今年4000キロ以上を新たに敷設計画

 また会議では、2020年の主な目標として、持続的な輸送安全を保つこと、旅客輸送量38億5000万人、貨物輸送量36億5000万トンに達すること、新規線路は4000キロ以上で、そのうち高速鉄道が2000キロに達することなどが打ち出されています。(玉華、星)

情報源: 全国の鉄道、今年4000キロ以上を新たに敷設計画_中国国際放送局

あはははは,あは,あは,あは,ぁぁ,ぁぁぁぁ……

えーと,日本的感覚なら鉄道新線4000キロ,うち新幹線2000キロという計画を聞くと「ほぉー,長期計画かな」と思ってしまう.

…が,この記事は「2020年の目標として」と書いてあるので,もしかしたら単年度目標?

実際のところ,国際鉄道連盟の資料などを見ていると,近年における中国の高速鉄道新設距離は年間2000キロ弱なので,この記事の「鉄道新線4000キロ,うち新幹線2000キロ」は年間計画だということがわかる.

片や,いろいろ出来ない理由を並べて,結果としてどんどん追い抜かれている国がある模様.

 

全幹法改正のポイント(建設線の調査の指示編)

つづいて建設線の調査の指示編である.現行法の全文そのものはこちら

現行法では…

「第五条 国土交通大臣は、前条の規定により基本計画を決定したときは、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下「機構」という。)その他の法人であつて国土交通大臣の指名するものに対し、建設線の建設に関し必要な調査を行うべきことを指示することができる。基本計画を変更したときも、同様とする。」

「2 国土交通大臣は、前項の指名をしようとするときは、あらかじめ、指名しようとする法人(機構を除く。)に協議し、その同意を得なければならない。」

…となっている.これも一見何も問題がないように思えるが,現状はと言うと,整備計画や基本計画が何十年も放置されたために,本来は基本計画を立てる段階で行うような基礎的な調査(需要予測等)を,この条文(整備計画を立てる段階の調査)をもとに調査しているという,何とも計画論的には恥ずかしい状況にある.

ということなので,その点を明確にするには…

「第五条 国土交通大臣は、……対し、建設線の建設に関し必要な調査を行うべきことを指示することができる。基本計画を変更したときも、同様とする。ただし,基本計画を立ててから大きく社会状況が変化している場合は,本条に基づく調査ではなく第四条に基づくものとする.

…とするかなぁ.

”基本計画を立てる段階で行うような基礎的な調査”は,全幹法施工令という政令に基づいて実施されているので,そちらについてはまた後日.

(つづく)

全幹法改正のポイント(基本計画編)

つづいて基本計画編である.現行法の全文そのものはこちら

現行法では…

「第四条 国土交通大臣は、鉄道輸送の需要の動向、国土開発の重点的な方向その他新幹線鉄道の効果的な整備を図るため必要な事項を考慮し、政令で定めるところにより、建設を開始すべき新幹線鉄道の路線(以下「建設線」という。)を定める基本計画(以下「基本計画」という。)を決定しなければならない。」

「2 国土交通大臣は、前項の規定により基本計画を決定したときは、遅滞なく、これを公示しなければならない。これを変更したときも、同様とする。」

…となっている.一見何も問題がないように思えるが,この条文は計画があまり時間をおかずに整備計画に格上げされ,そして建設されることを想定している.

だが,現実には時間がかかりすぎており,当初の計画を立ててから20−30年もすると社会状況や交通ネットワークの状況が変わってしまうので,見直し規定を入れるべきだと思う.

国土計画の実現には時間がかかることを考えると,小まめすぎる変更が望ましくないことは明らかなので,例えばこういう追加はどうだろうか.

「3 基本計画を決定した後に社会状況等が大きく変化した場合には,第一条の目的に照らして,基本計画の変更が必要かどうかについて点検しなければならない.」

現実にはすでに整備計画になった段階で何十年も待たされたために,本来なら基本計画レベルで見直さなければならないにもかかわらず,第五条の規定を使って調査し直すなどという計画論的には随分みっともない状況に陥っている.

(第五条の建設線の調査の指示は,路線そのものは決まっている段階で,具体的な工事ができるかどうかに関する調査のはずだよね.PDCAちゃんと回ってないよね.)

(つづく)

全幹法改正のポイント(路線編)

つづいて路線編である.現行法の全文そのものはこちら

現行法では,「新幹線鉄道の路線は、全国的な幹線鉄道網を形成するに足るものであるとともに、全国の中核都市を有機的かつ効率的に連結するものであつて、第一条の目的を達成しうるものとする。」となっており,「中核都市を有機的かつ効率的に連結」が目的だ.

「中核都市」って何だ? という話があり,50年前から20−30万人程度以上の県庁所在地クラスの以上の都市と解釈されてきた.現在は「中枢中核都市」というくくりがあるようだが,大都市圏を除くとあんまり変わってないかなぁ.

一方,道路は何を結ぶように設定されるかというと,道路法第五条に国道について書かれており…(高速自動車国道法という法律もあるが,こちらは路線の決め方は下の「一」と類似の内容があるものの,それ以外はあまり具体的でない

一 国土を縦断し、横断し、又は循環して、都道府県庁所在地(北海道の支庁所在地を含む。)その他政治上、経済上又は文化上特に重要な都市(以下「重要都市」という。)を連絡する道路

二 重要都市又は人口十万以上の市と高速自動車国道又は前号に規定する国道とを連絡する道路

三 二以上の市を連絡して高速自動車国道又は第一号に規定する国道に達する道路

四 港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第二条第二項に規定する国際戦略港湾若しくは国際拠点港湾若しくは同法附則第二項に規定する港湾、重要な飛行場又は国際観光上重要な地と高速自動車国道又は第一号に規定する国道とを連絡する道路

五 国土の総合的な開発又は利用上特別の建設又は整備を必要とする都市と高速自動車国道又は第一号に規定する国道とを連絡する道路

…一は全幹法の「中核都市」に相当する規定だが,二三四五に対応する規定が存在しない.「新幹線鉄道」から「幹線鉄道」全体に対象を広げるとすると,以下のような感じになるかな.それから,今のご時世,環境対応や非常時対応は組み込むべきかも.

第三条 この法律が対象とする鉄道路線は、全国的な幹線鉄道網を形成するに足るものであり,第一条の目的を達成しうるものとする。すなわち,次の各号の1つ以上に該当するものとする.

一 全国の中枢中核都市および大都市圏を有機的かつ効率的に連結する路線

二 人口十万人以上の都市を幹線鉄道網に有機的かつ効率的に連結する路線

三 合計すると一定規模以上となる複数の都市を幹線鉄道網に有機的かつ効率的に連結する路線

四 重要な港湾,重要な飛行場,その他重要な交通拠点を相互に連絡する路線,もしくはこれら拠点を幹線鉄道網に有機的かつ効率的に連結する路線

五 国際観光上重要な地または国土の総合的な開発又は利用上特別の建設又は整備を必要とする都市を幹線鉄道網に有機的かつ効率的に連結する路線

六 路線の整備により,他の交通機関を含めた地域間の移動に要するエネルギー消費や温暖化ガスの排出を効率的に削減可能な路線

七 路線の整備により,大災害発生時等における全国的な路線網の冗長性の向上に寄与する路線

こんな感じでしょうか? 一二三はまとめてもいいかも.

(づづく)

全幹法改正のポイント(定義編-その2)

定義編-その1につづいて,(その2)である.現行法の全文そのものはこちら

前回は,ミニ新幹線とスーパー特急方式を本則に組み込むとともに,160km/h運転の改良路線も取り扱うこととしたが,このほかにも利便性の向上方法はある.客は速い乗り物に乗りたいのではなくて,早く着きたいのである.

「速い」と「早い」.現行法は前者ばかり気にしていて,後者には気をつかっていない.スイスを始め,ドイツも「速い」から「早い」へと概念を切り替えつつある.

スイスの場合の整備目標は,乗換拠点間を運行間隔よりも少し短い時間で結ぶことなので,そのような観点を取り込んで…第二条2の続きである.

「2 この法律において「新幹線鉄道に準ずる利便性を備えた幹線鉄道」とは、以下の各号のいずれか1つ以上に該当する幹線鉄道をいう.」

の4つめの項目.同期運行対応ミッシングリンク線とでも名付けようか.

「四 同期運行対応拠点間連絡線 既設もしくは新設の幹線鉄道路線上の異なる乗換拠点駅間を相互に結ぶ路線であって,この連絡路線の新設もしくは既設路線の改良により乗り継ぎを伴う広域移動に要する時間を効果的に改善できる幹線鉄道」

あと数分早く着いてくれれば,1時間近くも待たなくていいのに…というのを防げるような路線の新設もしくは改良ということである.

日本の鉄道整備で大都市からの利便性ばかり検討されるが,総量の大きさよりも裾野の広さを狙った感じになると思う.商品販売でいうところのロングテール対応かな.

ミッシングリンクという点では,空港などの拠点と新幹線を結ぶという観点も考えられるので,五番目はこういう定義か?

「五 インターモーダル線 空港やバスターミナル等の鉄道以外の交通機関と幹線鉄道網とを接続することを目的とした幹線鉄道」

(四と五はまとめてもいいかも)

(つづく)

全幹法改正のポイント(定義編-その1)

対象編につづいて,「定義編」である.長くなりそうなので(その1).現行法の全文そのものはこちら

全幹法第二条では「この法律において「新幹線鉄道」とは、その主たる区間を列車が二百キロメートル毎時以上の高速度で走行できる幹線鉄道をいう。」と,新幹線の定義が書いてある.だが,この定義は今となっては古い.

国際鉄道連合(UIC)では,日本の新幹線のような高速で走行できる新線による高速鉄道の基準は,200km/hではなくて,250km/hだ.

ということで,第二条の改正ポイントは…

「この法律において「新幹線鉄道」とは、その主たる区間を列車が二百五十キロメートル毎時以上の高速度で走行できる幹線鉄道をいう。」

ということで,これで世界基準に合致する.上越新幹線もまもなくこの基準に合致するようになるだろうから,+50km/h自体は単なる基準あわせで,実質的な影響はないと思う.

むしろ大事なのは対象編で追加した「新幹線鉄道に準ずる利便性を備えた幹線鉄道」の定義である.「見た目が新幹線」「構造物が新幹線」というだけでは意味が無いので,ある程度「到達時間が短い」ことを条件として加える必要はある.

まず考えられるのは,ミニ新幹線(新幹線鉄道直通線)とスーパー特急方式(新幹線鉄道規格新線)だが,現行法では,附則という付け足しの「おまけ」扱いである.これを,ちゃんとした幹線鉄道規格として追加することがまず考えられる.

ということで,第二条2として…

「2 この法律において「新幹線鉄道に準ずる利便性を備えた幹線鉄道」とは、以下の各号のいずれか1つ以上に該当する幹線鉄道をいう.

…としておいて,現行法の附則に書いてある項目を改善しながら追加する.まずは「準高速鉄道」あるいは「準新幹線」としてのスーパー特急方式の定義である.在来幹線鉄道以上,新幹線未満の鉄道であり,新線の場合と改良の場合の2種定義する.いずれも速度基準を導入しないと,何でもありになってしまう.

「一 新幹線鉄道規格新線 その鉄道施設のうち国土交通省令で定める主要な構造物が新幹線鉄道に係る鉄道営業法第一条の国土交通省令で定める規程に適合する鉄道であり,主たる区間を列車が百六十キロメートル毎時以上の速度で走行できるもの

二 準高速幹線鉄道 既設の鉄道線路を改良し,主たる区間を列車が百六十キロメートル毎時以上の速度で走行できるようにしたもの

つづいて,ミニ新幹線であるが,短区間の新設というのもアリだと思うので,その部分を追加.さらに,こだま号程度の利便性を要求.

「三 新幹線鉄道直通線 既設の鉄道の路線と同一の路線にその鉄道線路が敷設される鉄道もしくは新幹線鉄道ではない新設鉄道であつて、その鉄道線路が新幹線鉄道の用に供されている鉄道線路に接続し、かつ、新幹線鉄道の列車が国土交通省令で定める速度で走行できる構造を有するものであり,列車の運転区間全体としての表定速度が百三十キロメートル毎時以上の利便性を実現することが望ましい

これだけだと,全幹法の附則を本則に入れただけに近いので…(つづく)

全幹法改正のポイント(対象編)

このお話…

整備方式を定めている全国新幹線鉄道整備法の改正が今後の検討課題との認識を示したという

情報源: 全国新幹線網完成へ、整備方式抜本的見直し要求 自民PT、関空との接続も訴え | 京都新聞

全国新幹線鉄道整備法、略して全幹法.全文そのものはこちら.それの改正が今後の検討課題…らしい…が,リンク先を読んでも金の話しか書いてない.まぁ,表面的にはそこなんだけど,重要ポイントは他なんだよなぁ.金の話だけなら全幹法を改正しなくても,(方針が一貫しないのでオススメはしないが)これまでどおり「政府与党合意」で解決できてしまう.

ということで,今年の新春企画は全国新幹線鉄道を改正するなら,ポイントはどこにあるのか,というお話.まずは,「何を対象とするか」である.

現行法は,第一条で「…新幹線鉄道による全国的な鉄道網の整備を図り…」と書いてあるように,基本的には新幹線を全国的に整備することしか扱っていない.

ということは,基本的には高速新線の建設以外の方法は対象外で,基本計画線ですら無いところは勝手にやってくれ,ということになる.

この法律ができた1970年頃には全国の新幹線網を30年くらいで概ね完成させようとしていたのかもしれないが,たとえ基本計画線であったとしても,数十年放置されているのが実態であり,2020年となった現在も即座に完成される見込みは薄い.

そもそも日本の鉄道整備は,これまでは都市圏内は地方交通審議会が答申をして路線網計画をたて,都市間交通は全幹法が担当して路線網計画を立て…という役割分担だったわけだ.だが最近は地交審の答申も無ければ全幹法も機能していないので,都市交通も都市間交通も鉄道整備は事実上無策状態にある.そして,誰もそれを改善しようとももしない.株式会社に任せておけば,最適な状態になるはず…と,今も思ってるんだろうなぁ.

都市内交通は別途考えるとして,都市間交通は新幹線による方法以外にも手立てを考えるべきなので,全幹法の最初の改正ポイントは…

法律名を「全国幹線鉄道整備法」にする.略称はそのままで「全幹法」.

そして,第一条を

「この法律は、高速輸送体系の形成が国土の総合的かつ普遍的開発に果たす役割の重要性にかんがみ、新幹線鉄道および新幹線鉄道に準ずる利便性を備えた幹線鉄道による全国的な鉄道網の整備を図り、もつて国民経済の発展及び国民生活領域の拡大並びに地域の振興,さらには地球環境の改善に資することを目的とする。」

として,必ずしも高速新線に拘らない方針を示すというのはどうだろうか.それから,今のご時世,環境対応は組み込むべきかも.

「準ずる利便性」については,別途定義しないと,お役人様が都合良く安いだけの劣化版をどしどし提案する事態になりかねないので,要注意かも.

(つづく)

超高効率太陽電池コスト200分の1へ

街乗り用電気自動車(EV)が必要とするエネルギーの大半を太陽電池で賄えるなど、エネルギー問題のゲームチェンジャーになりそうだ。

情報源: 世界を変える超高効率太陽電池 コスト200分の1へ  :日本経済新聞

究極的には町中を走っている間にお天道様から得たエネルギーを使って充電して,電灯線や発電機からの電力供給なしに走り続けられるようになるかもしれないが,これに自動運転が加わると,世論的には電車やバスは廃止してしまえ,ということになりかねない.

自動運転だろうが太陽電池駆動だろうが,都市の空間の利用効率はあんまり改善しない,つまり渋滞からは逃れられないし,間延びして密度の低い,維持費の安くない都市ばかりになってしまうと思うが,こういう話に関しては鉄道会社もバス会社も危機感を持った方がいいと思う.

首都機能移転勉強会を発足

自民党の中堅・若手議員が4日、国会や中央省庁などの首都機能移転に関する勉強会を設立した。

情報源: 首都機能移転、自民の中堅・若手が勉強会を発足…小泉環境相ら19人 : 政治 : ニュース : 読売新聞オンライン

まぁ…やらないよりはやった方がいいんだが,30年前に国会で首都機能移転の決議(H2.11/7)までして,しかもその話は今も有効なので,あとは動くかどうかだけどねぇ.

残念ながら現(というか,今までの)国会議員の皆さんは,東京一極集中が重要な問題点であると気づきながらも,実行力が無かったわけで,「茹でガエル」「どじょう豆腐鍋」状態を甘受してきたわけだな.

10兆円で首都機能移転できるなら安いと思うがな.

首都直下地震が2025年±5年とか,南海トラフ地震2035年±5年とかいう話が地球科学の専門家からも出るようになってきた昨今,”今から勉強会”では,ちと悠長すぎないかなぁ.

#回りくどい表現のポエムはもういいです.