鉄道で国づくり」カテゴリーアーカイブ

北陸新幹線京都駅付近の「地上案」(東山〜巨椋池編)

続きである.

前回は「高架の」京都駅の東側の平面の検討であったが,今回はその先のルートどりである.

この先については,当初の東西案でもいいのではないかと思っている.山科盆地は新興住宅地で,既に住宅地の直下を地下鉄が走っていたりする状態なので,あまり大きな障害はなさそう.

東山西側のトンネル入口で,標高約40mに対して路盤高が地表から-10mなので,標高30m.山科盆地西縁で大深度地下に至るとすると,山科盆地西縁の標高が約40〜60mで,そこから-40mなので路盤の標高は0〜20m.水平距離が1.6kmあるので18.8〜6.3‰の下り勾配.何の問題もない.

…だが,である.1000年前の価値観の人には理解できないかもしれないので,一応,プランBを考えてみる.東山でトンネルに入る直前の標高は30m,在来線の下をくぐったら,そのまま30‰で1km登って東海道新幹線直上に達して標高60m(東海道新幹線の土被り10m?),そこから水平で標高60mのまま進み,山科盆地西縁の地上に顔を出す.盆地西縁を10‰程度の下り勾配の高架で進み稲荷山道路トンネル東抗口付近を通って南へ.

東山-山科盆地西縁

そのまま南に進んで,山科浄水場付近東側をトンネルで抜け(標高50m),名神高速の上を通り,そこからトンネルに入るとともに30‰の下り勾配で平地に達するあたりでは標高-5mへ.平地に達した付近の地面の標高は20mなので,地下25m.そのまま500m進んで地下40mに達し,その後は大深度地下線として巨椋池方面へ.(以下,JRTT東西案と同じ)

山科盆地西縁

六地蔵付近

…という風になるが,この区間はプランBよりも素直にJRTT案のほうがいいかも.

続いて,京都駅の西側の話だが,それについては次回.(つづく)

北陸新幹線京都駅付近の「地上案」(京都駅東側平面編)

続きである.

前回は「高架の」京都駅の東側の検討のうち高さ方向の検討だったが,今回は平面の検討である.

ポイントは2つ.1つは引き上げ線の廃止.もう一つは一部の用地買収である.

まずは,引き上げ線の話.京都駅東側には,西側から走ってきた京都駅終着の列車の引き上げ線がある.南紀特急とか智頭急行特急とかが停泊していることがあり,その他の列車がいることもある.これを廃止して用地をひねり出す(幅5m弱?).

京都駅東側の引上線(留置線)

京都駅東側の留置線(高倉跨線橋付近)

引き上げ線機能がどうしても必要な場合は,特急はるかの山科駅延伸に伴って山科駅に整備される引き上げ線を利用するという方法もある(はるかが滞留していることが多いとは思うが).

さて,北陸新幹線の高架橋は既設線をまたぐように直上に架設せざるを得ないが,足の一方は元引上線部分,もう一方は既設線南側の僅かな用地を利用.鉄道警察隊の建物は移転,お寺の北側の旗竿地の空き地(多分)も使って門型の橋脚を作ってゆく.基本は琵琶湖線(京都方面)の直上空間.

ということで,鴨川まではなんとかなりそう.20mの高さから徐々に降りながら,鴨川手前で10m弱程度まで降りてくる.線路の北側には既に大学が立ってしまっているのがちょっと悔やまれる.

鴨川の東側は,線路(12m幅)を地上に降ろさなければならないが,引き上げ線は5m程度しか幅がなく,京阪電車を超えたあたりで引き上げ線も終わってしまうので,線路敷を北側に10m程度拡大させる必要があり,ここで用地買収が発生する(黒い字が現行,青いのが整備後).拡大区間は鴨川の東側から東に約650m程度.

鴨川の東側

鴨川(約110m)を渡るうちに,琵琶湖線(米原方面)の線路を北側に10mほどシフトさせる必要がある.鴨川の東側から650mの内に,高架線路を地上高10m弱から-10m程度まで勾配を下る.

そして,在来線の基面から-10m程度に線路が達したらトンネルに入って在来線の下をくぐって南へ進路を向ける.

北陸新幹線東山トンネル入口

現在の風景

地形の関係で,このあたりは在来線の線路自体が切り通しで地表下15m程度であり,北陸新幹線のトンネル入口はさらに10m下なので,北陸新幹線は土被り15m程度でトンネルに突入し,地形の関係ですぐに30m程度に達しそう.

ということで,今回はこのあたりで.

次回は,この先(大阪方面)のお話.(つづく)

 

大阪「副首都」入門リンク集

はーい,選挙が終わって「副首都」を蒸し返す人が出てきそうなので,主な「副首都」入門リンクをまとめておきますね.

大阪「副首都」入門(今北産業編)

地震動予測地図と首都機能バックアップ

地震動予測地図とリニアの近畿圏サブターミナル

国土強靱化-副首都機能候補地を勝手にリストアップ

ONE OSAKAの都市計画・交通計画は妥当な案か(副首都編)

大阪は副首都になれるか(平常時編)

大阪は副首都になれるか(用地確保編)

大阪は副首都になれるか(地盤編)

大阪は副首都になれるか(都市の位置関係編)

大阪は副首都になれるか(広域ネットワーク編)

大阪は副首都になれるか(かつての首都機能移転候補地との比較編)

都構想は大阪を副首都にするための布石…か?

 

北陸新幹線京都駅付近の「地上案」(京都駅東側勾配編)

続きである.

北陸新幹線「高架の」京都駅の前後に線路を取り付け可能かどうかの検討が必要だが,今回は東側方向の高さ方向の検討である.

まずは高さ方向の検討である.高架の北陸新幹線京都駅のホームは地上20mの2面2線で,ここから東に進みながら勾配を下り,東山通りの陸橋をくぐってJR在来線の東山トンネルの手前で在来線線路下に潜ることを考えてみる.

京都駅は標高40mくらい,ホームの高架は標高60m.東山通りの陸橋付近の在来線線路の標高は40mくらい,在来線の東山トンネル手前で新幹線線路が在来線線路下に潜る直前での新幹線の標高を考えてみる.在来線の標高が40m,新幹線トンネルの高さは地面下10mとして,40-10m=30m.つまり,京都駅60mから30mまで降りればよい.

東海道新幹線東山トンネルの入口の幅は約12m程度.

東海道新幹線東山トンネル入口

この程度の北陸新幹線東山トンネル入口が確保できそうなのはこのあたり.

北陸新幹線東山トンネル入口候補

JR琵琶湖線内側線が干渉するがその辺の話は後ほど.高架の京都駅ホーム東端からトンネル入口までの距離は,約1.35km.

ホーム東端からトンネル入口

平均勾配は,30m÷1350m=22.2‰なので,25‰の下り勾配で設計すればOK.

さて,高さ方向の障害物としては,京都駅側から通称「たかばし」こと高倉跨線橋.路面電車を通すために架設された橋である.

ホーム東端から130m程度の位置なので,新幹線が地上20mから25‰で下ると,この位置では地上高約17m程度.下の写真から,アーチの高さが15m程度だと思うので,ギリ上を通過できそうではある.まぁ,今は路面電車が無いので,橋を撤去してアンダーパスに変更するという方法はある.東隣の国道24号はアンダーパスになっている.

高倉跨線橋

次の障害は東山区本池田町の歩道橋で,ホーム端から約800m.地上20mから25‰で下ると,この位置では地上高約0mなので,(別の理由で架替の必要はあるかのしれないが)歩道橋自体は問題なさそう.これ以東の歩道橋も同様.

ということで,高さ方向的には高架のホームから勾配25‰で下って,東山の手前でJR在来線の下をくぐる程度の高さまでの到達は可能.

では,平面的にはどうする?  高架の線路を下り勾配で地面に下ろす空間確保は?
…という話は次回へ.(つづく)

 

北陸新幹線京都駅付近の「地上案」(京都駅のホーム編)

続きである.

今回は北陸新幹線京都駅付近の「地上案」のうち「京都駅のホーム編」である.京都駅のホームはどこに作れるかである.

北陸新幹線京都駅のホームは待避線無しの2面2線の予定だが,高架の待避線無し2面2線の駅はこれくらいのサイズである.長手方向が約300m,幅は最も広いところで約25m.これだけの広さが必要ということである.JRTTの公式案でも地下京都駅のサイズはこの程度のサイズである.

北陸新幹線小松駅

北陸新幹線小松駅

さて,こんな広さの地上駅をどこにつくるかであるが,(ちょっと面倒だが)ある.

それは,在来線2番線3番線ホームの直上である.2番3番ホームの長さは約400mあるので,その上空に300mのホームは可能.ちなみに南隣の4番5番ホームも約330mあるので,こっちでもよい.

京都駅駅2-3番ホーム

幅については,0番線と2番線の間の貨物列車が通過する線路と,3番線と4番線の間にある回送列車の留置線との間が約25mである.ということなので,貨物列車の通過線を0番線(北陸特急の着発ホーム)にするとともに,回送列車の留置線を廃止すれば,そこに支柱は建てられる.必要なら2番3番ホームの真ん中にも建てられるかも.

2-3番ホームの東側

2-3番ホームの西側

4番5番ホーム上空に北陸新幹線ホームを設置する場合には,3番線と4番線の間にある2本の留置線を廃止した上で,4番5番ホームを数m北に移設して支柱用の空間を捻出する必要はある.

上下方向はというと,2番3番ホームの上には橋上駅舎がある(4番5番ホームも)ので,この上を超えるような高さにホームを架設する必要がある.

京都駅ビル4階から

上の写真は京都駅ビル4階からのものである.中央奥の10階建てのホテルを目安に推定すると,概ね地上20mの高さなら橋上駅舎はクリアできそう.

とういうことで,ホームそのものを架設できそうな空間はある.ただし,営業路線の直上での高架工事になるので,工事業者が一番嫌がるパターンではある(という話は,直上高架工事をしたことのある人から聞いたことあり).

では,この高架の北陸新幹線京都駅の前後に線路を繋げられるかどうか,という話になるが,その話は次回.(つづく)

 

北陸新幹線米原ルート入門リンク集

北陸新幹線米原ルート推進の参議院議員さんが当選したようで,たぶん「米原ルート」を蒸し返す人多数と思われるため,(主な)リンク貼っておきますね.

「米原ルート」の開業時期(1)

「米原ルート」の開業時期(2)

「米原ルート」の開業時期(3)

北陸新幹線の建設費が2倍!? -新聞記事の精度- (その1)

北陸新幹線の建設費が2倍!? -新聞記事の精度- (その2)

北陸新幹線の建設費が2倍!? -米原ルート- (その3)

北陸新幹線の建設費が2倍!? – 米原ルートは早期開業か- (その4)

北陸新幹線の建設費が2倍!? – 北陸・中京新幹線- (その5)

北陸新幹線の建設費が2倍!? – B/CのBをup- (その6)

北陸新幹線の建設費が2倍!? – 有識者でも米原ルート推奨?- (その7)

「敦賀・新大阪間に関する説明」見っけ

 

あと,舞鶴ルートの件も.

北陸新幹線の敦賀-大阪間はなぜ「舞鶴経由」がマズイのか

 

北陸新幹線京都駅付近の「地上案」(概略ルート編)

続きである.

北陸新幹線京都駅付近,説明する相手は1000年前のままの価値観と背景知識の人々の可能性もあり,合理的な説明を100回繰り返しても「うぁーあーあー 聞きたくな,聞こえない,あーあーあー」状態のままの可能性もある.二進も三進もいかない場合の「プランB」が今回以降説明するルートである.

「プランB」は,地上ルート案である.基本的には「それっぽい人々」に口頭で説明した案の焼き直しupdate版である.地図上は「東西」案とよく似ているが,非なるものでもある.

今回は全体概要の説明である.

北方の国定公園直下をトンネルで通過する山岳地帯については,新小浜から旧京北町(京都市右京区京北町)付近までは,桂川・南北・東西の各案(JRTT案)と同じである.その先については,JRTT案は周山街道(国道162号)に沿って地下線で市街地に入ってゆく.

だが「プランB」は旧京北町付近から更に南下してやや東に向きを変えながら,嵐山の奥,保津峡を鉄橋で北西から南東に突っ切り,勾配を下りながら京大の桂キャンパス付近でトンネルを出る.

トンネルを出たら,高架橋で東進し,桂川を渡り,高架の北陸新幹線京都駅へ.

京都駅からはそのまま東進し,勾配を下って東山でトンネルに入ってJR線や東海道新幹線の南側に抜け,山科盆地の西縁(稲荷山の東の裾)を浅いトンネルか高架橋で南進し,六地蔵の北方で地下に入る.
(特に問題なければ,この辺から先はJRTT東西案と同じでもいいんだが)

その後はJRTTの東西案と同じく地下線で向島団地付近を抜けて旧巨椋池に至り,あとはJRTT案と同じ.

…そんで,工事ができるかどうかが問題だが,詳しくは次回以降.(つづく)

北陸新幹線京都駅付近の「地上案」(元祖東西案編)

北陸新幹線の敦賀-小浜-京都-新大阪ルートの京都駅付近,地下線工事で揉めている.基本的には「ご懸念」への回答は建設側から既に出されているわけだが,「うぁーあーあー 聞きたくな,聞こえない,あーあーあー」状態だと話は前に進まない.1000年前の人を説得するのは並大抵ではない.

建設ルート案が出てくる随分前に,「それっぽい人々」からルートに対する意見を聞かれた際に,「京都駅付近,特に伏見区の地下は掘っちゃあだめですよ.昔むかし大昔,近鉄が南側から京都駅に至るルートを地下線で考えていたところ,地下水の問題で高架になった」とか「山間部についても,(当時の現地人は)地下をトンネルで抜けてもらえば特に問題ないと言っているけど,山岳トンネルの工事方法を知ったら大騒ぎになりますよ」とか教えてあげたんだけども,「そうですかねぇ」的反応だったような.

さて,その際にルート候補として示してあげたのがこういう経路.(ただし説明は確か口頭で.でも,なにかの会議の資料で図は示したことがあるような気も…)

北方から来た線路は,現行案では周山街道こと国道162号に沿って北西側から市街地に地下線で入ってくるが,説明した案では嵐山の奥の保津峡を南進して京大の桂キャンパス付近で平地に顔を出し,地上のまま東進して桂川を渡って地上の京都駅へ.その後は東山にトンネルで入り,山科盆地の西縁を地表か浅いトンネルで南東に進めば,ややこしい地帯は回避できるというものであった.

ただ,その際に「京都駅の地下は?」という質問があったので,八条口の地下はリニア中央新幹線を京都に誘致する際の「リニア京都駅」候補地として考えられていたことがあると返答した記憶が…

その後の検討経緯はよく知らないが,京都駅付近のルートとして「桂川」「南北」「東西」の各案が出てきて,「東西」が上で説明したのとよく似てるなぁ,と思ったわけだが,説明したのは地上駅なのに,「東西」案は地下になっていた.

「東西」案は工期が長いということで,あっさり最初に候補から外されたわけだが…うーん.地下好きねぇ.(つづく

中速鉄道・・・だけでは劣化版高速鉄道

新幹線が無理なら「中速鉄道」という話が出ている.石破さんが国会でそういう話をしたらしい.

石破さんといえば,かつて「単線新幹線」という話を国会でしたことがあるが,この単線新幹線の出どころは多分私である.当時,政府に出入りしている人の「なんかいい話無いっすか」という問に対して「そうねぇ,新幹線を単線整備してコストカット・・・云々」と話したら,どうもそれを石破さんに喋ったらしく,まだ詳しい調査してないのに国会でフライングされてしまったわけだ.

さて,中速鉄道の話である.

欧州でも高速鉄道整備が無理なところは在来線改良,中国でも準高速鉄道という考え方がある.でも,欧州の在来線改良は運転速度が150-200km/hであって,国際的な高速鉄道の250km/hという基準を満たさないというだけの話である.中国の準高速鉄道も同様.

昨今話題の中速鉄道は,最高速度が150km/h程度らしいので,上記よりも更に遅く,国際的には単なる在来線改良である.あんまり便利ではない.

さて,よく調べてみると「中速鉄道」で成功している国もある.スイスである.スイスは九州程度の面積,人口密度は四国程度.可住地面積の割合も日本とよく似ているが,高速新線は50km程度しか無く,あとは最高速度160km/h程度の在来線ばかりで,曲線の多い低速山岳路線も散見される.

ところが,この国,鉄道の理想を「速い」から「早い」に転換して成功した.乗客数を概ね倍増させている.その基本概念は下の動画である.

矢印は都市間列車を示しており,毎時決まった時刻になると主要駅を出発し,決まった時刻までに主要駅に到着する.

長距離移動には乗り換えは付き物なので,「じゃぁ,乗り換えるならいつでも確実に乗り換えできるようにしよう」と運転間隔を等間隔にして拠点駅では別方面の列車に確実に乗り換えられるようにしたものである.

金をかけて劣化版高速鉄道を整備するんじゃなくて,どこにどれだけ金をかければ,「より早く」目的地に着けるようになるかを考えるべきである.

余市→小樽

余市→小樽.つまり,北海道新幹線の並行在来線で,廃止する件で揉めているところ.

小樽方面,朝7時台に2本あるので,6両分程度の客はいそう.満杯なら600人/時以上いるので,60人乗りのバスなら10本/時は要るということ

バス化すると,運転手不足になりそう.その運転手,昼間はどうする?

 

駅前.すぐ先にニッカの工場があるので,観光客の流れはありそう.

 

駐輪場.それなりに使われている.ちなみに,この日は5月の日曜.

 

出発.

 

観光客っぽい人で席は埋まる.

後ろ向きに撮影.つまり,余市駅.

 

途中のトンネル.

 

もしかして,狭小トンネル? 電化しちゃえば? と思ったが,このトンネルは面倒そう.

 

跨線橋があったが,将来の複線化の可能性を考慮して,スパンが広め.とある自治体職員の方に聞いた話では,出戻り工事したくないので,複線化の可能性がある場合は,ギリギリサイズじゃなくてスパン広めに設計するらしい.

 

やっぱりトンネルサイズ小さい.

 

列車交換.

 

小樽が近づいてきた.せっかく人家があっても駅が無いのね.

 

小樽駅着.

所要時間,約25分,途中2駅,約20km.

この区間,輸送密度が2000人もあるのね.「国鉄ローカル線の廃線基準」は下回るが,昨今の地方ローカル鉄道のレベルとしては,十分客が乗っている区間.

「攻めの廃線」でバス転換したはずの石勝線夕張支線も,バス路線維持に暗雲が・・・