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国政での新幹線の議論

静かすぎると仕事が出来ない性格なので,ラジオなどをかけながら仕事をしていることが多いが,音楽や雑談だと楽しくて仕事の方が身に入らなくて本末転倒である.そこで,最近は国会中継を聞いていることが多い.

大半の議論は聞き流しているが,それでもマスコミが取り上げない案件が多く,なかなか勉強になる.新幹線関係の議論もたまにあるが,残念ながら現状の計画の進み具合を担当大臣や担当部局に説明させて,それだけで終わっている方が多い.

たぶん,選挙の時に「ちゃんと新幹線のことも国会で議論しました」と言うことを目指してるんだろうなぁ,などと冷ややかな感想を持っている.突っ込みが甘すぎて,議論にすらなっていないことが多い.

さて,珍しく,と言っては何だが,久々に前向きな議論が聞けたのでリンクだけでも紹介しておこう.4/25日の参議院の決算委員会の一部.

http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php

このサイトを開いて,(2016年の)4/25をクリックすると,その日に行われた会議の一覧が示されるので,「決算委員会」を選んで再生すると,JALの話に続いて新幹線のことが議論されている.

通常なら国土交通省鉄道局の局長が現況説明して終わってしまうことが多いのだが,国土交通大臣が整備新幹線の目的を再確認する答弁をするとともに,財務大臣の比較的前向きな話を引き出している.これだけで今後新幹線整備を取り巻く環境が大きく動くかどうかはまだわからないが,最近のやりとりの中では一番希望が持てそうだ.

雰囲気的に「この件,つづく…」かな.

なお麻生大臣が「ちまちました絵を描いて…」と指摘している部分は,私にはこう聞こえた.”ちまちました部分部分の議論をしていないで,国全体の新幹線のグランドデザインを示し直した方がいい時期に来ている.”

様子は,公式webサイト以外にもyoutubeでも見られる模様

新幹線なら博多―宮崎95分

東九州新幹線の試算をしたらしい.

読売新聞:東九州新幹線(福岡市―鹿児島市)構想について、沿線4県と北九州市などでつくる建設促進期成会が、予想される所要時間や費用対効果をまとめた。
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20160405-OYT1T50057.html?from=ytop_main5

試算結果は,こうらしい.

博多-宮崎間:1時間35分
博多-大分間:47分
小倉-大分間:31分
小倉-宮崎間:1時間19分

何か妙に速いな.それぞれの現行路線長を使って表定速度を出すと…

博多-宮崎間:407km÷1.583時間=257km/h
博多-大分間:200km÷0.783時間=255km/h
小倉-大分間:133km÷0.517時間=257km/h
小倉-宮崎間:340km÷1.317時間=258km/h

なーるほど.山陽新幹線ののぞみ号/みずほ号なみだな.途中駅ほとんどノンストップで300km/h運転ならこれくらいだが,もうちょっと現実的な値にしてみよう.

一部山陽新幹線を走行するとのことなので,小倉-鹿児島中央間の最速便で計算してみよう.356kmを95分で走行しているようなので,356÷1.583時間=225km/h.これを使ってみる.

博多-宮崎間:407km÷225km/h=108.5分
博多-大分間:200km÷225km/h=53.3分
小倉-大分間:133km÷225km/h=35.5分
小倉-宮崎間:340km÷225km/h=90.7分

ということで,この辺が現実的なあたりか?

博多-宮崎間:1時間49分(現行2時間58分[新八代からバス],▲1時間9分)
博多-大分間:54分(現行1時間43分,▲49分)
小倉-大分間:36分(現行1時間18分,▲42分)
小倉-宮崎間:1時間31分(現行3時間17分[新八代からバス],▲1時間46分)

 新聞記事よりはインパクトはマイルドだが,まぁまぁの時間短縮だな.

関空本格ターミナル構想4施設目

こういう記事がある.

 関西国際空港に、本格的な新旅客ターミナルを設ける構想が浮上していることが30日分かった。インバウンド(訪日外国人)が今後も長期間増え続けると、既設と建設中の計三つのターミナルでは対応しきれないためだ。必要と判断すれば、4月1日から44年間、関空を運営する純民間会社、関西エアポートが整備する。実現すれば、訪日客の玄関口として関空の機能は大幅に強化される。【吉永康朗】

情報源: 関空:本格ターミナル構想…4施設目、大手増便に対応 – 毎日新聞

記事の図では,ここにターミナルを設けるということのようだが,これって元々の計画にあった第2ターミナルだよね.二十数年を経てようやく完成に近づくわけだね.あとはC滑走路か?

ところで,関空までやってきたJRの線路と南海電車の線路は,なぜか関空駅の南側で西の方に曲がっている.これは確か当初の第2ターミナルが完成したときにはこの曲がった部分を延伸して,乗り入れるはずじゃなかったかなと思う.

それとも新ターミナルは「新幹線乗り入れ対応」で作っとくか?

 

開業列島、結ばれた「東海道」から52年

【祝】北海道新幹線開業.

そんで,「開業列島、結ばれた「東海道」から52年」という記事発見.

…えーと,まだ結ばれてないんですけど.

たまには紫雲丸事故を発端にしたプロジェクトの方についても思い出してあげてください.

 

安倍首相が二階総務会長の経済対策案に「素晴らしい」 – 産経ニュース

よく見ると…

安倍晋三首相は22日、官邸で自民党の二階俊博総務会長と面会し、二階氏が平成28年度補正予算案の編成を踏まえて提案した経済対策に対し、「素晴らしいアイデア、知恵を…情報源: 安倍首相が二階総務会長の経済対策案に「素晴らしい」 – 産経ニュース

さりげなく元記事には「リニア新幹線などインフラ融資の拡充」と書かれているが,早期全線開業か???

 

北陸新幹線敦賀以西、ルート選定調査「半年必要」…石井国交相

こういう話があったんだが…

石井啓一国土交通相は3月18日の閣議後会見で、北陸新幹線の敦賀以西ルートについて「調査を行うとすれば、調査着手から概ね半年程度は必要だ」との考えを示した。

情報源: 北陸新幹線敦賀以西、ルート選定調査「半年必要」…石井国交相

リンク先を見ると,あぁ,そうなんだ,「3ルートの選定のための調査では、各ルートの事業費、所要時間、輸送需要の見通し、収支採算性などを検証する」には半年必要なんだ…と思ってしまう.

だが,ちょっと待てよ.「事業費」はともかく,「所要時間」「輸送需要の見通し」「収支採算性」の三つについては,全国新幹線鉄道整備法施行令という政令の第二条で,基本計画を決定するための調査事項として挙がっているものである.

本来は基本計画策定時に調査する事項を,整備計画が出来上がった後の,本来なら地図上で具体的なルート設定をして環境影響評価を行うような時期になって,わざわざあらためて調査すると言っているのである.

つまり,何が言いたいかというと,現行の基本計画は,すでに基本計画の体を成していない,ということなのである.国土交通大臣自ら,それを間接的に認めてしまっているわけだ.(たぶん,大臣自身は気付いていないと思うけど)

これは中央新幹線を基本計画から整備計画に上げる際にも見られた状況であり,わが国の新幹線網構想の根幹にかかわる問題である.

そろそろ基本計画をちゃんと見直した方がいいんじゃないかな.(ツッコめるほど詳しい国会議員さんが居なさそうだけど).

 

北海道新幹線あまり速くないとは言うが…

北海道新幹線が青函トンネルの減速運転であまり速くないとは言うが…

一応,約1時間ほどの短縮になっている模様.時刻表2016年4月号を入手したので,調べてみた.

お昼頃に新青森→函館間を移動する場合である.

【開業前】
新青森(12:04)→白鳥77号→函館(14:25)
時間:141分
費用:5,490円(指定席)

開業後】
新青森(12:37)→はやぶさ11号→新函館北斗(13:38)
新函館北斗(13:51)→はこだてライナー→函館(14:06)
時間:89分
費用:7,890円(指定席)

ということで,まとめると…

乗換:+1回
時間:−52分
費用:+2,400円

見かけ上は,1分短縮あたり46円なり.乗換1回30分相当という話もあるので,短縮は22分相当とすると,1分短縮あたり109円なり.

青函トンネルが遅いとはいえ,乗換を気にしなければ,まぁ,そんなもんかというような感じ.乗換があると,開業もありがたさ半分なり新幹線,といった感じ.

三線軌化とかしてでも,何とか直通運転したかったねぇ.

 

北陸新幹線の敦賀-大阪間のルートについてJR…

北陸新幹線の敦賀-大阪間のルートについて,他の区間と異なる動きが見られるのは,JRである.

九州新幹線でも北海道新幹線でも,JRが積極的にルート云々をおおっぴらに意見表明することは無かったのだが,今回は具体的なルートの賛否の意見表明をしているように見える.

事実上の営業用の資本についてのことなので,そういった行動に出ているのだろうと思うが,いろいろ意見を言うとうことは,当然,建設費負担の意思があるということだよね?

…と念押し確認してみたくなる今日この頃.

ほらな…

今ごろになって言ってもねぇ.首相がこうつぶやいているらしい.

読売新聞:消費税を8%に引き上げたら景気が冷え込んだ。上げなければ、税収は今頃もっと増えていただろう

元記事はこちら:http://www.yomiuri.co.jp/politics/20160227-OYT1T50029.html

だから言わんこっちゃ無い.だれか,消費税の最適税率計算しないのかねぇ.ちゃんとデータハンドリングしている経済の研究者なら,できると思うんだけど.首相の周りの人でも「止めとけ」って言ってた人はいたと思うぞぉ.

金融緩和ばかりしても,適切な投資先が無ければ金がダブつくだけで,実体経済は良くならない.見かけの数字が変化するだけ.

じゃぁ,何が適切な投資先かというと,生活上の,あるいは経済活動上の具体的な困りごとを改善する政策が適切なはず.

日本の困りごとというと,エネルギーや食料生産が海外頼みだとか,国土面積の割に細長い形が故に意外と移動に時間がかかるとか,田舎が疲弊しているとか,いろいろあるぞ.

何が良い投資先か,目利きはセンスの問題かも.

路面電車の地下線

タイトルが,それ自身,矛盾しているじゃぁ無いかという指摘は置いといて,海外のLRTについて調べているとしばしばお目にかかるのがこういう施設.

DSCN8066s

路面電車の地下線である.日本ではまずあり得ない.

なぜ日本ではあり得ないかというと,日本では原則として鉄道整備は独立採算であるからだ.つまり,地下線をつくったならば,その建設費を運賃で払わなければならない.

例えば1kmの地下線を100億円でつくったとしよう.この100億円を運賃で支払うとする.地下線に乗り入れてくる電車の客は,平均5km乗車して200円支払ったとすると,1kmならば40円分である.

100億円÷40円/人=2億5000万人

電車には毎便100人ずつ乗っていたとすると…

2億5000万人÷100人/便=250万便

往復計で5分ごと,朝6時から24時までの18時間運転されていたとして…

18時間×(60分÷5分/便)=216便/日
250万便÷216便/日=11574日=31.6年

運賃を全額建設費の支払いにまわしても30年以上かかる.車両費や電気代,保守費,人件費,利払い等々の入っていない段階でこれであるので,事実上,運賃で地下線の建設費を払うなんてのは不可能である.

そもそも,朝から晩まで5分ごとにほとんど満員のLRVが走ってくるとの設定に無理がある.

つまり,こういった「路面電車の地下線」は独立採算の下ではできない施設,ということになるわけだ.インフラ整備の根源的な考え方が違う,というお話.