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円借款の条件緩和、首相が表明へ…中国に対抗

こういう話があるようだ.

 政府は、新興国にインフラ(社会基盤)整備などの資金を貸し付ける円借款について、現地政府の保証を必須要件から外すなど抜本改革を行う方針を固めた。

情報源: 円借款の条件緩和、首相が表明へ…中国に対抗

適切なインフラ整備には適切な費用負担が必要.それとも,支払えない場合には当該施設を借金のカタに接収するのか? そういうわけにはいかないよね.そんなことしたら「侵略だ」と言われかねない.

彼らが負担できる範囲での最良の良質なインフラを提供するのがいいのでは? でないと,「オーパーツ」的なインフラがいきなり登場しても管理も運用もできないかもしれない.

売りたい物≠買いたい物

相手の身になってインフラを考えて提案しようよ.戦後の我々が必要としていた物は何だったか,思い出せばいいのではないのかな.

 

三線軌+単線並列

「ミニ新幹線」の線路を観察してみよう.区間は奥羽本線の秋田−大曲間である.

写真中央の線路は狭軌(軌間1067mm),右は標準軌(軌間1435mm),右の線路の奥には「新幹線」の車両が走っている.この区間は基本的には狭軌と標準軌がそれぞれ単線で敷設されているという珍しい形態である.

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右の標準軌から分岐した線路が狭軌をクロスして,左側の車庫へとつながる.

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車庫には標準軌用のローカル線電車が置いてあるので,このあたりでは普通電車は狭軌と標準軌の2種類あるようだ.運用がめんどくさそう(JR東日本て,割とめんどくさい車両運用を平気でやってるよね.).

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単線並列なので,信号機もそれぞれの線路に設置されている.そんなわけで,線路の幅の違いさえ無視すれば,まるでヨーロッパの線路(*)のような感じである.

(*)ヨーロッパでは単線並列が普通なので,複線区間では2線ともに信号機が建っている.

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「新幹線」ではあるが,車両サイズはミニ,つまり在来線規格相当なので,トンネルがあっても掘削しなおすこと無く,元々のトンネルがそのまま使える.経費節減.

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途中の小駅は,ローカル列車が発着するホームだけ.「新幹線」は通過なのでホームが無い.経費節減.

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「新幹線」用の線路には,当然ながら時々「新幹線」が走る.

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単線区間ばかりでは上下列車の交換に不便があるので,一部の区間は非常に珍しい三線軌になっている.写真奥に写っている片渡り分岐器は「新幹線」だけが通る.ここから先は,当分三線軌が続くので「新幹線」は走りながらすれ違える.

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橋梁も在来線のものを流用できるので,経費節減.ただし,単線用の橋梁は重心がずれたりするので,使えないこともあるらしい.

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他ではなかなか見られない珍しい分岐器.

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なかなか快調に走る.

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そして,三線軌区間は終了.

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変電所も在来線と同じものを使えるので,経費節減.

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今さら言ってもしょうが無いが,西日本方面でもつべこべ言わずにさっさとミニ新幹線を導入しておけば良かったんだけどねぇ.

一方,そうこうしているうちに東北方面では次の段階へ進もうとしているのであった…

 

ONE OSAKAの都市計画・交通計画は妥当な案か(その他まとめて編)

引き続きこれである.残る項目については,重複が多いので,まとめて記述.

 

「5.二重行政の根絶」

副首都、国際エンターテインメント都市”OSAKA”を実現するためには、大きな投資が必要であり、1円の税金も無駄 にできません。二重行政は典型的な無駄です。現在、二重行政の解消は、大阪会議における“話し合い”がまったく機能 しないまま、依然として二重のままになっています。あらゆる手段を使って二重行政の解消に正面から取り組みます。

まず,副首都の部分であるが,本当に国家の重要機能を大阪に配置する場合には,それは国家事業になるので基本的には地方自治体である大阪府や大阪市の支出を当て込むようなものにはならないでしょう.なので地方による「大きな投資が必要」ではないと思いますけど.

それから「国際エンターテインメント」実現を目指す場合は,エンターテインメントの基本的な部分は「民活」じゃないかと思いますが.

 

「6.大阪を豊かにする「1.」から「5.」を実現するための統治機構改革」

副首都大阪を確立するためには、大阪に強力な行政機構が必要です

副首都は国家機能なので,強力な行政機能が求められるのは副首都機能そのものであり,大阪府(や市)が首都機能を果たすわけではありません.東京都は都市としては首都ですが,地方行政府としての東京都が日本を牛耳っているわけではありません.

もっとも,副首都が防災を強く意識したものであるのなら,地理的に淀川河口付近に位置する大阪市が適切な場所かどうかは,かなり慎重な議論が必要ですね.

 

「9.市町村への権限委譲」

事務事業を移管する場合には,関連する財源も移さないと,移された側は「仕事だけ降ってきた」という状態になりかねませんが,大丈夫???

 

「12.市民サービスの充実(大阪市)」

(1) 公共施設の避難所機能強化
(2) 密集市街地対策の推進
(3) 南海トラフ大地震への対策
(4) 要支援者の把握サポート

具体的に何しようとしているんしょうか.防災の専門家が怒ってるんですけど.

在阪マスコミは,そろそろ社会部だけじゃなくて政治部を創設した方がいい時期に来ていると思う.それとも「長いものには巻かれろ」か? ならばネット上の”便所の落書き”の方がマシだな.
(あーこわいこわい.)

ONE OSAKAの都市計画・交通計画は妥当な案か(防災強化編)

引き続きこれである.今回は,「4.防災強化」についてである.

大阪市域内と大阪市域外の縄張り争いをなくして大阪全体で防災力を強化します。

「縄張り争い」が防災力強化のポイントだと思っているようである.そういうセンスなので,府庁舎を埋め立て地の高層ビルに移そうなんてことを考えたのね…

(1) 防潮堤の津波浸水対策の推進
(2) 消防施設・装備の充実(大阪消防庁の設立)
(3) 災害に強いみどり空間の整備
(4) 府強靭化計画による防災力強化
(5) 拠点病院の耐震化補助

他にもたくさん防災減災でしなければならないことがたくさんあるんだけども,防災に関する詳細な指摘は防災の専門家に任せることとして,一点突っ込みを入れておこう.

これ→「府強靭化計画」

”強靱化”のキーワードは,自民党が国政与党に戻ってくる前から,小チンピラのおバカ学者こと藤井聡先生が提唱していたお話で,その後,内閣官房参与(防災・減災ニューディール政策担当)就任→国策化→法制化の流れをくむものなんだが,堂々と入れちゃうのね.いいんですよ.大事なことですからw.

つづく

在阪マスコミは,そろそろ社会部だけじゃなくて政治部を創設した方がいい時期に来ていると思う.(あーこわいこわい.)

ONE OSAKAの都市計画・交通計画は妥当な案か(国際エンターテインメント都市編)

引き続きこれである.今回は,「3.国際エンターテインメント都市”OSAKA”の実現」についてである.

大阪を世界中から人々が訪れる国際エンターテインメント都市へ進化させます。当面の目標は2020年の外国人訪 問客数650万人、ゆくゆくは世界一を目指します。

なるほど.じゃぁ,エンターテインメントのコンテンツは重要そうだね.

(3)夜間経済のさらなる振興(関西空港対応)
(4) 宿泊施設の拡充
(5) 都心の再生(うめきた2期、御堂筋、中之島等)

このへんのお話しはともかく…

(2) 国際人材の育成確保
・本当に使える英語教育の実践

…ここの部分だが,関空をLCC対応させたおかげでアジア各国からの客が増えており,「英語」だけで対応できるのかしら?

それから,肝心のコンテンツ関係では…

(1) 大阪の魅力向上
・万博の開催
・統合型リゾート(IR)の誘致

…えっ!? これだけ? 万博はせいぜい半年の一過性のイベントですし,統合型リゾートって,カジノのことだよね.わざわざカジノするだけのために大阪に来るのかしら.有名なラスベガスなんかだと,カジノ場に行かなくてもいろいろ楽しい,という都市になっているんだけど,カジノ以外のコンテンツには言及しないの?(「統合」に含まれている?)

大阪と言えば,(そのままでは外国人に受けるかどうかはわからないが)お笑いで有名であり,(実際に確かめたことはないが)都市年鑑にも主要産業としてお笑いが書かれていたりするらしいではないか.さらには歴史方向にも深みがあり,落語,能,狂言,文楽,歌舞伎,それから期間限定で相撲とかあるけど,こういうのって結構異文化体験になるので観光客が興味示すはずなんだけど,それに対する言及はないのね.全国的には各地の首長さんは地場産業や文化を大事にしてそれの売り込みに躍起になっていることが多いんだが,そういう視点はないのかな.(そういえば,補助金打ち切りまくってたっけ)

つづく

放送法第4条 四:意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
あーこわいこわい

ONE OSAKAの都市計画・交通計画は妥当な案か(都市交通インフラ編)

引き続きこれである.今回は,「2. 大阪の経済成長戦略」のうちの「(4)広域インフラ整備」関係の部分であるが,「広域」というよりは都市交通インフラだろ,というような項目についてである.

・大阪圏鉄道ネットワークの充実

これは広域インフラじゃなくて,都市圏内だね.One Osakaって範囲が狭いんだなぁ.大阪市内および大阪府下での都市圏鉄道のプロジェクト構想については,以前から幾つもあげられている.

VOL.8編-その1,VOL.8編-その2,VOL.8編-その3
VOL.9編,VOL.10編,VOL.11編

各プロジェクト構想に共通するのは,「その資金,どうやって工面すんねん?」である.「大阪府と大阪市が二重で無駄だ」,あるいは「公営交通は民営にしてしまえ」とか言っている割には大盤振る舞いの構想である.資金の出てくる打ち出の小槌があるんだろうか? 完成した後は誰が運営するんだろうか? 昔から構想がある割には今現在で実現していない建設プロジェクトについては,「採算」の面で多かれ少なかれハンディーのあるプロジェクトが多いんだけど,大丈夫か?

・淀川左岸線延伸部等の道路整備

これも広域交通というよりは都市圏交通ですね.わざわざ政策に入れなくても,すでに国の出先機関主導で環境影響評価の段階まで進んでいるんだが,この段階からわざわざ書いて何がどうなるんだろう.書いておけば,後々政策集の事後評価をしたときに○が付けられるから? これに限らず,マニュフェストの類の事後評価は気をつけた方がいいかもしれない(政策の影響の有無の慎重な審議が必要ということ).

つづく

集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
あーこわいこわい

ONE OSAKAの都市計画・交通計画は妥当な案か(広域インフラ編)

引き続き話題の対象はこれである.今回は,「2. 大阪の経済成長戦略」のうちの「(4)広域インフラ整備」関係の部分である.さらにそのうちの,新幹線がらみの部分である.

・東京・名古屋・大阪リニア同時開業

えーと,この件は非常に重要で,当サイトでもしばしば取り上げてきた.

第1話-新幹線偉大なり編,第2話-産業振興VS交流編,第3話-他の交通網編
第4話-東海道VS中山道編,第5話-新幹線駅が都市圏形成編
第6話-駅アリ>駅ナシ編,第7話-20年差が命取り編,第8話-後手必敗編
第9話-東密西粗編,第10話-リニア編

だが,悲しいことにそろそろ「同時開業」は難しくなってきている.確か大阪与党のトップがJR幹部に掛け合っていたと思うが,その時期ならまだ同時開業はあったかもしれない.JRから突っぱねられることは当時としては予想できたことなんだが,突っぱねられた後に有効な策を講じることができていない(…というか,いっぺん会っただけで,何もしていないと思う).年月は経過し,そろそろ次善策を考えた方がいいだろう.かけ声だけでは何も進まない.

リニア関係の当サイトの記事はこちらへ.

・北陸新幹線大阪開通、…

北陸新幹線については,大阪与党は敦賀-米原間接続(米原ルート案)を当初は推していたと思うが,特段具体的な働きかけはなく,かけ声主体だったのではないだろうか.敦賀-米原間接続案は工期が短く,費用も安く,リニア開業後は毎時1−2本程度の線路容量を確保することはさほど難しい話ではないと思うので,魅力的な案なのである.浮いた費用は他の新幹線プロジェクトに回せる可能性があるので,広域ネットワーク早期構築の観点でも望ましい.だが,いかんせんJRの協力が必須である.継続的かつ具体的な働きかけが必要であったと思うが,そういう様子は無かったようである.

最近は敦賀から小浜付近を経由して京都へという案も出てきているが,どのルート案であれ,完全に「満場一致」の案はないので意見の調整が必要である.それができるのは中央政府か,そうでなければ盟主である大阪のはずだが,意見をまとめる気概はあるだろうか.近隣府県等を”口撃”していてもまとまらないんだが.

・…、関空アクセス鉄道の整備

なにわ筋線のことを指しているんだろうか? だとすると,あんまり効果はないので,そろそろあれを関空アクセスと位置づけるのは止めて,都市交通の充実として計画を位置づけた方がいい.JR&南海の南北線プロジェクトでいいだろう.

もしも関空リニアのことを指しているのなら,こちらを読んだ方がいい.関空リニアは目を引くがコスパは悪い.リニアはそんな短距離を結ぶような乗り物ではない.お勧めは通常型新幹線の関空乗り入れである.大阪中心市街からのコスパがいいというだけでなく,山陽新幹線や北陸新幹線を乗り入れさせることができれば,関空の後背地がぐんと広がり,西日本における大阪の地位も格段に向上する.そこまで考えてこの政策項目を書いているのならすばらしいんだが…

関空アクセス新幹線として四国新幹線を推している地方もあるって知ってるよね,西日本の盟主なら.

つづく

学問の自由はこれを保障する。
あーこわいこわい

ONE OSAKAの都市計画・交通計画は妥当な案か(産業振興編)

二項目目にいってみよう.話題の対象はこれである.今回は,「2. 大阪の経済成長戦略」のうちの産業振興関係の部分である.

大阪は世界に通じる都市としてのポテンシャルを有しています。

ま,そうだね.

しかしながら、府と市の縄張り争いにより、そのポテンシャルを十分に発揮できない状況が長らく続いてきました。府市一体となった成長戦略を展開し、多様な相乗効果を生み出すことで大阪の成長を強力に進めていきます。

そのロジックだと,ソースタコヤキがミソシャチホコに負けた理由がわからんがね.仮説(=大阪市が政令指定都市だから大阪は発展しない)を設定し直した方がいいのでは?

各論を見てみよう.

(1)産業育成のための基盤整備
・府大と市大の統合
・府立産業技術総合研究所と市立工業研究所の統合
・産業振興機構の府市統合・機能強化

産業育成のための基盤整備が,なぜか全て「統合」になってしまっている.統合して相乗効果が見込める場合には1つにまとめることは有効だが,単なるコストカットだと何も起きないよね.大阪における産業基盤育成のポイントは,主要拠点の「統合」じゃなくて,以下の各点じゃないかな.

  • 既存の産業集積の利用(=全体規模が大きい)
  • (京阪神を含めて)高度な研究活動拠点の活用(=質を高められる)
  • 多数の中小企業の活用(=多様性が確保できる)

これらを生かすことができて,初めて大阪らしい産業基盤整備が可能になる.そうすると,「府大と市大の統合」ではなくて「府大や市大などの研究拠点と既存産業集積とを密接につなげる」ことや,「公立の研究所の統合」ではなくて「公立の研究所と既存産業集積とを密接につなげる」ことが大阪復活のキーポイントになるんじゃないだろうか.そして,単に規模の大きいことだけが強みではなくて,リンク先は多種多様な企業にすることも可能なわけだ.そのためには産業振興機能の強化が必要になる,産業のダマゴやタネになる話を研究拠点の中から見いだす目利き機能が必要になるんじゃないのかな.(まあ,つまり,上の(1)の各論は早速,主要なポイントを外しているんじゃないか,ということ)

(3)先端技術産業の拠点形成
・創薬の促進
・医工・看工連携による先端医療機器・サービスの開発
・新エネルギー(水素、蓄電池等)開発支援

あら…? 大阪にはもっと多くの先端産業がありませんでしたっけ? ロボット産業とかも,ありませんでしたっけ? バイオ関係は強いですが,薬だけがバイオでもないような.それから,肝心の研究拠点が逃げ出すような地域環境なんですけど,どうしましょうか.武田薬品の研究所が首都圏へ行ってしまって大騒ぎになったのは記憶に新しいところ.神戸には世界的にも最速級のスーパーコンピュータがあるので,それを活用した産業もいいですね.さらに西にはSpring8なんてのもありますが.大阪じゃないから活用しないの? 大阪は(本来は)西日本の盟主(のはず)なので,そういった広域的なリソースの活用を考えてもいいんだけど,発想がなんだか狭い範囲しか考えてないよね.

(5)中小零細企業の応援
・保証協会の強化
・商工会議所・府の経営相談窓口強化
・海外展開の支援

まぁ,そういう機能も必要なんだが,中小零細企業の泣き所は研究開発に資金拠出しにくい経営環境というのも大事なポイントであり,上の(1)関係のコメント参照.

数年前からずっーーーと感じているんだが,あんまり良い政策ブレーンがバックにいないよね.

つづく

検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
あーこわいこわい

ONE OSAKAの都市計画・交通計画は妥当な案か(道州制編)

つづきである.

チェック対象となっている最近の政策方針はこれである.今回は,「1.副首都”大阪”の確立」のうちの道州制の部分である.

以前より,当サイトでは時折触れてはいるが…

大阪府市統合+道州制=地図に残るは「大阪駅」のみ?
大阪府市統合+道州制=神戸市が州都?
都構想の陰で進行する大阪長期衰退の始まり(第10話-リニア編)
大阪府市統合+道州制=関西総大阪化計画??

地名標記の件はともかく,大阪府市統合の話と道州制の話が同時に実現した場合の関西の姿が全く描けないことが懸念される.(特にこれ→大阪府市統合+道州制=関西総大阪化計画??

つまり…

  1. 大阪府市統合=大阪市+大阪府
  2. 道州制の関西州=大阪府+兵庫県+京都府+滋賀県+奈良県+和歌山県

上の方は,大阪府域全体を1箇所でコントロールする話である.「one osaka」というキャッチフレーズがあるくらいなので,「巨大大阪」の誕生か?

下の方は,(並べてある府県がこれでいいかどうかの議論は置いておいて)関西一円を1箇所でコントロールする話である.府県の合併のような話であるが,そうすると,上の方の「巨大大阪」が関西一円をコントロールするのか???(そうでなければ,大阪は関西全体にコントロールされるのか?)

大阪府下全体については(いろいろと議論はあるが)一応,日常生活圏内で収まるような地理的範囲である.だが,関西一円を「巨大大阪」がコントロールするということは,もしかしたら将来的には大阪が経ヶ岬から潮岬までについて我が事のように気を配らなければならない日がやってくるかもしれないのだが,さすがに無理がないだろうか?(和歌山や京都府北部は,東京都における南の島と同様の扱いになる??)

そうすると,結局は地理的に遠いところは現地組織を置かざるを得なくなり,今とあんまり変わらないね,という話になりやしないのかしら? 上の「1.」「2.」はどちらか一方しか無理なんじゃないかな.道州制の議論でも,東京都だけを別扱いにした区域割り案も見かけるよね.

教えて! エライ人.大阪府市統合+道州制=??

つづく

今日の魔除けのお札→日本国憲法第19条
あーこわいこわい

ONE OSAKAの都市計画・交通計画は妥当な案か(副首都編)

与党の政策方針等のは,今後の動向に大きく影響する可能性があるので,とかくチェックの対象になりやすいものである.なので,いろいろ書かれても一々キレないでね.メールの傍受もしないでねw.しても大した情報無いから.

さて,最近の政策方針はこのようになっているようである.概要版について項目を順に見てみよう.まずは全体の構成である.キャッチに「過去に戻すか。前に進めるか 」と書いてある割には住民投票で否決になった話がまだ書いてあるのね,という点はちょっと脇に置いといて…

  1. 副首都”大阪”の確立
  2. 大阪の経済成長戦略
  3. 国際エンターテインメント都市”OSAKA”の実現
  4. 防災強化
  5. 二重行政の根絶
  6. 大阪を豊かにする「1.」から「5.」を実現するための統治機構改革
  7. 現役世代活性化政策
  8. 教育のさらなる強化(広域)
  9. 市町村への権限委譲
  10. 治安のさらなる向上
  11. 福祉医療の充実
  12. 市民サービスの充実(大阪市)
  13. 改革の継続(大阪市)

これらのうち,都市計画(国土計画を含む)および交通計画がらみのお話しは…ほとんど全部の項目にちりばめられていそうである.

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さて今回は,「副首都」の件である.当サイトでもしばしば首都機能に関しては書いており,首都機能をいかに維持するかの重要性については同意するところである.

地震動予測地図とリニアの近畿圏サブターミナル
国土強靱化における幹線鉄道網最大のネック
国土強靱化-副首都機能候補地を勝手にリストアップ
地震動予測地図と首都機能バックアップ
リニア新幹線整備の理由(昔の主張-新首都編)
リニア新幹線整備の理由(昔の主張-施設老朽化&まとめ編)
リニア新幹線整備の理由(名古屋-大阪間:国土計画編)
なぜ「遷都」や「首都機能移転」ではなく「バックアップ」なのかをゲスる

…これだけある.さて,国土の二眼構造というのは重要であり,東京の機能のバックアップを関西に持ってくるというのは確かに正しいのだが,それを大阪におくべきかどうかは慎重な議論が必要である.

特に大阪市は海に近い地域であるので,南海トラフ地震発生時には東海〜伊勢湾岸〜紀伊半島〜大阪湾(〜四国方面)が同時に津波の被害を受ける可能性がある.南海トラフ地震だけならば東京の機能が維持されている可能性もあるのだが,江戸時代安政年間の時のように,海溝型の大地震と首都直下の地震が独立事象ではない可能性も高いので,避けたい立地である.

首都直下地震が発生しなかったとしても,海溝型地震の長周期地震動が高層ビルに与える影響が大きいので,東京と大阪が同時被災の可能性を否定できない.実際,WTCビル=大阪府咲洲庁舎が東日本大震災の影響で被災したという事実あり.長周期地震動だけでなく,市街に震度6クラスの揺れが襲うことも想定されているので,大阪が安全というわけではない.

それから,東京が機能しなくなった場合…数日ならともかく,年単位で機能しない場合は対全国の利便性を確保する必要がある.その点では大阪は交通の要衝であり,平時は便利である.広域的な交通網については,良くも悪くも西日本では大阪市を中心とするネットワークが形成されており,大阪市域が機能しなくなると西日本の広域交通網全体が機能しなくなる.(→国土強靱化における幹線鉄道網最大のネック

首都機能バックアップシステムとしては,機能そのものが失われない地理的立地であるとともに,それを支える広域的な交通網についても大阪市域の利便性を確保しながらもリダンダンシーを考えたネットワークが必要である.

大阪に首都機能の一部を持たせ、先ずは二極化することによりそのリスクを解消し…

これは一見正しそうに見えるのだが,十分に考えておかないと危ない.現況よりも悪化する可能性すらある.つまり,単純に大阪に首都機能の一部を持たせてしまうと,東京か大阪かのどちらか一方が被災しただけで政府が機能不全になる可能性がある.必要なのは分散化ではなく,二重化である.そのことは果たして理解されているのか不明である.

その後 に多極分散型の国家を確立します。それを支える地方自治制度としての道州制を目指します。

経済成長の観点では,一極でコントロールするよりはその地その地の実状に合わせてコントロールする方が良い,という考え方はあり得るのだが,この政策項目のそもそもの書き出しは…

東京一極集中は、地震等の大災害時に国家機能の全てがストップしてしまうので、復旧復興が困難であるというリス クが表面化しています。

…なので,「副首都」の目的は日本国のBCPの一環のようである.だが,書き出し部分と政策内容の方向性が一致していないようにも見える(つまり,ブレてますよ,という話).

それから,狭い大阪市域(あるいは府域でもいいけど),一体どこに首都機能を受け入れるのかなぁ?

つづく

今日の魔除けのお札→日本国憲法第23条
あーこわいこわい