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ONE OSAKAの都市計画・交通計画は妥当な案か(道州制編)

つづきである.

チェック対象となっている最近の政策方針はこれである.今回は,「1.副首都”大阪”の確立」のうちの道州制の部分である.

以前より,当サイトでは時折触れてはいるが…

大阪府市統合+道州制=地図に残るは「大阪駅」のみ?
大阪府市統合+道州制=神戸市が州都?
都構想の陰で進行する大阪長期衰退の始まり(第10話-リニア編)
大阪府市統合+道州制=関西総大阪化計画??

地名標記の件はともかく,大阪府市統合の話と道州制の話が同時に実現した場合の関西の姿が全く描けないことが懸念される.(特にこれ→大阪府市統合+道州制=関西総大阪化計画??

つまり…

  1. 大阪府市統合=大阪市+大阪府
  2. 道州制の関西州=大阪府+兵庫県+京都府+滋賀県+奈良県+和歌山県

上の方は,大阪府域全体を1箇所でコントロールする話である.「one osaka」というキャッチフレーズがあるくらいなので,「巨大大阪」の誕生か?

下の方は,(並べてある府県がこれでいいかどうかの議論は置いておいて)関西一円を1箇所でコントロールする話である.府県の合併のような話であるが,そうすると,上の方の「巨大大阪」が関西一円をコントロールするのか???(そうでなければ,大阪は関西全体にコントロールされるのか?)

大阪府下全体については(いろいろと議論はあるが)一応,日常生活圏内で収まるような地理的範囲である.だが,関西一円を「巨大大阪」がコントロールするということは,もしかしたら将来的には大阪が経ヶ岬から潮岬までについて我が事のように気を配らなければならない日がやってくるかもしれないのだが,さすがに無理がないだろうか?(和歌山や京都府北部は,東京都における南の島と同様の扱いになる??)

そうすると,結局は地理的に遠いところは現地組織を置かざるを得なくなり,今とあんまり変わらないね,という話になりやしないのかしら? 上の「1.」「2.」はどちらか一方しか無理なんじゃないかな.道州制の議論でも,東京都だけを別扱いにした区域割り案も見かけるよね.

教えて! エライ人.大阪府市統合+道州制=??

つづく

今日の魔除けのお札→日本国憲法第19条
あーこわいこわい

ONE OSAKAの都市計画・交通計画は妥当な案か(副首都編)

与党の政策方針等のは,今後の動向に大きく影響する可能性があるので,とかくチェックの対象になりやすいものである.なので,いろいろ書かれても一々キレないでね.メールの傍受もしないでねw.しても大した情報無いから.

さて,最近の政策方針はこのようになっているようである.概要版について項目を順に見てみよう.まずは全体の構成である.キャッチに「過去に戻すか。前に進めるか 」と書いてある割には住民投票で否決になった話がまだ書いてあるのね,という点はちょっと脇に置いといて…

  1. 副首都”大阪”の確立
  2. 大阪の経済成長戦略
  3. 国際エンターテインメント都市”OSAKA”の実現
  4. 防災強化
  5. 二重行政の根絶
  6. 大阪を豊かにする「1.」から「5.」を実現するための統治機構改革
  7. 現役世代活性化政策
  8. 教育のさらなる強化(広域)
  9. 市町村への権限委譲
  10. 治安のさらなる向上
  11. 福祉医療の充実
  12. 市民サービスの充実(大阪市)
  13. 改革の継続(大阪市)

これらのうち,都市計画(国土計画を含む)および交通計画がらみのお話しは…ほとんど全部の項目にちりばめられていそうである.

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さて今回は,「副首都」の件である.当サイトでもしばしば首都機能に関しては書いており,首都機能をいかに維持するかの重要性については同意するところである.

地震動予測地図とリニアの近畿圏サブターミナル
国土強靱化における幹線鉄道網最大のネック
国土強靱化-副首都機能候補地を勝手にリストアップ
地震動予測地図と首都機能バックアップ
リニア新幹線整備の理由(昔の主張-新首都編)
リニア新幹線整備の理由(昔の主張-施設老朽化&まとめ編)
リニア新幹線整備の理由(名古屋-大阪間:国土計画編)
なぜ「遷都」や「首都機能移転」ではなく「バックアップ」なのかをゲスる

…これだけある.さて,国土の二眼構造というのは重要であり,東京の機能のバックアップを関西に持ってくるというのは確かに正しいのだが,それを大阪におくべきかどうかは慎重な議論が必要である.

特に大阪市は海に近い地域であるので,南海トラフ地震発生時には東海〜伊勢湾岸〜紀伊半島〜大阪湾(〜四国方面)が同時に津波の被害を受ける可能性がある.南海トラフ地震だけならば東京の機能が維持されている可能性もあるのだが,江戸時代安政年間の時のように,海溝型の大地震と首都直下の地震が独立事象ではない可能性も高いので,避けたい立地である.

首都直下地震が発生しなかったとしても,海溝型地震の長周期地震動が高層ビルに与える影響が大きいので,東京と大阪が同時被災の可能性を否定できない.実際,WTCビル=大阪府咲洲庁舎が東日本大震災の影響で被災したという事実あり.長周期地震動だけでなく,市街に震度6クラスの揺れが襲うことも想定されているので,大阪が安全というわけではない.

それから,東京が機能しなくなった場合…数日ならともかく,年単位で機能しない場合は対全国の利便性を確保する必要がある.その点では大阪は交通の要衝であり,平時は便利である.広域的な交通網については,良くも悪くも西日本では大阪市を中心とするネットワークが形成されており,大阪市域が機能しなくなると西日本の広域交通網全体が機能しなくなる.(→国土強靱化における幹線鉄道網最大のネック

首都機能バックアップシステムとしては,機能そのものが失われない地理的立地であるとともに,それを支える広域的な交通網についても大阪市域の利便性を確保しながらもリダンダンシーを考えたネットワークが必要である.

大阪に首都機能の一部を持たせ、先ずは二極化することによりそのリスクを解消し…

これは一見正しそうに見えるのだが,十分に考えておかないと危ない.現況よりも悪化する可能性すらある.つまり,単純に大阪に首都機能の一部を持たせてしまうと,東京か大阪かのどちらか一方が被災しただけで政府が機能不全になる可能性がある.必要なのは分散化ではなく,二重化である.そのことは果たして理解されているのか不明である.

その後 に多極分散型の国家を確立します。それを支える地方自治制度としての道州制を目指します。

経済成長の観点では,一極でコントロールするよりはその地その地の実状に合わせてコントロールする方が良い,という考え方はあり得るのだが,この政策項目のそもそもの書き出しは…

東京一極集中は、地震等の大災害時に国家機能の全てがストップしてしまうので、復旧復興が困難であるというリス クが表面化しています。

…なので,「副首都」の目的は日本国のBCPの一環のようである.だが,書き出し部分と政策内容の方向性が一致していないようにも見える(つまり,ブレてますよ,という話).

それから,狭い大阪市域(あるいは府域でもいいけど),一体どこに首都機能を受け入れるのかなぁ?

つづく

今日の魔除けのお札→日本国憲法第23条
あーこわいこわい

ONE OSAKAの都市計画・交通計画は妥当な案か(新編)

以前,大阪与党の都市計画や交通計画がらみの方針案は妥当な案かどうかについて考えてみた.OSバージョンアップの失敗で,リンクが切れてしまったようなので,あらためて並べてみると以下のようになる.

第1話-新幹線偉大なり編,第2話-産業振興VS交流編,第3話-他の交通網編
第4話-東海道VS中山道編,第5話-新幹線駅が都市圏形成編
第6話-駅アリ>駅ナシ編,第7話-20年差が命取り編,第8話-後手必敗編
第9話-東密西粗編,第10話-リニア編

VOL.5編,VOL.6編,VOL.8編-その1,VOL.8編-その2,VOL.8編-その3
VOL.9編,VOL.10編, VOL.11編, Vol.12+Vol.13編

あれ?住民投票できるんじゃなかったの??
大阪府市統合+道州制=関西総大阪化計画??
毎年2200億円あったらできること
「2200億円」は無かったんや・・・で?
大阪府市統合+道州制=神戸市が州都?
大阪府市統合+道州制=地図に残るは「大阪駅」のみ?
ドーナツの認識方法について

政党がくっついたり離れたりと言った事情の詳細にはついてゆけていないが,とりあえず新しい党になったらしい.ということは政策もリニューアルされている可能性があるので,再度検討してみよう.(今日はここまで)

 

 

今日の魔除けのお札→日本国憲法第21条
あーこわいこわい

平成28年度鉄道関係予算概算要求

平成28年度の鉄道局関係の予算概算要求概要をみてみよう.
資料はこれ→ http://www.mlit.go.jp/common/001101353.pdf

まず,鉄道局の概算要求額そのものであるが,約1163億円.対前年度比1.14倍.

ここだけ見るとおぉ,増額している!となるのだが,国土交通省の概算要求額全体では約6兆7千億円ほどなので,比率は約1.7%である.国全体での予算総額は98兆6千億円ほどなので,国家予算に対する鉄道関係の予算は約0.118%である.

前年度比増額していること自体は評価してもいいのだが,その絶対的な比率は絶望的に小さい.

比率10%というと,こういう感じ.
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比率1%というと,こういう感じ.国交省予算に対する鉄道予算の比率のイメージはこれに近い.
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そして,比率0.1%というと,こういう感じ.国家予算に対する鉄道予算の比率のイメージはこれに近い
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なお,新幹線に投じられる予算は,鉄道関係予算の,さらにその一部であるという事実.

もっとがんばろうよ…

北海道新幹線3年で150億円の赤字…は回避できるかも

こういう話がある.

 2016年3月に開業する北海道新幹線について北海道旅客鉄道(JR北海道)が試算した当初3カ年の収支見通しが16日、分かった。3年間で合計約150億円の赤字を見込む。老朽化が進んだ長大な海底トンネルを

情報源: 北海道新幹線、当初3年で150億円の赤字 JR北海道が試算:日本経済新聞

この原因は,青函トンネルがJR北海道の持ち物だからである.

通常,整備新幹線のインフラ部分は国の持ち物で,「受益の範囲内」でリース料を払う.なので,少なくとも赤字にはならない.

また,お荷物になる在来線については,「並行在来線」として経営から切り離すことが出来る.

ところが,青函トンネルはその歴史的な経緯から,新幹線開業にあわせた経営分離の対象区間でもなければ,新幹線を走らせるインフラが国有資産というわけでも無い(JR北海道自体が株主が国だというツッコミはおいといて).

本来なら,新幹線を走行させるにあたって,国が青函トンネルの資産一式をJR北海道から買い取り,「受益の範囲内」でリース料を払う方式をあらためて導入すれば良かったのだろうが,そういう議論は無かったようである.

今からでもいいので,そういう方式を検討してもいいのではないかと思う.

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列車版LCC

欧州では,線路とその上の鉄道運行が基本的に上下分離されている.旅行者としてはICEやTGVをよく使うのでほとんどそのことを意識することはないのだが,最近,特にドイツなどでは比較的近距離の都市間連絡列車で,見かけない会社の列車を見かけることが多くなってきている.

例えば,この列車.

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機関車は比較的最近の機関車で,確か発車時には「ドレミファソラシド…」という音を発したはず.けど,よく見るとかつては書かれていた「DB」の赤い文字が無い.

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ハンブルグとケルンを結ぶ列車のようである.

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車両は結構年季の入ったもので,元オーストリア国鉄? 土手っ腹には大きく「HKX」と書かれている.

ハンブルグとケルン間ならICE等を使って移動するのが通常の方法だが,同じ線路上を別のHKXという会社(私鉄)が列車を運行しており,ドイツ鉄道の列車に乗るよりも安価に移動できるようになっているようだ.

ただし,車両はお古の使い回しであり,とにかく安く,しかも早く移動したいというニーズを満たしているようである.

ユーレイルパスでも乗れるようだが,良い時間帯の発着時間は確保できていないようで,あまり便利では無い.しかもICEにも乗れるチケットでわざわざ選択するような列車では無い.

だが,地元の人にとってはこういった別の選択肢も準備されているのである.

日本では,都市内交通が自由化されている一方,新幹線を含む幹線鉄道および同じ線路上を走るローカル列車の運営は国鉄時代からの地域独占が継続しており,ユーザーの選択肢は限定的である.

京都・四条通その後…ベイ多すぎ?

ゴールデンウィークが終わったあとの週末,再び例の四条通を訪れてみた.

交通量自体は3月末よりもかなり少なく,渋滞もさほどひどくはなかった.(…が,当サイトの最近のアクセスの半分弱が四条通関連のページを見ているようなので,平日はかなりひどい状況なのであろうという想像はできる)

再び烏丸側から歩いてみる.迂回協力要請の横断幕が出ている.うち(枚方)のご近所情報では,以前なら10分ほどで通過できるところを30分くらいかかるらしい.

(工事終わっても渋滞は無くならないと思うけど.)

IMG_0218南側の歩道を歩いて行くと,どうも気になる.ベイが多すぎ.左折レーン,タクシーベイ,荷さばきベイ,祇園祭山鉾ベイ?,歩道が拡幅されたはずなのに歩道が狭い箇所が多すぎである.これはほんとに歩道拡幅なのか? それとも駐車車両を排除して公式にベイ類を整備したかったのか?

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そして,それらのベイ類であるが案の定,当初目的外の使用が多そうである.上の写真でも,タクシーの客待ち(?)や他府県ナンバーの休憩(?)あるいは,下の写真のようにパチンコ屋の前に停まる高級車には駐車禁止指定除外の指定を受けたクルマが…いろいろ邪推してしまう.

こういうベイ類があると,その収容力の大きさと関係なく自動車乗りはそれを目指して突っ込んでくるんだよね.人力取り締まりしてもイタチごっこですし.

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左折レーンがあふれて交通をふさいでいる現象は,今回は交通量が少なかったので確認できなかったが,その代わりこういう輩がいることは確認できた.

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どういう状況かというと,左折レーンに並んで左折すべきところ,直進レーンを走ってきて左折車の列の先頭に割り込もうとしているクルマである.おかげで直進レーンをふさいでしまっている.こういう輩がいるということは,普段時において左折車が先詰まりの原因になっているということが広く知れ渡っているということであろう.

北側の東向きの車線については渋滞の先頭は四条通河原町付近のようであり,バス停のバスを追い越せないことや四条通の交差点の通過に時間を要していることが原因のようである.

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やっぱり,自家用車進入禁止でいいのでは?

北陸新幹線が米原回りで関西衰退?

こういう話が定期的に出てくるのは悲しいことだが,声の大きな方は発言の影響の大さを良く理解した方が良い.リップサービスは真のサービスにあらず.

線路が欲しいのか,交流が欲しいのか,果たしてどっちなんだろうか?

  • 福井新聞 http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/super_expless/71951.html

40年前の計画にこだわって数万の沿線人口確保のために147万(+226万)の沿線人口を放棄するのはあり得ない.

若狭ルートを推進するのなら「若狭を経由して,京都も経由しろ」というのが正しい姿勢だろう.新幹線は航空路ではないので,起点終点だけでなく沿線の主要都市がどこなのかがその後の沿線の盛衰に大きく影響する.

無いと信じたいが,よもや「山陰新幹線」と「北陸新幹線」とを部分的に統合してやろうというような野心を抱いているのではないでしょうね.もしそうなら,そうすることで実際の整備が数十年単位で大幅に遅くなる可能性のことを熟慮すべきだ.

再度掲載.各ルートの沿線人口を下図で確認を.終点までの所要時間が10分ほど短くなるとしても沿線人口が100万人200万人という単位で減るような案はあり得ない.ルート問題を未着工区間の沿線の問題として矮小化してしまっているようだが,案の選択によっては北陸地方全体の首を絞めることになる.若狭の開発には別のプロジェクトを組み合わせるべし.

「乗り換え」に関しても,関西広域連合の調査結果を理解できていない人が多そうだが回避策は調査結果に書かれている.さらに,リニアの大阪延伸が早期実現すれば「乗り換え」は確実に不要である.

あと,誰も指摘しないが,若狭ルートで新大阪駅に対して北方から東海道山陽新幹線と直交するように入ってくると(運行管理システム接続費用は省けるかもしれないが)山陽新幹線との直通は難しくなる.だが,湖西や米原のルートで東海道山陽新幹線とスルー運転できるようにしておくと,(システム接続費用はかかるが)山陽新幹線沿線都市と乗り換え無しで結ばれる可能性がある.

航空路と違って新幹線が優れているところは,交流の多様性なんだが.わかるかな?

3routes

#1:京都も危機意識低すぎ!
#2:新幹線に関して全体の調整をできる人が不在という不幸.

 

ONE OSAKAの都市計画・交通計画は妥当な案か(VOL.12+VOL.13編)

大阪の与党の広報誌Vol.12に記載されている都市計画,交通計画がらみの案の妥当性の考察である.なお,広報誌Vol.13もほとんど内容が同じなので「合併号」である.

Vol.5編はこっち,Vol.6編はこっち.Vol.8の(1)はこっち,Vol.8の(2)はこっち,Vol.8の(3)はこっち,Vol.9編はこっち,Vol.10編はこっち,Vol.11編はこっちである.

今回は紙面構成が前回までとやや変化している.


Vol.12の1枚目.

大阪東京のツインエンジンで…こんなに変わる!

→国土の双眼構造に言及している.双眼構造が重要であるという点は同意である.ただし,この広報誌(大阪の与党)の認識は甘い.
→詳しくは,当サイトの「都構想の陰で進行する大阪長期衰退の始まり」シリーズを読んでください.それから,高橋洋一さん(*)(**)の「データに基づく社会科学の議論でないと感じた」への返答にもなっています.(直接メールを氏に送ろうとしたけど,最近は大学教員といえどもwebサイトに堂々とアドレス載っけてる人って少ないのね)

(*)このコラム,他にもツッコミどころがいくつかある.
(**)BSの番組で「大阪市は高度成長期以降人口が減少し続けている」とドヤ顔で見せてたグラフの解釈へのヒントもあります.要するに,大きな都市なので単に郊外化して中心部分の大阪市が居住地から業務地に変化しただけですね.私なら恥ずかしくてあのグラフを衰退の説明には出せないです.

第1話-新幹線偉大なり編第2話-産業振興vs交流編第3話-他の交通機関編
第4話-東海道vs中山道編第5話-新幹線駅が都市圏形成編第6話-駅アリ>駅ナシ編
第7話-20年差が命取り編第8話-後手必敗編第9話-東密西粗編編
第10話-リニア編

あと,足りなければこれもどうぞ.

波床正敏:「明治期以降の交通網整備が我が国の地域構造に及ぼした影響に関する研究」, 京都大学学位論文, 全134頁, 1998
LinkIcon表紙 [PDF 20KB] LinkIcon序 [PDF 12KB] LinkIcon目次 [PDF 16KB] LinkIcon第1章 [PDF 60KB] LinkIcon第2章 [PDF 160KB] LinkIcon第3章 [PDF 276KB] LinkIcon第4章 [PDF 312KB] LinkIcon第5章 [PDF 236KB] LinkIcon第6章 [PDF 104KB] LinkIcon第7章 [PDF 288KB] LinkIcon第8章 [PDF 28KB] LinkIcon謝辞 [PDF 8KB]

→とは言え大量の資料を読むのも大変なので,大阪与党の認識の甘さを要約すると,東京一極集中の原因が東京の都市開発にあると思っている点である.そうではなくて,集中の原因は東京を中心とするような広域交通インフラの整備(および大阪へと向かう広域インフラの不整備)にあり,大都市施設(官民とも)の立地条件が根本的に劣っていることが大きな原因である.
→立地条件が悪い場所でいくらがんばっても,水をやらない草木のように早晩枯れてしまう.府市二重でビルを建てて失敗したのは,「二重行政」ではなくて,不況と大阪の広域利便性の悪さが原因である.(各ビルの立地場所そのものもセンスがないという話もあるが)
→地域整備と交通整備はクルマの両輪,ニワトリと卵の関係に近いものがあるが,地域整備を重点的にやって長期的繁栄を得た地域は少なく,逆に交通整備によって長期的繁栄を得た地域は多い.
→大阪が昔「天下の台所」であったのは,当時としては広域利便性が良かったからなんですよね.大阪の人は気づいてないかもしれないけど.
→この一連のチラシを見る限り,都構想は行政の効率化で捻出した資金を地域整備に回す構想のように見えるが,自地域整備を優先する方策はあまり得策ではない.(←データ分析の結果に基づく考察です.念のため)

地価上昇率全国トップクラス!

→批判していた阿倍野の再開発に絡むものが2つもランクインしてますけど…

有効求人倍率大幅改善
外国人観光客大幅増

→全国の動向もあわせて示さないと,大阪が良くなったのかどうかの証拠になってないですね.

百貨店の売上高大幅増

→最近,百貨店を建てまくりましたからねぇ.


Vol.12の2枚目.

Q3:民営化しても区民の利益にならない?…数千億円の株式を大阪市民が手にすることに

→大阪市を廃止して「大阪市民の手」とはこれいかに,というくだらないツッコミは置いておくことにします.
→民営化して株式は手にしますが,それは単に資産を流動化させただけで,資産が増えたわけではありません.その株式をたとえ売り払って「数千億円の現金を手にすることに」に変化したとしても,流動資産化しただけで,大きさが変化したわけではありません.念のため.
→府市統合しなくても,流動資金が必要なら株式の売却は可能です.

関西電力株の売却で1000億円

→府市統合しなくても売るのが適切だと思えば売れば良いのでは?
→地下鉄や水道と同じく,不意に流動資金を手にすると,無駄遣いしがちですよ.(ヒント:あたり馬券,宝くじ)


一応,One Osakaシリーズ終わり.

大阪府市統合(都構想)リンク一覧

第1話-新幹線偉大なり編,第2話-産業振興VS交流編,第3話-他の交通網編
第4話-東海道VS中山道編,第5話-新幹線駅が都市圏形成編
第6話-駅アリ>駅ナシ編,第7話-20年差が命取り編,第8話-後手必敗編
第9話-東密西粗編,第10話-リニア編


VOL.5編,VOL.6編,VOL.8編-その1,VOL.8編-その2,VOL.8編-その3
VOL.9編,VOL.10編, VOL.11編, Vol.12+Vol.13編


あれ?住民投票できるんじゃなかったの??
大阪府市統合+道州制=関西総大阪化計画??
毎年2200億円あったらできること
「2200億円」は無かったんや・・・で?
大阪府市統合+道州制=神戸市が州都?
大阪府市統合+道州制=地図に残るは「大阪駅」のみ?
ドーナツの認識方法について