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バーゼルを8分遅れで出発したICE,次の駅で定刻に

スイスのバーゼル駅を8分遅れで出発したベルリン行きICE.フランクフルト方面への路線を走るのだが,残念ながらスイス付近は線形が悪く,ローカル列車のような走り方しかできない.川沿いに右へ左へと流れに沿って敷かれた線路をたどる.

…と,過去の記憶をたどればそうだったのだが,今回は途中で「本気」を出した.そして次の停車駅のフライブルクではなぜか定刻着.

本気を出した秘密は,以前は無かったこのトンネルのようである.トンネルなのでGPSが機能せず,正確な速度はわからないが,200km/hくらいか.8分遅れは確信犯だな.

元々の線路はトンネルの左側の川沿いの線路.独仏は訪れるたびに幹線鉄道の設備が更新されて行く.日本はどうなんだ?

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リニアの開業予定年次に見る全線早期開業のポイント

リニアこと中央新幹線が東京-名古屋間に開業するのが2027年の予定.大阪まで開業するのは2045年の予定.

18年遅れる原因が京都がゴネているからだ,などと揶揄されることも少なくないが,それは的を射ていない.

話は簡単である.金の問題である.

今から28年前の1987年,JRが発足した当時の新幹線は国の資産だった.毎年賃借料を払って施設を借りて新幹線を運行していたわけである.その後,1989年,JR各社は東北・上越新幹線を約3兆円,東海道新幹線を約5兆円,山陽新幹線を約1兆円で購入した.

当然一括払いできるわけではないので,26.5年ローンで購入.そうすると,初年度が0.5年,さらに26年経過すると,2015年.そう,間もなくほぼ完済である.一部は60年払いの部分もあるが,額が小さい.

ローンを完済すると,その後のJRはどうなるかというと,基本的には以後大もうけ.税金払い増大が基本コース.

税金払うくらいなら,積極的に投資したいと思うのが普通の会社.ということで,再び5兆円の借金に耐えられる状況になったJR東海は5兆円でリニアを建設することにした.

なぜ全線一括で建設しないかというと,東京-名古屋間の建設費が約5.5兆円,そう,今までにしたことのある借金額では全線一気に建設するのはリスクが高いからである.過去の実績にあわせると名古屋まで,と言うこと.

ところで,名古屋-大阪間の兼津費は約3.5兆円.資金に余裕ができたらこれに着手したいところ.東海道新幹線のローン約5兆円を26.5年で還した実績があるので,じゃぁ3.5兆円なら何年分の返済相当かというと,3.5兆円÷5兆円=70%,つまり26.5年の70%でOK.26.5×70%=18.6年.

つまり名古屋に遅れること,概ね18.6年なら大阪まで建設可能ということである.2027年に18.6年を加えると,2045.6年.大阪までの開業目標は何年だったっけ?だいたい合うだろ.

京都がゴネているからじゃなくて,資金調達の問題なんだよね.

でも,いくら優良巨大企業とは言え,一企業の資金調達の問題が国土の構造をゆがめてしまうというのは,極めてマズいことなんだけど,誰も指摘しないよね.

札幌駅新幹線ホーム300M西へJRが検討?

こういう話がある.

札幌駅の新幹線ホーム、300m西側へ JR北海道が新設検討 | どうしんウェブ

新聞記事なので,どの程度の確度なのか測りかねる部分はあるが,やっぱり,ここなのか?

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10年くらい前に,何となくこの空間怪しいなと思って撮った写真.右に見切れている商業ビルも確か記憶が正しければJR系のビルだったと思うので,その気になればいつでも撤去できるなと感じた記憶がある.

北海道新幹線は,青森市から,札幌を通って旭川まで.これじゃぁ,札幌終点ということかな.フル規格は無理でも,この先,改軌して直通するとか,(まだいつ完成するかわからないけど)FGTで直通するとかの方法はありそうだと思うんだが,札幌終点なのか?

「新幹線」とローカル列車がシェア

お客さんが乗り降りして…

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「新幹線」が出発.

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そして直後に,反対向きのローカル列車も出発.

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今さっき「新幹線」が走ってきた線路を反対向きに走って行く.

IMG_1770線路が一本だとダイヤ作成が面倒そうだね.

福島→米沢

山形新幹線に久しぶりに乗ってみた.

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そして,福島駅を過ぎて…

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お,遅い…電車そのものは「がんばればできる子」なのに.線路が厳しいと,電車がいくら性能が良くても宝の持ち腐れ状態のようである.

名古屋―大阪のリニア整備で初の意見交換

こういう記事がある.

リニア中央新幹線の名古屋-大阪間の整備に関し、関西財界とJR東海の首脳による意見交換の場が初めてもたれたことが29日、分かった。大阪への同時開業を求める関西財界…名古屋―大阪のリニア整備で初の意見交換 関西財界とJR東海社長

ずいぶん前からいろんな人が…例えば大阪の名物首長さんや政府与党のプロジェクトチームとかが…大阪までの同時開業を目指してアプローチしているんだけど,毎度同じ反応しか返ってきていない.そろそろ「お願いベース」のアプローチは止めて,理詰めの実効性のある方法に切り替えた方がいいかも.

大阪まで同時開業しない理由の一つは,鉄道会社の資金問題だが,資金問題が解決してもいろんな思惑があって動こうとしない可能性もある.その場合は,全国新幹線鉄道整備法とその関連政令である整備法施行令をよく読むと,実は答えが書いてある可能性がある.

…が,まだそこまで踏み込んだアプローチをしているセクションはない模様.

北陸新幹線が米原回りで関西衰退?

こういう話が定期的に出てくるのは悲しいことだが,声の大きな方は発言の影響の大さを良く理解した方が良い.リップサービスは真のサービスにあらず.

線路が欲しいのか,交流が欲しいのか,果たしてどっちなんだろうか?

  • 福井新聞 http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/super_expless/71951.html

40年前の計画にこだわって数万の沿線人口確保のために147万(+226万)の沿線人口を放棄するのはあり得ない.

若狭ルートを推進するのなら「若狭を経由して,京都も経由しろ」というのが正しい姿勢だろう.新幹線は航空路ではないので,起点終点だけでなく沿線の主要都市がどこなのかがその後の沿線の盛衰に大きく影響する.

無いと信じたいが,よもや「山陰新幹線」と「北陸新幹線」とを部分的に統合してやろうというような野心を抱いているのではないでしょうね.もしそうなら,そうすることで実際の整備が数十年単位で大幅に遅くなる可能性のことを熟慮すべきだ.

再度掲載.各ルートの沿線人口を下図で確認を.終点までの所要時間が10分ほど短くなるとしても沿線人口が100万人200万人という単位で減るような案はあり得ない.ルート問題を未着工区間の沿線の問題として矮小化してしまっているようだが,案の選択によっては北陸地方全体の首を絞めることになる.若狭の開発には別のプロジェクトを組み合わせるべし.

「乗り換え」に関しても,関西広域連合の調査結果を理解できていない人が多そうだが回避策は調査結果に書かれている.さらに,リニアの大阪延伸が早期実現すれば「乗り換え」は確実に不要である.

あと,誰も指摘しないが,若狭ルートで新大阪駅に対して北方から東海道山陽新幹線と直交するように入ってくると(運行管理システム接続費用は省けるかもしれないが)山陽新幹線との直通は難しくなる.だが,湖西や米原のルートで東海道山陽新幹線とスルー運転できるようにしておくと,(システム接続費用はかかるが)山陽新幹線沿線都市と乗り換え無しで結ばれる可能性がある.

航空路と違って新幹線が優れているところは,交流の多様性なんだが.わかるかな?

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#1:京都も危機意識低すぎ!
#2:新幹線に関して全体の調整をできる人が不在という不幸.

 

山陰新幹線の準備工事?

新下関駅には,将来のホーム増設用の構造物が一部存在している.

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地上の山陽本線から見ると,新大阪方面の新幹線ホームのさらに西側にもう1線増設できるように準備されており,山陽本線との交差部分に橋桁を架けられるようになっている.

たぶん山新幹線分岐のための準備工事だと思う.「評論家」ならこれをネタに本の1章分くらいに膨らませて記事を書き上げるんだろうと思うが,実際問題としてはこの準備工事だけでは何ともならない.

昔の「とにかく新幹線を全国につくってしまえ」という時代ならともかく,今となっては山陰新幹線を建設するとしても,本当に新下関駅を分岐駅にして良いものかどうか,議論を要するんじゃないかと思われる.

情勢変化を織り込むための計画のPDCAって必要だよね.

山形新幹線・米沢―福島間で抜本的な防災対策

こういう話がある.

通称山形新幹線こと奥羽本線と東北新幹線の直通特急(要するに「つばさ」)に乗ると,福島を出てしばらくすると割と急な上り坂が延々と続くとともに右へ左へとカーブも続く.

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板谷峠であり,かつては専用の機関車があったくらい有名な日本指折りの難所である.ある程度改良されたとはいえ「つばさ」は基本的には昔と同じ線路を走る.山形”新幹線”は線路の幅(軌間)を新幹線に合わせただけで,基本システムは在来線のままである.なので遅い.

峠区間を過ぎても,別の種類の”難所”は続く.単線区間である.新幹線とは名ばかりで,線路が1本しかないので向かいから来る列車と時間調整をすることもある.

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記事中の山形県知事の提案は,峠区間の再整備をするなら,いっそフル規格新幹線に準拠したインフラにしようという提案である.これはアリだ.

山形”新幹線”は,日本の厳密な基準では新幹線ではない.だが,欧州に行くと走っているTGVやICEを基準にすると,山形新幹線(および秋田新幹線)は立派な高速列車だ.

じゃぁ,TGVやICEがどうやって発展してきたかというと,実は部分的にまるで国道のバイパスのように高速新線をつくり,そうじゃない部分は古い線路をそのまま使って全体のシステムを構築してきた.日本的基準から言うと,TGVやICEは「ミニ新幹線」である.

ドイツやフランスに2-3年おきに出かけると,同じ都市間の移動でも訪れるたびにTGVやICEの走行経路が微妙に変わり,所要時間が少しづつ短縮している.

どういうことかというと,部分部分,少しづつ高速新線を新たに建設して年々年々少しづつ本物の高速鉄道に近づけているのである.つまり,この方式を「輸入」すれば山形新幹線や秋田新幹線は少しづつ本物の新幹線に近づけるという方法が採用できる.新幹線建設を待ちわびる他の地域とはひと味違った整備手法を導入できるのである.

整備費用の負担方法など,詰めるべき事項はあるものの,良いアイデアである.

#約20年前,とりあえず跡追いで同じシステム入れておけば何かと楽だったかも > 西日本方面各位