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北陸新幹線京都駅付近の「地上案」(概略ルート編)

続きである.

北陸新幹線京都駅付近,説明する相手は1000年前のままの価値観と背景知識の人々の可能性もあり,合理的な説明を100回繰り返しても「うぁーあーあー 聞きたくな,聞こえない,あーあーあー」状態のままの可能性もある.二進も三進もいかない場合の「プランB」が今回以降説明するルートである.

「プランB」は,地上ルート案である.基本的には「それっぽい人々」に口頭で説明した案の焼き直しupdate版である.地図上は「東西」案とよく似ているが,非なるものでもある.

今回は全体概要の説明である.

北方の国定公園直下をトンネルで通過する山岳地帯については,新小浜から旧京北町(京都市右京区京北町)付近までは,桂川・南北・東西の各案(JRTT案)と同じである.その先については,JRTT案は周山街道(国道162号)に沿って地下線で市街地に入ってゆく.

だが「プランB」は旧京北町付近から更に南下してやや東に向きを変えながら,嵐山の奥,保津峡を鉄橋で北西から南東に突っ切り,勾配を下りながら京大の桂キャンパス付近でトンネルを出る.

トンネルを出たら,高架橋で東進し,桂川を渡り,高架の北陸新幹線京都駅へ.

京都駅からはそのまま東進し,勾配を下って東山でトンネルに入ってJR線や東海道新幹線の南側に抜け,山科盆地の西縁(稲荷山の東の裾)を浅いトンネルか高架橋で南進し,六地蔵の北方で地下に入る.
(特に問題なければ,この辺から先はJRTT東西案と同じでもいいんだが)

その後はJRTTの東西案と同じく地下線で向島団地付近を抜けて旧巨椋池に至り,あとはJRTT案と同じ.

…そんで,工事ができるかどうかが問題だが,詳しくは次回以降.(つづく)

北陸新幹線京都駅付近の「地上案」(元祖東西案編)

北陸新幹線の敦賀-小浜-京都-新大阪ルートの京都駅付近,地下線工事で揉めている.基本的には「ご懸念」への回答は建設側から既に出されているわけだが,「うぁーあーあー 聞きたくな,聞こえない,あーあーあー」状態だと話は前に進まない.1000年前の人を説得するのは並大抵ではない.

建設ルート案が出てくる随分前に,「それっぽい人々」からルートに対する意見を聞かれた際に,「京都駅付近,特に伏見区の地下は掘っちゃあだめですよ.昔むかし大昔,近鉄が南側から京都駅に至るルートを地下線で考えていたところ,地下水の問題で高架になった」とか「山間部についても,(当時の現地人は)地下をトンネルで抜けてもらえば特に問題ないと言っているけど,山岳トンネルの工事方法を知ったら大騒ぎになりますよ」とか教えてあげたんだけども,「そうですかねぇ」的反応だったような.

さて,その際にルート候補として示してあげたのがこういう経路.(ただし説明は確か口頭で.でも,なにかの会議の資料で図は示したことがあるような気も…)

北方から来た線路は,現行案では周山街道こと国道162号に沿って北西側から市街地に地下線で入ってくるが,説明した案では嵐山の奥の保津峡を南進して京大の桂キャンパス付近で平地に顔を出し,地上のまま東進して桂川を渡って地上の京都駅へ.その後は東山にトンネルで入り,山科盆地の西縁を地表か浅いトンネルで南東に進めば,ややこしい地帯は回避できるというものであった.

ただ,その際に「京都駅の地下は?」という質問があったので,八条口の地下はリニア中央新幹線を京都に誘致する際の「リニア京都駅」候補地として考えられていたことがあると返答した記憶が…

その後の検討経緯はよく知らないが,京都駅付近のルートとして「桂川」「南北」「東西」の各案が出てきて,「東西」が上で説明したのとよく似てるなぁ,と思ったわけだが,説明したのは地上駅なのに,「東西」案は地下になっていた.

「東西」案は工期が長いということで,あっさり最初に候補から外されたわけだが…うーん.地下好きねぇ.(つづく

中速鉄道・・・だけでは劣化版高速鉄道

新幹線が無理なら「中速鉄道」という話が出ている.石破さんが国会でそういう話をしたらしい.

石破さんといえば,かつて「単線新幹線」という話を国会でしたことがあるが,この単線新幹線の出どころは多分私である.当時,政府に出入りしている人の「なんかいい話無いっすか」という問に対して「そうねぇ,新幹線を単線整備してコストカット・・・云々」と話したら,どうもそれを石破さんに喋ったらしく,まだ詳しい調査してないのに国会でフライングされてしまったわけだ.

さて,中速鉄道の話である.

欧州でも高速鉄道整備が無理なところは在来線改良,中国でも準高速鉄道という考え方がある.でも,欧州の在来線改良は運転速度が150-200km/hであって,国際的な高速鉄道の250km/hという基準を満たさないというだけの話である.中国の準高速鉄道も同様.

昨今話題の中速鉄道は,最高速度が150km/h程度らしいので,上記よりも更に遅く,国際的には単なる在来線改良である.あんまり便利ではない.

さて,よく調べてみると「中速鉄道」で成功している国もある.スイスである.スイスは九州程度の面積,人口密度は四国程度.可住地面積の割合も日本とよく似ているが,高速新線は50km程度しか無く,あとは最高速度160km/h程度の在来線ばかりで,曲線の多い低速山岳路線も散見される.

ところが,この国,鉄道の理想を「速い」から「早い」に転換して成功した.乗客数を概ね倍増させている.その基本概念は下の動画である.

矢印は都市間列車を示しており,毎時決まった時刻になると主要駅を出発し,決まった時刻までに主要駅に到着する.

長距離移動には乗り換えは付き物なので,「じゃぁ,乗り換えるならいつでも確実に乗り換えできるようにしよう」と運転間隔を等間隔にして拠点駅では別方面の列車に確実に乗り換えられるようにしたものである.

金をかけて劣化版高速鉄道を整備するんじゃなくて,どこにどれだけ金をかければ,「より早く」目的地に着けるようになるかを考えるべきである.

「敦賀・新大阪間に関する説明」見っけ

あちこちから「説明しろ」と言われている件のYouTube.
(PDF版は,こちら:https://www.jrtt.go.jp/project/tsuruhaninformationsession-kyoto.pdf)

大半の疑問点に対してはこれで返答済みに思えるが,「説明しろ」と言ってる人は見てないのかなぁ.
(あーあーあー 見えない聞こえない・・・かな?)

テレビのインタビューで,かつての京都市内の私鉄の地下線工事(鴨川の横の京阪電車?)で地下水が止まったことを例に,新幹線工事に対する不安を述べている人がいたが,工事方法が違うんだけどなぁ.

追記:「私鉄の地下線工事」は60年前とのことなので,京阪神急行電鉄,つまり今の阪急京都線の地下工事のようである.まぁ,同じ開削工法なので,同じ話なんだけどね.

「私鉄の地下線」は地表から深い溝を掘る方式(開削工法)なので,地下に万里の長城状態の止水壁を作ってるようなもんだが,新幹線のトンネルは豆腐にストローで穴開けるような方式なんだけど.

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それから,「米原ルート」を主張している人向けにはこちら.

北陸新幹線は入念な雪対策がされているが,「米原ルート」の接続先の東海道新幹線はここまでの対策はされておらず,乗り入れようが乗り換えようが,冬場は京都や大阪への到着は遅れまくり・・・ということは忘れてるんだろうなぁ.(石川県民あたりだと,東海道新幹線の関ヶ原区間を使う機会は少ないので,東海道新幹線が雪に激弱なのをそもそも知らない可能性すらアリ.)

京都では参議院選挙の争点らしいが,そもそも各候補者には「専門的知識と判断能力」はあるんだろうか? 衆議院と違って,「みんなが言ってるから」じゃぁマズイと思うぞ参議院.

長崎駅のホームの端っこのナゾ

新幹線長崎駅の西端(南端)は,ちょっとホームが下がっている.

 

隣の在来線ホームは,ホームのレベル自体が3mほど下だが,ホームの先っぽが逆に,ちょっと上がってる.

・・・ん?

もしかして,ホームの先っぽ同士を繋いで,E型の頭端ホームにして簡便な乗り換えを実現を狙ってる?

・・・と思ったが,そうでもなさそう.資料のp.13に上からの見取り図があるが,ホームの端に展望デッキを設けるようではあるものの,デッキとホームとの行き来はできなさそう.

ホームから海を見せたいっぽいんだが,建物が視界を遮ったり・・・

高架道路が邪魔だったり・・・

なかなか思惑通りにはゆかない模様.

北陸新幹線の敦賀-大阪間はなぜ「舞鶴経由」がマズイのか

北陸新幹線の敦賀‐小浜‐京都‐新大阪のルート整備が手こずってるのなら,舞鶴経由にせよという意見がある.舞鶴経由を主張する人は京都府(∉京都市)の人が多い.

「敦賀から西進して,舞鶴を経由して,福知山を経由して,京都駅経由して大阪に至れ」というかなりひどい主張もある.舞鶴の位置はこの辺(東舞鶴駅).ほぼ敦賀の西方&大阪の北方である.福知山は舞鶴よりもさらに西側である.

京都府には昔から(最近の資料ではあまり見かけなくなったが)「京都縦貫幹線鉄道構想」というのがあり,折に触れてこの構想が頭をもたげてくる.

舞鶴経由ルートは,かつての敦賀‐大阪間のルートの議論の際に出てきたものだが,北陸の人が京都や大阪に行くのに舞鶴や福知山を経由させられるという点で極めて筋の悪い議論である.

敦賀‐新大阪間は直線距離で114kmほど,現行の小浜京都駅経由案が約140kmであるのに対し,敦賀‐舞鶴‐福知山‐京都‐新大阪だと217kmほどにもなり,時間的には新幹線化を全く無効にしかねない案である.加えて,北近畿引き回しの刑としての運賃増までオマケで付いてくる.

しかも京都駅を経由する時点で京都市内の工事に関する諸問題を回避できない.流石にこれはダメである.新幹線版のドラゴンラインだ.

最近の「舞鶴経由」は京都駅を経由しないことを想定しての発言だと思うが,それでも遠回りだ.舞鶴に寄って,後は新大阪へ直行でも約153km.途中には京丹波駅が作れるかどうか.新大阪駅は南北方向になり,もはや山陽新幹線との直通という将来ビジョンはナシで.完成すれば京都府下における南北の分断は確定的か?

京都駅を無視してもいいと思っている人は,サンダーバードに乗ったことがないのだろう.大阪駅をスカスカの状態で出発した特急は新大阪,京都と順に客を積んでゆき,京都駅を出発した時点でようやく席が埋まる.京都駅は北陸特急利用者の主要な旅の発着地である.京都駅を経由しない時点で利用価値ほぼ半減する.

福知山や舞鶴への新幹線整備は「山陰新幹線」として議論すべきであり,「山陰本線」が京都駅を起点にしていることを考えると,山陰新幹線も工事の起点は京都駅起点が妥当だ.だが,北陸新幹線の京都市街での新幹線工事ができないなら,山陰新幹線の京都市街の工事もできない.

結局は北陸新幹線の新大阪-京都(-敦賀)間の一部は山陰新幹線との重複区間として捉えるのが適当であり,新大阪-京都(-敦賀)間の工事は,実質的に山陰新幹線の一部着工と捉えるべきだ.変な線路の取り回しを考えるよりも,どうすれば工事ができるのかについて,真面目に考えたほうが良い.

10年くらい前の「与党検討委員会・中間とりまとめ」には,(気にせず読み飛ばしている人も多いとは思うが)こういう記述がある.

「北陸新幹線が日本海側と太平洋側を連絡する重要路線であることも考慮し、将来的なものを含めて他の日本海側の幹線鉄道網との関係についても配慮されるべきである」

将来的な他の日本海側の幹線鉄道とは山陰新幹線にほかならない.わざわざこのように記述されているのは,敦賀-新大阪間は単なる北陸新幹線の一区間というだけでなく,京阪神圏と日本海側の山陰各地とを結ぶための重要な区間だという意味も込められている.インフラの計画というのは,B/Cだけでなく,このような条件も含めて考案されるものだ.

#綾部(3万人)は舞鶴(7万人)よりもさらに西になるので,舞鶴経由が実現しても綾部経由になるわけではない.そもそも,どちらの都市も,人口規模の観点ではわざわざ新幹線を経由させる都市規模ではなく,たまたま線路が通過する場合に,他に有力な設置地点がなければ駅ができる程度の規模である.

北陸新幹線の京都駅はなぜ「桂川」がイマイチなのか

「新幹線の大阪駅」が「新大阪」なら,「北陸新幹線の京都駅」が「桂川」だっていいじゃないか,という話がある.

京都駅と桂川駅の位置関係はこんな感じ.電車で6分.新大阪-大阪駅間も同程度だ.

じゃぁ,桂川駅でもいいじゃないかという話になるのだが,桂川と新大阪の決定的な違いは,市街地へのアクセスである.

新大阪駅は梅田地区へはJRで4-5分,都心の本町駅へは地下鉄で12分程度,なんば駅まで15分,天王寺へ22分,それぞれ「乗り換え無し」だ.大阪の主要地へ直接アクセスできる.地味に便利なおおさか東線も乗り入れており,そう遠くない将来,南海線とJR阪和線が乗り入れる「なにわ筋線(工事中)」経由で,いずれ南部からの電車もやってくる.

ところが,桂川駅の場合,JRで6分かけて到達できるのは京都駅なので,ここから地下鉄やバスに乗り換える必要がある.明らかに市内アクセスが劣る.

「いやいや,桂川なら阪急洛西口駅のすぐ近くじゃないか.洛西口なら阪急電車で都心へ行ける.」という人もいるだろう.けれども,JRTTの資料のp.27を見ると,明らかに阪急駅には隣接しない.桂川駅と洛西口駅の間にはイオンショッピングセンターがあって,歩くと約10分,700mある.

詳しい人なら,「桂川駅にはバスターミナルがあるので,ここを拠点にバス網を…」と言うかもしれないが,例えば金閣寺まで10km,銀閣寺まで13kmもあってバス網の拠点にはなり得ない.

さらに,京都市内各地に加えて,近鉄京都線沿線,JR奈良線沿線,JR山陰線沿線も京都駅なら直行できる範囲である.

北陸新幹線の京都駅は桂川でよいという論は,北陸新幹線でやってきた客が京都駅で降りた後,一体どこに向かうのか,という議論がすっぽり抜け落ちている.

「四国に新幹線って要りますぅ?」って人

「四国に新幹線って要りますぅ??」って言う人がいる.大都市部在住の人が多い.

四国4県で人口は約363万人.結構大成功の北陸新幹線沿線の北陸3県の人口は約284万人.

つまり「四国 > 北陸3県」.

北陸新幹線沿線には,新潟県の南西の端っこや長野県の北東部も含まれているので,足してみる.新潟県の南西部の人口は約24万人.長野県の北東部の人口は約75万人.ついでに安中市も入れて,合計約389万人.

ようやく「四国 < 北陸新幹線沿線」になった.

ところが,北陸新幹線の敦賀-高崎間は約471kmであるのに対し,瀬戸大橋を渡って四国各県に伸ばす構想の「四国の新幹線」の延長は302km.

つまり,「四国の新幹線」の沿線人口は,1kmあたり1.20万人であるのに対し,建設済みの北陸新幹線の沿線人口は1kmあたり0.83万人にすぎない.

1kmあたり沿線人口は「四国の新幹線 > 北陸新幹線」

つまり「四国に新幹線って要りますぅ?」って言う人は固定観念に毒されている.

#四国の新幹線は,高知県南部とか徳島県の吉野川沿いとかカバーしてないぞ,という人は,自分で詳しく計算してみよう.

北陸新幹線の建設費が2倍!? – 有識者でも米原ルート推奨?- (その7)

その7である.その道の有識者でも,米原ルートを推奨する人が出てきている.

だが…

  1. プロジェクトの優劣はB/Cで決まるわけではない(教科書レベル)
    • 教科書レベルのプロジェクト評価の説明では,B/C(費用便益比)は評価項目の1つに過ぎないので,B/Cの大きさだけでプロジェクトの優劣を評価すべきではないと書かれている.最も重要なのは,所期の課題を解決できるかどうかであり,他の項目は制約条件に過ぎない.
  2. B/Cの計算は社会的割引率の設定次第でいくらでも変わる(教科書レベル)
    • じゃぁ,B/C<1だと,投資効率が悪すぎて制約条件に引っかかるんじゃないかという話になる.だが,現時点の日本のB/C計算における社会的割引率は4%になっており,経済状況に比べて異様に高い値が設定されている.民間投資の収益率にすべきだとか,利子率に設定すべきだとか,長期国債の利回りに設定すべきだとか,経済成長率に設定すべきだとか色々観点はある.だが,30年間ほとんど経済成長していない国の割引率が4%って,妥当か?
  3. 「建設期間が25年のプロジェクト」は,年間新幹線支出が貧弱な状況下でも他のプロジェクトを圧迫しない
    • それから,最大5兆円(年間2%ずつ建設費が増大した場合の額面の総額?)も投資するくらいなら他の基本計画新幹線に投資したほうがマシと言う論もある.だが,である.工期が25年もあると,年間の建設費は1500億円程度である(完成近くなった頃の25年後の建設費は3000億円近くになるかもしれないが,これは額面).少ない少ないと言われ続けている新幹線の年間建設費4000億円の半分程度なので,残り半分は他の路線の建設費に回せる(完成近くなった頃の年間新幹線建設費支出総額はさすがに増えていると思う).
  4. 今から米原ルートを検討し始めてそれが早い解決策なのか?
    • 小浜京都ルートは環境影響評価段階で,もうすぐ着工の段取りである.
    • 一方,米原ルートは,滋賀県の並行在来線問題,滋賀県の費用負担問題,東海道新幹線に乗り入れるのなら各種の問題(東海道新幹線の線路容量,運行管理システムの違い,信号システムの違い,地震対応の違い,車両の最高速度の違い,新大阪付近の車庫回送線建設,JR東海がGOサインを出す時期(早くて2037年?)の問題,線路貸しなのかJR東海の列車扱いなのか,など),乗り入れないのなら乗り換え問題(米原駅での乗り継ぎ時間調整,ホーム発着が対面の乗り換えか否か,新大阪と米原の2回の乗り換えで条件悪化,特急料金の2重払い3重払いの問題),JR西日本の説得(減収),などなど,問題山積である.工事と並行で問題解決しようとしても,乗り入れなのか乗り換えなのかで米原駅付近の線路の構造が変わってくるので,着工不能な区間が出てくるはず.

…という状況.

北陸新幹線の建設費が2倍!? – B/CのBをup- (その6)

その6である.北陸新幹線敦賀ー大阪間のB/Cが建設費用upでヤバいかも,という話に戻る.

B/Cの計算は社会的割引率の値をどう設定するか次第の面が大きく,現行の4%は国際標準ではないという話をしたが,計算上の話ではなくてB/CのBを実際にupさせる方策がないではない.

件の区間の駅は,敦賀の次が小浜,京都,松井山手,新大阪の順だが小浜京都間の距離が長い.ここに駅を設けて開発効果を狙うという方法がないではない.もちろんその駅のためだけにルートを捻じ曲げるわけにはいかないので,コース取り次第である.

小浜京都駅間の途中の京都市右京区京北町の山間の僅かな平野に駅を設けて,ここを旧京北町や(1つ峠を超えるが)美山町の山間部を後背地とする拠点駅にするという方法が考えられないわけではない.このあたりの山間部は線路が通過するだけでメリットが無いと感じている地域でもある.


駅はたしかに費用がかかるが,標準的には200億円/駅程度であったかと思う.最低限のホームと改札だけならもっと安いかも.区間の全費用が2兆円だとか4兆円だとかいう額なら,全工費の0.5-1%程度にしかならないので,Bをupして新幹線のメリットを享受できる地域を広げるには良い策だと思う.少なくとも安中榛名よりは役に立つんじゃないだろうか.

まぁ,駅単体でB/Cを計算したりするとB/C<1かもしれないが…整備新幹線の主たる目的は沿線開発であるので.