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北陸新幹線の設備を観察

Youtubeで北陸新幹線の運転席からの映像を見ることができるが,なかなか興味深い(画質がイマイチなのがちょっと残念).


まず長野駅を出発した直後(1:34)に差し掛かる分岐器である.長野駅は現時点では全列車停車であるので,長野駅構内の分岐器は高速運転仕様である必要はなく,他の新幹線路線でも全列車停車の駅は通常タイプの分岐器が標準である.ところが,長野駅の分岐器はわざわざノーズ可動式にしているように見える.分岐器を通過する際にも,ガタゴトという音は記録されていないようだ.将来的には長野駅通過列車が設定されることも考慮してあるのだろうか.しばらくして差し掛かる両渡りの分岐器(2:27)も高速通過対応である.車両基地への出入り口(4:48)は,もちろん高速通過対応の分岐器になっている.

トンネルに入ると,雪で見えなかった軌道構造がわかるが(6:40),九州新幹線あたりから採用されているローコストタイプの梯子形のようだ.映像だとずいぶんゆっくりに見えるが,長野-金沢間の映像が68分なので,ほぼ「かがやき」と同程度の運転のようだ.


飯山駅(10:38)は棒線駅でホームがあるだけ.そういえば,ずいぶん前に卒業生が,ただいま飯山駅付近軌道敷設中,と言ってたっけ.この附近は連続する急勾配があるが,特に遅くなるわけでもなく,淡々と走行.トンネル長いな.そして,East-iとすれ違い(14:27).

トンネルを出ると雪景色なのに軌道に雪は無く(16:33),このあたりは温水の融雪装置が付いているのかな.民家に近い区間では防音壁が一段高くなるが(17:37),透明で景色が見えるタイプ.これも九州新幹線にあったかと思う.


そして,新潟県知事が通過することを前提に設計していることについて激怒したという例の上越妙高駅にさしかかるが,駅の手前の両渡り分岐器は(17:51),もちろん高速通過に対応したものになっている.そして,通過後の片渡り(18:05)も高速対応.
そして再びトンネルだが,短い明かり区間は覆いで次のトンネルと連結されてしまっている(19:17).なぜか,断面が四角のトンネルと,丸のトンネルが接続されている(20:59).四角部分は雪覆いか?


糸魚川駅(27:01)も棒線駅.列車の運転本数が少なく,速達便を各停形が待避する必要が少ないため,設備の簡略化が行われているようだ.


トンネルを抜けて,黒部宇奈月温泉駅が近づくと,複線の軌道間の「谷」が深いようだ(34:56).ここに雪を貯める構造かな(貯まった雪はどうするんだろう).側壁が二重になっており,この間に雪を飛ばして下に落とす構造かな.そして高速通過対応の片渡り(36:23)を過ぎて,黒部宇奈月温泉駅を通過.ここも棒線駅.
しばらく走って入るトンネルの土被りが異様に浅い(38:21).


富山平野を突っ切って,富山駅へ.よく見ると,ちゃんと勾配標あるのね(43:35).それから,風速計(43:38).
新幹線にしては結構急な曲線をとおり(43:58)進路を南へ.減速しながら再び西へ.駅手前の分岐器はノーズ可動式ではなく(46:35),低速運転が前提のようであり,長野駅と違って通過は想定していないか,もしくは低速通過しかできないようである.富山駅を出た直後の分岐器には覆いがしてあるが,これは雪覆いというよりは左隣にマンションがあるため,分岐器や新幹線そのものに起因する騒音対策ではないかと思われる.富山駅の金沢方の両渡り(49:13)は長野や上越妙高とは異なり,フランジウェイのある切欠き付き通常タイプであり,高速走行は想定外.


さらに西へ.新高岡駅(55:06)も棒線駅.この設備は何だ?保守基地?(56:30)
そして,富山石川県境へ.このトンネルは計画変更に伴って掘り直したトンネルだったっけ(59:00).入ってしばらくは雪覆い兼サイレンサーか?
ここも保守関係?(1:03:20)


長野から1時間あまり.金沢着.駅手前の両渡り分岐器(1:06:25)は,やはり通常タイプで高速通過は想定外.通過時にカカンカカンと音がする.

ここまで.おわり.
#(騒音対策の可能性もちょっとあるが)長野駅が通過列車を想定して設計されているのは意外であった.

…で,北陸新幹線の行き先表示はどうなってる?

今は九州新幹線は鹿児島中央から博多までつながっているが,新八代で乗換の時期が数年あり,その時期のか鹿児島中央駅の電光掲示は下のようであった.

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新幹線は鹿児島中央駅を出ると新八代まで運転し,そこで在来線特急に乗り換えであったが,客への案内上は「博多行き」であったというわけである.列車の側面の行き先表示も博多行きだったかと思う.列車の一体性を前面に押し出した方法であった.

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同じく,東海岸を走る特急にちりんであるが,宮崎空港駅から別府駅に向かう列車の側面の表示はこのようになっていた.

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別府で乗換だが,博多までは実質つながってますよ,ということである.

さて,北陸新幹線が開業し,JR西日本のサンダーバードは都市間連絡列車としては金沢までの運転となった.富山まで行く人は金沢で乗り換えることになるのだが,サンダーバードと北陸新幹線は客への案内上,つながっているだろうか.逆に,富山から西に向かう北陸新幹線は「金沢止まり」になってないか.

京都や大阪の人にとって「富山」は消滅してしまっていないか?
あるいは,富山の人にとって「京都」や「大阪」は消滅してしまっていないか?

気分の問題と言えばそれまでだが,けっこう重要かもしれない.

【祝】京阪神から東京出張は北陸新幹線で!?

京阪神から東京へ出張するには東海道新幹線が定番で,新大阪を起点にすると例えばこんな感じかな.

新大阪→(東海道新幹線)→東京
2時間30分,運賃8750円+のぞみ5700円=14450円
往復すると,14450円×2=28900円
大阪→(サンダーバード)→金沢→(北陸新幹線)→東京
5時間30分,運賃10150円+サンダーバード1450円+かがやき6780円=18380円
往復すると,18380円×2=36760円

うーん,これだけを見てしまうと,時間がかかる上に値段が高くて出張には使う気にならない.

だが,こうならどうかな.

新大阪→(サンダーバード)→金沢→(北陸新幹線)→東京…
…東京→(東海道新幹線)→新大阪
運賃14470円+サンダーバード1450円+かがやき6780円+のぞみ5700円=28400円
運賃(14150+760)円+サンダーバード1450円+かがやき6780円+のぞみ5700円=28840円

おっと,片道だけ北陸回りにして一周する方がちょっと安い.

同じ景色ばかりで,東京出張に飽きてきたあなた.以前はこんなことはする気にならないくらい時間がかかったが,片道5時間半でも金沢乗り換え時に昼飯でも食えば気にならなくなるぞ.前泊や後泊で片道は単なる移動日になるようなケースでは,同じ経路を往復するんじゃ無くて,話の種に北陸新幹線を使うというのはどうかな.良い気分転換になると思うけど.


なお,似たような話は行き先が長野の場合でもあって,長野への行き方が大幅に多様化するんだが・・・

新大阪→(しなの)→長野…4時間52分,10770円
新大阪→(新幹線自由席)→名古屋→(しなの)→長野…3時間51分,11270円
新大阪→(サンダーバード)→金沢→(かがやき)→長野…4時間4分,14290円
新大阪→(のぞみ)→東京→(かがやき)→長野…4時間10分,20700円

・・・ぐるっと回ってみると,

新大阪→(新幹線自由席)→名古屋→(しなの)→長野…
…長野→(かがやき)→金沢→(サンダーバード)→新大阪
運賃11990円+新幹線自由席2480円+しなの1450円+はくたか4960円+サンダーバード1450円=22330円
運賃(11660+760)円+新幹線自由席2480円+しなの1450円+はくたか4960円+サンダーバード1450円=22760円

おや,名古屋経由で往復するよりもちょっと安いのとほとんど同じ.しかもこっちは所要時間は往復ともあんまり変わらない.往復で同じところを通らないので,観光周遊コースにぴったりだ.

※以上,切符売り場で係員に正確に説明しないと妙な切符が発券される可能性があるので要注意!
※運賃計算,少々のミスはご容赦を.

昭和の名残よ,さようなら

今日はやはりこの話題かな.

IMG_0218ん?…機関車の番号が違うって?…よく見てますねぇ.
そう,最終便の出発にカメラを持って出かけてはいけない.人だらけで,列車そのものは撮れない.撮影するなら情報を察知したらその際に撮っておくべきであって,最終日は人混みの雰囲気を味わいにゆく日である.

IMG_0221で,いつ撮ったかというと写っているカメラ小僧(カメラおじさん?)が半袖であることからわかるように,去年の夏である.今日(12日)は年度末近いので訪ねてくる人が多く,朝から晩まで職場.明日もそんな感じ.

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一応,JR発足後の豪華寝台列車,ということになっているが,知っている人は知っているとおり,昭和時代の子どものころにブームがあった「ブルートレイン」の内装を改装して緑色のペンキを塗ったものだ.機関車も私の小学生のころには既に走っていたものである.

IMG_0233お昼頃に札幌に向けて出発.

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途中にはさまっている食堂車も,元は電車の特急に組み込まれていた食堂車で,廃車を逃れて改造されたもの.つまり実は骨董品.

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個室寝台を最後にして…

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そしてまた,昭和の名残は行ってしまった.

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パイロット不足→年齢上限延長よりも,鉄道で!

ちょっと前にこういうニュースがあった.

パイロットの年齢上限、67歳に 不足解消へ国交省が制限緩和 – 産経ニュース.

LCCが増えて航空便の増加にパイロット供給が間に合ってないらしいが,確か記憶が定かなら,パイロット養成に費用がかかるので,民間航空会社が自社養成をあまりしなくなってきたことも関係してそう.少子化で若い人材供給そのものも少なくなってきていることも関係していそう.

ならば年齢制限を緩和して,という話になるのは自然な流れと言えばそうなのだが,パイロットというと巡航時はかなり自動化されているものの,離発着時には人間の高度な技能が要求される職種であったかと思う.

そういう職種なので,上限引き上げてOKというのは,あんまり良い策ではない.もちろん健康調査は厳密にするだろうが,過去にはパイロットの健康状態が原因での事故もあったので,不安が無いではない.

パイロットにしろ,トラックドライバーにしろ,運転操作をする人の不足が問題になるのは輸送単位が小さいからであって,1人でたくさん運べればさほど問題は起きにくい.それなら列車は最適で,短い編成の特急でも飛行機の中型機くらいの輸送能力がある.東海道新幹線なんぞは列車1本で(もう退役してしまったが)ジャンボ機3便分も運べてしまう.

さぁ,仕事だ,関係部署の皆さん,総合交通政策はどこに行った?大事なパイロットには国際線を運行してもらおう.

※サボってる?>関係部署殿

グリーン車と一等車

ヨーロッパに調査に出かけると,陸路移動はほとんど鉄道だ.ほとんど毎日乗るので,レールパスを使うが,長期間有効のパスは1等車しか設定がなかったりするので,移動はいつも1等車だ.(日本国内では余程のことが無い限りグリーン車には乗らないが)

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ドイツの列車はけっこう田舎のインターシティーでも必ず食堂車が付いていたりする.もちろんICEは食堂車付き.このへんが日本とサービス提供の根本的な思想の違いを感じる.日本は客を運びさえすりゃぁいいんだろ,みたいな感じが年々強くなって行くのが残念なところ.

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そして,標題のお話し.下の写真はフライブルク駅3番線を出発する列車の編成表であり,黄色が一等車,赤が食堂車,緑が二等車である.

DSCN0907概ね3種類の編成が使われていて,客車12両+機関車2両の初代ICE編成,8両×2のICE3編成,それから制御室客車付の8両+機関車1量のIC編成.あとは写真にはないが,夜行列車.

まず,さっき書いたように,必ず赤い食堂車が入っている.1等車に陣取れば席でオーダーすれば軽食は持ってきてくれる.

それから,気付くだろうか,1等車の比率が日本に比べてちょっと多い.列車によって微妙に違うが,初代ICE編成だと比率は1等車が4/12=33%,2等車が7/12=58%,食堂車が1/12=8%.ICE3編成でも,1等車が4/16=25%,2等車が11/16=69%,食堂車が1/16=6%.IC編成だと,1等車が1.5/8=19%,2等車が6/8=75%,食堂車が0.5/8=6%.

日本の新幹線だと,東海道新幹線16両は,グリーン車3/16=19%,普通車が13/16=81%,食堂車なし.東北新幹線だと,グランクラスとグリーン車で2/10=20%,普通車が8/10=80%,食堂車なし.

日本のグリーン車の方が希少性が高い感じ.実際にICEやICの1等車に乗ると,日本のグリーン車ほどの高級感はない.もちろん,2等車の座席が布張りに対して1等車は革張りだったり,差別化は図られている.だが,日本のグリーン車が「お金持ち」がターゲットな感じであるのに対して,ICEやICの1等車のターゲットは,ビジネスマン,長距離旅行者,どうしても静かな雰囲気で乗りたい人等々.カジュアルな服装で若い人が乗ってくることもしばしば.これはフランスのTGVにも共通している.

日本の新幹線は大都市間連絡列車なので,基本的にはビジネスマンが主ターゲットなのに,なぜか本当の意味でのビジネスマン向けの座席の設定がなく,高級席かエコノミークラスしかないというナゾ.

時計仕掛けの幹線鉄道

スイスに行くと,スイス連邦鉄道の列車にこういうのが走っている.

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機関車の番号が「2000」になっているが,製造番号が2000番なわけではないし,型式番号が「2000」なわけでもない.「Bahn-2000計画(Rail 2000計画)」事業に合わせて導入された新規車両なので,プロジェクト名として「2000」が書かれている.後ろに繋がれている車両も同じ計画に合わせて導入されたものである.

Bahn-2000は,(1)主要都市間を30分の整数倍よりもちょっと短い時間で結ぶ,(2)主要都市の駅の出発時刻は原則として毎0分もしくは30分,ということを目指して幹線鉄道の改良をする計画で1987年に計画が開始され,2007年頃に概ね完了.

そういうわけで,スイスの大きな駅に行くと,毎0分もしくは30分のちょっと前になると続々と各方面から列車が集まってきて,毎0分もしくは30分を過ぎると三々五々各方面に列車が散って行く.つまり,毎0分もしくは30分には,駅のホーム上には各方面からの列車が勢揃いしており,全方向相互間の乗換が出来る,というシステムだ.

日本は新幹線を作って走らせて,それに合わせて他を考えるというシステムだが,スイスは発想が逆で乗換がうまくいくようにするには最低限,どの程度の改良をすればいいかという視点で整備がされている.

なので,スイスには日本の新幹線相当の高速新線がほとんど無い.Oltenの南側に少しと,あとはアルプスの長大トンネルの中くらいなものである.

なお,上の写真の列車に関するWikipediaの説明項目には「「バーン2000計画」の要となる200km/h列車用として」と書かれているが,車両としては200km/hで走れると思うものの(実際,Olten付近の短い高速新線では走っている),Bhan-2000は200km/h運転導入が主目的の幹線鉄道計画ではないので,この記述はあまり正確ではない.(学生の皆さん,Wikipediaの使い方には注意しましょう.)

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駅の出発時刻の掲示,よく見ると,ほとんど同じ時間に続々と出発している.まるで歯車のように一定間隔で列車が都市間を行ったり来たり.時計の国スイスならではのシステム.このシステムが導入できるのは,列車を時間に正確に走らせることが出来る国だけ.

北陸新幹線開通で富山に行くのが面倒になりそうな件

時刻表2015年3月号を入手.【祝】北陸新幹線開業なのだが,富山に行くのが微妙にめんどくさそう.

金沢-富山間はサンダーバードで約35-40分.これが北陸新幹線開業で大阪方面からがどうなるかというと…

金沢着 乗換時間 金沢発 富山着 金沢着→富山着
946 10分 956 1019 33分
1023 8分 1031 1054 31分
1102 //
1113 9分 1132 1155 42分
1156 10分 1206 1229 33分
1217 17分 1234 1257 40分
1256 10分 1306 1329 33分
1317 16分 1333 1356 39分
1356 10分 1406 1429 33分
1420 //
1456 10分 1506 1529 33分
1556 10分 1606 1629 33分
1653 10分 1703 1726 33分
1756 11分 1807 1829 33分
1852 11分 1903 1925 33分
1913 10分 1923 1946 33分
1956 12分 2008 2031 35分
2015 //
2056 10分 2106 2129 33分
2121 14分 2135 2157 36分
2209 10分 2219 2242 33分
2256 10分 2306 2329 33分
2329 8分 2337 2359 30分

乗換が1回増で,時間短縮が5分くらい.

山形新幹線が乗り換え1回減で,その後の調査で客の動向が約30分短縮相当らしいので,北陸新幹線の開業で富山が心理的に25分くらい遠くなる感じか.まぁ,「金沢止め」が少なくなって実質本数若干増なので,その辺はちょっと改善か(青字).

大阪の人がボーッとしているうちに,北陸が首都圏方面へと離れて行く.

パリのLRTの踏切の処理

パリのLRT.といっても,この路線は専用軌道のみ(10年前).

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セーヌ川沿いの道路をつぶして軌道に敷き替えたことで有名なこの路線,基本的には60km/h制限で走る.写真は後ろ向き.

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元々道路なので,所々には元交差点の踏切がある.そして,この踏切部分だけ制限20km/h.

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さらに,この踏切には信号機も付いている.横断側道路でなくて,線路側.ここは赤色.

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こっちは青信号.これなら設備投資が少なくてもOKかも.

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ICEの座席指定

日本の新幹線は,座席指定車と自由席車が車両単位で分かれている.じゃぁ,ドイツ版新幹線といわれるICEはどうかというと,座席単位になっている.

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写真は,1等車の内部.ブレブレだが,窓の上に黒い小さな横長の表示器が付いていて,なにやら表示されていることがわかるだろうか.

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拡大すると,こんな感じ.これは,マンハイム-ケルン間については座席の予約が入ってますよという意味である.

DSCN0901じゃぁ,表示されていない区間はどうなのかというと,自由席扱いである.予約の入っていない席もあるので,そこは始発から終着まで自由席扱い.

こうすることで座席の利用効率を上げているようだ.