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ONE OSAKAの都市計画・交通計画は妥当な案か(新編)

以前,大阪与党の都市計画や交通計画がらみの方針案は妥当な案かどうかについて考えてみた.OSバージョンアップの失敗で,リンクが切れてしまったようなので,あらためて並べてみると以下のようになる.

第1話-新幹線偉大なり編,第2話-産業振興VS交流編,第3話-他の交通網編
第4話-東海道VS中山道編,第5話-新幹線駅が都市圏形成編
第6話-駅アリ>駅ナシ編,第7話-20年差が命取り編,第8話-後手必敗編
第9話-東密西粗編,第10話-リニア編

VOL.5編,VOL.6編,VOL.8編-その1,VOL.8編-その2,VOL.8編-その3
VOL.9編,VOL.10編, VOL.11編, Vol.12+Vol.13編

あれ?住民投票できるんじゃなかったの??
大阪府市統合+道州制=関西総大阪化計画??
毎年2200億円あったらできること
「2200億円」は無かったんや・・・で?
大阪府市統合+道州制=神戸市が州都?
大阪府市統合+道州制=地図に残るは「大阪駅」のみ?
ドーナツの認識方法について

政党がくっついたり離れたりと言った事情の詳細にはついてゆけていないが,とりあえず新しい党になったらしい.ということは政策もリニューアルされている可能性があるので,再度検討してみよう.(今日はここまで)

 

 

今日の魔除けのお札→日本国憲法第21条
あーこわいこわい

平成28年度鉄道関係予算概算要求

平成28年度の鉄道局関係の予算概算要求概要をみてみよう.
資料はこれ→ http://www.mlit.go.jp/common/001101353.pdf

まず,鉄道局の概算要求額そのものであるが,約1163億円.対前年度比1.14倍.

ここだけ見るとおぉ,増額している!となるのだが,国土交通省の概算要求額全体では約6兆7千億円ほどなので,比率は約1.7%である.国全体での予算総額は98兆6千億円ほどなので,国家予算に対する鉄道関係の予算は約0.118%である.

前年度比増額していること自体は評価してもいいのだが,その絶対的な比率は絶望的に小さい.

比率10%というと,こういう感じ.
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比率1%というと,こういう感じ.国交省予算に対する鉄道予算の比率のイメージはこれに近い.
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そして,比率0.1%というと,こういう感じ.国家予算に対する鉄道予算の比率のイメージはこれに近い
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なお,新幹線に投じられる予算は,鉄道関係予算の,さらにその一部であるという事実.

もっとがんばろうよ…

北海道新幹線3年で150億円の赤字…は回避できるかも

こういう話がある.

 2016年3月に開業する北海道新幹線について北海道旅客鉄道(JR北海道)が試算した当初3カ年の収支見通しが16日、分かった。3年間で合計約150億円の赤字を見込む。老朽化が進んだ長大な海底トンネルを

情報源: 北海道新幹線、当初3年で150億円の赤字 JR北海道が試算:日本経済新聞

この原因は,青函トンネルがJR北海道の持ち物だからである.

通常,整備新幹線のインフラ部分は国の持ち物で,「受益の範囲内」でリース料を払う.なので,少なくとも赤字にはならない.

また,お荷物になる在来線については,「並行在来線」として経営から切り離すことが出来る.

ところが,青函トンネルはその歴史的な経緯から,新幹線開業にあわせた経営分離の対象区間でもなければ,新幹線を走らせるインフラが国有資産というわけでも無い(JR北海道自体が株主が国だというツッコミはおいといて).

本来なら,新幹線を走行させるにあたって,国が青函トンネルの資産一式をJR北海道から買い取り,「受益の範囲内」でリース料を払う方式をあらためて導入すれば良かったのだろうが,そういう議論は無かったようである.

今からでもいいので,そういう方式を検討してもいいのではないかと思う.

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列車版LCC

欧州では,線路とその上の鉄道運行が基本的に上下分離されている.旅行者としてはICEやTGVをよく使うのでほとんどそのことを意識することはないのだが,最近,特にドイツなどでは比較的近距離の都市間連絡列車で,見かけない会社の列車を見かけることが多くなってきている.

例えば,この列車.

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機関車は比較的最近の機関車で,確か発車時には「ドレミファソラシド…」という音を発したはず.けど,よく見るとかつては書かれていた「DB」の赤い文字が無い.

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ハンブルグとケルンを結ぶ列車のようである.

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車両は結構年季の入ったもので,元オーストリア国鉄? 土手っ腹には大きく「HKX」と書かれている.

ハンブルグとケルン間ならICE等を使って移動するのが通常の方法だが,同じ線路上を別のHKXという会社(私鉄)が列車を運行しており,ドイツ鉄道の列車に乗るよりも安価に移動できるようになっているようだ.

ただし,車両はお古の使い回しであり,とにかく安く,しかも早く移動したいというニーズを満たしているようである.

ユーレイルパスでも乗れるようだが,良い時間帯の発着時間は確保できていないようで,あまり便利では無い.しかもICEにも乗れるチケットでわざわざ選択するような列車では無い.

だが,地元の人にとってはこういった別の選択肢も準備されているのである.

日本では,都市内交通が自由化されている一方,新幹線を含む幹線鉄道および同じ線路上を走るローカル列車の運営は国鉄時代からの地域独占が継続しており,ユーザーの選択肢は限定的である.

京都・四条通その後…ベイ多すぎ?

ゴールデンウィークが終わったあとの週末,再び例の四条通を訪れてみた.

交通量自体は3月末よりもかなり少なく,渋滞もさほどひどくはなかった.(…が,当サイトの最近のアクセスの半分弱が四条通関連のページを見ているようなので,平日はかなりひどい状況なのであろうという想像はできる)

再び烏丸側から歩いてみる.迂回協力要請の横断幕が出ている.うち(枚方)のご近所情報では,以前なら10分ほどで通過できるところを30分くらいかかるらしい.

(工事終わっても渋滞は無くならないと思うけど.)

IMG_0218南側の歩道を歩いて行くと,どうも気になる.ベイが多すぎ.左折レーン,タクシーベイ,荷さばきベイ,祇園祭山鉾ベイ?,歩道が拡幅されたはずなのに歩道が狭い箇所が多すぎである.これはほんとに歩道拡幅なのか? それとも駐車車両を排除して公式にベイ類を整備したかったのか?

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そして,それらのベイ類であるが案の定,当初目的外の使用が多そうである.上の写真でも,タクシーの客待ち(?)や他府県ナンバーの休憩(?)あるいは,下の写真のようにパチンコ屋の前に停まる高級車には駐車禁止指定除外の指定を受けたクルマが…いろいろ邪推してしまう.

こういうベイ類があると,その収容力の大きさと関係なく自動車乗りはそれを目指して突っ込んでくるんだよね.人力取り締まりしてもイタチごっこですし.

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左折レーンがあふれて交通をふさいでいる現象は,今回は交通量が少なかったので確認できなかったが,その代わりこういう輩がいることは確認できた.

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どういう状況かというと,左折レーンに並んで左折すべきところ,直進レーンを走ってきて左折車の列の先頭に割り込もうとしているクルマである.おかげで直進レーンをふさいでしまっている.こういう輩がいるということは,普段時において左折車が先詰まりの原因になっているということが広く知れ渡っているということであろう.

北側の東向きの車線については渋滞の先頭は四条通河原町付近のようであり,バス停のバスを追い越せないことや四条通の交差点の通過に時間を要していることが原因のようである.

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やっぱり,自家用車進入禁止でいいのでは?

北陸新幹線が米原回りで関西衰退?

こういう話が定期的に出てくるのは悲しいことだが,声の大きな方は発言の影響の大さを良く理解した方が良い.リップサービスは真のサービスにあらず.

線路が欲しいのか,交流が欲しいのか,果たしてどっちなんだろうか?

  • 福井新聞 http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/super_expless/71951.html

40年前の計画にこだわって数万の沿線人口確保のために147万(+226万)の沿線人口を放棄するのはあり得ない.

若狭ルートを推進するのなら「若狭を経由して,京都も経由しろ」というのが正しい姿勢だろう.新幹線は航空路ではないので,起点終点だけでなく沿線の主要都市がどこなのかがその後の沿線の盛衰に大きく影響する.

無いと信じたいが,よもや「山陰新幹線」と「北陸新幹線」とを部分的に統合してやろうというような野心を抱いているのではないでしょうね.もしそうなら,そうすることで実際の整備が数十年単位で大幅に遅くなる可能性のことを熟慮すべきだ.

再度掲載.各ルートの沿線人口を下図で確認を.終点までの所要時間が10分ほど短くなるとしても沿線人口が100万人200万人という単位で減るような案はあり得ない.ルート問題を未着工区間の沿線の問題として矮小化してしまっているようだが,案の選択によっては北陸地方全体の首を絞めることになる.若狭の開発には別のプロジェクトを組み合わせるべし.

「乗り換え」に関しても,関西広域連合の調査結果を理解できていない人が多そうだが回避策は調査結果に書かれている.さらに,リニアの大阪延伸が早期実現すれば「乗り換え」は確実に不要である.

あと,誰も指摘しないが,若狭ルートで新大阪駅に対して北方から東海道山陽新幹線と直交するように入ってくると(運行管理システム接続費用は省けるかもしれないが)山陽新幹線との直通は難しくなる.だが,湖西や米原のルートで東海道山陽新幹線とスルー運転できるようにしておくと,(システム接続費用はかかるが)山陽新幹線沿線都市と乗り換え無しで結ばれる可能性がある.

航空路と違って新幹線が優れているところは,交流の多様性なんだが.わかるかな?

3routes

#1:京都も危機意識低すぎ!
#2:新幹線に関して全体の調整をできる人が不在という不幸.

 

ONE OSAKAの都市計画・交通計画は妥当な案か(VOL.12+VOL.13編)

大阪の与党の広報誌Vol.12に記載されている都市計画,交通計画がらみの案の妥当性の考察である.なお,広報誌Vol.13もほとんど内容が同じなので「合併号」である.

Vol.5編はこっち,Vol.6編はこっち.Vol.8の(1)はこっち,Vol.8の(2)はこっち,Vol.8の(3)はこっち,Vol.9編はこっち,Vol.10編はこっち,Vol.11編はこっちである.

今回は紙面構成が前回までとやや変化している.


Vol.12の1枚目.

大阪東京のツインエンジンで…こんなに変わる!

→国土の双眼構造に言及している.双眼構造が重要であるという点は同意である.ただし,この広報誌(大阪の与党)の認識は甘い.
→詳しくは,当サイトの「都構想の陰で進行する大阪長期衰退の始まり」シリーズを読んでください.それから,高橋洋一さん(*)(**)の「データに基づく社会科学の議論でないと感じた」への返答にもなっています.(直接メールを氏に送ろうとしたけど,最近は大学教員といえどもwebサイトに堂々とアドレス載っけてる人って少ないのね)

(*)このコラム,他にもツッコミどころがいくつかある.
(**)BSの番組で「大阪市は高度成長期以降人口が減少し続けている」とドヤ顔で見せてたグラフの解釈へのヒントもあります.要するに,大きな都市なので単に郊外化して中心部分の大阪市が居住地から業務地に変化しただけですね.私なら恥ずかしくてあのグラフを衰退の説明には出せないです.

第1話-新幹線偉大なり編第2話-産業振興vs交流編第3話-他の交通機関編
第4話-東海道vs中山道編第5話-新幹線駅が都市圏形成編第6話-駅アリ>駅ナシ編
第7話-20年差が命取り編第8話-後手必敗編第9話-東密西粗編編
第10話-リニア編

あと,足りなければこれもどうぞ.

波床正敏:「明治期以降の交通網整備が我が国の地域構造に及ぼした影響に関する研究」, 京都大学学位論文, 全134頁, 1998
LinkIcon表紙 [PDF 20KB] LinkIcon序 [PDF 12KB] LinkIcon目次 [PDF 16KB] LinkIcon第1章 [PDF 60KB] LinkIcon第2章 [PDF 160KB] LinkIcon第3章 [PDF 276KB] LinkIcon第4章 [PDF 312KB] LinkIcon第5章 [PDF 236KB] LinkIcon第6章 [PDF 104KB] LinkIcon第7章 [PDF 288KB] LinkIcon第8章 [PDF 28KB] LinkIcon謝辞 [PDF 8KB]

→とは言え大量の資料を読むのも大変なので,大阪与党の認識の甘さを要約すると,東京一極集中の原因が東京の都市開発にあると思っている点である.そうではなくて,集中の原因は東京を中心とするような広域交通インフラの整備(および大阪へと向かう広域インフラの不整備)にあり,大都市施設(官民とも)の立地条件が根本的に劣っていることが大きな原因である.
→立地条件が悪い場所でいくらがんばっても,水をやらない草木のように早晩枯れてしまう.府市二重でビルを建てて失敗したのは,「二重行政」ではなくて,不況と大阪の広域利便性の悪さが原因である.(各ビルの立地場所そのものもセンスがないという話もあるが)
→地域整備と交通整備はクルマの両輪,ニワトリと卵の関係に近いものがあるが,地域整備を重点的にやって長期的繁栄を得た地域は少なく,逆に交通整備によって長期的繁栄を得た地域は多い.
→大阪が昔「天下の台所」であったのは,当時としては広域利便性が良かったからなんですよね.大阪の人は気づいてないかもしれないけど.
→この一連のチラシを見る限り,都構想は行政の効率化で捻出した資金を地域整備に回す構想のように見えるが,自地域整備を優先する方策はあまり得策ではない.(←データ分析の結果に基づく考察です.念のため)

地価上昇率全国トップクラス!

→批判していた阿倍野の再開発に絡むものが2つもランクインしてますけど…

有効求人倍率大幅改善
外国人観光客大幅増

→全国の動向もあわせて示さないと,大阪が良くなったのかどうかの証拠になってないですね.

百貨店の売上高大幅増

→最近,百貨店を建てまくりましたからねぇ.


Vol.12の2枚目.

Q3:民営化しても区民の利益にならない?…数千億円の株式を大阪市民が手にすることに

→大阪市を廃止して「大阪市民の手」とはこれいかに,というくだらないツッコミは置いておくことにします.
→民営化して株式は手にしますが,それは単に資産を流動化させただけで,資産が増えたわけではありません.その株式をたとえ売り払って「数千億円の現金を手にすることに」に変化したとしても,流動資産化しただけで,大きさが変化したわけではありません.念のため.
→府市統合しなくても,流動資金が必要なら株式の売却は可能です.

関西電力株の売却で1000億円

→府市統合しなくても売るのが適切だと思えば売れば良いのでは?
→地下鉄や水道と同じく,不意に流動資金を手にすると,無駄遣いしがちですよ.(ヒント:あたり馬券,宝くじ)


一応,One Osakaシリーズ終わり.

大阪府市統合(都構想)リンク一覧

第1話-新幹線偉大なり編,第2話-産業振興VS交流編,第3話-他の交通網編
第4話-東海道VS中山道編,第5話-新幹線駅が都市圏形成編
第6話-駅アリ>駅ナシ編,第7話-20年差が命取り編,第8話-後手必敗編
第9話-東密西粗編,第10話-リニア編


VOL.5編,VOL.6編,VOL.8編-その1,VOL.8編-その2,VOL.8編-その3
VOL.9編,VOL.10編, VOL.11編, Vol.12+Vol.13編


あれ?住民投票できるんじゃなかったの??
大阪府市統合+道州制=関西総大阪化計画??
毎年2200億円あったらできること
「2200億円」は無かったんや・・・で?
大阪府市統合+道州制=神戸市が州都?
大阪府市統合+道州制=地図に残るは「大阪駅」のみ?
ドーナツの認識方法について

ONE OSAKAの都市計画・交通計画は妥当な案か(VOL.11編)

大阪の与党の広報誌Vol.11に記載されている都市計画,交通計画がらみの案の妥当性の考察である.

Vol.5編はこっち,Vol.6編はこっち.Vol.8の(1)はこっち,Vol.8の(2)はこっち,Vol.8の(3)はこっち,Vol.9編はこっち,Vol.10編はこっちである.

今回も,新たに記載されている内容部分だけについて見る.


1枚目は,マンガ形式であるが,新たな話は無いので略.


2枚目は,東特別区向けの内容であるが,これも.新たな話は無いので略.


3枚目は,北特別区向けの内容である.ほとんど同じ話ばかりだが,少しだけ付け加えられている.

淀川左岸線整備促進

→阪神高速道路として建設が進んでいる路線であり,現状では5号湾岸線と3号神戸線の間が開通している.3号神戸線と新御堂の間が工事中.新御堂から東が計画段階.
→大阪市を通過する部分と市外の部分があるので,府市統合した方が便利そうに見える.だが,府や市が直接的に高規格道路事業をするわけではなく,阪神高速かJH系かが事業主体になる可能性が高いので,府市統合の効果はいかほど???
→すでに国の出先機関主導で環境影響評価の段階まで進んでいるんだが,この段階からの府市統合の効果ってなんだろう???


4枚目は,湾岸特別区向けの内容である.

国際会議場展示場

→府市で2つあるとムダだと言っている割には,ここで登場するんだが,増強するの?(インテックスは整備時期が古いので設備が中途半端だという話もあるが)


5枚目は,中央特別区向けの内容である.これもほとんど同じ話ばかりだが,少しだけ付け加えられている.

「LRT」の導入

→具体的な街路等の情報が無いが,これまでの報道等を思い返すと,阪堺電気軌道線を延伸して難波まで到達させ,さらに梅田まで延ばそうという話ではないかと思う.
→大阪市域で完結しているので,市の事業とするのが妥当だが,府市統合はなんか影響あるのかな.
→この話を「市」に振ると,”それって府の事業じゃないの?”と言われてしまうという話アリ.
→この話を「府」に振ると,”それってウチの事業じゃないと思う”と言われてしまうという話アリ.
→…ということは府市統合した方が良いのか? でも,そもそもこの話の出所はどこなんだろうか?(一部の人の思いつき?)

南海汐見橋線

→当初構想では南海汐見橋線(=南海高野線の北部の末端部分)は,なにわ筋線の南海側のアクセス線なわけだが,なにわ筋線の話とは違うのね???
→沿線の土地利用以前に,利便性を向上させるのが先決ですね.
→…で,府と市がくっつくとどんな影響があるの? 南海もしくは南海と大阪市の共同作業で充分では?


6枚目は,南特別区向けの内容であるが,新たな話は無いので略.


まだチラシは続く.

つづく.

ONE OSAKAの都市計画・交通計画は妥当な案か(VOL.10編)

与党の政策というのは,とかく検証にさらされがちであるが,それは与党なので仕方ないことである.さて今回も大阪の与党の広報誌Vol.10に記載されている都市計画,交通計画がらみの話は妥当な方針かどうかの考察である.

Vol.5編はこっち,Vol.6編はこっち.Vol.8の(1)はこっち,Vol.8の(2)はこっち,Vol.8の(3)はこっち,Vol.9はこっちである.

同じ話の繰り返しが多いので,新たに記載されている内容部分だけについて見て行くことにする.


1枚目は,この機関誌でよく使われるマンガ形式である.上半分のビルが複数ある件については,こっち参照.

地下鉄バス民営化

→こういう構図がこっそり描かれている:「経営効率化→利用する人が増える→駅の回りの店を使う人が増える→その土地の価値がUP」
→この「構図」,初っぱなから間違っている.それは経営効率化すると客が増えるのではなくて,客から見てのサービス水準が向上すると客が増えるのである.同じサービスが提供されている場合,経営が効率に成されているのかどうかは直接的には関係ない.目指すべきは効率化ではなく,サービスの向上である.
→いつも書くことだが,地下鉄の民営化と府市統合は関係ないよね.

港湾一元化

→府市統合しなくても,事業組合のような仕組みで実現できるのでは?

統合型リゾート

→府市統合しなくても,実施できるよね.

インバウンド650万人

→これも府市統合しなくても実施できるよね.
→観光は京阪神+近畿一円で取り組んだ方がより魅力的になるので,広域連合で取り組んだ方が良いのでは?
→市長も府知事も欠席ばっかりで広域連合で見かけたことないが……

…政府自民党は賛成です

→(ほんとに言ったのかどうか怪しいという話もあるが)関西の雄として地方自治を推進して行く立場ならば,中央政府が賛成している(しかも他党)というようなことを嬉々として掲載するのではなく,こう言うべきだろう.

「どうぞ,おかまいなく…」


2枚目は,東特別区向けの内容である.以下は今回の追加内容分に関してである.

BRTやLRTの整備(赤川〜太子橋今市)

→交通空白を埋めるという提案は悪くないが,もうすぐ大阪ひがし線の北部区間が開通するんだけどなぁ.
→赤川〜太子橋今市じゃなくて,城北公園通りに沿って梅田北ヤード地区か天六までつないだ方が良いと思う.
→単なる大阪市内の都市交通構想だよね.府市統合との関係はいかに???

堤防の耐震化・河川水位の総合管理

→河川は沿川市町村管理にすると管理水準の違いが生存権に直結しかねないので,府市統合以前に一括で管理されていると思うけど.淀川水系は国管理では???


3枚目は,北特別区向けの内容である.以下は今回の追加内容分に関してである.

緑との融合した新しい街づくり

→まぁ,緑を増やすという考え方は悪くはないと思うけど.
→でも,単なる大阪市内の緑地整備構想だよね.府市統合との関係はいかに???

十三・淡路・三国エリアの区画整理や再開発

→昔から大阪市では区画整理事業(あるいは再開発)してますが…
→区画整理も再開発も,基本的な制度の枠組みは昔から民間の力の利用ですけど…
→大阪市の土地利用計画ですね.

新大阪周辺への企業誘致

→土地利用の規制だけ気をつければ,ほっといてもリニアが来れば立地しますよ.
→大阪市の土地利用計画ですね.


4枚目は,湾岸特別区向けの内容である.以下は今回の追加内容分に関してである.

船で通勤

→字面的には情緒があるが,実際には時間がかかる市輸送の安定性に問題があるので,可能なら橋梁の方が良いですね.
→府市統合との関係は???

新島へコンテナヤードを集約

→トラックの経路を工夫しないと,コンテナヤードを沖に移すだけでは住宅街の通過交通は減らないこともありますよ.
→そもそも,防災性が低い港湾付近に住宅が立地していること自体が問題なんですが.

JRと地下鉄で夢洲,舞洲,桜島へのアクセス実現

使ってないトンネルを活用するわけですね.
→府市統合以前から存在する構想なので,府市統合との関係はいかに???

鉄道は広域行政との連携によって充実していくよ

→何が言いたいのか不明だが,地下鉄の延伸は大阪市の単独事業でできます.港湾地区整備の補助金も活用できると思う.JRの延伸は,大阪市内だけなら阪神なんば線や京阪中之島線のような枠組みが使えますし,国の補助金制度もあります.市外にはみ出している場合はJR東西線の枠組みやJR大阪ひがし線の整備の枠組みが使えます.府市統合すると,何がよくなるの???????

京阪中之島線延伸

→延伸の構想自体は以前からあったと思うが,正蓮寺川に通すの???
→すでに阪神やJRの駅勢圏内で,見通し厳しいんだけど.
→阪神電車と相互直通という話なら,わからないでも無い
→で,府市統合との関係はあるの,これって???


5枚目は,中央特別区向けの内容である.

今回の追加内容分は無く,以前の話の繰り返しであるので,コメント略.


6枚目は,南特別区向けの内容である.以下は今回の追加内容分に関してである.

天王寺大和川線の早期整備

すでに着手段階なので,府市統合しなくても進行そうな案件ですけど…
→中之島でやってるから遅いんじゃなくて,阪神大震災→阪和線の単独高架事業への変更&阪神高速計画の廃止の議論→緑道化計画の策定という,通常ではやらない複雑なプロセス踏んでるからでは?


まだチラシは続く.

つづく.