマイナス極(厳密にはちょっと違うようだが)になっている。通常は走行用のレールをマイナス極と共用にするのだが、ここでは別にレールがわざわざ準備されている。
別にすることのメリットとしては、変電所に帰る電流が地中などを伝って思いもよらない箇所に電蝕…つまり一種の電気分解ですね…の影響を与えることを防いだり,電車のボディーとホームとの間に電位差が生じて乗客が感電したりすることを防げる(だったっけな)。

これは日本的基準ではBRT?

日本的基準では連節バスはBRTのようだが,じゃぁ,後ろに延ばすのではなく上に積み上げても日本的基準ならBRTになりそうなものである.
さらに,その中量輸送相当のバスがウジャウジャ専用レーンを走っていたら,これは「大量型軌道」か?Europe08-0202こうやって極端な例を考えてみると,何がおかしいかがわかりやすい.LRTやBRTは確かに「中量輸送」ではあるが,輸送量の多寡だけが都市交通の仕分けの基準ではない.都市内においてどんな役割を担うのかを考えて基準を設けないと,変な話になってゆく.
似たような話は,「街路の規格」にもある.日本の基準では街路は自動車交通をどれだけの量,どれだけの速度で通すかしか基準がない.そろそろ,いろいろ見直した方が良さそうだ.

茨城県のBRT(ひたちBRT編)

日立にもBRTがあるようなので,立ち寄ってみた.日立駅ではなく,大甕(おおみか)駅発着.ここも日立電鉄線の廃止線路跡をバス専用道として活用している.廃止路線の代替バスというわけではないようである.
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大甕駅から少し南下した地点から線路跡地転用の専用道路に入る.ここは一般道からの出入り口で,やはりバス側に遮断機がある.

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地図データ ©2015 Google, ZENRIN

100 m


このバスのおもしろい点は,整理券がICカード化されていることである.現金精算時の取りっぱぐれ防止策としては,世界一かもしれない(が,それでいいのか?).運営事業者が日立製作所グループだから,機器類のショーケースと理解すればいいのだろうか.
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専用道路はさほど延長は長くないが,全線にわたって歩道が整備されているのでこの専用道にぶち当たりさえすれば,停留所にたどり着くのは容易である.地元住民のお散歩コースにもなっているようである.

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停留所部分で行き違いが出来るようになっているほか,要所要所でも交換できるように道路が部分的に太くなっている.停留所は屋根付きだが,かなりシンプル.

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歩行者用の「踏切」もある.
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一般道との交差点については,バス道路側に遮断機があるのは「かしてつBRT」と同じ.信号機付きの場所もあれば,単に一旦停止の場所もある.
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元日立電鉄の久慈浜駅で専用道は終了.ここから先は一般道を走る普通のバスである.
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CANADIAN RAIL(へろへろ線路編)

大陸の鉄道はおおらかである.こういう線路でも現役で使われていたりする.といっても,写真は10年以上前のものだが,Googleで確認してみると,今もあまり変わらないようである.Waterloo05-015
場所はこのへん

たまに保守しているときもあるが,写真で見てもへろへろである.それでも脱線しない秘訣は,「ゆっくり走ること」と「日本に比べて車輪の厚みが強烈に分厚いこと」のようである.

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まぁ,もっとも,たまに脱線しているときもあるので,日本ほど安全な乗り物では無いようである.

日本に本物のBRTは出来るか?(ガイドウェイバス)

名古屋のバスは昔から結構がんばっている(お土地柄,戦果は厳しいが).
大曽根駅から北東に延びるゆとりーとラインはガイドウェイバスで高架上を走るバスである.一応案内軌条の軌道扱い(要するに電車の仲間)であるが,バス専用道を走るバスであることに間違いない.
高架なので,乗り降りが少々面倒であるが,走ってしまえば信号待ちはないので,スムーズではある.
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しかし,見てのとおり,高架構造物を作らなければならないので建設費が高く,「ペイするか」という視点が導入された途端に急速に意気消沈してしまうようなシステムであり,ここ以外には話は続かない.軌道法適用条項を外せば部分的な導入は効果があると思うが,残念ながらお役人様の頭はさほど柔軟ではない.ガイドウェイバス自体はBus Rapid Transitの要素をかなり満たしており,あとは使い勝手の面を拡充すれば十分にBus Rapid Transitである.日本の自称BRTは「安かろう」が前面に出すぎて,何を満たせば便利に使ってもらえるのかの検討が不十分だと思うのは気のせいか?BRTの基準て何だったっけ?

新聞記事の精度(京都民報編-その3)

タブロイド紙の件の続きである.コメントまだ1面だが,この面以外は独自の内容は書かれていないので,1面だけコメントすれば充分なレベルの内容である.
駅建設関係部分についても,市が噛みつかれているようだ.ポイントは,駅建設に関する費用負担である.この紙に限らず,公共事業の費用が発生することは,これ即ち全て悪であるという前提で記事が書かれることが多い.この記事も例にもれていない.
公共事業が是か非かを判断するのは,費用に見合った効果が生じるか否かであって,支出が生じることが全て悪ではない.支出ばかりで何の効果も出なければ悪い事業,支出に見合った効果が出ればいい事業.非難する場合は,何の効果も出ないということを(悪魔の証明にならない範囲で)それなりに説得力のある理由を述べてから非難する必要がある.・・・で,この記事はというと,市がまだ説明していないことだけを以て「マイナス」と結論づけている.論が飛んでますが.現時点で非難できるのは,”説明を”までですね.「マイナス」かどうかは調べたり検討したりしてないので,言えないよね.
残りの8面,9面にも記事が続くらしいが,8面は主に以下の話のダイジェスト,9面はリニア計画に反対している学者のお話のダイジェストなので,以下省略.
詰まるところ,このタブロイド紙は,茶化した記述+浅い分析+他記事のダイジェストの構成のようで,的確な独自分析には至ることが出来なかったようである.(まぁ,週刊誌なら,そんなもんか.)
リニア新幹線反対論は妥当な指摘か?(輸送力編)
リニア新幹線反対論は妥当な指摘か?(失敗尻ぬぐい編)
リニア新幹線反対論は妥当な指摘か?(地震対策・復興編)
リニア新幹線反対論は妥当な指摘か?(環境編)
リニア新幹線反対論は妥当な指摘か?(安全確保編)
リニア新幹線反対論は妥当な指摘か?(番外編+まとめ)