降ってわいた選挙のシーズン到来である.
どこの誰がどうかは言及しないが,リセットだとか,一新だとか,ガラガラポンだとか,そういう雰囲気のキーワードを訴えるケースが多そう.
でも,実際のパソコンでリセットしなければならないような状況だと,リブート後には悲惨な結果が待っていることが多い.ガラポンについても,周到な準備をしないままの安易なガラポンは事態が悪化しそう.
数理計画手法の一つに遺伝的アルゴリズムというパソコン上で自動実験をさせるような方法がある.数値がどうやって改善されてゆくのか,しばらく様子を観察してみると,小規模な改善(突然変異)と他のケースでうまくいったものの一部を取り入れてゆくケース(交叉あるいは交配),これの積み重ねで長期間のうちに大きな改善につながっている.こういった小規模改善や他からの導入の場合でもうまく行かないことの方が多く,何度も何度も試行錯誤が行われるうちに改善が発見されてゆく.ガラポン的な変化をわざとさせてみると,状況が悪化して消えてゆくことがほとんどであり,さっぱり改善につながらない.
ついついまっさらな紙の上に理想の絵を描きたい衝動に駆られるのは理解できる(*)が,実際には現状を受け入れた上で,どうやってゆくのかが真のプランナーやリーダーの腕の見せ所のはず.もしも人生のことならば,安易に「リセット」だとか,「ガラポン」だとか,なかなか怖くて口にできないよね.
(*)まっさらな紙の上に自由に描くことができる状況でも,現実を理想状態に導くのはなかなか難しい.もし簡単にできるのなら,計画経済はもっと成功していただろう.