新幹線というと,基本的には東海道新幹線に見られるようにほぼ3分間隔で運転できる能力がある.本数で言うと,毎時20本.ただし,各駅停車型と速達型が混在していたり,終着駅近傍では回送列車が走っていたりするので営業用に使えるのは毎時15本程度までである.
近年開業した整備新幹線については,変電所が小さな容量であったり,駅の待避設備が簡略化されていたりする関係で東海道新幹線のような高頻度運転は即座にはできない.
しかし,複線で新幹線用のデジタルATCを完備しているという点では東海道新幹線と同様であり,適切な設備投資をすれば抜本的に作り替えなくても高頻度運転ができるわけだ.つまり,基本的には高級インフラが整備されているわけである.
じゃぁ,実際にその能力のどの程度を使っているのか見てみよう.
- 東北新幹線の新青森-盛岡間…毎時1本が原則で,朝晩の瞬間最大風速的に時間あたり2本がある程度.
- 北海道新幹線の新函館北斗-新青森…毎時1本程度.
- 北陸新幹線の富山-長野間…早朝は毎時3本,その他は毎時2本.富山-金沢間はさらに毎時1-2本追加.
- 九州新幹線の鹿児島中央-熊本…ここも早朝は毎時3本,その他は毎時2本.熊本以北は毎時1本程度追加.
…ということで,本数が多い区間もあるが,末端区間になると毎時1-2本程度処理できればOKというレベルだ.
じゃぁ,これから新幹線化されることが望まれている区間について見てみよう.例えば,であるが…
- 奥羽新幹線関係の秋田-盛岡間(秋田新幹線)…判で押したように毎時1本.
- 同,山形-福島間(山形新幹線)…毎時1-2本.
- 山陰新幹線関係の鳥取-上郡間(智頭急行など)…毎時1本以下.
- 同,鳥取島根県境付近(山陰本線)…毎時1-2本程度.
…ということで,やはり毎時1-2本程度処理できればOKというレベルだ.
つまり,高速運転できさえすれば毎時15-20本も処理できる能力は必要では無いということだ.
こう書くと,地方部に新幹線は不要などという短絡的な議論に陥りがちであるが,要は本数は必要ではないが高速性は必要と言うことなのである.そういうインフラ整備手法がまだ開発されていないということだ.
えっ? 飛行機で十分だって? 飛行機で隣県に行けるかい?
えっ? 高速道路でいいだろって? 高速道路が本当に「高速」だと思ってるの?